レゼさんじゅうろくさい   作:大学鯖

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第四話

 私はレゼ、16歳(何か文句ある?)

 カフェでバイトしている女子高生(と言ったら女子高生!)

 

 なぜかあの鈴のシャツは着心地がよくて、気が付けば今日も着ていた。そんな中、二道へのバイトに行く途中に、ふと黒いネクタイをした金髪の男性とすれ違った。

 

(ん!? 今のは?)

 

 姿かたちはターゲットらしいが……?おそらく公安の制服を着ているように見えるのでターゲットだろうというあたりをつける。さらによく見ようとしたときに、ふと魔人の気配がした。

 

 どこだ!? と、思っていると急に雨が降り出した。

 

 「キャキャ!水だ水だ!水だー!」

 

 突然、地面からサメ?のような半裸の男が飛び出して来た。

 

 (まさかそんなとこにいたとはね……情報部もっとしっかりしてほしいんだけど!)

 

 情報では、ターゲットはツーマンセルで動いており、バディは女性の魔人だという話だったが、特筆すべき戦力ではなかったとのことだった。全然違うじゃないか!?

 

 (あの潜伏能力は厄介だな、多分ずっと護衛についてる……)

 

 いずれにせよ、この魔人を連れて歩いている時点でこの男がターゲットだろう。問題はこの街中で二人を同時に、人に騒がれずに任務を達成できるか……。

 

 どう見ても現状では無理だ、しばらく泳がせるしかなさそうだ、などと思案していると、ターゲットらしき男が魔人に向かって怒鳴っていた。

 

  「ビーム!てめえはひっそりしてろよ!人にバレたら表歩けなくなるだろ!」

 

 (ん、この声……、妙に似てる……)

 

 私は胸騒ぎを覚えながら、ターゲットの顔を見ようとしたが、残念ながらこの距離では雨のせいでおぼろげながらにしか見えなかった。悟られないよう尾行していると、どうやらターゲットは電話ボックスに入ったようだ。

 

 (チャンス!電話ボックスならナイフでも爆破でもどちらでもいける!)

 

 

 あとは心臓だけ抜き取れば任務完了だ。さっきのサメは電話ボックスにはいない。確認すると猫に遊ばれている。これなら電話ボックスには入れないはず。

 

 そう思い、私は、首元のピンを濡らさないように手で押さえながら、

 

 「わー!!」「ひー」

 

 などと声をあげつつ電話ボックスに駆け込んだ。

 

 (完全に隙だらけだ、ならナイフの方が騒ぎが少なくていいな。)

 

 「わあ、どうもどうも、いやいやスゴイ雨ですねー。天気予報では確か……」

 

 などと言いつつ、背中のリュックに忍ばせたナイフの柄を握る。ワンアクションで手首、その後、頸動脈を切る。声もあげさせない。そう動こうとしたとき、彼の顔を見て……

 

 !!! 金縛りにあったように動けなくなった。スパイ生活20年初めての経験だった。

 

(なんで……嘘でしょ…………)

 

「あははははははは!!」

 

 驚きが、悲しみが、そして喜びが様々な感情が爆発して、なぜか私は笑っていた。

 あり得なかった。そこにいたのは13年前に死んだはずの夫と瓜二つの男であった。

 

 

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