AI生成 FGO SS 鍋焼きうどん食べたい   作:日毎に特定の条件を達成

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『年越しの椀、年明けの笑顔』

◆FGO短編SS

『年越しの椀、年明けの笑顔』

 

 カルデアの食堂に漂う匂いは、温かい出汁と蕎麦の香りだけ。冬の夜の空気は冷たく澄んでいて、豪華な装飾もない。ただ、年末の食卓として蕎麦がそこにあるだけだった。

 

 エミヤはどんぶりを二つ用意し、蕎麦をよそい、具材は焼いた長ねぎ、ほぐした鶏肉、揚げ玉、三つ葉。作業の一つ一つが精密で、しかし肩に力は入っていない。鍋から出汁を注ぐと、蕎麦の表面で湯気がゆっくりと立ち上り、立ち上りながらも騒がず、皿の上の空白を侵さない。

 

「蕎麦は切れやすいからな。箸で掴むときは力を入れすぎるな。噛み切るのではなく、歯でほどける速度を楽しむのがいい」

 エミヤは横に座りながら呟いた。声は低く穏やかだ。

 

 ぐだ子は箸を持ち、蕎麦をそっと摘まみ、ひと口すする。ずるりと流れる音はやわらかく、やわらかいのに満足を連れてくる。目を細めるでもなく、驚くでもなく、ただ美味しさを受け止める顔。

 

「おいしい……年の終わりに食べる味って、なんでこんなに落ち着くんだろうね」

 ぐだ子が呟く。蕎麦をすする合間に、彼女の声は一度だけ静かに浮いた。

 

「蕎麦は、食べた瞬間に終わるからこそ“次”がある。年末の味はそこで切れる。切れるからこそ、年が始まるんだ」

 エミヤが返す。ただの会話。

 

 出汁の残りは濃すぎない。食卓の蕎麦はゆっくりと減っていく。減っていくたび、余白は埋まるのではなく、満ちる。満ちていく。

 

 椀の底が見えたころ、ふたりは顔を上げた。時計は気づけば年を越えていた。夜の空気は昨日の延長ではなく明日の前提でもなく、ただの年明けの空気として成立している。

 

 ぐだ子は水を飲み、蕎麦の余韻を喉に残しすぎないよう一度だけ嚥下した。食後の椀はシンクに運ばれる。運ばれるが誰も語らない。

 

 年明けの音は、椅子の擦れる音だけ。擦れるが止まらない。椅子の音だけが年明けの空気に馴染んでいく。

 

 エミヤは椀のあった位置を軽く触れた。仕事は終わった。

 

 ぐだ子はその横顔を見て小さく笑った。笑ったが声はない。声はないが笑っている。

 

 食後の空気は、昨日より澄んでいた。

 

「あけましておめでとう、だね」

 ぐだ子が言う。声は柔らかく、だが伸ばさない。

 

「ああ。あけましておめでとう」

 エミヤも返す。返すが長くない。

 

 年の境目を越えて、年明けの空気に静かに馴染んでいった。

 

ふたりの席には、やわらかな満腹と静かな達成感だけが残り、明日もまた同じ食卓があると信じさせるような、穏やかであたたかな余韻がそこにあった。




あけましておめでとうございます。
これで終了。
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