ダンジョンマスターはガチャを引く。   作:瓶詰め蜂蜜

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転生

進藤(しんどう)公太郎(こうたろう)。24歳で実家暮らし。2000年生まれの乙女座O型。2浪経験済みの大学2年生。高校時代のあだ名は○ム太郎。年齢=彼女いない歴の童貞。そんなありふれたような男の話を何故今したのか。君には分かるかい?」

「その進藤公太郎は俺で、死んで神様に会うとかいうラノベの冒頭にありがちな状況を現在進行形で経験しているから。ですか?」

 

 目の前で人の事を散々貶してくれる、前を全開にしたアロハシャツにハーフパンツ、ビーチサンダルに金髪グラサンという夏の浜辺にいるナンパ野郎かヤンチャなにーちゃんみたいな格好をした上位存在……所謂神様にそう答えれば、神様はにんまりと笑って力強い「YES!」をくれた。

 

「公太郎君。君は残念ながら死んでしまった。……なんで死んだかは覚えている?」

「なんか、よく分からん奴らに拉致られた挙句殺された。ぐらいは理解してます」

 

 そう答えれば、「OK。ならなんでそうなったかとか、そこら辺を教えてあげよう」と言いながらどこからとも無くホワイトボードを取り出した。

 

「神様の世界にもホワイトボードとかあるんですね」

「うんにゃ?君にわかりやすく教えようかと思って今創造(つく)った」

 

 さらっと行われた上位存在仕草に、スンッとなりながらも神様の解説を待つ。

 

「えーっと、まず俺が神様だってのは出会い頭に教えたと思うけど、なんの神様かまでは教えてないっしょ?」

「はい。気がついたら真っ白な空間で、目の前で『I`m God』って書かれたボード首から下げたDきゅゴホンゴホンッ……陽キャなにーちゃんが立ってたので何事かと思いましたが」

「今変なこと言おうとしたね?」

「してません」

「俺神様だから嘘わかるんだけど?……まあ良いや。冷や汗かいて焦ってるみたいだし」

 

 そう言いながらな、くるりとホワイトボードをひっくり返せば、何かを書いている素振りがなかったのに絵と文字がカラフルに書かれていた。

 

「まず最初に、俺は特に名前を持っている神様とかではないのよ」

「えっ、そうなんですか?」

 

 「そうそう」と頷きながら、ホワイトボードの一番上に書かれた古代人っぽい男性の顔を指すと、

 

「けど、こっちは日本人なら多分名前ぐらい聞いたことあると思うんだけど、国作りの神、大国主ね」

「あー、あの因幡の白兎の」

「そう。その神様。それが俺の親父ね」

「……はあ!?」

 

 まさか過ぎる繋がりに声を荒げてしまったが、神様はそれを無視して話を続ける。

 

「いやー、うちの親父殿はモッテモテで嫁さんが沢山いるのよ。で、俺もそんなハーレムの中から生まれた子供なんだけど、所謂半神半人っていう存在でなあ、地上では普通に寿命のある人間として生きて、死後は名も無き神として雑用したりしてんのよ」

 

 「日本は意外とこういうの多いのよ?」なんて言う神様にどう反応して良いのか分からず、「は、はあ……」と曖昧に頷くと、

 

「で、君を殺した奴ら。分かりやすく言えばカルト教団なのね。で、その御神体として扱われてるのが、俺のミイラなのよ」

「……あ、なんかオチが読めたかも」

「おお、お察しの通り。君は生贄として殺されたんだよね。つまりここにいる理由は君が俺への貢物だったからってこと」

 

 俺をデフォルメさせた似顔絵の下に生贄と追記する神様。そして、

 

「……と言っても、俺別に司ってる分野とか特に無いし、生贄捧げられてもご利益とか与えられんから、あいつらのした事ってただの自己満程度で済む話なのよねー」

「いや、それじゃあ俺が殺された事って……」

「全くこれっぽっちも意味のない、犬死にってやつだね」

 

 生贄の文字の下に更に犬死にと追加されてしまう。なんだこの神様。死体蹴りが趣味なのか。

 

「死人が言うと面白いね、それ」

「こっちは面白くもなんともないんですけど」

 

 ケラケラ笑う神様に、思わずイラッとしてしまう。相手は上位存在の為にそんな事しても無駄だと分かっているのに。

 

「まあ、普段は『可愛そー』とか思いながら輪廻の輪に放り投げておしまいなんだけど、君は運がいいのか悪いのか……。絶妙なタイミングで死んだ……ってか、殺されたんだよね」

 

 そう言いながら無駄に余白のあるホワイトボードをひっくり返して裏面を見せると、まっさらなボードが現れる。

 

「実は新しく宇宙……。それも君の暮らしていた宇宙をほぼほぼ複製した宇宙を作る計画が進んでてねー」

「なんでですか?」

 

 「まあ、気になるだろうし教えてあげよう。これは特別だぜ」と言いながら、ホワイトボードに色々と書き込んでいく神様。

 書き込み終えると、下に神と書かれた人間の上半身部分のシルエットを手に持ったペンで指す。

 

「まず神は全知全能に近い存在ではあるけど完璧では無いんだよ」

「そうなのか?」

「うん。君も知ってるであろう神話。そこでは神はどんな描かれ方をされてた?」

 

 そう言われて自分が知っている神話を思い返せば、下半身で思考してそうなギリシアの天空神とか、惚れたからと言って誘拐を行ったその弟の冥界神とか。日本の神ならば、う○こ撒き散らしてあちこちに塗りたくるとかいう破壊活動を行った須佐之男命とか、嫌な事あったから引き篭もった天照大神とか。

 ……うん。完璧とは言い難いな、これは。

 

「あはははは。とまあ、そんな感じで完璧とは言い難いし、神も死ぬ時は死ぬんだよね。俺の親父も何回か殺されてるし」

「いや、まず何回もって、おかしい気がするんだが?」

「神だからね、死んだ神を蘇らせる事ぐらい出来るのさ」

「ええ……」

 

 思わず引いてしまうと、神様はホワイトボードに人間と下に記した、上半身のシルエットが3人ほど並んだ図を書く。

 そして、神の方へと矢印を伸ばした。

 

「まあ、そんな訳で神は完璧じゃ無い。だから欲とかもあるのさ。で、神ってのは信仰で出来ることや力が増えるもんだから、信者を手に入れる活動を色々と行っていてね」

「俺が生贄にされたのも望んでたのか?」

 

 俺の質問に対して「何バカなこと言ってんの。信仰してくれるかもしれない人間が減る事を望んでいる神なんざいないさ。……まあ、わざわざ減らない様に干渉するつもりもないけどね」なんて宣う神様。なんとも自由すぎると思いながらも、「そうですか」と頷き返した。

 

「で、だ。そんな訳で新しい信者獲得のために大体5000000年ぶりかな?新しい宇宙を創造しようってなってさ。文明神の一人の発案で『ダンジョンの存在する地球』に決まったのよ。で、五柱の神がそれぞれ一つずつ創ることになって、俺もダンジョン作成担当なのよ」

「……もしかして」

「おお!やっぱり君は理解が早いね!ダンジョン創れって言われても、困っていたからさー、俺。君には俺の代理としてダンジョンを創って貰おうと思うのよ、所謂ダンジョンマスターってやつだね」

 

 笑いながらそう言う神様に「もし断ったら?」と尋ねれば、

 

「んー、その時は残念ながら輪廻の輪にぶち込むね。そうなれば、君は君じゃ無くなっちゃうからね」

 

 とあっけらかんと言われ、逆に怖いので俺はダンジョンマスターになる事に同意するのだった。

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