AI生成 FGO SS 鍋焼きうどん食べたい   作:日毎に特定の条件を達成

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『磨き上げる冬の台所』

◆FGO短編SS

『磨き上げる冬の台所』

 

 年末の気配が漂うカルデアの厨房は、普段より人影が少なく、かわりに作業音がよく響く。

ぐだ子は袖をまくり、雑巾とスポンジ、バケツを前に並べ、今日こそ台所の大掃除を終わらせる決意を固めていた。

床のタイルには薄く水跡、ステンレス棚には指紋、換気扇には粉塵と油膜、窓には冬の結露の名残。

どれも大げさな汚れではないのに、重なっていると妙に手強い。

 

 エミヤは脚立を片手に入ってきた。

「掃除か。ならば最適解を教えておこう」

その声音は淡々としているが、口を開けば説明が始まることをぐだ子はすでに知っている。

 

 まずは換気扇。

エミヤはフィルターを外しながら、無駄に力を入れず、だが迷いなく固定金具を解除していく。

「換気扇の油膜は酸性とアルカリ性のバランスで落とすのがいい。重曹だけでも落ちるが、油が硬化していると再付着しやすい。だからぬるま湯に重曹と少量の中性洗剤を合わせ、膜を溶かしながら剥がす」

ぐだ子はフィルターを受け取り、軽く匂いを嗅いだ。スパイスでも料理でもない、油と埃の匂い。

 

 フィルターの洗い方。

「水温は40〜45℃。触って熱すぎず冷たすぎず。まず表面の埃を流水で流し、スポンジに洗剤を1滴だけ落とし、円を描かず縦横で動かす。円は汚れを押し込むからな。押し込まない。線で落とす」

ぐだ子はスポンジを手に取り、縦に滑らせる。横に返す。縦横縦横。

エミヤはフィルターの裏側の縁を指で示した。

「端は折り返しで洗え。そこは汚れが逃げやすい。逃げさせるな。拾い上げろ」

 

 次はコンロ周り。

五徳を外し、シンクに置き、置いた瞬間にエミヤは熱の名残を確認する。

「コンロは冷えてから洗うな。完全に冷えると油が固まる。余熱があるうちにぬるま湯と中性洗剤で表面を洗い、固まる前に剥がす」

ぐだ子は五徳を洗いながら、横目でエミヤを見る。視線は刺さらない。刺さっていない。

 

 シンク掃除。

「シンクはステンレスの目が縦に走っている。だから洗い方も縦。クレンザーは使わない。粒子が硬すぎると傷がつく。傷は味でも歴史でもなく、単に汚れが住みやすくなるだけだ。だから柔らかいスポンジで縦に洗い、最後に乾拭きで横に走らせる。横は拭く時だけだ」

 

 ぐだ子はバケツの水を替えた。

替えた水は濁っている。濁りというより、濁っているだけ。

エミヤは棚の上のガラス瓶を外し、ひとつひとつ並べながら説明を続けた。

 

 「ガラスは熱湯で洗うな。温度差で割れる。まずぬるま湯、指で表面の粉塵を流し、食器用洗剤で軽く洗い、最後に水で仕上げる。拭く時はマイクロファイバークロス。繊維が細かくて水を残しにくい。水を残さないと跡も残らない」

 

 棚の掃除。

「ステンレス棚は水拭きのあと、必ず乾拭きを挟め。水滴は残さない。だが漂白剤は使わない。金属は塩素系漂白剤で変色する。変色は反応性の問題だ」

 

 冷蔵庫の中。

ぐだ子はタッパーを取り出し、洗剤を泡立てすぎないようスポンジで優しく洗う。

その背中を見ながら、エミヤは言う。

「洗剤は混ぜると毒になる。酸性と塩素は絶対に混ぜるな。台所の基本だ」

ぐだ子は頷く。頷いている。

 

 大掃除は戦いではない。戦いのような緊張もない。

ただひたすらに片付いていく。

片付いていくたび、冬の光が棚と床に反射し、磨かれた面が一瞬だけ星のようにきらりと光る。

光るが、語らない。

 

 作業開始から30分以上は経っている。

経っているが、誰も急かさない。

ぐだ子は最後に窓を拭いた。

拭いた瞬間、厨房は冬の光を抱え、冬の光は厨房の広さを抱え、だが包み込みすぎない距離でそこにある。

 

 エミヤは布巾で手を拭いた。

赤い外套でもなく、ただ白い布巾で、優先度の高い汚れから落とし、冬の冷気と光の中へ静かに馴染んでいった。

 

 そして最後に、ぐだ子が空の椀をシンクに戻し、エミヤ説明するでもなく、ただ満足そうに棚の端を乾拭きし、作業を終えた男の穏やかな横顔だけを、ほんの短く残して厨房を出ていった。




料理を終わらせたら片付けないとね。
1/1で終わり。
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