千代田区ジュニアの佐久早と古森。
彼らはすでに東京の天才コンビとして知られ始めていた。
試合の映像を何度も見返すたびに、
リオの胸に悔しさが蘇る。
それはリオの強さの源となっていった
彼らとの試合からリオは自らの体を徹底的に扱き倒し一日も無駄にすることなく練習を続けたのだった。何よりあの試合の勝敗を分けたのはリオと佐久早との違いだと本人が納得してしまっているのだから…
無論そんなことはなくあの試合を見ていたものなら分かるはずだが個人的な実力で言えばリオと佐久早の実力は拮抗していた。そしてなにより佐久早本人もリオの実力を高く評価していた。試合後のインタビューにて佐久早本人も
『ええ…とても素晴らしく強いチームでした。特に7番の彼…今年はワカトシくん…去年まで宮城のチームで腕を鳴らした牛島くんを思い出しましたね。』
『はい…なにより彼は僕より下の世代ですからね。今の時点で五分…ならコレからはどうなのか想像も付きません…そして何より彼には世界最強のコーチが付いていますからね』
と最後に笑いながら答えていたのだった。インタビューアーもまさかここまであの辛口の佐久早が認めているとは思わずリオのことを個人的に聞いてしまったほどであった。
この記事とインタビューをきっかけに本人の意図とはいざ知らず全国優勝チームを最も苦しめたとして練馬ジュニアと佐久早本人が…あの佐久早本人が認めた数少ない選手…それも年下の選手が認め苦しめたとして広く認知されるようになってしまったのだった。
あれから更に一年…リオとリエーフは更に身体と技術が成長した姿が体育館にて見られた。
特にリオは、小学生離れした“読み”と“空中での攻撃の手段”に磨きがかかり、父の教えも相まって、攻撃の質が飛躍的に上がっていく。
身体能力 × ハーフ由来の手足の長さ × 父仕込みの技術 × 悔しさ
その全てが、リオを子供とは思えない領域へ押し上げていた。
そして小6。最後の一年。
練馬ジュニアは、明らかに「全国を狙いにいくチーム」へ変貌していた。
● 地区大会—軽く(ダイジェスト)で流していきます!
ーードパァァァァァァン!!ーー
「ナイスリオ!」「やべぇだろあいつ…」
「あれが神凪リオか…」
「東京No.1プロスペクト…」
突出した実力を持つリオとリエーフの活躍もあり
リオたち練馬ジュニアは、もはや敵なしだった。
4.東京大会――準決勝「青梅ジュニア戦」
準決勝。相手は都内屈指の堅守・青梅ジュニア。
体育館の空気は張り詰めている。
青梅のエース、左利きの中学生顔負けのスパイカー・三条が不気味に笑った。
「よう、噂のハーフ君か。見せてみろよお前の実力」
リオは笑い返す。
「黙って待ってなよ…いやでも理解するから…」
ーーバギャァァァァァァン!!
「ぐはっ!」
リオのスパイクはブロックに現れた三条ともう1人を吹き飛ばし一度も止められることなく決め切っていた
そしてもう1人…
ーードォォォォン!ーー
「あいつもやべぇ!神凪だけじゃなねぇぞ!」
「ナイスリエーフ!」
リエーフがその身長と跳躍力で相手のブロックの上からボールを叩き込んだった。
そして…
チームの支柱である三条の心が折れたことで
明確にどちらが格上なのか判別されたのだった
そしてこの試合も危なげなく快勝し終わってみれば…
どの試合も 21-8、21-10 のようなスコアばかりでの圧勝。
地区大会を“完全優勝”で突破し、勢いそのままに東京代表決定戦へ向かった。
● 都大会決勝――
相手は江戸川区ジュニア。
リベロの切れ味と中学レベルのセッターを持つ強豪チーム。
大会No.1セッター・浦添の正確トスと、小学生離れしたミドルブロッカー・甲斐の高さが脅威だった
◆第1セット
最初の10点は拮抗。
リオのスパイクが炸裂すれば
――ドパァァァァァァン!!
甲斐のブロックでリエーフや他の選手のスパイクを難み
――バシィィィィン!
そして浦添のセットにて多彩な攻撃を実現させていく
――パシッーパシッ!
江戸川は多彩さで上回り、練馬は警戒を強める。
だが11点目からこのままでは不利かと思われたその時…
リオが“第2の武器”を出す。
ーードパァァァァァァン!
それは相手のブロックにコースを読まれドンピシャで張りつかれたその時
リオは体の重心を無理やり変えストレートからライト方向クロス
いわゆる 「インナースパイク」 を打ち込んだった
21-17でセットを奪う。
◆第2セット
江戸川は甲斐を中心に“速攻とクイックフェイント”を混ぜ、練馬の守備を揺さぶる。
リオがレシーブで粘るが、相手の多彩な攻撃を完全には止めきれない。
15-18とリードされる。
その後相手のミスで得点を取り返す
(やっとやり甲斐のある相手が出てきたか…)
リオは心の底から沸き上がる熱を感じた。
――こんなところで…東京で…負けるわけにはいかない。
そしてここでリオの秘密兵器…
"第三の武器"を繰り出す
リオからのサーブ…いつもは下からのアンダーサーブが基本のリオであったが…密かに父のビデオやプロの試合の映像を見返し何度も"それ"を練習していた
リオはいつもより数歩ほど後ろに下がりボールを静かに構え、
ほんの一瞬、深く息を吸った。
その瞬間——
空気が変わった。
―― フワッ!
ボールが天井付近までぐん、と伸びる。次の瞬間、
リオの身体は地面を蹴り裂くように跳んだ。
―― ドンッ!
蹴り上げた足が床を抉り、跳躍の勢いでリオの影が細く伸びる。
腕がしなり、
肩がひらき、
風を裂きながら全身の力を一点へ集める。
(ここ……!!)
―― ドガァァァァン!!!
手のひらに収束したエネルギーが、
ボールの側面を思いっきり叩きつけた。
衝撃音が体育館の隅まで刺さる。
相手コートへ向かったボールはリベロ横のコートに突き刺りその瞬間、
威力で床板がわずかに揺れた。
リベロ
「(見え……なかった……!)」
「は?小学生で!!」「え、何今の!?」
「ジャンプサーブで決めたぞあの子!!」
審判の手が、少し遅れて上がる。
そこからリオはサーブで連続3得点し、18-18の同点へ。
―― 『サービスエース!!』
そこから相手の焦り見え初め…
最後はリエーフのワンタッチブロックでボールが大きく上がり、
リオが走り込み、跳び、
空中で体を捻り――
――ズガァァンッ!!
20-12。
東京大会、昨年決勝で苦渋を呑まされた練馬ジュニアが念願の初優勝を飾った
その後も練馬ジュニアの快進撃は続いた
全国大会では、東京代表としての誇りと、絶対的エースとしての責務を背負いながら、リオは全ての試合において圧倒的なスタッツを誇った
各県の強豪との戦い。
仙台のレシーブ特化チーム、
大阪の攻撃特化チーム、
福岡の全員攻撃型、
そして北海道の高さとパワー。
どの試合も接戦だったが、
リオの存在が全ての局面で均衡を破った。
・前衛:高さと体幹でパワースパイク
・後衛:バックアタックで得点量産
・レシーブ:予測力で拾い続ける
今大会を機にリオは全国各地から“小学生全国No.1エース” と呼ばれるまでに成長したのだった。
全国チャンピオンとして終えた小学校最終年。
だがリオはまだ満足していなかった。
(中学でも、高校でも……もっと高みへ…土をつかされた相手だっているしそいつが認めたまだ見ぬ怪物たちもいる…)
全国制覇のその先へ——
リオたちの新たな物語が幕を開ける。