レゼさんじゅうろくさい   作:大学鯖

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紅白で米津さんがIRIS OUTで出るらしいですが、ぜひ宇多田ヒカルさんと一緒にJANE OOE
やって欲しいですね。


第二十三話

 私はレゼ、36歳。セーフハウスに戻った。今はもうくたびれたおばちゃんでいい。

 

 明日は二道でバイトなので早く起きなければいけない。酒はやめよう。

 そう思って、冷蔵庫からストロング〇ロと書かれた缶を取り出し飲む。

 炭酸が疲れた喉に弾けて心地いい。日本ではアルコール扱いらしいがこれはソフトドリンクだ。

 

 本当にデンジ君と出会ってからいろんなことがジェットコースターのように過ぎていく。

 

 ただし、それに流されるままではいけない。それでは、ジェットコースターの終点が壁になって待っているのは死だけだ。

 

 とにかく情報を整理して、対策しなければ。

 今まで分かったことを整理する。とにかくまずはマキマ対策だ。

 マキマについては今のところ推測を含めて以下のことが分かっている。

 

 1.公安対魔特異4課のリーダーであり、デンジ君の上司である事。

 2.銃で撃たれても死なない、あるいるは生き返る事。

 3.襲撃者のヤクザに大穴を空けて殺害した事。

 4.京都に居ながら東京のヤクザを不可思議な力で殺した事。

 5.洗脳らしい能力を持っている事。

 6.人間ではなく悪魔であるらしい事。

 7.地獄でチェンソーマンと戦ったことがあるらしい事。

 8.銃の悪魔と爆弾の悪魔の親玉の仲間らしい事。

 9.洗脳された魔人をラーゲリに捕えようとすると鎖が現れて綱引きになる事。

 10.鎖は断ち切ることが可能だという事。

  

 ここまでは判明している。

 

 まず、公安対魔特異4課のリーダーということは、さっきのビーム君の上司でもあるという事だ。そして、ビーム君は洗脳されていた。そして、ビーム君に聞いたところ、彼以外にも7人魔人がいるらしい。

 

 そのうちの一人は、デンジ君のバディでパワーという女の魔人らしい。彼女はデンジ君と一緒に早川アキという先輩の家に住んでいるらしい。

 

 (糞みたいなバディってこれか……)

 

 若干イラっときたが、とりあえず流して進む。

 とにかくこの中でも、天使の悪魔というのが強いらしい。デンジ君の先輩の早川アキのバディらしい。そして、何よりも厄介なのが

 

 (絶対みんなマキマに洗脳されてるよね……)

 

 もともとはみんなチェンソーマンの眷属らしいのに、なぜか全員マキマに従っている。パワーは微妙らしいけど。

 

 従って、マキマを敵に回すにはこの魔人7体、そのうちパワーはデンジ君につくかも知れないけど、最低6体相手取る必要がある。

 

 次に、生き返るもしくは死なない。これが奇妙だ、悪魔だろうと銃でハチの巣にされれば死ぬ。今の話からしてマキマは武器人間ではなさそうだ。これは考えてもわからない、そういうものだと思うことにする。

 

 次、相手に大穴を空けて殺した、この痕は私は見覚えがある。銃の悪魔と同じだ。そして、マキマは銃の悪魔の親玉と仲間らしい。そうすると

 

 (銃の悪魔の能力が使える?……いや、もしかしたら爆弾の悪魔の能力も使える?)

 

 そうなると、完全に私の上位互換だ。

 

 次、遠隔地から殺せる事、これはもっと恐ろしい可能性にあたる。つまり、

 

 (遠隔地の様子が手に取るように把握できる……)

 

 スパイにとっては致命的だ。私の事ももうバレているとみてよいだろう。

 とりあえず、どうやって情報を把握しているかわからないが、カメレオンと沈黙は必須だ。

 

 次、洗脳ができるという事。これは発動条件が分からないが、デンジ君を完全に支配できていないという点とビーム君の洗脳が解けたということは、かかりやすさ、解けやすさというのは人によって違うかもしれない。

 

 基本的に洗脳は、抵抗するものより、従順なほうがかけやすい。また、自己矛盾を起こすと解けるという性質があるかも知れない。あとラーゲリでとらえようとすると解ける可能性がある。

 

 つまり、私がかからなければいいということか。

 基本的に洗脳の対抗策は客観、第三者、視野の広さになる。

 あとは意志力というか、結局は精神論になってしまう。

 

 (まあ、でもスパイなら基本だね)

 

 問題はこれが悪魔の力であることだが、今考えても仕方がない。情報を集めるしかない。

 

 (あとは協力者というか味方を増やすしかない……)

 

 そうすると、キーパーソンは自ずと一人に絞られる。

 

 (公安対魔特異1課、岸辺……)

 

 日本最強のデビルハンターであり、デンジ君の先生でもあるようだ。

 

 (彼を引き込めるか……)

 

 そうすると、一つあてがあるのを思い出した。

 

 (そういえばクァンシが昔バディを組んでたっていうのが、確か……)

 

 一度彼女と連絡を取る必要がありそうだ。とりあえず、ここまで考察してわかったことがある。

 

 「うん、無理ゲー」

 

 アホか、ソ連の上層部。マキマの支配下にあるデンジ君の心臓を取れって、それマキマを倒せっていうのと同義語じゃないか。

 

 「こんなの、単独任務でやらせようとするな!」

 

 そう、現状完全に詰んでいる。そして、ここから最も嫌な想像ができてしまう。

 

 これは本当に情報部が無能なだけなのか?

 

 私は、自分で言うのもなんだが恐らくソ連の最高戦力の一角だ。

 都市程度なら私一人で壊滅できる、いわゆる戦略級の戦力になる。

 そして、これは私が大量虐殺をやらないと誓っているために封印しているけど

 実はラーゲリの中には、私の能力と組み合わせて大量虐殺ができる悪魔がいる。

 

 これをやってしまうと、恐らく東京やモスクワぐらいなら死の街にできる。

 つまり銃の悪魔どころではない被害が出せる。

 

 そして、私がマキマに捕らわれればこの力をマキマが持つことになる。

 

 私という戦略的兵器をのこのこ日本に差し出すほど、ソ連の情報部は無能だろうか?

 無能ならば、その報いはソ連自身が受けることとなる。

 

 最悪なのはもしも、情報部がマキマの事を把握したうえで、あえて私に知らせていないとしたら……。

 

 (情報部が把握してあえて私に伝えていない……つまり、私は売られたという事になる?)

 

 そう、私を生贄として情報部がマキマと手を結んだか。

 私の存在を煙たく思う勢力はある。最近になって秘密の部屋を主導していた連中が力を盛り返してきたという話も聞く。その中にはモルモット風情がエースであることに不満をもっているやつらもいるらしい。そいつらが私を処分しようとしたならば……

 

 (ソ連が既に敵である可能性が高い……)

 

 そして、仮にソ連が敵でなかったとしても……

 そんなボンクラな情報部ならいずれソ連が崩壊する。

 

 (どっちにしてもダメじゃん……)

 

 まずいな、このセーフハウスすら危ない。

 とりあえず、今日はマトリョシカの中で寝るか。明日からどうしようか……。

 

 いずれにしても味方を増やす必要がある。

 

 (ジョンと結婚させてくれたり、ミーシャを産ませてくれたりしたときはいい職場だったのにな~)

 

 あの秘密の部屋の連中が主導権を得たならば、そいつらに尽くすなど真っ平ごめんだった。そして、叛意を持った強力な兵器など脅威以外の何物でもない。真っ先に粛清対象だろう。私が意志のないモルモットだったら問題はなかったのだろうけど。

 

 (お生憎様、私は人間だ。例え悪魔の心臓だろうが、私は愛する夫も子どもも居た。もうモルモットには戻らない、そして私をモルモットに戻そうとするならば……それは敵だ)

 

 敵は情け容赦なく殺す。私は昔の弱いネズミではない。例え殺されるにしても、国家として立ち直れないぐらいのダメージは与えてやる。死なば諸共だ。

 

 正直、国家を敵に回すというのは思った以上にキツイものがあるが、それでも一つだけ良いことがある。

 

 (これでデンジ君を殺さなくてすむ!)

 

 ある意味これほど嬉しいことはない。うん、決めた。ソ連はもうだめだ。

 私は晴れ晴れとした気持ちで国家に反逆することにした。

 

 こうして私は晴れて元・ソ連のスパイ、現・無職となることに決めた。

 退職金はラーゲリとマトリョシカだ。

 

 その前にマキマをなんとかしないとだね……。

 

 頭が痛くなってきたので、とりあえず寝よう。

 私の明日はどっちだ。

 

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