レゼさんじゅうろくさい   作:大学鯖

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どこで出そうか迷ってたキャラをブっ込みます。正直一番扱いに困ってます。


第三十二話

 私はレゼ、自認16歳。

 

 …歳はもうみんなにバレてるからいいや。

 

 間一髪デンジ君のベッドの掃除が間に合って愛の跡地はバレなかった。

 早川君は何事もないのを見て、リビングに戻る。

 

 「そろそろメシにすっぞ。デンジ、パワー、リビング片づけてメシの準備しろ」

 

 「チョンマゲ!今日のメシは何じゃ?」

 

 「唐揚げとエビフライだ」

 

 「全部唐揚げにしろ!唐揚げはワシのもんじゃ!」

 

 「だからエビフライ作るんだ。俺が食うんだよ」

 

 「ぬゎに~!だったらそれもワシのもんじゃ!」

 

 「じゃあ片付けろ、でないとお前は唐揚げ抜きだ」

 

 「ワシに任せろ!!」

 

 そう言ってリビングを片付けようとしているが、どう見ても猫と遊んでいるようにしか見えない。

 猫…居たっけ?何故か嫌な予感がする。念のため沈黙を猫の周囲にもかける。

 

 早川君はそのままキッチンに入る。

 

 「あ、そうだ早川さん。ビーム君がデンジ君に会いたいって言ってたけどここに呼んで大丈夫ですか?」

 

 「あ~、まあ材料は余裕あるしいいですよ。岸辺さんにも報告しないといけないし奴の無事も確認しとかなきゃなんで」

 

 「それと……とても言いにくいんですが…。実は今私が住んでるところがソ連に監視されてるので…もし良かったら今晩泊めてもらえますか?」

 

 「あ~…えーと、ちょっと部屋が無いので…パワーと同室でもいいですか?」

 

 「いや、実はこんなのがあるので…」

 

 と、言ってマトリョシカを展開して、早川君をセーフハウスに案内する。

 

 「と、こんな感じの部屋が作れるんですが。ある意味結界というか異次元というか…私の契約してる悪魔の力なんですけど」

 

 「おお~これはすごい…ってこれ今どこにあるんですか?」

 

 「デンジ君の部屋です。外から見たら普通のマトリョシカ人形に見えます。これ今までのセーフハウスでやるとそのまま拘束されそうなので…」

 

 「そういう仕組みですか。わかりました、いいですよ」

 

 「助かります。じゃあビーム君呼んできます」

 

 早川君を外に出して、ビーム君を連れて戻る。

 

 「おーレゼ、どこ行ってたん…」

 

 「チェンソー様ぁ!!」

 

 「おわぁ!」

 

 グボッ!

 

 ビーム君がデンジ君に飛びついて、顔面にパンチを受ける。

 

 「ビーム!抱き着くなっつたろ」

 

 「……ハイ」

 

 ビーム君が落ち込んで潜ろうとするので、

 

 「まあまあ、デンジ君。ここなら別に普通にしてていいんじゃない?」

 

 「あー、まあレゼが言うなら。ビーム、別に隠れてなくてもいいからな。ほらメシ食うぞ。手伝え」

 

 「ハイッ!ありがとうございます!!」

 

 デンジ君と一緒にご飯が食べられるのでウキウキしてる…。ホントに忠犬だ…。

 振り返ると、早川君がキッチンに入っていくのが見えた。

 

 「あ、手伝いますよ」

 

 「いえいえ、ゆっくり……いや、やはりお願いしていいですか?」

 

 これは内密の話があるな。

 

 「わかりました。献立は何ですか?」

 

 「唐揚げとエビフライです、レゼさんエビの下ごしらえお願いします」

 

 「…わかりました」

 

 「エビを剥いて開いてください」

 

 「……はい」

 

 思わず真っ赤になって答える。どうしても、このエビという言葉が慣れない。ロシア語で「エビを剥いて開く」はかなりヤバい。ましてさっきあんなことがあった後だと…。普段ならなんでもなく流せるのに、デンジ君の前でエビとか…、知らないうちに赤面してしまう。これはкреве́тка(海老)だ。さっさと済ませよう。

 

 海老の殻を剥いて、背ワタを取る。あと尻尾の先を切って水を出すという作業をしているうちに、横で鶏肉を切っている早川君が話しかけてきた。

 

 「デンジに一目ぼれっていうのは本当だったんですか?」

 

 「…私に夫が居たというのは知ってますね」

 

 「……はい、正直驚きです」

 

 「……デンジ君と生き写しなんです。13年前に亡くなりましたが」

 

 「それは…」

 

 「銃の悪魔に殺されました、夫も子どもも…」

 

 「!!!」

 

 「それ以来、私の人生の目的は復讐でした。13年間、血の滲む思いで強くなりました。銃の悪魔をこの手で葬るためです」

 

 「レゼさん…」

 

 「早川さん、あなたも銃の悪魔の被害者でしたね」

 

 「……はい」

 

 「ならば、少なくともこの点においては貴方と私は同志です」

 

 「では…!」

 

 「銃の悪魔を討つのならば喜んで協力しますよ、ただ、今の私の最優先はデンジ君なので、銃の悪魔はその次になりますけど、それでよろしければ」

 

 明らかに彼の私を見る目が変わる。どうやら、彼は銃の悪魔を倒す協力者が欲しかったようだ。

 そういう意味では私は最適解だと思う。

 

 「俺は、悪魔は信用できないとずっと思ってました。だからデンジもパワーも最初は信用できませんでした。悪魔と友達になるとか悪い冗談だと思ってました。でも、アイツらと暮らしてみて…そんな冗談も悪くないなと思い始めてるんです。だから、今は銃の悪魔を倒すのは大事ですが、アイツらには普通の暮らしをしてほしい。そんな事を思うようになったんです…だから、レゼさん」

 

 彼は私に向き合って頭を下げる。 

 

 「俺が死んだらデンジを、出来たらパワーもよろしくお願いします」

 

 「…え!?」

 

 「ここだけの話、俺はそんなに長く生きられません。アイツらは公安では悪魔という扱いになってます。俺が死んだあとアイツらがどうなるのか?人並みの暮らしはできないんじゃないか?何て事を考えると不安になる時があるんです」

 

 「いいんですか?こんな胡散臭い女ですよ」

 

 「少なくともデンジが貴方を好きで、貴方がデンジを好きなのはもう疑いようがない。アイツ言ったんですよ。今の貴方が好きだと。アイツは貴方の過去も知った上でそう言ったんなら、もうそれはアイツの選択です。だったら俺はアイツを信じます。ただ、そん時はパワーの居場所が無くなるのが気がかりなので…」

 

 「早川さん、ありがとうございます。微力ですが二人を守り抜くと誓います」

 

 「ありがとうございます。おかげで肩の荷が一つ下りた気がします」

 

 そう言って早川君は本当に安心したような顔をする。彼はまだ20歳くらいのはずだ。なのにもう死を覚悟している。恐らく悪魔の契約の代償だろう。彼は銃の悪魔を倒すためなら本望だったかも知れないけど、残されたデンジ君やパワーちゃんの心情を考えると胸が痛くなる。

 

 彼はデンジ君やパワーちゃんにとって紛れもなく家族なのだ。私もそんな家族がいた。そしてそれを失くして残された者の気持ちは誰よりもわかる。

 

 ならば、私はデンジ君の為に、この優しいお兄さんの為に銃の悪魔を討ちその復讐の人生から解放してあげたい、そして、家族の下で天寿を全うしてもらいたい。心からそう思った。

 

 「さて、そろそろ揚げていきますね。レゼさん野菜お願いします」

 

 気が付けば、料理はほぼ完成しそうになっていた。食卓にはデンジ君が既に食器を用意していた。

 

 「あ、そういえば差し入れが冷蔵庫に入れてあります。ジュースとかビールとかあと食後のデザートです」

 

 「何から何まですみません、でもお酒大丈夫なんですか?」

 

 「ビールはソフトドリンクですよ?」

 

 というと、何故か引かれた。何で?

 まあいいや、出来上がった揚げ物が皿に盛られていく、私もサラダを作り終えた。

 

 「デンジ、パワー、テーブルに持ってけ」

 

 「おう、任せろ!レゼ、手伝ってくれてありがとな!」

 

 そう言いながらデンジ君が料理を手早く持っていく。

 そして、料理が全部並んで炊飯器からご飯をよそい、さあ食べようとなった時にチャイムが鳴る。

 

 「誰だ、こんな時に……」

 

 ブツブツ言いながら早川君がドアを開ける。

 何故かドアの外に羽根の生えた人が立っていた。

 

 「ヘイ、人間君」

 

 「……お前何しに来たんだよ」

 

 「もちろん晩御飯を食べに来たんだよ」

 

 「何で?」

 

 ホント何で?

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