Skybound ace ―   作:心ここにあらず

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エピソード4

その後も両チーム得点を重ねていき互いに譲らない展開が続いていく。練馬ジュニアはリオを主軸に攻撃をハイレベルで重ねていき、千代田区ジュニアは攻守ともに佐久早と古森が躍動する

 

 

そして第二セット終盤…

 

ここを決めれば第二セット奪取のチャンスだが…両者共に疲労の面影が見えだす

 

 

リエーフは息を整えながら、ボールを見つめる。

リオが小声で囁く。

 

「落ち着け、リエーフ。焦るな」

 

リエーフは頷き、“フーッ……”と深呼吸し、次のスパイクに備える。

 

コート上では両チームの選手たちがフルスピードで動く。

佐久早は鋭い眼光でボールを追い、古森が瞬時に位置を調整。

“スッ”と体を反らしてリオのスパイクを受け、トスをセッターに返す。

 

リオは力任せにも似た力でボールを打つ。

 

 

“ドガッ!”

 

 

しかしまたも古森が反応し、ボールを拾う。それを相手のセッターが綺麗に佐久早まであげる。佐久早はフェイントをかけ、“ズバッ!”とブロックの隙間を突く。

得点は21点先取制のルールに沿って、互いに20点でデュースに突入するだったら。

 

デュースとなり、緊張感は最高潮に達する。

両チームのコーチが叫ぶ。

 

「ナイスリカバリー!」「落ち着け!」

 

リオは大きく息を吸い、拳を握り直す。

 

「ここで決める……!」

 

リエーフも呼吸を合わせる。

一瞬の判断、一瞬の反応が勝敗を決める局面だ。

 

“バシュッ!”

 

佐久早のサーブはリオとセッターの間に

 

咄嗟にリオが飛びつき、“パシッ!”とレシーブする。

しかし流石のリオも体勢が悪くボールはわずかにコート外に落ちるかと思われたが…そこに飛びつくリエーフがカバーし、セッターに返す。

 

セッターはそのままアンダーで相手コートにボールを打ち込み

千代田区ジュニアのチャンスボール

 

 

すかさず古森がレシーブしセッターがそのままボールをセットする

 

そしてそこに上がってきたのは勿論この男…

 

“ドゴォンッ!”

 

次佐久早のスパイクが轟音と共に放たれた

 

 

リオが体を反らしながらなんとか触れるものボールは弾かれ千代田区ジュニアのポイントとなる

 

そして相手のマッチポイント…ここを取られれば練馬ジュニアの敗北が決定する

 

 

 

 

 

 

 

 

体育館の空気が張りつめる。

勝ったチームが東京大会の頂点に立つ。

負ければ終わり

 

リオは呼吸を整え、汗に濡れた前髪を指で払う。

隣ではリエーフが、背丈に合わぬほど細い肩を震わせながら、それでも真っすぐに前を見ていた。

 

「……リエーフ、大丈夫か?」

 

「…うん。絶対止めてやる!」

 

二人の視線の先には、千代田区ジュニアのキャプテンにしてエース──

佐久早聖臣, そしてそれを支える攻守の要の 古森元也

 

彼らは練馬ジュニアのメンバーとはまるで違った

圧倒的な経験も、個々の完成度も、そして勝ちたいと思う貪欲さも。

 

しかし――

リオとリエーフにとって、この瞬間はそんな差を考えるような場面ではなかった。

コートの中央で、ボールが審判の手に乗る。

息を呑むような静けさ。

 

「このポイント!!絶対取りなさい!」

 

コーチの声が俺たち練馬ジュニアを震わせた。

 

「……来るぞ」

 

リオが呟くと同時に、佐久早は軽く跳び、

“シュッ!!”

と鋭いインパクトでボールを放った。

 

軌道が分かる

軽く揺れるようにリオの隣コースギリギリへ向かってくるフローター気味のサーブ…ここにきて不完全ながらフローターサーブに似ているサーブを放ってきた佐久早にリオは驚愕する

 

誰もが…なにより佐久早本人も取れるはずないと思われたそのサーブは

 

「うぉぉぉぉ!!」

 

リオが一歩踏み込みながら飛びつき

 

“パシィッ!!”

 

と音を立ててレシーブした。

 

しかし浮きすぎた。

ボールはネット近くまで大きく上がる。

 

「まかせろ──!」

 

誰よりも早くセッターが反応しボールをセットする

 

 

「上げた!! ラスト頼む!!」

 

ボールはネット近くへ。

 

(ここしかない……絶対決める!)

 

リエーフが助走距離を確保し飛び込む

 

リエーフは全力で叩く。

 

“ガギィィィン!!!”

 

その瞬間、衝撃が腕を突き抜けた。

 

 

 

(触られた……!?)

 

ボールは佐久早の指先で方向を変え、

古森が“スッ”と滑り込んで拾う。

 

形が整った千代田。

最後の攻撃が上がる。セッターが綺麗にセンターにトスを上げる

 

「ラスト!聖臣!!」

 

終盤に関わらず相変わらずの跳躍を見せるエースの佐久早

綺麗に仕上げられたそのフォームに

 

世界が止まったような感覚。

 

“ドォォン!!!”

 

コート右隅へ、リエーフも…リオでさえ反応出来なかったボールは静かに落ちていった。

 

笛が鳴る。

 

■ 決着

 

2ー0 千代田区ジュニア勝利

そして練馬ジュニアの敗北。

 

体育館が静まり返る。

次に、千代田ベンチの歓声が爆発した。

 

リオは着地と同時に膝から崩れ落ちた。

 

(……負けたのか)

 

遠くで、リエーフも俯いて肩を震わせている。

 

何も言えなかった。

声が出なかった。

初参戦にして県大会2位の成績に関わらず

ただ、涙だけが勝手に溢れた

 

 

佐久早が、無表情のままリオの前に立つ。

 

「……強かったよ、君」

 

リオの涙が一瞬止まる。

 

「……次は絶対負けない……」

 

佐久早は小さく笑った。

 

「…ふっ」

 

 

それだけ言い残すと自軍ベンチに帰って行ったのだった

 

 

試合後…東京体育館の外は、まだ夕方の明るさを残していた。

けれどリオの心の中は、雨上がりのように静かで、湿っていた。

控室から出てロビーへ向かうと、

リオの母と、元プロバレー選手だった父・レオナルドが待っていた。

 

「リオ……!」

 

母の声が聞こえた瞬間、リオの喉が震えた。

負けた悔しさ、全部こらえ込んでいた涙が、

その一言で全部ほどけてしまう。

 

「……ママ……俺……負けた……」

 

ママは優しく俺を抱きしめた。

腰を折って、俺と同じ高さにして、

背中をぽんぽんと叩く

 

「よく頑張ったよ。リオの試合、全部見てた。すごかったよ、本当に」

 

「……でも……最後のスパイク、返せなかった……

反応もできなかった……

俺が……止めていれば……」

 

ママは少しだけ微笑んだ。そしてパパは俺の前にしゃがみ、

大きな手で俺の涙をぬぐった。

 

 

「リオ。

今日負けた悔しさは絶対忘れるなよ…それが強くなるための燃料となるからな」

 

リオはゆっくり顔を上げる。

 

「……パパ、俺……もっと強くなれるかな」

 

「なれるさ。

リオはパパ譲りの才能を持っている。

それに負けてしっかり泣けるだけの努力を積み重ねれる選手は、必ず強くなれる」

 

その言葉で、胸の奥にしずかに火が灯るのが分かった。

 

 

 

 

 

試合に負けた後、リオの練習量は一気に増えた。

 

放課後になると、自転車で練馬体育館へ向かい、

リエーフとサーブやレシーブやスパイク練習を前の倍以上した。

 

「もっと高くトス上げてくれ!」

 

「おう! ……しっかりと打ちきる!!」

 

リオの跳躍は日に日に伸びていく。

リエーフもブロックの読みが鋭くなり、

二人での1対1練習はいつも白熱した。

 

“ドンッ!!”

“バシュッ!!”

“ガキィッ!!”

 

体育館に二人の音だけが響く。

 

父レオナルドはプロの視点から、

リオに技術の細かいアドバイスをくれた。

 

・スイングは肘の高さを一定に

・ステップは“右→左→右”のリズムを崩さない

・強く打つより、正確にコースを決める

 

そして毎晩、フォームチェックをしながら言う。

 

「リオはまだまだ跳躍力も上がるな」

 

その言葉を信じて跳び続けた。

 

 

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