ワイ(男)「イズナの幼馴染です」 作:彼氏殿……彼氏殿だとぉっ!?
「おはよう、随分とお早い起床だな」
「ハクさんこそ。すごく早いね」
「習慣になっててな」
別に、朝早くから仕込みをすると言うわけでもないから起きる必要はないのだがな。
店は基本的に開けているが、お客が少ないと言う都合上来てから作るで結構間に合うんだよな。
お客も少し待つくらいなら平気だと言う方が多いし。
「朝飯は作った、配膳するから席についてくれ」
「え、いや流石に」
「と言われてもな、もう作ってしまったんだ。食べてもらわないと食材が無駄になる」
「う……」
私が起きるより早く起きられなかった御仁のミスだ、諦めて召し上がるといい。
まあ虎の刻……四時半より早く起きるなんてされても困るというのが本音だが。
調停委員会時代の名残よな。
「豚汁と煮物、作ったばかりでまだ冷めていないはずだ」
「あ、おいしそう……」
練習している料理を批評してもらえるという機会は少ないからな、お客の少なさと比例していて。
大変貴重だ。
「……そう言えば」
「ん」
「ハクさんにはしてもらったのに、私はまだだなって。自己紹介」
「ああ」
律儀だな、別にこのままさよならしたって気にするものでもないのだが。
「私は"シャーレの先生"なんだ」
「……は」
「土御門ハクさん、君って多分 」
今何と?
「イズナが探していた"ハッくん"、だよね?」
☆
待て、この人……ではなく先生、は俺のことを生徒ではないと認識していたんじゃ……!?
「君が最初、私を見た時に一瞬警戒したのに気付いちゃって。おかしいと思ったんだ、仮にも飲食店を経営してる人が、訪れる人を警戒するなんて」
「……」
「そうなると私個人の特徴……"大人"、引いては"先生"であることを警戒してるのかなって。だから一芝居打たせて貰ったよ」
「……参ったな、そこまで予測されるとは」
「これでも、色んな生徒達を見てきたからね。警戒されている時には相手に合わせてあげることも大事だって彼女達から学んだんだ」
困った勝てない、というかこれが先生か強え。
これが本当に生徒の足を舐めたり匂いを嗅ぐ先生と=とは到底思えないんだが? 正直すっげぇ油断してたわ。
いや、この人は違うだろうなって思ってたのもあるんだが。
「流石は先生、生徒との心の距離を測るのがお上手だ」
「……どうしてイズナの前から突然去ったりしたの? それも、『二度と会うことはない』だなんて……」
「下手すれば、と言う前提が抜けているぞ。別に俺はイズナと絶対に会いたくないなんて言った覚えもつもりもない」
「それが君の素なんだね」
「立場上外面を作っているんだ。……こうやって話す相手は、イズナくらいだった」
「そっか」
……やっばいどう説明しよう。
女の先生を目の前に『あんたに掘られたくないから離れました』なんて口が裂けたって言えねぇよ!?
まあ生えてたらその限りではないんだろうが俺の存じ上げるところじゃねぇ。
「……まあ、端的に言えば俺は狙われていた」
「!」
「今こうしてる分には問題はない筈さ、奴らは俺が百鬼夜行にいることで不利益を被るからこそだったんだからな」
しゃーない百鬼夜行にいる適当な敵キャラに押し付けてやるッ! 本当にすまない!
「それで、他の2人も……」
「他の2人だと?」
「知らないの?」
待て待て、俺の他に行方知れずになった調停委員会の面々がいると?
……すっごく心当たりがあるなぁ、2人だろ?
アとナの付く親友()のことかな。
「委員長と副委員長も?」
「あれ、知ってたんだ」
「いやあの2人を差し置いてキキョウやレンゲ達が狙われるとも思えんのでな、俺でもあの2人から狙う」
副委員長はともかくどうしたんだ委員長、あんたは早々投げ出す様なお人じゃないと思っていたんだが。
狙われていた(無理矢理解釈すればそう言えなくもない)