幻想に仕えた二人の話   作:せぷ

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基本的に2000文字を目安に投稿しています。
漢数字と数字が混ざって文が書かれているのはわざとです。読みにくかったらすいません。


第2話

私の目の前に現れたのは

 

幻想郷の管理人  八雲紫

 

紫「ずいぶんと呆けた顔をしているわね。吉樹 優。」

 

美しい。それ以外の感想が出てこない。いや、彼女を表すことのできる日本語は存在しないだろう。おもわず見とれてしまう。様々な感情が私の中を駆け巡り、現状を理解できない私だが日本語は理解できる。返事を返さないのは失礼だろう。

 

優「いえ、あなたの美貌に心奪われていました。八雲 紫様。一つ質問なのですが、ここは幻想郷なのでしょうか?」

 

できるだけ丁寧な口調と困惑する感情を表に出さず刺激しないように心がけたが、八雲紫の名を出した瞬間にほんの僅かだが彼女は訝しむような表情を見せた。

失敗だったか? 

彼女は人食いの妖怪だ、おそらく私たちを食べるためにここに連れてきたのだろう。その証拠に逆さに吊られている現状はまさに今から私たちを肉塊にしようという意図が見える。そのために、できるだけ興味を引き生きながらえようと彼女の名を出したが悪手であっただろうか。

彼女が私の名を知っているのはおそらく手帳を読んだのだろう。そうであれば、私たちの目的が幻想郷だと知っているはず。だからこそ私が目を覚ますまで待っていたのだろう。

 

紫「えぇ、ここはあなたたちが求めていた幻想郷よ。よかったわね、でももうおしまい。」

 

まじかー 絶対食われるやん、てかこのお姉さん綺麗すぎる。やばぁ 恋に落ちちゃったよ、てか浩志いつまで寝てるんだよ。てか、手帳読まれているな。

 

心の叫びはどんな時もくだらないものである。しかし、この状況をどうにかしなければ夢にまで見た幻想郷に1歩踏み入れただけで終わってしまう。それだけは避けなければ。

 

優「私たちは食べられてしまうのでしょうか?」

 

紫「そうね。逃げたい? せっかく夢にまで見た幻想郷に来たのに食べられちゃうのは嫌でしょう?」

 

優「逃がしてくれるのですか? だとしても答えはNOです。逃げたところで私たちのような普通の人間が生き残れるような場所ではないので、逃げるよりあなた様の糧になりたいです。」

 

本心だ。東方の知識を持っている私や浩志は幻想郷がどれだけ過酷な場所か理解している。おそらく、1日も持たないだろう。だったら紫に食われる方がましだ。もちろん浩志の意見は知らないが、同じことを言うだろう。

 

優「一つお願いを聞いていただけませんか?」

 

紫「お願いによるわね。」

 

一つ作戦にでる。

 

優「私たちは幻想郷に恋をしています。なので幻想郷の管理者であるあなたの養分になるのは、天寿全うするより喜ばしいことです。しかし人間は欲深い、あなた様の奴隷や従者になって幻想郷に仕えたいと欲してしまった。どうか、私たちをあなた様のもとで仕えさせていただけませんか?」

 

我ながらよく口が回るものだ。彼女のもとで仕えるということは、彼女の保護が得られるということ。つまり、幻想郷で生きていくことができる。この願いは生き残るためだけの苦肉の策ではない、幻想郷で生き残るための最善策である。

問題はこの願いを彼女が聞き入れてくれるかどうかである。

 

浩志「うをぉ、なんだ」

 

まったく、間が悪い

 

紫「あら、おきたのね。今、あなたのお友達とお話をしていたところよ。」

 

浩志「え? 八雲紫? え なんで? 優お前生きてるのか?」

 

体をくねらせながら、現状に困惑する浩志を何とかなだめ、現状を説明する。

 

―少女説明中―

 

浩志「なるほど、何とか理解した。 お前頭いいな。」

 

優「あとは向こう次第だ。」

 

簡単な説明で現状を理解した浩志が八雲紫を刺激しないように小声で話しかけてくる。バカだが地頭が良いのがこいつだ。

彼女はいつの間にか持っていた扇子で口元を隠し、私たちを品定めするかのようにじっと見つめている。

私たちは黙って彼女のお目にかかれるようにピンと背筋を伸ばす。といっても吊られているので背筋は伸びきっているのだが。

 

どのくらい時間がたったのだろう、そろそろ頭に血が上って気絶しそうだ。浩志の方を横目で見れば、顔が真っ赤になった浩志がじっと彼女のほうを見つめている。

沈黙を破ったのは彼女のほうであった。

 

紫「あなたたちは、何ができるの?」

 

至極当然の質問

 

浩志「俺は多少の家事ならできます。料理は優の方が断然上手です。心理学や中国の兵法への知識もたくさんあるので、指揮には自身があります。」

 

浩志が自信満々に話す。その目はしっかり彼女をとらえており、自身の熱量を言葉だけでなく態度で示すものである。彼をカリスマ的な人と称する人はたくさん見てきたが、そう言う理由がわかる気がする。

 

優「私も家事ならなんでもできます。私は、多方面への知識が豊富で交渉術の心得もあります。なにより、料理が得意です。

 

料理の腕には絶対の自信がある。料理教室に通っていたというわけではないが、食へこだわりが強くそこから独学で満足のいくまで料理の研究をしていた。

再び彼女の言葉を待つ。

 

紫「物は試しね、1週間だけ試用期間をあげる。その間に私が認めたら、仕えさせてもいいわ。」

 

そうして、私たちは1週間の試用期間に入るのであった。

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