AI生成 FGO SS 鍋焼きうどん食べたい   作:日毎に特定の条件を達成

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『八丁味噌とうどんと、火加減のやさしさ』

◆FGO短編SS

『八丁味噌とうどんと、火加減のやさしさ』

カルデアの調理場に足を踏み入れたぐだ子は、ふわりと広がる香りに思わず足を止めた。

 

——味噌? しかも、なんか濃い香り……。

 

鍋の前には、腕組みしたエミヤ。

湯気の向こうで、ゆっくりと味噌を溶き入れている最中だった。

 

「エミヤ、今日の夕飯は……?」

 

「味噌煮込みうどんだ。君が昨日、温かくて濃い味が食べたいと言っていただろう」

 

「あっ……私そんなこと言ったっけ……言った気がする……!」

 

エミヤは微笑みだけで返し、鍋の火加減をひとつ弱めた。

ぐつぐつと煮えていた湯が、穏やかな音へと変わっていく。

 

ぐだ子は鍋の縁から覗き込み、鮮やかな赤褐色の味噌を見て首をかしげた。

 

「これ……普通の味噌と違う?」

 

「八丁味噌だ。固く締まった麹と大豆を使う分、旨味が強く、塩気よりもコクが前に出る。煮込みに耐えるのが特徴だ」

 

「へぇ〜……聞いてるだけでお腹すいてきた……」

 

「焦るな。火加減を間違えると風味が飛ぶ」

 

そう言いながら、エミヤは丁寧に、味噌をゆっくり溶き伸ばす。

その手つきがあまりにも静かで、見ているだけで心が落ち着いていく。

 

「八丁味噌はな、豚肉、鶏肉、根菜類と特に相性がいい。脂に負けず、旨味をしっかり抱え込む」

 

「じゃあ……今日の具材は?」

 

「鶏ももだ。脂の甘味と味噌の苦味が合わさると、深みが出る」

 

「深み……! そういうの弱い……もう食べたい……」

 

ぐだ子が唇を噛んで鍋を見つめると、エミヤは小さく笑った。

 

「急かしているわけではないが、うどんを入れようか」

 

「入れよう!! 今すぐ!!」

 

勢いに押されつつ、エミヤはきしめんのように太い生うどんを鍋へ滑り込ませる。

ぐつり、と音を立てて湯気が立ちのぼり、味噌の香りがさらに濃くなった。

 

「うわ……いい匂い……」

 

「八丁味噌は香りも強いからな。味の芯になる」

 

「味の芯……なんかエミヤっぽい……」

 

「何か言ったか?」

 

「な、なんでもありませんッ!!」

 

慌てるぐだ子を横目に、エミヤは蓋を閉める。

 

「三分だけ待て。その間に薬味を刻む」

 

「三分が長い……」

 

小さく嘆くぐだ子に、エミヤは包丁を動かしながら語り始めた。

 

「八丁味噌は、赤味噌の中でも特に発酵の期間が長いんだ。最低でも二年はかける。時間によって旨味が育つ、そんな味噌だ」

 

「……二年……?」

 

「そうだ。だから風味に層がある。すぐに消えない、余韻を残す味だ」

 

「余韻……なんか……深い……」

 

「料理とはそういうものだ。食べる側も、作る側も、手間をかけた時間に応えてくれる」

 

包丁の音が止み、蓋がそっと開かれた。

湯気の幕が晴れると、濃い色のつゆと、しっかり煮込まれたうどんの姿が現れる。

 

エミヤはどんぶりに具をよそい、七味と薬味を添えた。

 

「さ、どうぞ。熱いから気をつけろ」

 

ぐだ子は両手でどんぶりを抱え込み、恐る恐るひと口。

 

——濃い。けど、優しい。

 

八丁味噌特有の深いコクが舌を包み、鶏肉の甘さと合わさって、体の奥がゆっくり温かくなっていく。

 

「……っはぁ……これは……しみる……」

 

「気に入ったようだな」

 

「気に入るとかじゃなくて……これは……なんか、すごい……!」

 

言葉にできない、そんな味だった。

 

「明日も八丁味噌がいい?」

 

「毎日でもいい……!」

 

「毎日は飽きるぞ」

 

「飽きない……!」

 

ぐだ子の即答に、エミヤは肩をすくめつつ湯気の向こうで柔らかく笑った。

 

「では、飽きるまで作ってやるさ。……君の“明日”のためにな」

 

八丁味噌の香りが、ふたりの距離をやさしく温めていく。

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