AI生成 FGO SS 鍋焼きうどん食べたい 作:日毎に特定の条件を達成
◆FGO短編SS
『蟹殻ビスクのスープ』
キッチンカウンターに、赤く乾いた蟹殻が山となって積まれている。豪快さの中に妙な静けさがあるのは、殻がすでに役目を終えた抜け殻だからではなく、これから役目を与えられる“余地”を秘めているからだ。砕かれ、煮出されるのを待つ殻の硬質な赤は、どこか落ち着いた色合いで、厨房の主役の座を争う気配もない。
エミヤはフライパンではなく、深鍋を手に取った。柄を握る所作はいつも通り滑らかで、力が入りすぎない。バターの塊をひとつ鍋底に落とし、溶けるより先に香りが広がる。鍋が鳴くような音を立てる前に、エミヤはミートハンマーで蟹殻を砕き始めた。ガッ、ゴッ、カッ——硬い音は連続せず、一定のリズムで刻まれる。軍手で殻を押さえながら砕く手つきは無言で、無言なのに仕事が早い。砕かれた殻は大小の破片となっても散らからず、鍋に入るための形として整っている。
「何してるの?」
ぐだ子が横から鍋を覗き込んだ。興味と空腹のまざった穏やかな視線だ。
「スープの準備だ。今日は蟹殻でいく。殻は香りと旨味を濃くしすぎず抽出できる。副菜もいらない。まずは鍋で話す」
エミヤは砕いた殻を鍋へ投入した。バターと接触した瞬間、殻が軽く踊る。そこへ白ワインをひと回し注ぐ。じゅわりと馴染み、アルコールの尖りはすぐに飛び、香りだけが残る。玉ねぎを1/2個、人参を1/3本、セロリの葉を2枚、ローリエ1枚。今回は香草の主張を強くしない。殻の赤と柑橘の皮の爽やかさだけで充分だからだ。
「エミヤ、蟹って栄養あるの?」
ぐだ子が尋ねる。声は素朴で真っ直ぐだ。
「ある。蟹の殻にはカルシウム、キチン、アスタキサンチンが詰まっている。
骨や関節の維持を助け、出汁にすると吸収しやすい形で摂れる。
成分は熱でも壊れにくく、身体の酸化を抑える働きも強い」
エミヤはスープを混ぜながら、包丁をぐだ子に渡した。
「刻んでみろ。今日は実践だ」
ぐだ子はまな板に玉ねぎの残り半分を置き、ゆっくりと刻み始めた。涙は出ない。出汁の角を崩さない厚さで、繊維に逆らいすぎない短冊切り。ブロッコリーは房を割りすぎず、軸だけを薄くスライス。薄くと言っても削ぎすぎない。鶏の脂を受け止めるための厚みはちゃんと残す。白菜は芯を幅2cmで揃え、葉は手でちぎる。包丁を使わず“指で分ける”のは、葉先が柔らかく溶けすぎないよう距離を残すための工夫。
鍋はふつふつと沸き始めた。泡は荒くない。スープが濁らず蟹の赤と野菜の白がきれいに巡る。エミヤは灰汁をすくい、すくうたびに泡がひとつだけ消える。消えると言っても止まるのではない。進むのだ。
「さて、次はこれだ」
エミヤは鶏ももを取り出し、一口大よりわずかに大きく切った。だが切る前に、表面の温度を指で軽く触って確かめる。
ぐだ子は刻んだ白菜とブロッコリーを鍋に入れた。入れた瞬間、ふわりと温度が揺れる。しめじは散らさずそのまま投入。柑橘の皮を入れるからだ。オレンジとレモン。1/6枚の皮をスープに泳がせる。泳がせすぎない。沈めすぎない。ただ浮いている。
「シチューみたいに重くならない?」
「ならない。重さはパンで食べる時の話だ」
「今回は?」
「うどんだ」
「やっぱり!」
ぐだ子は驚きもない。なぜなら驚く必要がないからだ。分かっていた。日常だ。
エミヤはスープを10分ほど煮込み、豆乳を加えた。加える量は120ml。生クリームではない。今回は脂の重さを残さないため豆乳でいく。泡は立たない。スープの赤橙は輝きすぎず、食べる側の視線は戦わず、ただ満たされる。
「仕上げは?」
「黒胡椒ひと振り。塩は一振り。濃くはしない。続く満足のためだ」
ぐだ子はスープを椀によそい、うどんを入れた。
「いただきます」
ぐだ子はスプーンで一口食べた。熱さは戦わない。香りは飛ばない。飛ばないからこそ、身体はそのまま眠気へ落ちていく。
食べ終わり、エミヤは皿を片付ける。片付けというより、拭く。ぐだ子の心が軽くなっているのを、彼はただ視線だけで確かめた。
フライパンも鍋もまな板も、すべてが静かに洗われ、洗われた後の空気はいつも通り。だが今日は、いつもより少しだけ余韻が長かった。エミヤはその長さの中に、ほんの少しだけ満足という名の温度を置いていた。
やっぱりダ・ヴィンチちゃん宝具ボイス4増えてたなあ。
訂正指示なんど重ねても「ぐda子」ってなるんだ。最初はよかったのにどうしてかな。
そんな指示一度もしてないのに頑なに名前が変えられる。