レゼさんじゅうろくさい   作:大学鯖

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チェンソーマン刺客編どうなるんだろ。
原作終了して、レゼも出ないけど、それでも楽しみ。


第五十五話

 私はレゼ、爆弾の悪魔。現在ソ連の刺客であるサンタクロースと対戦中。

 

 「サンタクロースはデンジ君とレゼさん、私で対処します。倉橋君とガルガリは人形の撃破、コベニちゃんは一般人の退避誘導」

 

 マキマが的確に指示を出す。

 このあたりは流石だ。支配の悪魔だけに人をコントロールするのがうまい。指揮官としては最高の能力だろう。

 

 「ちゃんとフォロー頼むよ。鸚鵡返文武二道!」

 

 マスターが例の本を開いて軍勢を呼び出す。

 その横で暴力さんは手堅く人形を壊している。

 

 「人形の悪魔が人形化できるのは人間だけです。一般人がいなくなればこのエリアにほぼ人間はいなくなります。あとは…レゼさん、持っているでしょう?多数を相手にできる配下を」

 

 …そこまでお見通しですか。なら隠してもしょうがないね。

 

 「ビーム君、出てきて」

 

 ビーム君がマトリョシカから出る。

 

 「ヒャッハー!食い放題!」

 

 サメになったビーム君は次々と人形を食べている。

 

 「台風、ヒグマ、あの人形を破壊しなさい」

 

 ラーゲリから台風とヒグマを解放する。

 

 「レゼ様、台風只今参上しました」

 

 「オデ、タタカウ」

 

 「敵はあの人形。数が多いけどあなたたちの敵ではない。全部壊して」

 

 やはり多数を相手に台風は便利だ。

 問題点は一般人を巻き込むことだが、一般人は退避済みだろう。さもなくば、既に人形になっている。

 

 しかし、人形は次々と湧いて出てくる。

 当面は数を減らすことに集中しなければいけない。

 

 サンタクロースの周りにも多数の人形が壁を作っている。

 

 「よお、レゼ。あの気色悪い人形を潰せばいいんだろ」

 

 デンジ君が両手のチェンソーを回転させている。

 

 「ふふふ、だめよ。この子たちは生きている人間よ。あなたは人殺しになりたいの?」

 

 マズい、サンタクロースが揺さぶりをかけてきた。

 デンジ君が動揺している。

 

 その隙に人形が襲い掛かってくる。

 

 「あれ、体が勝手に動く!」

 

 「きゃあああ!」

 

 「助けてええ!」

 

 人形にされた被害者が人間であるかのように口々に助けを求めながら襲ってくる。

 

 サンタクロースは狡猾にデンジ君の弱点を突いてくる。

 彼はやはり人殺しにトラウマがあるようだ。

 

 「無理無理無理!人殺しになりたかねーよ!」

 

 そう言いながらデンジ君は防戦一方になっている。

 幸い人形化されることはないが、これではジリ貧だ。

 

 「デンジ君、よく見てて」

 

 人形の群れに向かって指を鳴らす。

 

 ピィィィン!

 

 鋭い、どこか鈴を鳴らすような澄んだ高音と共に私の指先から火花が放たれる。

 

 「助けてぇぇぇ!!」

 

 「イヤァァァァ!!」

 

 泣き叫ぶ人形の群れの中心で火花が爆発し、人形の群れを木っ端みじんにした。

 

 「……レゼ」

 

 「デンジ君。あれはもう人間じゃない。人形の悪魔に変化させられた人間はもう死んでいる。そしてあれは操られた死体、そうゾンビみたいなもの。そして……」

 

 「ここはもう戦場。襲ってくるものは敵。戦場で敵が殺せなければ自分が殺される。デンジ君、罪もない人を殺しちゃいけない。でも、戦場で敵は殺すしかないの」

 

 デンジ君を巻き込んでこんなことは言いたくなかった。デンジ君に殺し殺されの世界など見せたくなかった。それでも、デンジ君がこんなところで殺されることに比べれば…。戦場に来てしまったからには戦場のルールに従わねばならない。例え私が嫌われようと、デンジ君が殺されることに比べればずっとマシだ。

 

 そして、私のほれ込んだデンジ君ならば…。

 

 「もし殺すのが嫌なら、私が守ってあげる。私がデンジ君の敵を全て殺してあげる」

 

 「レゼ!!!わかった、俺も腹ぁくくったぜ!」

 

 そう、こうなるはずだ。

 

 「こっからは殺し合いだ、俺の邪魔ぁするんなら!」

 

 デンジ君は両手のチェンソーを高速回転させて、サンタクロースに向かって突進し始めた。

 

 「死ねぇ!!」

 

 立ちふさがる人形達を今度は躊躇なくバラバラにして、サンタクロースに高速で迫っていった。

 

 「いいのですか?無辜の人々を虐殺して?」

 

 「……そりゃよかねえょ!でもな!そうさせたお前にだきゃあ言われる筋合いはねえんだよ!!だからお前はぁ!」

 

 「ぶっ殺す!!」

 

 そう言いながらチェンソーをサンタクロースに振り下ろす!

 

 「オラアア!!」

 

 サンタクロースの四本の右腕が瞬時に吹き飛ぶ。

 しかし、サンタクロースは意にも解せず残った左腕四本でデンジ君を吹き飛ばす。

 

 バキャッ!!

 

 物凄い音がしてデンジ君は後方の壁にぶつけられる。

 

 ボゴォン!!

 

 壁が轟音を立てて崩れ落ちる。

 

 幸いデンジ君はまだ動けるようだ。

 砂埃の中からデンジ君が立ち上がる

 

 「…いてぇ」

 

 「ふふふ、見てください」

 

 サンタクロースがさも嬉しそうに話す。

 よく見るとデンジ君が切り落としたはずの右腕が全て再生していた。

 

 「闇の中で瞬時に傷が治りました。あと半年で死を迎えるハズだった体がこんなにも再生するものなんですね」

 

 心底嬉しそうだった。やはりサンタクロースと言えど死は怖かったのだろうか。

 

 「喋ってんじゃねえ!!」

 

 デンジ君が怒りに任せて突撃する。

 ダメだ、周りが見えていない。人形に囲まれそうになっている。

 

 「デンジ君!伏せて!」

 

 デンジ君が反射的に伏せたので射線が開いた。

 咄嗟に両手から誘導弾を放つ。

 

 十本の指から発射されたそれは人形の壁に吸い込まれ、その中で爆発し人形の体をバラバラに引き裂いた。次の刹那私は既に人形の群れに突進していた。

 

 人形とは人の形をしている。

 と、いうことは人間と同じ構造なので、壊し方も同じだ。

 多数が相手ならば、まず無力化を優先する。

 この場合、やはり有効的なのはシステマ、すなわち軍隊格闘技だ。

 しかも私はこれに爆発を乗せることができる。

 

 主に首や足の関節など壊れやすく、動きが止まる場所を狙い、突き、蹴り、投げなどで的確に壊していく。

 さらにそこに爆弾を埋め込み、周りの人形も誘爆させる。

 

 「デンジ君!今!」

 

 「応!」

 

 再びデンジ君が突進し、サンタクロースの首を切り落とした。

 

 「やったか!」

 

 デンジ君が一瞬油断した隙に首のないサンタクロースが強烈な打撃を入れてデンジ君を吹き飛ばした。

 

 「デンジ君!!」

 

 幸いまだデンジ君は無事なようだ。

 

 「マズいですね」

 

 マキマが呟く。

 彼女の足元にはバラバラになった人形が積み重なっていた。

 見ると彼女は一本の剣を手にしていた。

 

 (いつの間にあんな物を…?)

 

 かなり長い剣でどこかに隠しておけるようなものではなかった。

 

 (召喚できるのか…)

 

 恐らくそんなとこだろう。いざ戦うときは要注意だ。

 

 他の戦線は順調に人形の数を減らしていた。

 一見問題なさそうに見えるが、私も実は問題に気づいていた。

 

 そう、間もなく日が暮れるのだ。

 夜、つまり闇の本領発揮だ。

 

 今までよりも格段にパワーアップされるだろう。

 そして夜が来た。

 

 サンタクロースはさらに異様な姿になっていた。

 

 体は浅黒く、頭から角が生えている。

 腕はさらに増えて千手観音のようになっている。

 そして、足は頭蓋骨をつなぎ合わせたかのように不気味な白さを放っていた。

 

 「これが闇の力なのですね」

 

 サンタクロースは自分の力に驚いているようだ。

 

 さらに人形たちもパワーアップしているようだ。

 首が取れたものや足がないものもこちらに向かってくる。

 

 (やはり早急に本体を叩く必要がある)

 

 デンジ君との連携が必要だが、デンジ君は結構頭に血が上っているようで

 

 「ちょっとキモくなってんじゃねぇか~?」

 

 無表情なサンタクロースだったが、なぜかこの時はイラっとしたような表情を見せた気がする。

 あんな姿になってもやはり女性なのだろうか。

 そのまま先ほどまでとは比べ物にならないスピードとパワーでデンジ君を殴り飛ばした。

 

 咄嗟に左腕で受けたデンジ君のチェンソーが折れてしまった。

 

 (すごいパワーだ)

 

 デンジ君は遥か後ろのガソリンスタンドまで吹っ飛ばされた起き上がれなさそうだった。

 

 「さて、邪魔者は消えたのでいよいよあなたたちを殺せそうですよ、ボム、マキマ」

 

 サンタクロースが不気味に笑う。

 

 「確かに飽きてきましたね」

 

 マキマが不敵に笑う。

 

 「レゼさん、私に見せたくないのは分かりますがそろそろ本気出したらどうですか」

 

 コイツ…どこまでお見通しなのだろう。

 

 「わかったわよ…その前にデンジ君と合わせないと……あれ?デンジ君は?」

 

 先ほどまでデンジ君が倒れていた場所に居なかった。

 よく見るとガソリンスタンドの奥で何か漁っていた。

 

 「何してるの?デンジ君!?」

 

 「こいつ闇の悪魔ってやつなんだろ。じゃあ話は簡単だ。闇には光で立ち向かうって昔から決まってんだ。そしてぇ!!」

 

 そう言いながらデンジ君は手にした缶を頭上に掲げてその中身を頭から浴びた。

 

 (え…待って!?何してるの?まさか……!?)

 

 何かとんでもないことをしようとしているのは分かった。

 いや、正直もう何をするのかはわかっていたけど、それを実行しようとする人間がこの世にいるとは思えなかった。

 

 デンジ君は両手のチェンソーを高速回転させると火花を作り出した。

 頭からかぶっていたのは疑いようもない、ガソリンだ。

 

 そしてそんなものをかぶった状態で火花なんて散らしたら…。

 

 「これがア!!」

 

 ボウン!!

 案の定デンジ君に引火して火だるまになった。

 ……狂っている。私も大概自傷的な能力の使い方だけど、あそこまではやらない。

 

 そして火だるまになったデンジ君はサンタクロースにタックルしてそのまま一緒に火だるまになっていた。

 

 「光の力だああああ!!!」

 

 「アアあああアアア!!!!」

 

 サンタクロースの絶叫が響く。効いているみたいだ。

 

 ……うん、私の彼は私の想像以上にクレイジーだったようです。

 

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