AI生成 FGO SS 鍋焼きうどん食べたい   作:日毎に特定の条件を達成

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『旬は逃げない。火を通せば、なおさらだ』

◆FGO短編SS

『旬は逃げない。火を通せば、なおさらだ』

 

 夕方のカルデア食堂。

 昼と夜のあいだ、少し中途半端な時間帯。

 

 ぐだ子は椅子に座ったまま、机に頬杖をついていた。

 

「……なんかさ、今日はがっつりじゃなくていいんだよね」

「ほう」

「でもちゃんと美味しいやつがいい」

 

 わがまま、と言われても仕方ない条件だ。

 けれど、キッチンに立つエミヤは少しも困った様子を見せなかった。

 

「なら、野菜炒めだな」

 

「え、野菜炒め?」

 

「軽いが、手を抜けばすぐ分かる。

 この時期に作るには、ちょうどいい料理だ」

 

 そう言って、冷蔵庫から取り出されたのは

 新玉ねぎ、春キャベツ、アスパラガス、スナップエンドウ。

 そして、艶のいい豚バラ肉が少量。

 

「……色がもうおいしそうなんだけど」

 

「旬の野菜はそれだけで武器になる。

 新玉ねぎは水分が多く、火を入れると甘みが立つ。

 春キャベツは葉が柔らかく、炒めても繊維が壊れにくい」

 

 包丁がまな板に触れる音は一定で、迷いがない。

 

「アスパラとスナップエンドウは、

 今の時期が最も糖度が高い。

 歯切れの良さも残るから、炒め過ぎないのが肝だ」

 

「野菜炒めってそんな理論武装する料理だったっけ……?」

 

「単純な料理ほど、差が出る」

 

 フライパンを火にかける前、

 エミヤは一度だけ温度を確かめるように手をかざした。

 

「火は強め。

 水分を飛ばし、香りを立たせるためだ」

 

 油をひき、豚バラを先に入れる。

 脂が溶け出し、軽い音を立て始めたところで、

 新玉ねぎが投入された。

 

 じゅっと音が弾け、甘い香りが一気に立ちのぼる。

 

「うわ……もう反則」

 

「今は我慢しろ。

 玉ねぎが透き通る直前で、次だ」

 

 キャベツ、アスパラ、スナップエンドウ。

 色味を壊さないよう、手早く、しかし雑にはしない。

 

「味付けは塩を少し。

 胡椒は最後だ」

 

「え、醤油とか入れないの?」

 

「旬の野菜に濃い味は不要だ。

 豚の脂と塩、それだけで十分成立する」

 

 最後に胡椒をひと振り。

 フライパンを返し、火を止める。

 

 皿に盛られた野菜炒めは、

 鮮やかで、どこか涼しげですらあった。

 

「……いただきます」

 

 一口食べたぐだ子は、目を丸くする。

 

「なにこれ……軽いのに、ちゃんと満足感ある……」

 

「水分と油のバランスだ。

 この時期は身体が重くなりやすい。

 だから、消化の負担を減らす」

 

「優しさの理屈が全部料理に出てる……」

 

「理屈だ。優しさではない」

 

 そう言いながらも、

 エミヤはぐだ子の箸の進みを、きちんと確認していた。

 

「野菜炒めってさ、

 “とりあえず”の料理だと思ってた」

 

「それは間違いだ。

 旬を選び、火を当てるだけで完成する。

 だからこそ、誤魔化しが利かない」

 

 皿はあっという間に空になる。

 

「……なんか、身体が軽くなった気がする」

 

「それなら成功だ。

 この時期は、こういう料理を覚えておけ」

 

「うん。

 でも一人じゃ、この味にならない気がする」

 

 エミヤは一瞬だけ視線を逸らし、

 すぐにいつもの調子に戻った。

 

「なら、また一緒に作ればいい」

 

 旬の野菜は、逃げない。

 ただ、火を通すタイミングだけが、少し難しいだけだ。

 

 その日の野菜炒めは、

 身体にも、気持ちにも、ちょうどいい一皿だった。

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