星を目指して   作:白蜜8901

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 現在のレベルとスキル熟練度

 シズク
 レベル:15
 スキル熟練度:
 ・両手槍[140]
 ・投剣[100]
 ・釣り[96]
 育成傾向:
 速さに寄ったパワーファイター

 アベル
 レベル:15
 スキル熟練度:
 ・片手剣[138]
 ・盾[109]
 ・剛力[77]
 育成傾向:
 単騎で攻防を両立したタンク

 アルゴ
 レベル:12
 スキル熟練度:
 ・片手爪[100]
 ・両手爪[68]
 ・隠蔽[87]
 育成傾向:
 スピード特化の斥候


第一層フィールドボス攻略戦 ①

 2022年11月25日(金)11:00

 アインクラッド第1層

 中央の渓谷入口

 

 

「おいシズクっち、オメー本気で挑む気なのカ?」

「どの道ここで足踏みしていても前には進めないわ」

「おれはやめたほうが良いと思うぜ。いくらおれたちが強くてもアレはダメだ」

 

 私たちが今いる場所はアインクラッド第1層を南北に分断する巨大な崖、その中央部にある大渓谷の入口だ。

 そして見通す先に見えるのは渓谷の入口を陣取る巨大イノシシ。大型トラックと同じかそれ以上にデカい。

『Wild Boar Lord of the Center Valley』

 頭上に表示された二段のHPバーの隣にある名前のままなら、あの大猪こそが渓谷の主と言ったところか。

 頭上のカーソルは少し濃いめの赤。

 アベル曰く、相手とのレベル差によって色の濃さが変わるとのこと。自分より圧倒的に相手のレベルが高い場合、だんだん黒に近い色になってくるそうだ。

 その理屈で言えば、遠くに見えるボス猪は私たちよりわずかにレベルが高い様子。それなら決して勝てない相手ではないと思われるが、やはり油断は禁物だ。

 

「もう一度聞くガ、本当にやるんだナ?」

「…ええ」

 

 これから私達は、第1層の最初の壁であるフィールドボスである巨大イノシシへ戦いを挑む。

 事の発端は三日前に宿酒場のNPC達から受けたクエストによるものだ。私達が村々でこなしたクエストにより、その村同士で交流が生まれ、そこからはじまりの街を含めた村や町で交易路が出来、さらなる発展を遂げることとなった。

 村や町同士で物資が行き交うようになり、それに伴い人や情報も集まるようになる。そのおかげで北の断崖の先に街があることが分かったものの、南北に分断する崖の東側は迷路のような遺跡の先を抜ける必要があり、西側は鬱蒼とした森林に崩れやすい崖道。唯一安定して通れそうな中央の渓谷は巨大イノシシが行く手を阻んでいる。

 どうにかならないものかと嘆いていた所で私が登場したというわけだ。

 

「ソレじゃあおさらいダ。今回の敵はあそこに居ル『ワイルドボアロードオブザセンターバレー』と言う見ての通りのボス猪だな」

「攻撃パターンは突進と横っ腹の体当たり。あとあの牙も厄介そうだ」

「それと彼等が教えてくれたことによると、両脇の崖が崩れやすくなってるみたい」

「まァ何らかの特殊攻撃の一つや二つはありそうな感じがするナ。でなきゃボスはやってねェ」

 

 それぞれ集めた情報を出し合い、それをもとに作戦会議を始める。しかし…

 

「どう頑張っても人数が足りねェ」

「せめてあとタンクが二人くらいほしい。おれたちが受けるダメージが分散する」

「ダメージディーラーは実質私一人。とりあえず様子見として挑んでみない?今ある情報だけじゃなく、もっと詳細なデータが取りたい」

「マ、情報屋としてもここである程度アイツについて情報を集めるのも(やぶさ)かじゃないカ」

「ただし、危なくなったら逃げるぞ」

「ええ」

 

 各自装備とアイテムを確認。問題ないと判断した私たちは、それぞれの得物を抜いてボスイノシシの下へ向かう。道の中央で目を閉じていたイノシシが私たちの存在に気が付いたのか、目を開いて私たちを睨みつける。

 

「………」

 

 無言で首をゆっくりと動かして順繰りにこちらを見るイノシシ。改めて見るととんでも無い大きさをしている。

 先程は大型トラックなんて言ったが、そんな物が可愛く見えてしまいそうだ。体長はソレぐらいだったとしても正面から見たらその認識が大きな間違いだと漸く理解する。近くに寄っただけでその威容に圧倒されてしまいそうだ。

 それが生きて意思を持ってこちらを睨みつける。そしてその目に殺意を宿らせ──

 

「ブルォォオオオオオーーーーーンンン!!!!」

 

 特大の咆哮を上げる。空気を、大地を、そして私たちの身を大きく震わせる。これまでの人生で一度もぶつけられたことのない意思。それが私たちに向かって初めて、それがとてつもない大きさで向けられた瞬間だった。

 

「っ!戦闘開始!」

「おう!」

「応サ!」

 

 ──それでも止まるわけには行かない!

 

 私たちは作戦通り正面から突っ込みつつそれぞれ散開。アベルは正面、アルゴは右、そして私は左側から攻める算段だ。これは各々が得意な戦法とそれを発揮しやすい位置取りを慎重に話し合って決めた布陣だった。

 

「ブルォオン!!」

 

 大イノシシが姿勢を低くして突進の構えを取る。程なくして真正面のアベル目掛けてその巨体を走らせる。

 

「ッ!来い!」

 

 アベルは完全に迎え撃つつもりで正面に盾を構える。その際にアベルの全身が淡いオレンジ色の光を放つ。【チャージ】を発動したエフェクトだ。

 

 ──ドゴォォーオン!

 

 (およ)そ人にぶつかった物とは思えないような音を立てて大イノシシは突進を止める。視界の端ではアベルのHPバーが4割ほど減少して止まった。

 

「ッ!?マジかよ!?コイツヤバすぎる!」

 

【チャージ】で上昇するのは何もソードスキルの威力だけでは無い。1回分ならあらゆる防御行動による防御性能も格段に上昇する仕様となっている。そこにアベルが鍛え上げている盾スキルが合わさってこの層においてアベルの防御は鉄壁のものと言っても差し支えないものとなっていた。

 しかしその防御力でもこのダメージ量。その上【チャージ】の再使用にはまた長い待機時間(リキャストタイム)が必要となる。次に同じ攻撃を食らったらアベルと言えどタダでは済まない。

 

「ハァア!」「せい!」

 

 突進後の硬直時間を狙って私とアルゴで側面からそれぞれソードスキルを叩き込む。弱点の首筋を狙ったもので、威力も一番大きな物を当てたつもりだったが、それでも最初の一段目のHPバーはまだ8割近くを残している。

 

「ブルォフ!」

「っ!退避!」

 

 大イノシシが体を大きく捻ったのを見て私は叫ぶ。私達がある程度大イノシシから距離を離した直後、旋回しながら大きく飛び上がった。舞い上げられた砂煙が視界を遮り、一瞬だけ大イノシシと仲間たちとの位置関係を見失う。

 大きく一回転するジャンプを決めた大イノシシはズシンと大きな音を立てて着地する。視界の隅の仲間たちのHPバーに変化が無いのを見て一安心するが、どうやら風圧でさらに大きく距離を離されたらしい。

 

 ──これがフィールドボス…なんて強さなの…

 

 レベル差は大したことないから行ける、なんて甘い考えを持っていた過去の私を殴り飛ばしたくなるが、それでも戦って情報を持ち帰らないとならない。でないと次の戦闘で本当に何もできなくなる。

 

「作戦変更!!とにかくタゲを変え続ける!!!」

「ラジャ!」「了解!」

 

 ──でもここまでは大体想定通り。

 

 元々私たち程の少人数でレイド戦の真似事が出来ないことなんて分かりきっていた。ならば少人数であることを活かして各々の得意分野でひたすら攻撃を続ける。そうしてタゲられた場合は回避に徹して残りに攻撃を任せる。

 乱暴だが、今この段階ではこれが一番効果的にダメージを与えられる戦法だと、事前にアルゴとアベルで相談して決めていた。

 

「まずは私が!」

 

 私に向かって正面を向いている大イノシシの右側面に回り込んで攻撃を決めようとする私。大イノシシはそんな私に対して頭を振って口元の牙を振り回し、それを私は距離を取って回避。

 そうして攻撃後に頭を大きく上げたイノシシの首下に体を滑り込ませてその体勢のままソードスキルの【オメガポイント】を発動。

 顎下の柔らかい部位の更に全く同じポイントに突き込まれる2連撃は、大イノシシを盛大に怯ませ後退させる。その際に大イノシシの顎下から青空の下に身を晒した私は大イノシシから距離を取るためにバックステップ。一段目のHPはまだ7割を下回っていない。

 大イノシシは再び頭を低くして突進の姿勢を取る。構え自体は、はじまりの街周辺で見かけたフレンジーボアと同じものだが、突進前に前足を動かす回数が大イノシシの方が少なく感じる。その所為もあってか、こちらが避けるタイミングが中々掴めない。

 今回はたまたま距離を取っていたのと、真っ直ぐ突っ込んで来たお陰でギリギリ横に跳んで回避が出来た。アベルと違ってVIT(たいりょく)を伸していない私は突進攻撃を一回食らうだけでも致命傷になりかねない。この攻撃だけは何としても避けに徹する。

 

 遠くを見るとアベルは回復を終えたようだ。アルゴの姿は見えないが、どこかに潜伏しているのだろう。彼女の持つ【隠蔽】スキルは、使用中にソードスキルを当てることで不意打ちとなり、クリティカルヒットをしやすくなる特性がある。と言うかそれを信じて立ち回ることしか私には出来ない。

 私の方は、何度かの突進攻撃を谷の壁の方へ誘導する。あわよくば頭をぶつけて気絶(スタン)を狙えないかと考えているが、相手はそこまで馬鹿ではないらしい。壁にぶつかるギリギリで急停止している。そこへ斬りかかる小柄な影が一つ。

 

 「ッシ!」

 

 アルゴが大イノシシの後ろ足に斬りかかる。両手に着けた鈎爪が一点に交差し、花が咲くように開かれたライトエフェクトの軌跡を描き出す。大イノシシは腱が切れたのか、その場で蹲って藻掻き始めた。

 

 両手爪スキル突きのち斬り払い技【アイデアル・キャプティブ】

 

 動けなくなった大イノシシに一斉にソードスキルを浴びせる私たち。7割近くに減っていた一段目のHPバーは残りを4割まで減少させていた。そうしている内に部位の再生が終わったのか、大イノシシは再び立ち上がる。今度はそのタゲをアルゴに向けた。

 

「っとヤベ。これじゃオイラの【隠蔽】は使えねエ!何とかしてくレ!」

「「了解!!」」

 

 アベルと二人で返事をし、それぞれ得意なポジションに付く。アベルは口元から伸びる牙に注意を払いながら弱点の首筋にソードスキルを叩き込む。

 オレンジ色のライトエフェクトを纏った剣がVの字を描く様に振るわれる。重いサウンドと共に振り抜かれたアニールブレードが大イノシシに深手を負わせた。

 

 片手剣スキル縦2連撃【バーチカル・アーク】

 

 ただでさえ一撃の威力が高い【バーチカル】が2回振るわれる。しかもそれがアニールブレードを装備したプレイヤーによって行われたらどうなるか。残り4割に減っていた一段目のHPは3割程まで減っていた。

 これを受けて大イノシシはタゲをアルゴからアベルへと変更。狙いを集中させないことで相手の行動を後手に回らせる作戦が上手く行っている。

 

 ──問題は集中が持つか。それに全てがかかってるわね。

 

 イノシシがアベルへ突進の構えを見せるが、それより早く私は動く。手にした投げナイフを大イノシシの背後から尻に向かって投げる。どんな生き物も肛門を通じて内部へ通してしまえば大きなダメージが狙えるだろうと考えた行動だったが──

 

「ブルヒィゥオオオオオ!」

 

 全く効いてない。むしろ怒らせるだけに終わった。アベルへの突進が勢いを増す。

 

「ゴメンちょっと余計なことしたかも!」

「なーにやってんだシズクーーー!!!」

「ちょっとお尻にナイフ投げただけなのよーー!!」

「ホントに何やってんだシズク!?」

「今はバカやってんじゃねエ!それより突進が来るゾ!」

 

 後半のアベルの叫びは、ちょっとだけ声が上擦っていたように聞こえた。

 何にしてもこのままでは不味い。体力が満たんのアベルならチャージ無しで突進を盾で受けてもHPが無く可能性は無いと思う。けれどその為に唯でさえ危険な状態のアベルにこれ以上危険に晒したくない。

 考えた末に突進中に背後から攻撃する。私のAGL(すばやさ)のステータスの限界の速度で大イノシシの突進に追い縋る。微かに追いついてはいるが、なかなか距離が縮まらない。アベルは衝突寸前に大きく横へ跳んで何とか回避。しかし僅かに足が掠ったのか弾き飛ばされる。その際に岩壁へ衝突してHPが3割ほど減少。大猪は向きを変えるためにブレーキを掛けるが、そこで私が追いつく。距離を大幅に詰めつつダメージを稼ぐために突進技の【ディラトン】を仕掛ける。

 

「ブルルルウオオオオォオォオオオンンン!!!!」

 

 ダメージそのものは大したことはなかったが、タゲを私に向けるのには成功したらしい。大イノシシは怒りの眼でこちらを睨みつける。

 

「おォ…こっワ…」

 

 遠くで【隠蔽】スキルを使用中のアルゴが何故か尻を押さえて蹲る。失敬な。

 

 大イノシシの一段目のHPは残り2割と少し。このまま押し切っていけるかと思うが、きっとそうはいかないだろう。この手のボスモンスターはHPの残量に応じて行動パターンが変化するのがお約束のようなものだ。

 それにここまでの戦いで私たちも消耗している。

 

 ──この辺りが潮時かな。

 

「パターンの変化を感じたらすぐに逃げるわよ!」

「「了解!」」

 

 ──ここまでは上手くやれた。今はそれで十分。

 

 すぐに撤退できるように谷の入り口近くを陣取るように戦う。ここまで来れば最初のころより安定して立ち回れるようになり、私達は然程ダメージを負うこと無く一段目のHPを削りきる。

 

「ブオオオオオオオオオーーーーンンン!!!」

 

 大イノシシがその場で地団駄を踏み始める。かなり激しく踏み鳴らした所為か、その際に地面が大きく揺れてしまい、足を取られて私たちは転倒してしまった。これこそがパターンが変化する予兆なのだろうと当たりを付ける。

 

「撤退!一時撤退!」

「ダメだ!」

「出来ねエ!」

「っ!?」

 

 ──なんで!?どうして動けないの!?

 

 この時の私は理解できなかったが、後になって《転倒》はこのゲームのシステムによって設定された状態異常の一つだとアベルから聞かされる。この異常にかかるとほんの少しの間立ち上がることが出来ないらしく、その場から一歩も動けなくなってしまう。上半身も少ししか動かせないとのこと。

 

 そうして私たちが動けないのを良いことに事態は変わり始める。

 

 ──ドゴォ!ドゴォ!ドゴォ!

 

 大イノシシは谷の岩壁に何度も何度も体当たりをする。ダメージを受けている様子はないが、何をやっているのかと訝しむ。しかしその答えはすぐに返ってきた。

 

 ──ゴロゴロガラガラガーン!

 

 この時私は酒場のNPC達の話を思い出していた。()()()()()()()()()()()()()()()と言うことを。

 

 谷の岩壁から崩れ落ちてきた岩石が入り口を防ぐ。かなり大きな岩だ。手持ちの武器では壊せそうにないし、そもそもここまで積み重なった岩石を崩せそうにない。

 

 ──出口が…塞がれた?

 

「おい!どうするんだよシズク!」

「…ッ!」

 

 撤退は不可能。ここからでは登れそうもないし、落ちた時のダメージは考えたくない。

 アルゴは潜伏中かな。少なくともまだ諦めてはいなさそう。なら選択は一つしかない。

 

「作戦は続行!このまま倒す!」

「了解!デカいのやるぜ!」

 

 こうなったら腹を括るしか無い。

 現在のHPは残り8割強。気付かない間にそれなりにダメージを受けていたらしい。回復ポーションにはまだ余裕がある。今は私がタゲを取っているから回復はその後。

 アベルが攻撃をしやすいように大イノシシをその場に留めるよう立ち回る。具体的には正面至近距離を陣取って戦う。

 

 戦いながら観察していて分かった事がある。この大イノシシは近くに寄ると突進以外の様々な近接攻撃を行ってくる。顔の近くに寄ると口元から伸びる長い牙を振り回し、それ以外の場所から近付こうとすると一番近い脚で蹴ったり踏み潰そうとしたりなどの多彩な攻撃をしてくる。

 これらの攻撃を誘発してその場に留めることも出来なくは無さそうなのだがそう上手くは行かないのがこのゲーム。場所に寄ってはその巨体を活かした強烈なタックルを仕掛けてくる。一応距離を取ることで回避は出来るのだが、場所によっては後ろが岩壁で回避ができないという問題がある。

 先程まで私達は退却前提で入り口近くを陣取って戦っていたのかここへ来て完全に裏目に出た。今私たちが居るのはタックルの回避が不可能な岩壁近く。もしここでそんなものを食らってしまったら、岩石と大イノシシをバンズにしたサンドイッチが完成してしまう。特に私なんて体力が一瞬で全損する自信がある。

 

 さてここで問題なのはこのタックル攻撃が大イノシシから見てどの方向どの距離で発生するかが分からないことだ。

 こうなると分かってたらギリギリまで観察を続けていたのだがそんなのは後の祭りだ。

 今は私が出来る全力をこの大イノシシにぶつけるしか無い。

 

「っ!」

 

 ──この攻撃は読みやすくて助かる!

 

 頭を振り回して長く伸びた牙を高速で振る技だ。防御力の低い私が食らったらかなりのダメージを食らいそうだが、回避や受け流しがしやすい技でもある。

 頭に来るのはしゃがみ、足元スレスレで来るのは跳んで回避。どちらも難しいようなら槍の柄で身体を守りつつ攻撃が直接及ばないようにする。

 

「重い…!」

 

 しかし最初の頃と比べて攻撃が速く重くなった。更に足技を交えて攻撃の予測が難しくなる。踏み鳴らしだけは絶対に回避する。範囲は狭いが、足元に衝撃波が発生し、これを食らうと【転倒】してしまうからだ。これの恐ろしさは先ほど嫌というほど理解した。

 

「っダメ…!追いつけない…!」

 

 何とか回避は続ける。しかしそれでもどうしても避けられない攻撃というものは出てくる。少しずつダメージが蓄積されていき、私はこのゲームが始まって初めて自分のHPがイエローゾーンに入るのを見た。

 

「不味い!タックル来る!」

 

 そしてここへ来て恐れていたことが起き始める。大イノシシが私へ体の側面を向けたのだ。普段だったら射線から逃れるように立ち位置を変えるのだが、私の背後には入り口に積み重なった岩石群がある。

 大イノシシの攻撃でこの壁は崩れ去るのだろう。しかしその時に発生する落石を今の位置で回避できる自信がない。

 

「っ!」

「食らえや!」

 

 最早これまで。そう思っていた所で聞こえてきた頼もしい声。

 

「ブヒィイイ!?!?」

 

 それと同時に大イノシシがたたらを踏む。どうやら何かしらのソードスキルを受けたようだが、私の位置からは見えなかった。僅かに逃げる隙間が出来たのを見て、私は大急ぎで開けた場所へと逃げる。そのついでに回復も済ませる。

 

「チャージ!」

 

 空中高くへ跳び上がったアベルはその身体をオレンジ色に発光させる。待機時間(リキャストタイム)が終わるギリギリを待っていたのだろう。そうして高く跳び上がったアベルは手に持ったアニールブレードに深紅のライトエフェクトを纏わせる。

 

「うおらああああ!!!」

 

 するとアベルは空中で高速回転しながら大猪の首元へ斬り掛かった。普段のアベルの戦闘スタイルからは想像できないほど攻撃的なソードスキルに、私は思わず目を見張る。

 

「プギシャアアアアアァァァアアア!?!?!?」

 

 音は三つ。巨大獣の爪に斬り裂かれたかのような大きな斬撃痕が大イノシシの首元に付けられ、頭上にある二段目のHPバーが残り8割まで削られる。

 着地と同時にアベルの剣からライトエフェクトが消え、技後硬直も終わる。大イノシシの首元に微かに見えた獅子の爪のように見える深紅の残光がそのソードスキルの異様さを物語っていた。

 

 片手剣ソードスキル3連撃【シャープネイル】

 

「シズク!コイツさっきより強いぞ!」

「どうも今までが本気じゃなかったみたいね。やれそう?」

「やらなきゃ死ぬだろ?ならやるしかねえよな!!」

「それもそうね!」

 

 お互いに発破をかけて突進する大イノシシの攻撃を散開して回避。アベルの方を向いて再度突進をかけようとする。それを阻止するため私は動いた。

 これは半ば賭けだ。上手く行けば止められるし、そうでない場合は脚にダメージを蓄積させるだけになる。

 私の構えた槍の穂先が薄黄色いライトエフェクトを纏い独特の駆動音を鳴らす。使うのは単発技。しかし【プレオン】ではなく別のもの。

 やがてシステムが私の体を動かす。軽い跳躍から放たれる下向きの鋭い突き。後ろ足に見事命中。

 

「プギャオオオオオオンンン!!!(ビクビク)」

 

 ダメージは大したことはないが、今まで聞いたことのない甲高い声で大イノシシは鳴く。槍の命中した箇所から大猪の体表全体にかけて電気が走ったかのような紋様が描かれ、それに伴って大イノシシは巨体を大きく震わせた。

 どうやら私は賭けに勝ったらしい。

 

 両手槍スキル単発行動阻害技【モノポール】

 

 このスキルは両手槍スキル全体で見るとダメージそのものは大したことはないが、その効果が中々優秀な技だ。命中するとほんの数秒の間スタンが入り動きが止まる。更にこのスキルの真骨頂はそれだけでは無く、モンスターが技を発動するための予備動作中に命中させると強制キャンセルとなり、こちらが攻撃するための大きな隙を生みだせるのだ。

 

 私のソードスキルを受けた大イノシシは大きな音と衝撃を立てて転倒。衝撃波は各々の手段で躱すなり防ぐなりする。

 

「今よ!」

「「了解!」」

 

 大イノシシが動けなくなっている隙に私達は今使える最高威力のソードスキルを叩き込む。7割、6割と残りのHPを削っていき、残り5割に達すると思った所で大イノシシが起き上がる。

 

「ブギャアアアアアアアアアアオオオオオオオオンンンンンンンン!!!!!!」

 

 ──その咆哮は今までこの大イノシシから聞いたなかで最も禍々しい気を放っていたように思えた。

 

「なに…何なの?」

「こりゃなんか不味い予感がするゼ。一旦離れるゾ!」

「おう!」

 

 アルゴの意見に従い私たちは散開しつつ大イノシシから距離を取る。やがて突進攻撃を行う構えを取るが、何かがおかしい。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「これ、阻止したほうが良いやつかしら!?」

「イヤ、無理ダ!奴の周囲だけ滅茶苦茶揺れてル!近づいたラそれだけで転ぶゾ!」

 

 アルゴの言う通り、脚を踏み締める大イノシシの周囲だけ地面が揺れるエフェクトが見える。このままでは転倒のリスクがあり近付けない。

 

「来るぞ!」

 

 アベルがそう言った直後に大イノシシは何も無い壁に向かって走り始める。射線上に居なかったため避ける必要はなかったが、壁にぶつかった直後に速度を維持しながら急ターンしてくる。

 

「避けろシズク!」

 

 私に向かってくることをいち早く見抜いたアベルは私にそう命じる。何も考えずに飛び退いた数フレーム後に巨体が目の前を横切る。その速度は今までの比較にならないほど速い。今までの速度が町中を走る自転車くらいだとしたなら、コレはもう暴走した大型ダンプカーに匹敵しそうだ。

 その後も大イノシシは速度を維持したまま壁にぶつかっては急ターンを繰り返しながらフィールド内を爆走する。私達はそんな縦横無尽に走り回る大イノシシを目で追ってギリギリ避けるのがやっとだった。しかもそれがかなりの長時間続いている。

 

 ──こんなの…いつまでも続かない…!

 

 今まで私は速度と攻撃力を重視して防御力を上げることをしなかった。レベルアップで基礎的な防御力は上がったとしても上昇量はそこまででも無い。スピード一辺倒のアルゴは難なく避け、防御主体のアベルはギリギリ避けつつ当たりそうになったら盾スキルを発動して跳ね飛ばされないよう踏ん張る。

 けれどこの中で私だけがこの攻撃を本当の意味で防ぐ手段を持ち合わせていなかった。

 その結果何が起こるかと言うと──

 

「しまっ!?がはっ…!」

「「シズク(っち)!」」

 

 ──避け損なった!

 

 避ける方向を読み違えてしまった私は、突進してくる大イノシシの横腹に当たってしまい大きく弾き飛ばされた。

 2回3回と地面をバウンドし、かなり長い距離を転がる。これがリアルだったら生きていても全身強打の複雑骨折で一生車椅子が有り得たかも知れない。

 しかしこの世界はゲーム。全身を地面に打ち付けても痛みはなく、ただただ全身に不快な感覚が残るのみである。かなりの高速で地面を転がっていたため三半規管がやられたのか、視界がよく揺れる。辛うじて視界の隅に表示されている私達のHP残量は確認できた。私のHPは残り2割と少し。HPバーは私がこのゲームを始めて以来、初めての赤帯に突入していた。

 

 ──このままじゃ不味い…回復を…視界が定まらない。私の手ってどれだっけ?メニュー画面はどうやって開けば。

 

 遠くで音が聞こえる。何か重いものが走ってくる音だ。えっと私は何をするんだったっけ?そうだ回復だ。じゃないとHPが無くなって死──

 

『ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君らのアバターは永久に消滅し、同時に諸君らの脳はナーヴギアによって破壊される』

 

「…え?」

 

 なぜか唐突に思い出される茅場晶彦の言葉。

 

「…え?…あれ?…何で動けないの?」

 

 視界は戻った。思考も正常。ステータス上の異常は何も無い。しかし身体が動かない。

 

 この瞬間、ずっと考えないように、必死に目を逸らし続け、可能な限り遠ざけて来た現実が直ぐ目の前に迫っていることを漸く理解した。

 

 HPが無くなるとこの世界から消える。

 

 ──じゃあこの世界から消えると?

 

 死ぬ。

 

 ──死ぬってなんなの?

 

 死は、死だ。

 

 死。

 

 死。

 

 死。

 

 死。

 

 死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。死。

 

「ぃ…いやだ…」

 

 もうあと何秒かで大イノシシが私の方に到達する。そうなるともう助からない。それでも体に力が入らない。本能が、死に屈服していた。

 

「ブヒィイイイウオオオオオオ!!!!」

 

 あと2m。どうしてなのかは分からないが、この世界に来てからの思い出がフラッシュバックする。この世界そのものの凄さに感動して、アベルと出会って、一緒に街を出て、モンスターと戦って、いろいろなクエストをして、アルゴとも出会えて、3人でいっぱい冒険をして、これからもたくさんの思い出を作りたくて──

 

 ──どうしてだろう。

 

 現実でも楽しい思い出や苦い思い出の他に、幼い頃の初恋みたいな甘いものもあったと思う。けれどなぜか思い出されるのはこの世界に来てからのことばかりだった。

 現実にも置いてきた物はいっぱいあった筈なのに。

 

 ──どうしてだろう。

 

 そんな疑問も眼の前の現実の前に吹き飛ばされるのだろう。茅場晶彦の言葉が正しければ、私は大イノシシの突進攻撃でHPを散らされ命を落とす。けれど実際に殺すのは大イノシシでは無くナーヴギアだ。ナーヴギアに殺されるということは茅場晶彦に殺されるということなのだろうか?

 あと1m。

 

「…ごめんね」

 

 誰に対して言ったのかは自分でも分からない。現実に置いてきた家族なのか、それとも今ここで共に戦っている仲間たちに対してなのか。

 そうして覚悟を決めた時だった。

 

「うおおおおおああああああ!!!!!」

「アベル!?」

 

 残り50cm。しかし衝突する寸前に私と大イノシシの間に割り込むものが居た。

 

「グッ…ぐぬぬぬヌヌヌ!!!!」

「だめ…無茶よ…」

「うるせえ!黙ってろ!!」

 

 ジリジリと押されてこちらへと後退するアベル。満単に近かったアベルのHPは残り5割を切り、じわじわと減り続けていた。しかし少しずつ確実に大イノシシを抑え込む。

 

「今だアルゴ!」

「ウオラアアアアアア!!!!」

 

 アベルが抑え込んだ大イノシシの首下からアルゴの雄叫びが聞こえ、ソードスキルの命中音が聞こえる。

 

「ブィイイイイ!?!?!?」

 

 盛大に仰け反り二三歩後退る大イノシシ。そこへ畳み掛けるようにアベルはアニールブレードを肩に担ぐようにソードスキルの構えを取る。

 

「ぶっ倒れろこの豚野郎!」

 

 アベルがそう言うと、彼のステータス上の数値では考えられない速度で大猪に向かって跳躍する。薄黄緑色の残光が真っ直ぐ大イノシシに伸びて行き、アベルの右手に握られた剣が大イノシシの顔面を水平に斬り裂く。

 音速を超えたその跳躍に私は言葉を失うのだった。

 

 片手剣スキル単発跳躍斬り【ソニックリープ】

 

「ブイ!?ブイ!ブイ!ブヒィイ!!!」

 

 アベルに両目を潰されて所構わず暴れ散らす大イノシシ。しかしその時点でアベルとアルゴは距離を離して私の方へ集まってきた。

 

「シズク、立てるか?」

「ち…ちょっと腰が抜けて…」

「ほらヨ、掴まレ」

 

 アルゴに差し出された手を頼りに何とか立ち上がる。未だ震える体をアルゴに支えてもらって何とかメニュー画面を開き、回復ポーションを実体化させる。

 

「ホラ、少しずつ飲めヨ」

「ゆっくりだ。こぼしたら効果が小さくなる」

「うん…うん…」

 

 アルゴに背中を擦られて少しずつ落ち着きを取り戻す。回復したHPは残り8割。これで回復アイテムはすべて使い切ってしまった。

 

「まだアイツの目が再生するまで時間がある。この後はどうする?」

「破れかぶれの特効だっていいゼ?ここまで来たらやれるだけやっても良さそうダ」

「わ…私は…」

 

 助けてくれたお礼?足を引っ張ってしまったことのお詫び?それとも勝手に死を受け入れていたことへの罰?あ、えっと今何の話をしてるんだっけ?

 

「オイ、本当に大丈夫カ?」

「わ…わたし…わたし…」

「ッチ!」

 

 唐突に私の目の前へ回り込むアベル。私の両肩へ力を込めて手を置いた。

 

「シャキッとしやがれシズク!!」

「へ…?え?アベ…ル?」

 

 今までのアベルの声量からは考えられないほどの大声に一瞬我に返る。

 

「まず、ここまでおれたちをつれてきたのは誰だ?」

「わ…わたし…です…」

 

 ──そう。ここにみんなを連れてきたのは私の我儘(わがまま)だ。

 

「じゃあ次に、おれたちがここへ来たのは誰に言われたからだ?」

「…え?わ…わたし…?」

 

 だって私がボスと戦いたい言わなかったら誰もこんなところに来てなんて──

 

「違う!」

 

 そんな私の答えをアベルはハッキリと否定する。

 

「おれたちがここへ来たのは、おれたちがそうしたかったからだ!!シズクに言われたからじゃない。シズクに頼まれたからじゃない。おれたちがここでコイツを倒さないといけないと思ったからおれたちはここへ来たんだ!」

「っ!!」

 

 その時に思い起こされたのは三日前。私がフィールドボス攻略の話を持ちかけた時のことだった。




 長くなったのでパートを分けます。
 大丈夫、ちゃんと書いてるよ。
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