レゼさんじゅうろくさい   作:大学鯖

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ダイソーで買ったフォトスタンドA5が映画の特典にピッタリでした。
机の上がデンレゼでいっぱい。幸せ。


第五十七話

 私はレゼ、今からパワーちゃんのお仕置きを兼ねてサンタクロースを討伐する。

 

 「じゃ、パワーちゃん罰ゲームね」

 

 「罰ゲーム!?」

 

 パワーちゃんが若干怯えながら聞き返す。

 

 「そ、名付けて火の玉チキンレース!」

 

 もう名前からして碌なもんじゃない。

 でも、デンジ君2回も轢いたんだから命があるだけマシだよね。

 

 「な、なにをするんじゃ」

 

 パワーちゃんを運転席に放り込む。

 

 「ルールは簡単、あの気持ち悪い人形の悪魔に車で突っ込むの。で、ぶつかる直前で飛び降りて」

 

 「む、無茶言うな!!」

 

 案の定、パワーちゃんが抵抗する。あと追う一つ釘を刺しておく。

 

 「なお、早く飛び降りすぎたらパワーちゃんを爆破します」

 

 「じょ、冗談じゃろ!?な!?」

 

 「………」

 

 私は口だけで笑顔をつくる、目は笑っていない。

 

 「デンジ!助けろ!ワシを助けろ!!」

 

 パワーちゃんはよりによって被害者のデンジ君に助けを求めている。

 

 「う~ん…、よし、行ってこい!」

 

 「ガーン!!」

 

 ……流石にデンジ君も腹に据えかねてたっぽい。

 

 「デンジ君…」

 

 私はその後の行動をデンジ君に耳打ちする。

 

 「……わ、わかった」

 

 私の作戦にデンジ君が若干引いている。

 

 サンタクロースはデンジ君から距離をとって逃げようとするが、チェーンに絡まれて逃げられない。

 

 「アイツら…理解できない」

 

 サンタクロースに明らかに怯えの色が見える。

 

 「じゃあ行くよ、パワーちゃん、GO!」

 

 「うぁああ!やりゃええんじゃろ!」

 

 ヤケになったパワーちゃんが車でサンタクロースに突進する、

 

 「まだだよ!パワーちゃん。あとコベニちゃん、ごめんね」

 

 「へ……何が?」

 

 コベニちゃんが聞き返す前に、車がサンタクロースに迫る。

 

 「パワーちゃん、ジャンプ!!」

 

 「うぉぉぉい!!」

 

 ドアを開けてパワーちゃんが転げ落ちる。

 

 そして車がぶつかる瞬間に

 

 密かに用意していた左手のミサイルを放つ!

 

 シュパッ!ボガァァンン!!

 

 命中!ミサイルは見事車に命中し大爆発を起こす。

 

「ギャアアアアアア!!!」

 

 車のガソリンに引火し火だるまになったサンタクロースが絶叫する。

 しかも今回撃ったミサイルはナパーム弾だ、簡単に消せはしない。

 

 「デンジ君!今」

 

 「おう!!」

 

 その瞬間デンジ君がチェーンを巻き取り、サンタクロースに突進する。

 さらによく見ると、足に小さくチェンソーを出してローラースケートのように回転させている。

 

 すごい、本当に能力を使いこなしている。

 

 そして、サンタクロースに迫った時…いきなりジャンプして、足のチェンソーを伸ばして飛び蹴りを決めた。

 

 「おらぁぁぁ!!」

 

 そして、燃え盛るコベニカーを持ち上げて

 

 「これが俺のオ…!光ん力だアアアアああ!!」

 

 と叫んでサンタクロースに叩きつけた。

 

 「ぎゃあああアア!!」

 

 サンタクロースが断末魔の叫びをあげる。

 

 「私の車あああアアア!!」

 

 コベニちゃんも断末魔の叫びをあげる。

 コベニちゃん、ホントごめん。弁償します。

 

 周りの人形もすべて片付いたせいか、サンタクロースが再生する気配はない。

 バラバラになったサンタクロースが炎に包まれている傍らで、デンジ君は人形から血を浴びて炎を消している。

 

 パワーちゃんは幸い巻き込まれず無事脱出できたようだ。

 

 「はぁはぁ…何をさせるんじゃ!!」

 

 と、殴りかかってこようとしたので

 

 「ふぅん…お仕置きが足りなかったかな?」

 

 と、火の玉を飛ばす構えをすると

 

 「わわわ!!降参、降参じゃああ!」

 

 と言って逃げ出していった、あれぐらい元気なら治療はいいかな。

 

 一方、コベニちゃんは燃え盛る車を見て放心している。

 

 「……あ~その~…」

 

 「ヒッ!!」

 

 私の姿を見てコベニちゃんが怯える。そうだった、まだボムのままだった。まあいいか。

 

 「ごめんなさい!ごめんなさい!!もう仕事辞めます!」

 

 コベニちゃんはもう訳が分からなくなっている。

 

 「あー、車壊してごめんなさい!パワーちゃんと私で弁償します」

 

 「…へ?」

 

 よっぽど意外だったのか、茫然としている。

 

 「だから、ほら…辞めるとか言わないで…ああ、暴力さーん!!こっち来て!」

 

 「どしたー?おお、よしよし。あとで旨いもん食いに行こうな」

 

 幸い暴力さんのお陰でコベニちゃんは落ち着いたようだ。ここから先は彼に任せよう。

 

 「ふ…ふふふ、まだ終わりませんよ」

 

 不意にサンタクロースの頭がしゃべりだす。

 

 「私は人形の悪魔と契約しています、そして私の人形たちは世界中あちこちにいるのです。触れて人形にすれば誰しもがサンタクロースと呼ばれる殺し屋になり、闇の力で進化をし続け何度でも貴方たちを殺しに行くでしょう」

 

 なるほど、ソ連が私の追っ手にサンタクロースを使ったのはこれが理由か。つまり、私はどこまで行っても逃げられない、ソ連からの追っ手に怯えて暮らすモルモットだと言いたい訳だ。

 

 また暗い気持ちになりかけていると、デンジ君が

 

 「来んなら平日にしてくれよな~、土日はレゼとデートだからよお」

 

 …デンジ君、私が落ち込んでいるのを見て咄嗟にそう言ってくれたんだ。

 本当、私にはもったいないぐらいの人だ。

 

 「ふふふ、貴方は恐れを知らないのではない、頭が足りず理解ができないだけ。毎日毎日貴方が合う家族も、友人も、他人も人形になり貴方に襲い掛かってくるかも知れないのです。日常の中で常に死が付きまとう生活を想像できますか?」

 

 サンタクロースが憎まれ口をたたく。

 

 「おー、想像させてくれ。生まれてからずっと死なんて付きまとってるんでなぁ!」

 

 デンジ君は何というか、こういう時の頭の回転が速い。レスバがとても強いイメージがある。

 デンジ君が返すと同時に私もかぶせた。

 

 「それに正直、貴女の力では私たちは殺せなさそうよ、サンタクロース。伝説の殺し屋と聞いていたけど過大評価だったようね」

 

 「ふ…ふふふ、ボム、貴女もいつか人形にしてあげます」

 

 サンタクロースが呪いのような言葉を吐いてくる。実際できないとしてもこれだけで私とデンジ君にプレッシャーを与えるつもりなのだろう。何と言い返そうか、どうやってコイツを殺そうか…そう考えていると不意に後ろから声がかけられた。

 

 「…残念ながら貴女はここで終わりです、サンタクロース」

 

 マキマだった。そういえば最初に指示を出してから気が付けばいなくなっていた。

 

 「マキマ、貴女今まで何してたの?」

 

 「ここよりもっと重大な局面に対処していました。このぐらいでしたらあなた達で十分でしたからね」

 

 「重大な局面?」

 

 「アメリカとソ連が戦争状態に入りました」

 

 「え!?」

 

 「ソ連は銃の悪魔をアメリカに放ちました。それに対する報復としてアメリカがソ連に対して爆撃を加えるようです」

 

 「なので、貴女に構っている暇はありません、サンタクロース」

 

 マキマの金色の瞳が妖しく光る。

 

 「これは命令です。全世界の人形すべてを自害させ、地獄に落ちなさい」

 

 「……はい、従います」

 

 そう言ってしばらくした後、サンタクロースは燃え尽きてそのまま消滅した。

 

 冷や汗が止まらなかった。

 マキマの力とはこれほどのものなのか。

 

 あのサンタクロースほどの力を持った者でも抵抗すら許されずに支配されたのか。

 しかし、私には一つだけどうしても理解できないことがあった。

 

 マキマの行動原理と目的からすれば、戦力は多いほど良いはずだ。

 まして、サンタクロースの能力はマキマの目的、すなわち全世界の支配からすれば喉から手が出るほど欲しい能力のはずだ。

 

 何せ、全世界の人間を人形に変えてしまえばいとも簡単に支配できるのだ。

 そうでなくても政府の中枢を人形にしてしまえば、実質独裁が可能だ。

 

 なぜ、マキマはサンタクロースを支配せず、自害させたのか。

 

 これが分からなかった。

 

 「さて、レゼさん。私に聞きたいことがあるのでは?」

 

 「ええ」

 

 「残念ながら他の人に聞かせるわけにはいきません。もし良かったらお話しませんか?」

 

 ……とんでもない提案をされてしまった。

 私は無事戻れるのだろうか…。

 

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