星の子   作:猫太鼓

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爆速バナナボート

 

海に着くなり、まず映ったのは水着姿のアイだった。

白地に淡い青のラインが入ったビキニタイプ。派手ではないが、自然と目を奪う。

スタジオの照明に負けないほどの華やかさが、画面越しに溢れ出していた。

 

 

「……あの、え、ちょっと待って……アイって中1の子供が二人もいるんだよね? どう見てもまだ10代で通じるんだけど……! というかルビーと並ぶと姉妹にしか見えませんねっ」

 

その隣ではルビーが可愛らしいワンピース水着を着て胸元のリボンを揺らしながらはしゃいでいる。

小動物のように元気で、画面全体が一気に明るくなる。

 

 

「ルビーは……まあ、その……色々とお子ちゃま♡ かわいいけど!」

 

そしてカメラが横へと振られ、ゆっくりフレームインしてきたのは――アクア。

 

日差しを受けて陰影がくっきり浮かぶ、引き締まった体。

中学一年とは思えないバランスの良い筋肉に、高身長

無駄のない身体つきに、スタッフのカメラがつい寄ってしまう。

 

 

「え……ちょ、ちょっと画面近……あっ違う! 中1なのに身体がしっかりしてるな〜って思っただけだから!!」

 

画面はそんな騒ぎを無視するかのように、マイペースで進む。

海に飛び込もうと全力疾走するアイとルビーを、アクアがガシッと後ろから捕まえる。

そのまま腕を伸ばし、軽々と二人をその場に固定したままストレッチを始めた。

 

「あ〜もう完全に“お父さん”ですね!」

 

波打ち際で三人が笑い合い、じゃれ合い、時折アクアが二人をフォローする姿は、家族そのもの。

その様子に、モニターを見つめるかなの表情もどこか緩んでいた。

 

しばらくして、スタッフがバナナボートを準備してくる。

アイは大歓声、ルビーは全力で手を振り、アクアも渋々ながら乗り込むことに。

 

三人はアイ、アクア、ルビーの順でバナナボートへ。

 

「アイちゃんはしゃぎすぎ〜!ルビーはアクアにしがみついちゃって……って、ちょっと!?妹だからって調子乗ってんじゃないわよ……!」

 

「ハッちがっ、番組的にね!? 危ないからって意味の……!」

 

ボートは海面を勢いよく滑り、白い飛沫が画面を切り裂く。

大きな波が来るたびに、アイの水着がズレる……かと思いきや、

外れない。びくともしない。

 

「あれ……?もっとバラエティ的にワッとなる流れだと思ったんだけど……」

 

続いて、ルビーがバランスを崩し――

落ちない。不自然なリカバリーでぽかん顔。

 

 

「……え、なにいまの ⋯⋯きもッ!」

その後、場面はワイプ分割へ。

左上にはバナナボートで笑う三人。

 

中央の画面では別撮りされたルビーが

浜辺で新曲を歌い始める。

 

ポーズは妙に決まっていて、声は浜風に乗って響きわたる。

だが、曲の内容がやたら甘いうえ、音程は激甘だ。

アクアもアイも、顔が真っ赤になり両手で隠す。

「る、ルビーの……新曲です……!ちょ、ちょっと待って……無理無理無理……!なんか恥ずかしいんだけど ⋯⋯なにこれ!?」

 

ワイプの三人もその甘さ(タスクACT4)に耐え切れず、大きく揺れて――

 盛大に海へドボン。

 

歌い終えたルビーは照れながら胸を張り、

 

「ボイトレの先生にも褒められたんだよ!“予想(次元)を軽々超えてくる”って!」

 

 アクアは顔を真っ赤にし、目をそらす。

 アイは苦笑いしながら、

 

「先生にはお中元送っといたし、大丈夫、大丈夫……」

 

 

――夏の海は、今日も賑やかだ。

 




日常回終わりです
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