AI生成 FGO SS 鍋焼きうどん食べたい 作:日毎に特定の条件を達成
◆FGO短編SS
『穴子の火入れと夕暮れの台所』
台所に入ってきたぐだ子は、まな板の上に並ぶ細長い魚を見て、目をぱちぱちと瞬かせた。
「……今日の食材、それ? ちょっと高級じゃない?」
「穴子だ。せっかくだから、旬のうちに扱っておこうと思ってな。君にも食べてもらいたい」
エミヤはそう言いながら、すでに薄い白身を撫でるように包丁を滑らせている。骨の走る位置を指で確かめ、皮に残るぬめりを丁寧に拭い取る所作は、見ているだけで心地よいリズムを刻んでいた。
「穴子って、ウナギみたいにタレで焼くやつ?」
「もちろん蒲焼きもできるが、今日はもっと“素の旨さ”を感じてもらう。煮穴子だ。ふわりとほどける柔らかさが魅力だからな」
「ふわり……良い響きだね。絶対おいしいやつ」
エミヤは鍋に水と酒を落とし、昆布を沈める。沸騰する前に取り出すその動きは慣れたもので、香りだけで出汁の調子を読んでいた。
「穴子は火が入りすぎると固くなる。だから温度を上げすぎないように、煮汁を落ち着かせながら――」
穴子をそっと鍋に沈めると、白身がゆるりと反り返り、淡い香りが立ちのぼった。そこへ醤油とみりん、砂糖を気配ほどだけ加える。甘すぎない、香りだけの優しい味だ。
「……なんかさ、見てるだけでお腹すいてきた」
「それは良いことだ。食べる相手が腹を空かせてくれていると、料理は更に旨くなる」
言いながら、彼は落とし蓋を乗せた。穴子が煮汁に踊らないよう、平たく沈めていく。
「エミヤ、これって時間かかる?」
「急がなければ十五分ほどだ。だが――」
ぐだ子の手を軽く取って、菜箸を渡す。
「煮崩れない程度に、時々裏側を確認してくれ。煮物は、火にかけている間の観察がいちばん大事だ。触れすぎず、放置しすぎず、だ」
「は、はい……慎重にやります」
ぐだ子は真面目な顔で鍋に向かい、小さく穴子の身を持ち上げては、そっと戻す。そのたび、白身がふわりと揺れて、甘辛い湯気が頬をくすぐった。
「……あ、柔らかくなってきた……!」
「いい調子だ。火を止めよう。余熱で仕上げる」
エミヤは鍋を遠火に移し、次は器の準備に取りかかった。皿に少量の酢飯を盛り、上に刻んだ大葉と生姜を散らす。
「今日は、これに載せる。穴子丼……というには上品すぎるが、相性は抜群だ」
「酢飯なんだ! それは絶対合うやつ!」
余熱で仕上がった穴子は、箸で触れただけでほろりと崩れた。艶のある煮汁が薄く絡み、照りが控えめな分、身そのものの白さが引き立つ。
エミヤは一切れをそっと酢飯に乗せ、ぐだ子の前に置いた。
「さあ、味見してくれ」
「いただきます……」
ひと口。ふわり。すっと溶ける。
生姜の香りが後からかすかに立ち、上品な甘さを優しく運んでくる。
「……やば……やわ……しあわせ……」
「語彙が消えているぞ、君」
「だっておいしいんだもん……! なにこれ……ふわふわじゃん……」
エミヤは少しだけ満足そうに、しかし照れたように目線を外した。
「気に入ったなら、また作ろう。次は焼き穴子もやってみるか」
「やる! 絶対やる! 今日のこれ、忘れられないレベル!」
ぐだ子の声が弾んで、夕暮れの台所が明るくなる。
穴子の香りと、湯気のぬくもりと、静かに微笑むエミヤ。
そのどれもが、なんだか特別な一皿に感じられた。
六がおもいつかないから穴で