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Xでチェンソーマン第3部開始と書いてあって思わずつられてしまいました。
今日は4月1日でしたね。
私はレゼ、元ソ連のスパイ。現在刺客と対峙中。
ソ連からの刺客はデビルハンターの教官をしていた女で、名前は分からない。
かなり前に病を得て引退したと聞いていた。
私が爆弾の悪魔になってからは関りが無くなったが、それ以前は教官として指導してもらっていた。
その時は私に勝ち目が一切ないくらい強かった。
爆弾の悪魔になってからも勝てるかどうかは分からなかった。
今なら流石に勝てるだろう。
……相手が人間のままだったら。
まさか地獄の悪魔と契約していたとは知らなかった。
そして闇の悪魔とも…。
これが恐らくソ連の切り札だったのだろう。
そしてあわよくばマキマも一緒に始末しようと目論んだのだろう。
その教官はすでに人間を辞めていた。
人形のような球体の関節を持った8本の腕と、人形の顔が数珠つなぎになった2本の足。
そのくせ顔だけは人間の時のまま、美しい女の顔だった。
かつて私とも似ていると言われていた、その顔だけは変わらないのが余計に不気味であった。
「ふ…ふふふ……、そういう事なのですね」
その女、いやサンタクロースは何かを理解したかのように独り言を続ける。
「これが闇の力……素晴らしいです。全てを理解していきます」
そう言いながら一足飛びに近づいてきた。
「久しぶりですね、ボム。そして初めましてマキマ」
「……なぜあなたがここに」
「知れたこと。ソ連の情報部からの依頼です。反体制分子ボムならびに世界の脅威である支配の悪魔、両名の排除の任務を受けました」
「……私も任務の最中なのだけど」
「ああ、チェンソーの心臓の件ですね。ご安心ください。依頼はキャンセルになりました。というか、正確にはもう目的は達成したので必要なくなりました」
「…目的?」
「ええ、当初の計画ではチェンソーの心臓を闇の悪魔に渡してその対価によってマキマを始末することだったのですが…」
……やはりデンジ君は生贄だったのか。そしてその過程で私も始末するのが前提だったようだ。
「その前に私の寿命が尽きそうになったので、貴女の代わりに私が立候補しました」
「……え!?」
「おや、聞いてませんでしたか?当初の計画ではあなたに闇の悪魔の肉片を摂取させマキマを始末させる予定だったのですが……」
何という事を……!
文字通り私を悪魔に売り渡そうとしていたのか。
そして、どうもソ連とマキマが組んでいたというのは誤解だったらしい。
ソ連は完全にマキマの排除を狙っていて、その先兵が私だったらしい。
しかも私にマキマのことも今回の計画も知らせずに…。
もしかして想像以上にソ連の情報部はダメなんじゃないだろうか。
それなら最初から私にマキマ暗殺を命じれば済む話だったのでは?
そう疑問に思っていると、マキマが口をはさんできた。
「…その様子だとレゼさんも聞いてなかったみたいですね」
「ええ、あいにくと」
本当にそこは疑問だ。
「……なるほど、初見で私に合わせて私に始末……いや支配させようとしていましたね」
マキマの中では答えが出たらしい。
「ふふ……わかりますか」
サンタクロースがニヤリと笑う。
「そしてあなたたちには私の支配を破る手立てもあるのでしょう……しかもレゼさんの意志にかかわらず、いや、もっと正確に言えば傀儡にしたまま手駒にする方法があった」
「……!!」
破る手立ては確かにある、ラーゲリだ。
そしてラーゲリは元々ソ連の悪魔だ。ならば私に伏せた情報があってもおかしくはない。
恐らく何らかの手段で私とラーゲリの契約を破棄させ、私をラーゲリに捕えれば可能だ。
と、いうことはそこまで想定に入れて私にラーゲリを渡したことになる。
そして、私は薄々ラーゲリの正体というか素体に気づいている。
否、正確に言えば気づいているが認めたくないだけだ。
しかし、ソ連が最初から私の敵であるならばその推測も間違っていないだろう。
そしてその推測が正しければ…ソ連こそ私の不倶戴天の敵になる。
「レゼさん」
マキマが声をかけてきた。
「私は公安です。従って真っ先に排除すべきは外患です。こいつらが日本にいるうちは私も目的を達成できません。もちろん貴女の目的も達成できないでしょう」
「そうね……闇の悪魔の能力は?」
「闇の中での攻撃が一切通用しない。また闇の中では傷が瞬時に回復する」
「……なるほど、闇の中……ではね」
「ええ、そうよ」
確かに私には闇の悪魔に対する切り札がある。
マキマは私の能力に気づいているのか…これはまだ見せたことがなかったはずだが。
「さて、お遊びはこれまでです。闇の力をお見せしましょう」
サンタクロースがそう言う間に、新たな人形の群れがこちらに向かってきた。
もうこれはこちらも総力で当たるしかない。
そう思っているとマキマが既に岸辺隊長に連絡を入れていた。
「喫茶二道にてサンタクロースと遭遇、至急こちに向かわれたし」
そして、私はデンジ君のそばに駆け寄る。
「パワーちゃん、お願い。デンジ君に血を分けてあげて」
「なんじゃ、おぬしは出さんのか?」
「もちろん私も出すよ、でも足りない。サンタクロースは強敵すぎる、パワーちゃん、お願い!」
「わかったわかった、デンジが人形になっても困るしのう」
そう言いながらパワーちゃんがデンジ君に血を飲ませてくれた。
パワーちゃんは血の魔人だ。血に関しては私よりも扱いに長けている。
彼女の血ならデンジ君もより力が発揮できるはずだ。
そして、この場面で私がデンジ君に血を飲ませる。
どうせ変身すると頭は無くなるのだ。折角なので手っ取り早く大量に飲ませる方法を思いついた。
私は自分の舌を噛み切った。
たちまちの内に私の口の中に血があふれ出す。
「……レゼ?」
デンジ君が私の様子を不審がるが、間髪を入れず
血まみれの口で彼に口づけた。
「…!?う、うむううう」
デンジ君が驚いて目を剥くけど、私は構わずデンジ君を抱きしめながら血を飲ませる。
お互い口が血まみれになりながら情熱的に口づけを交わす。
そして、頃合いを見て彼の胸のボタンを開け、スターターを引いた。
ブゥゥゥゥゥン!!
彼の心臓がうなりをあげて、次の瞬間チェンソーが顔から勢いよく飛び出てきた。
完璧だ。万全の体制でデンジ君がチェンソーマンになった。
ならば、次は私だ。
皆に私から離れるように促す。
人形が何体かわたしの変身を阻止しようと来るが無駄だ。
「ボンッ」
私の始業の合図と同時に首からピンを引き抜く。
ピィィィン!!
涼やかな音を立ててピンが抜けた次の瞬間、私の頭は炸裂し、寄ってきた人形を吹き飛ばした。
無数の導火線が私に纏わりつきエプロンとグローブを形作る。
そして私は爆弾の悪魔となった。
「さて、教官、いや、サンタクロース」
私はかつての教官に向かって構えをとる。
「やろうか」