幻想に仕えた二人の話   作:せぷ

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今回残酷な表現、グロ要素を多く含みます。苦手な方はご注意ください。
主はグロがすきです。


第3話

一週間 それが私たちに与えられた時間であった。

 

紫のいう試用期間の具体的な説明は以下の通りである。

 

一つ、1週間で紫から与えられた任務は必ず遂行すること。

二つ、八雲邸で寝食を行うこと。

三つ、人里へは入らないこと。

四つ、試用期間中、また試用期間後に逃亡、不要とされた場合には即刻死を受け入れること。

 

単純なルールである。一週間耐え抜けば、幻想郷への永住権を得られると同義である。この説明を受けた私たちは吊るされていた縄を紫にほどいてもらい、早速任務を紫から授かった。

彼女は私たちの目の前にスキマをつくる。空間が切り裂かれるように、一本の線が引かれやがてぱっくりと傷口のようにそれが割れる。スキマの中には無数の目がこちらを凝視しており、思わず顔を背けそうになるのをこらえて何が出てくるのかを待つ。紫はスキマの中から二つの人が入っているような大きさの麻袋を取り出した。いや、入っている。わずかな呼吸音と袋の上下がみられる。浩志にもそれが人だとわかったようで、大きく目が見開かれている。

 

 

紫「この人間を捌きなさい。」

 

 

何の感情も表に出さないままで彼女は言う。まるで、それが当たり前のように私たちに同族の調理を要求してきた。

たった一言、その一言で私たちは幻想郷の恐ろしさを再確認した。これが妖怪であり、人間の到底及ぶことのできない世界。そして、私たちが求めていた幻想。

 

絶望なのか、好奇なのかわからないほど胸が高鳴っている。それは浩志も同じようで、彼の頬の赤さは先ほどまで頭に血が上っていた影響ではないのであろう。幻想への代償、人間を辞める覚悟 それを試されているのだろうか。

 

優・浩志「「わかりました。」」

 

声が重なり、袋を開ける。袋の中には二十代ほどの女性が二人、意識はまだない。

私たちに人を殺した経験は無い、今回が初めてである。

どう殺せばいいのだろうか、そう悩んでいる私を尻目に浩志は女性の内の一人を袋から出し、首に腕を絡めた。浩志はためらわずに力を入れる、少ししてボキッと何かが折れる音が聞こえた。浩志の腕から力が抜け、同時に女性から聞こえていた呼吸音が聞こえなくなる。

ふと浩志が私を見つめているのに気が付いた。私がどのように殺すか答えを出すのを待っているように、その瞳には初めて私たちが幻想郷へ行くことを決意した時と同じ光が見える。私も答えを出すしかない。私はまだ生きている女性の袋に手をかけ首から上が出るように袋の口を開けた。土間に置かれていた鎌を手に取り、同い年ほどであろう彼女の首に刃をあてがいそのまま引く。ぱっくりとわれた切口からは一瞬の間をおいて赤黒い血液がゴポゴポとあふれ出す。中途半端に首から下を袋の中に入れたまま切ったせいで、彼女の首から下が赤く染まり達磨のように見える。

 

浩志「汚しちまったじゃないか。どうするんだ?」

 

血があふれたせいで土間を汚してしまった。

 

優「そのまま、血抜きを兼ねてるからいいじゃないか。」

 

魚をさばいているかのような会話を交わす。そのまま、すぐそばでこれを見ていた紫からのこぎりや出刃包丁を借りて二人で仲良く女性を解体していく。最初は慣れていないせいか、うまく皮をはがせなかったりしたが、叙述にコツを掴み最後には綺麗に顔の皮を剥ぐことができた。

 

 

 

その晩、八雲邸に並んだ夕食はとても豪華な肉料理であった。三人でそれを食す、嫌悪感はない。同族を食べているという自覚はある。ただ、旨いという感想しか出てこない。

 

紫「一日目にしては上出来ね。まるで、同族を殺しているとは思わなかったわ。」

 

そういう彼女の顔には張り付けたような胡散臭い笑みが見える。

 

優「何の覚悟もなしに来ていません。幻想のためなら私たちはなんだってやりますよ。」

 

同意するかのように笑顔の浩志が首を縦に振る。

 

紫「いかれてる。」

 

嘲笑する彼女お目の奥には笑顔で肉を食べる私と浩志の姿があった。

 

その日は私と浩志の自己紹介をし、八雲邸の軽い案内をしてもらい客間にて眠りについた。

一日目にしたはうまくやれただろう。これからも頑張らねば。そう二人で話し合い今度は暖かい布団の中で意識を手放した。

 

 ―紫 視点―

ずいぶんと面白そうな人間を拾ったわ。解体をしているあの二人の目には絶望どころか楽しいというような光が宿っていた。あと六日、どうか耐えきって欲しいと思ってしまう。

 

紫「楽しくなりそうね。」

 

夜の闇に放り投げたその言葉を拾う者は誰もいない。

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