月は堕ち、日は昇らない   作:ハイカスカス

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なんかできちゃった…ストックもねぇ、時間もねえ。アイデアもなんもねぇ。そんな小説だけど許して欲しいです。


ループ、その始まり

 

日常は終わりを告げる。

 

空が赤く染まる。

 

地獄と化したキヴォトスには随分と似合っていない、黒いドレスで着飾った死神がそこにいる。

 

「久々…いや、あんたからしたらすぐなのか?」

「…今回もミレニアム?懲りないね」

「悪いけど、諦めの悪さはどこぞの茶翅の生命力と同等だと思ってるよ」

 

もうこんな会話はし飽きている。私の戦いは終わらない。

 

「大人しく殺されれば楽になるものを」

「そんな簡単に楽になっちゃつまらんだろ。…お前を殺してから私も死んでやる」

 

お前の墓には私の首を供えてやると言い放ち、傍迷惑で何回目かも分からない最後の決戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初は、確かに祈りだった。

何があったかは、もう記憶が擦れて思い出せない。

ただ意地汚く生きていた私は、なんとか、怪我を重ね、無理を続けるこいつを止めようとしていた。…最後におかえりを言ったのは、いつだったか。

死から逃げて、逃げて、逃げ続けて…その果てにある終局だ。もはや抗う術も無かった。この学校のために命を捨てる覚悟も勇気も足りない、中途半端なやつだったのだろう。

 

『────』

 

何も、覚えていない。小鳥遊ホシノが、十六夜ノノミが、黒見セリカが、奥空アヤネが、そして私が、どうやって死んだのかも。

ただ、私が憶えているのはたった一つだけ。

 

こいつ(シロコ)を殺して、私も死ぬ。

 

きっと、最初は、簡単に楽になろうとしたとか、自殺しようとしたとか。そんなしょーもない理由だったんだろう。でもそれにも失敗して、失敗して…そんで…ああ、ダメだ。全くと言っていいほど思い出せない。もう、記憶が曖昧だ。

確かに祈りであったそれはいつの間にか、私を縛り続ける呪いとなっていた。

 

シロコに殺されてはならない。私が終わってしまう。

私が殺さなければならない。私が彼女を救う方法はそれしか知らない。

 

分かっている。この在り方が歪んでいることぐらい。

 

何度も繰り返した。

 

死んで、死んで、死んで、死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで…

 

 

「なぁ、シロコ」

「…なに?遺言なら聞くけど」

「今、“何回目”だ?」

「大体、50ぐらい?」

「ああ、そうか。もうそんなに、か…」

 

手に持ったハンドガンを口の辺りまで持っていき、最期の一言。

 

「じゃあ、また」

 

独り善がりの救済を目指す人間が、また死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の人生は繰り返す。このリボルバーと共にいつまでも。呪いのように私に付き纏うこれで自分の頭を撃ち抜けば、また次が始まる。

こいつを捨てる…?無理だね。2日後には元通りさ。アサルトライフルもスナイパーライフルもガトリングもミサイルランチャーも、使える物は大体試したさ。

でも絶対にこいつが腰に引っ付いてくる。元々どんな色だったかは記憶にないが、私の血が付きっぱなしなのか先端からグリップまで赤黒く染まっている。洗っても洗っても取れないので諦めた。

 

華美なエングレービングでも彫ってあったのかグリップはデコボコしている。おおよそ戦闘には向いていなさそうな物だ。

 

 

「…お゙え゙ぇぇ…」

 

…とりあえず吐こう。頭を銃弾が突き抜けていく感覚は、何度やっても慣れない。

 

 

さて、周りから見たら急にぼけ〜っとしだしたと思ったら吐き出す異常者なわけだが問題はない。なぜならここは自室だから。

スマホの年月日を見るに、今は中学3年頃。少し余裕は無いが、問題ない。…そうだな、今回はアビドスに行こうか。トリニティもゲヘナもミレニアムも、場合によっては百鬼夜行やらSRTやらワイルドハントやら…ああ、ゲマトリアに居た頃もあったな。まぁ、色々と入って学んで試してきたが、結局何も変わらなかった。

…こういうループもので、50回は少ないというのはよく分かっている。だが、よく考えてみてくれ。別にあれはシロコ関連で滅んだだけで普通にそれ以外で滅んだこともある。それ含めると、大体…駄目だ。数えると頭がおかしくなる。

ついこの前までの友人は他人で、親友も他人で、恩師も、あらゆる人間関係がほぼゼロからのスタートだ。前の周と同じ感覚で話しかければ『誰?』という返答が帰ってくるし、信頼もコネも無い。頼ろうとしたらそんなもの存在しないことに気づいて電話を置く、なんてのもよくある。いや、あった。

その辺の感覚は正直、もう慣れた。

 

最低限の身支度をし自宅を出る。日がまだ高い。ギシギシと足裏に返ってくる砂の感触を楽しみながら、記憶の限りかつての母校に向かっていった。

 

「相変わらず、なんもねぇなぁ」

 

最初に約2年間通った学校。なぜここに進学したのか、全く心当たりが無い。

なんで…本当に何故なんだろう。

商店街は大方閉まっているし、マトモなショッピングモールは撤退済み。魅力を考えれば考えるほどこの自治区には魅力が無いという答えが出力される。あるのは砂だけ。砂漠を観に来るような物好きしかこの景色は魅力的に映らんだろう。

こんなことを考えても仕方がない。とりあえず、アビドスへ入学関連の処理をしに行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…暑い」

 

適当な上着を被り日差しを防ごうという努力はしているが、それはそれで暑い。無人の民家の軒先に座り込み、しばし休憩を取らせてもらう。こうして時間を使うぐらいなら夜に来れば幾分かマシだったなと思い水で喉を潤す。

地図とコンパスを片手にアビドス高等学校の位置を確認する。

砂嵐などでスマホのGPSが使い物にならなくなることも多いので、こうしたこまめな確認は大切なのだ。

 

「…こんな場所に人?珍しいね」

「どうもこんにちは。アビドスの方ですか?」

「迷子かと思ったけど、その口ぶりだと違うみたいだね。何?アビドスに何か用事?」

「まあ、そんなところです」

 

横目に映るピンクの髪を見つけた。

地図の確認を終えてコンパスを片手に腰を上げる。体の火照りも取れたしさっさと歩ききってしまおう。

 

「ちょ、ちょっと!?今のは何か言う流れじゃないの!?」

「うん…?ああ、うん、そう…そうだなぁ」

 

…というか、ホシノ先輩って既にアビドス所属だったよね?じゃあ話が早いや。

 

「これ、お願いします」

「は?これ、入学届…」

「来年度からお世話になるので、よろしくお願いしますね。じゃあ」

「ちょ、ちょっとまっ…」

 

渡す物は渡したので踵を返してさっさと帰る。この砂漠にはあまり長居したくはないものだ。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「なんだったんだろう、あの子」

 

急に現れて、こんな物を押し付けて。

あんな子は見たことが無かった。ネフティスのご令嬢とかはこの前ここに来たし、ここら辺に住んでた子だったら片手で数えるぐらいだったら見たことがある。

 

目線を入学届に落としてみれば、それは連邦生徒会に正式に認可されている物。詐欺の類では無さそうなことに安心したが、それはそれとして彼女がなぜこの学校に入ろうとしたのか理解ができない。

 

…とりあえず、警戒はしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「志望理由…ですか?」

「そう。前はすぐに帰っちゃったから聞けなかったけど、こういう面接もやるでしょ?この学校に残ってるのが私だけだといっても、一応形式的に、ね」

「確かに、それは大事ですね。とはいえ、とはいえ…うーん」

 

そう言って頭を抱えているのを見ていると、この子への疑いより本当に理由もなく入学届を出したんじゃないだろうかと心配になってくる。この仕草は咄嗟の誤魔化しを考えているのではなく本当に思い出している時の動きだ。

 

「…ああ、思い出しました。昔、ここで何かを見たんです」

「何か?」

「はい。お恥ずかしいことに私も覚えていないのですが、何か…何か、確かに見たのです。そして、その何かに憧れた。だから私はここにいる。…それを、探しに来たのです」

 

なるほど、随分と浪漫がある話だ。

 

「…もし、見つからなかったとしても?」

「まあ、その時はその時です。『運が無かった』、と諦めますよ」

 

「その何かが消えちゃってたとしても?」

「その時はアレがここと私の縁を繋いでくれたと笑いますよ」

 

「探すだけなら別の学校に行きながらでもできるんじゃない?」

「ここだから意味があるんです」

 

…覚悟を問うような質問をしても、その目が揺らぐことは無いようだ。

 

「…まあ、いいよ。でも何かあったら進学先、変えてもいいからねー」

「ありがとうございます」

 


 

 

急な呼び出しには驚いたが、ただの面接で助かった。怪しいから殴らせてと言われたら腹を見せて降参の合図をするしかない。つまりは死である。

 

さて話は変わって、私は今どこに居るでしょうか。

 

「すみません急に押し掛けて。それじゃあお宝探しだ」

「おう。好きに持ってってくれ。そういう端材は、処分するにも金がかかるからな」

 

正解は廃材置き場!それも、それなりに形が整ってるのが多く取り揃えられている場所だ。

しかもここの支配人の方からは『めぼしいのは大体売っちゃったから、欲しいのあれば持ってってもいいよ』とのお達し。そんな性格でこの先やっていけるのでしょうか。私、不安です。

 

資材の山に目を向ければ、ほとんどが錆だったりひん曲がっていたりで個人の域では再利用できない物が多い中、掘り出し物ともいえる物も多くある。状態のいい鉄板、切ればまだまだ使えるパイプ類などなど。

山を掘り返しながらお目当ての物をいくつか見繕って、オーナーさんにお礼を言って帰った。

 

 

 

 

…家に帰り、工作の準備を始める。作るのは、仮称『グレネード散布機』。色々なループでこれを作ってきたが、個人的には中々にお気に入りだ。

 

どうしてもハンドガンのみだと対複数戦に不安が生じるため、任意でグレネードを散布できる装置を作る。

…とはいえ設計自体は非常に単純。適当なサイズの板に手榴弾のピン固定用のパーツと手榴弾本体を軽く固定するパーツを設置。何も付けていない面を外側にして左前腕に盾のように装備する。ヒンジなどを使って板を拳より先へ裏返し…つまり、グレネードの付けた面を出るよう動くようにし、その状態から左腕を外側に思いっきり振り抜いてやればグレネードのピンが抜けてグレネードが爆発寸前で飛んでいくって寸法よ。

グレネードは円筒形の物を使えば大体一列に7個取り付けられる。取り回しを考えると2列ぐらいが限界なので実質的なワンマガジンは14個である。

 

…ん?理論的に無理がある?普通にグレネードを投げれば良くないかって?

ロマンだよ、ロマン。エンジニア部の皆さんに教えてもらったが、こういうのはロマンが第一に優先されるのだよ。別に誰かのために作るわけじゃないしね。それに問題なく機能することは過去の私が証明している。使えるならなんでもいいのだ。

 

事前に調達しておいた物資も利用して工作を始める。まあ、今年度中には完成しそうだ。

 


 

ちょくちょくアビドスに顔を出してノノミと顔を合わせたり、シロコが拾われていて喧嘩売られたり、ホシノ先輩にガッチガチに警戒されて悲しくなったりしながらも、ここで1年過ごした。

 

グレネード散布機は既に完成し、ちょくちょく改修している。何よりグレネードを撃ち切れば何の気兼ねなく盾代わりに使えるのが便利だ。グレネードを補給する資金さえも惜しい現在の状況ではこちらの用途の出番の方が多い。

現在の仕様としては、まとめて14個を散布するだけでなく、左手で特定のボタンを押したり押さなかったりして射出するグレネードの種類を撃ち分けをできるようにしている。スタングレネードやスモークグレネード、通常の衝撃波を発する物、そもそも撃たないことでフェイントを駆けるなどの選択肢が実質ノーモーションで選べるのが便利。攻撃型手榴弾なら大体装備できる敷居の低さが大変便利で非常によい。この辺は、昔、ループの中でミレニアムのエンジニア部に所属していた経験が活きた。

もちろん普通に投げるより投擲の精度は落ちるが、元々一対多を想定した装備なので大した問題ではない。第一普通に投げたければ普通に散布機から外して投げればいいのだ。

拾ってきたばかりのシロコとの模擬戦においては猛威を振るっていた。今でも振るっている。

 

…まあ、そういうこともあり、一応それなりに皆との感覚は掴めていると思う。

 

「それじゃあ改めて…やーやー2人とも、アビドスへいらっしゃ〜い。おじさんは小鳥遊ホシノ。よろしくぅ」

 

小鳥遊ホシノ。アビドス最強にして、アビドス崩壊の一因率が高い…と思っている。何度手も足も出ずに負けたことか。今でも勝てる気がしない。

 

「く、黒見セリカです!よろしくお願いします!」

 

黒見セリカ。良くも悪くも常識人。少々騙されやすいのがあれだが…うん。基本的にはいい子だ。後輩として可愛がりがいがある。

 

「奥空アヤネでしゅっ!…か、噛んじゃった…」

 

奥空アヤネ。アビドス縁の下の力持ち。なんかホシノの陰に隠れている気がするが彼女も大概ヤバいことをやっている気がするのは気のせいだろうか。

 

「砂狼シロコ。よろしく、2人とも」

 

砂狼シロコ。銀行強盗最推し一般サイクリング系JK。

 

「十六夜ノノミです!よろしくお願いします〜。とりあえず、歓迎会をしましょうか」

 

十六夜ノノミ。力が強いタイプのお嬢様。結構頼りになる方…だと私は思っているのでとりあえずの相談にはアヤネかノノミを頼りたくなる。

 

上廻(かみさこ)スラ。歓迎するよ、2人とも。ノノミ、大袋のお菓子ってどの棚?」

 

 

 

 

いつか、どこかで見た団欒。仮初、束の間の楽園での生活が始まろうとしている。

 

 

 

 





上廻スラ
本作のオリ主ちゃん。
キヴォトスでの力関係的には学園最強格>>オリ主>一般ネームド生徒ぐらいなよくある感じ。ただしクロコに対してはクロコ≧オリ主ぐらいの力関係になる。長年メタ貼ってるのでギリギリ互角。
神秘が起こす現象は『自身の再生、復活』。自身の持つ銃で自害することでループを始める。ちなみにいつの時点で世界が始まるかはランダム。生誕直後から高校入学前まで幅広く。
滅ぶ原因は別にシロコ*テラーに限らず色々ある。彼女の頭の中を覗けば、バッドエンドスチルコレクションが作れるだろう。

【挿絵表示】

ヘイローイメージ図 容姿は考えてない

何度繰り返したかはすでに怪しいし、昔の記憶はもう忘れている。今の彼女に繰り返しの原点はなく、あるのは脆い脆い決意のみである。


愛銃:S&W M500
呪いのように彼女に付いて回る呪いの武器。永い試行錯誤の末、名前も忘れてしまった無銘の怪物。

リボルバーとしては考えると有り余った火力は、現在に絶望したキヴォトス人においては十分すぎるほどだった。これで頭を撃てば次が始まる。彼女の呪いは決して終わらず、夜が開けることはない。

グレネード投射機
上廻スラ特製の特殊武器。攻撃型手榴弾(所謂スズミのフラッシュグレネードやキリノのスモークグレネードのような細長いタイプ)を遠心力で撃ち出す。
早い話がACⅥに登場する武器、『太陽守』の爆薬をグレネードにした版。見たことない方は是非一度見てほしい。非常にロマン溢れる挙動をしている。

エンジニア部に所属していた経験が活きた。この武器を見るたびに記憶が蘇る。脳裏には彼女達の苦痛が張り付き続けている。

シロコ*テラー
彼女の原点を唯一知る者。親しかった友人が壊れていく様を見続け、介錯してあげた方が彼女にとって幸せなのではと思うと同時に正真正銘自分の友人を自らの手で葬ることにほんの少しばかり躊躇している。今回のループで目の前でオリ主が死んだ回数が50回となった。おめでとう砂狼シロコ。記念すべき数字だぞ。喜べよ。

罪の精算はできず、その罪は重くなっていく。ならば、あの友人の咎ぐらい背負ってみせよう。彼女のあの姿は、もう見たくない。

小鳥遊ホシノ(過去)
なんかよく知らん奴が唐突に入学届出してきてビビった。警戒していたものの、なぜか分からないが同類の雰囲気を感じて世話を焼くことになる。

いつか見た夢は終わっていない。彼女が夢から醒めることはない。これ以上失いたくない。その思い一つだけで今日を生きる。いつまでも、いつまでも。

優しい感想とかをくれると私が喜びます。私は承認欲求が少々高いので。

上廻スラの結末は

  • 哀れな愚者に永遠の救済を
  • 幸せな咎人に寛大な天罰を
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