私はボム、今はレゼ。36歳。
ソ連のスパイであり、爆弾の悪魔である
16歳の女子高生となって日本に潜入しチェンソーの心臓を奪うのが任務であるが……
「36で女子高生はかなりキツくないですか?」
「いや、頑張ればいけるだろう」
「いや、場末の風俗みたいな感じになりませんか?」
「そうは言っても君、爆弾の悪魔と融合したのはいつかね」
「たしか20年ぐらい前ですかね」
「だから見た目は16だから問題あるまい」
「いや、精神的にキツいんですよ!!」
「それを演じるのがスパイではないのかね」
「そうおっしゃいますが、今時の女子高生とか全く分からないですよ」
「大丈夫だ、わが情報部の情報は完璧だ、後ほど君にレクチャーしよう」
「本当に大丈夫ですか?」
「うむ、まず現状その服装では田舎のロシア人にしか見えないのでこれを用意した。これで君も日本の女子高生だ」
「……これ本当に日本の女子高生ですか?」
「ああ、東京のアメ横というところから購入してきたから間違いない」
「本当に大丈夫ですか?」
「まあとりあえず着てみたまえ」
10分後
「……着替えました」
「おお、君のその発育不……ゴホン、若々しい体つきはまさに日本人のようだ」
「ぶち殺すぞブタ野郎(まあ、思ったよりは良かったですが……)」
「何か言ったかね?」
「いえ、何も。ところで、この鈴の模様は何でしょうか」
「日本と言えばドラ〇もんだろう」
「女子高生ってドラえ〇ん着るものなのですか?」
「まあ、日本だから」
「しかも何で鈴だけなんですか?」
「ほら、メイドインチャイナだから……」
「あとは、情報部から日本のテレビや新聞、雑誌、音楽などを仕入れておいた。日本語はそれらから可能な限り習得しておいてくれたまえ」
「……承知しました」
(ああ、また寝不足の日々が……。この年になるといい加減しんどいんだけど。)
幸い言語学は得意ではあるので、難しいと言われる日本語もすぐに習得できた。
とりあえず、雑誌とテレビで変装用のスタイルを仕込んでおくことにした。
「なるほど、髪型はこんな感じか……」
「明星」と書いてある雑誌に載っていたアイドルの髪型を真似てみた
あとは、会話のためにある程度日本の流行を追っておいた方がいいだろう。
「あ、この番組見たことあるかも」
小さい女の子が大根めしを食べて貧困に耐える物語であった
「ごはん食べられて、実験されないんだから天国だよね」
私にとってはとても苦労とは思えない内容だった。
女子高生なのでおしゃれなども知っておいた方がいいだろうから、女性に人気だというan・〇nというファッション誌を読んでみた
「ファッションは、……あれ?これ1980年って」
……うん、やはり事前に日本に入国させてもらった方が良さそうだ
とりあえず、今調べたところでソ連ではおしゃれな服は入手できなさそうなので上官にもらった服で行くことにしよう
机の上の写真に向かって声をかける
「行ってきます、あなた」
そこには、ボサボサの金髪を精一杯シャキッとさせて、タキシードを着た若い男と、その男に抱えられて微笑むウェディングドレスを着た私が写っていた。
私と愛する夫の、たった一枚の幸せな写真であった。