ワイ(男)「イズナの幼馴染です」 作:彼氏殿……彼氏殿だとぉっ!?
移動手段を考慮していなかったバカな私は、仕方ないので全速力でトリニティを駆け抜ける。
「流石に堪えるが……この分なら間に合わんことはない!」
本来の計画ならミサイル投下直後にアリウススクワッドの誰かを相手取るなり、模倣か何かの式神達を滅ッ! していた筈なのだが。
「走れ走れっ……!」
正確な場所や経路は調べていたが、これだけの煙が上がっているのだからあまり関係はなかったな。
……。
よし、無惨な残骸が見えて来た。
「あれは……」
誰も入らない様に、かつおそらく散ってこちらまで来たのであろうユスティナ信徒を蹴散らしている生徒が1人。
特徴的な黒の制服、正義実現委員会だ。
……気付かれないで中に入るルートがないな。
「失礼するよ」
「! 誰っすか!」
「何、ただの不審な狐だよ」
構えた愛銃でミメ……ミメシス? を蹴散らしていく。
「こんにちは、中に入らせてもらえるかい」
「助けて貰ったのはありがたいっすけど、流石にそれはできないっす」
「だろうね」
善意の介入者だったとしてもお面被った怪しい奴なんて私でも入れない自信がある。
しかしそんなことを言っている場合ではないのもまた、事実だ。
「だが、こんな問答をしている間にも怪我人は増えていくぞ」
「……」
それはわかっている、と言わんばかりの苦しそうな表情だ。
悪いね、君も無傷じゃないのに痛いところばかり突いて。
「じゃあ、私が同行するのが条件っす」
「……驚いたな、ここはもう良いのか」
意外とあっさりしていた。
……もう少し粘られる様であればさっさと走り抜けていたのだがな。
「避難はほとんど終わってるっす、それにさっきのでこの一帯の奴らは片付きましたし。私も加勢しなきゃいけないんすよ」
「そうか。物分かりが良くて助かるよ」
「助けて貰ったのは事実ですから」
……と、言う訳で妙な同行者(強そう)が加わったところで。
取り出しますはクズノハ仕込みの怪しいお札!
はぁ。
「何すかそれ」
「さっきの等身大の奴らを祓うありがたいお札、効き目は保証するよ。……ほら」
ものは試しと一枚、ミメシスに向かって投げる。
「えっ」
「効いただろう?」
それに敵が触れた瞬間ふわぁっと奴らが空中に溶け消えていった。
……?
「……何が何だかわからないっすけど、それに効き目があるってことは理解したっすよ」
「このお札一応私のお手製なんだがな……?」
「?」
おちびとじゃれあいした時は確かに滅ッ! ……って勢いで消えていったんだが。
しかしミメシスはふわぁ……とまるで『あり……が、とう……』と言わんばかりの消え方をしていくではないか。
「相当触媒に良いものを使っているのか、縁が近しいものなのか」
はたまた、その両方なのか。
興味深いね。
「さて……糸目女史」
「イチカっす、
「そうか仲正さん、このまま正面突破で数を減らす。自分の身は自分で守ってくれると助かる」
処理が楽になりそうとかいう理由でお札は持って来たが、それでもおそらく数が足りない。
今後も考えれば半分は実力で突破しなければならんだろうさ。
「ちなみに私は、謎のお稲荷さんだ。よろしく頼む」
「……何すかそれ、こんな状況で冗談言わないでくださいよ」
「こう言う状況だからこそ、冗談で笑って盤面を見通すのさ」
私はだいたいそうやって調停委員会を取り繕って来た。
参謀はキキョウで力はレンゲ、委員長と副委員長は単独で強いからな。
個々の役割が揃っているからこそ、現場での繋ぎ役が円滑にすることが重要になる。
「わかったっす」
「良い返事だ」