レゼさんじゅうろくさい   作:大学鯖

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第四十一話

 私はレゼ、36歳。女子高生へ転職予定。

 

 岸辺さんとの会談を終え、マトリョシカから出る。

 

 「レゼ……大丈夫だったか?その…殺されなかったか?」

 

 デンジ君が心配そうに聞いてくる。

 

 「大丈夫、大丈夫。普通に話しただけだから」

 

 そう言って安心させる。

 

 「さて、悪いがさっきのもう一回出してくれ」

 

 と岸部さんに頼まれたので、マトリョシカを展開して今度は全員入れる。

 

 「流石にこの人数だとセーフハウス狭いね」

 

 「なんじゃあ!酒の匂いがするぞ!」

 

 パワーちゃんが叫びだす。ヤバいバレた!

 

 「いちいちうるせえ」

 

 そう言いながら岸部さんがパワーちゃんの首をひねって黙らせる。うわー、扱いが雑。

 

 「キュウ…」

 

 パワーちゃんが大人しくなる。

 

 「今から今後の作戦を言う」

 

 途端に緊張した雰囲気が流れる。

 

 「まず、暴力とコベニを引き入れる。何か悪魔と交戦中にあいつらに応援を頼んで来させる」

 

 「あとは、え~とレゼだったか、ソ連が来るとしたらいつだ」

 

 「私の任務の期限があと今日を入れて5日ほど。ですのでその次の日からでしょうね」

 

 「祭りの日か…そこでマキマも動くだろう」

 

 「なるべく人は巻き込みたくないんですが…」

 

 「これは使えないのか?」

 

 「マキマには分かりませんが、元々ソ連のものなので対抗される可能性が高いです」

 

 「まあいい、じゃあその日に吉田も動かす」

 

 「マキマの戦力は暴力を引き抜けたらあと5人、あとサムライソードだっけか、刀の武器人間。それと公安に隠してある悪魔だろう。もしかしたら他にも武器人間や魔人がいるかも知れん」

 

 「対してこっちは、レゼ、デンジ、アキ、天使、ビーム、パワー、吉田、暴力、コベニ、俺…か。ちと足りねえな」

 

 「野茂さんや2課は?」

 

 「数は欲しい。俺から野茂に言っとく」

 

 「数…ね」

 

 私の方も数を用意しないとかな。

 

 会議はここで終わって、暴力の悪魔対策は明日決行となった。

 その後私は二道へ、デンジ君達はパトロールに向かった。

 

 今日は珍しく平穏に終わったので、私は晩御飯と晩酌の買い物を終えて帰った。その後、暫くするとデンジ君とパワーちゃんが帰って来た。

 

 「たで〜ま」

 「ワシの帰りじゃ、ニャーコはどこじゃ」

 

 「お帰りなさい、ニャーコちゃん…?」

 

 探していると、デンジ君の部屋からニャーコちゃんが出て来た。

 

 「おお、ニャーコ!愛い奴じゃのお!!」

 

 「デンジ君、パワーちゃん、手洗いうがい」

 

 「何じゃ小娘!ワシに指図するか!」

 

 いや、あなたも居候だけど…と思いつつ今日はアメで釣る。

 

 「手洗いうがいしたらアイスあるよ」

 

 「「洗います」」

 

 チョロい。

 

 「アキ君は?」

 

 「早パイは野茂さん?なんか先輩とこ行くって言ってたぜ」

 

 「じゃあ私がご飯作りますか…」

 

 とりあえずデンジ君もパワーちゃんも肉が好きなのでビーフストロガノフにしましょうか、ご飯に合うし。

 

 「レゼ、手伝うぜ!」

 

 偉い、デンジ君!いい旦那さんになるよ!

 

 「あ、じゃあご飯炊いてもらっていい?

 

 「オッケー」

 

 いいな、こういうの新婚みたいで。

 

 「そう言えばさ、アキ君ってマキマ好きなの?」

 

 前からの疑問をデンジ君に聞いてみる。

 

 「あー、早パイマキマさんのこと好きだかんな」

 

 「でも姫野さんって人もいたんでしょ?」

 

 そう、ここが分からない、アキ君の性格からして二人同時に好きとかあまり考えられない。

 

 「あ〜姫パイなぁ…何つーか、そうだな…、俺がマキマさん好きだったっつーのと似た感じ?」

 

 「ん、どういう事?」

 

 「何つーかこー…早パイからマキマさんって俺ん時みたく一方通行っつーか…マキマさん早パイ見てないっぽいんだよな」

 

 やはり、デンジ君の時と同じ。そうすると合点がいく。アキ君がマキマに持つ好意は植えつけられたものである可能性が高い。

 

 「んで姫パイはずっとアキが好きで…、だから昔姫パイにアキとくっつけてくれって頼まれたんだよな」

 

 そっか、その人も亡くなってしまったのね…。大事な人を失うのは悲しいね。

 

 「で、アキの方も何か姫パイを先輩とかじゃなくてこう…何つーかお互い見てた?俺とレゼみてえに」

 

 やはりそっちが本来アキ君と結ばれるべき人だったのね。

 

 「だから俺ぁ姫パイとキスしても一緒に寝ても何か違ぇって思って手ぇ出さなかったんだな。そっか、今思えばエッチのチャンスだったのに何もしなかったのってそれか!やっと分かったぜ!……あ、ヤベ」

 

 デンジ君がしまったという顔をしているが、私がとやかく言う資格なんてない。

 夫がいて子どももいて、さらに前にはスパイとして色仕掛けもやってて、実験体として凌辱もされてて…そんな汚れた女をデンジ君は包み込んでくれてるのだ。

 それなのに私が過去の女にいちいち目くじら立てるのはおかしい。

 

 「デンジ君…気にしないで。私はそんなこと気にしてないよ」

 

 「レゼ…」

 

 「デンジ!あれは傑作じゃったのう!姫野のゲロを飲んどったやつ!」

 

 いいムードだったところに、パワーちゃんが割り込んでくる。

 いや、そんなことよりゲロを飲んだって……。

 

 「うるせー!パワ子!思い出させんじゃねえ!」

 

 「デンジ君、それ…どういう状況?」

 

 「あの酔っ払いキスしながら俺の口にゲロ吐きやがった、ああ、最悪のファーストキスだよ!」

 

 「……ふっ、あはははははは!なんじゃそりゃ!」

 

 「レゼ、笑うんじゃねえ、未だにトラウマなんだよ、あれ」

 

 「ざーんねん、私がファーストキスじゃなかったのか」

 

 「え、あ、なんかごめん」

 

 「ううん、いいの。じゃあ、上書きしてあげる」

 

 そう言いながらデンジ君の顔を引き寄せ唇を奪う。

 

 「はい、これで大丈夫。キスっていいもんでしょ?」

 

 「…はい」

 

 「これからもキスしてくれる?」

 

 「しまぁす!」

 

 「貴様ら何をイチャついとるんじゃい!」

 

 「ごめ~ん、パワーちゃんもする?」

 

 「え…あ…ワシは…」

 

 あれ、意外な反応。ちょっとかわいい。

 

 「…ええからはよメシを作れ!」

 

 「はいはい…」

 

 照れてる、なんかかわいい。

 

 さて、そうこうしているうちにご飯が炊けたので調理に入る。

 と言っても作り方は簡単だ。牛肉と玉ねぎ、マッシュルームをバターで炒めて白ワインとコンソメで煮る。

 仕上げにサワークリームを入れて完成。

 

 あとはさっきから煮込んでおいた簡単ボルシチが出来上がり。

 玉ねぎ、トマト、キャベツ、ビーツと牛肉の一部をスープで煮込んだだけでもそれっぽくなる。

 

 「なんじゃうぬは!野菜ばっかり使いおって!」

 

 「パワーちゃん、野菜も食べないと体に悪いよ」

 

 「ワシは食わん!その肉だけよこせ!」

 

 そうするとドアが開いてアキ君が帰ってきた。

 

 「お帰りなさい」

 

 「あ、レゼさん。メシ作ってくれたんですか?」

 

 「はい、ちょうどできたので食べましょう」

 

 「助かります、お前ら手伝ったんだろうな!」

 

 「当たり前だぜ!」「当然じゃ」

 

 パワーちゃん手伝ってないじゃん…。まあいいや、食べよう。

 

 「「「「いただきます」」」」

 

 みんなで食べるご飯はおいしい。

 この後の戦いで生き残れたら…これがずっと続くといいな…。

 

 

 

 

 

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