星の子   作:猫太鼓

9 / 25
兄妹

 

アクアのことを考えると、胸の奥がふわっと不思議に揺れる。

同じ“転生者”──それはお互い知っている。でも、前世の詳しいことは話していない。話そうともしない。たぶん、話したらいろいろ壊れる気がするから。

 

だけど、それを差し引いても……

アクアは、ちょっと変だ。

 

無口とか無愛想って意味じゃない。

むしろアイに似て、言葉足りないだけで本当はすっごく優しい。

 

私やママが困っていたら、なんだかんだで助けてくれるし。

(いつも文句は言うけど、結局ちゃんとやってくれるあたり、ほんとズルい。)

 

でも──

 

アクアの身体が“ブレる”時がある。消える時がある。

 

最初は気のせいかと思った。

気のせいであってほしかった。

 

でもある日、私とリビングにいたアクアが、

チャイムを鳴らして玄関から帰ってきた。

何を言っているのかわからないと思うけど

私も何をされたのかわからなかった。

 

……さすがに、気のせいじゃない。

 

「ねえお兄ちゃん、いま、リビングにいたよね?」

「さあな」

「さあな、じゃないよ!!」

 

問い詰めても全然答えてくれない。相変わらず“必要なことしか言わない”性格。

いや必要なことすら言わないかもしれない。

 

だから私は考えた。考えて、考えて……ひらめいた。

 

もしかしてアクアって、“魔法使い”なのかもしれない。

 

だってさ、男の人は30歳まで童貞なら魔法使いになる、って噂聞いたことある。

前世の話ならワンチャンありえたかもしれないし……!

 

(前世のこと、もっと聞いとけばよかった……!)

 

私にとってアクアは、“私の最推しの医者”ゴロー先生の次くらいに大事で、

そして同じくらい幸せになってほしい。

 

──だって、私の憧れの人(自慢の兄貴)なんだから。

 

 

アクアには絶対幸せになってほしい。

 

だから、私は心の中でこっそり誓う。

 

「大丈夫だよ、お兄ちゃん」

 

「かなちゃんと上手くいくように、ママも私も全力で協力するからね」

 

未来はまだ見えないけど、

アクアが少しでも笑えるように、私も頑張る。

 

だって……私達、家族だから。

 

 

最初にあいつを見たとき、俺は本気で敵のスタンド使いだと思った。妙な気配で現れたから、反射的にスタンドを出して攻撃しかけた。寸前で止めたが、あの時のルビーのきょとんとした顔を見るに、完全に何も見えていなかったらしい。

それで分かった。こいつ、スタンドが見えていない。

 

そのあと話を聞くと、どうやら俺と同じ転生者だという。前世のことは「話したくない」と言うから、それ以上は追及しなかった。俺にも話さない方がいいことはいくつかあるし、お互いさまというやつだ。

 

しばらく観察して出た結論――コイツはアホだ。

悪い意味じゃない。とにかく思いつきと勢いで動く。危なっかしくて見ていられない。どこかアイに似ていて、放っておけば転ぶし、目を離すととんでもない方向へ走っていく。だけど本人はいつも楽しそうで、まっすぐで、人を疑うことを知らない。

 

それに、あの個性的な歌唱力。

ある日やんわり「トレーニングしてるのか」と聞いたら、照れながら「先生に“100年に一人の逸材”って言われちゃって〜」と笑った。ソレはたぶん褒め言葉じゃない。ボイトレの先生にはあとで何か詫びの品でも渡した方がいい気がする。

 

それでも――アホはアホでも、ルビーはみんなに好かれている。それは確かだ。場を明るくして、人を巻き込んで、気づけば中心にいる。あいつが楽しそうに笑ってると、まあ……悪くないと思えてしまう。

 

ルビーもアイも、俺にとっては守るべき家族だ。

危なっかしくても、突っ走っていても、そのままでいい。これからもずっと、そばで見守っていけばいいだけだ。




今回とは関係ないですがジョジョ四部のOP chase を聞くと何故か推しの子が思い浮かびます アニメ映像も推しの子キャラに変えても違和感ないんじゃないかな〜
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。