「よう、霊夢。」
「…。魔理沙。」
「そんなにぽけーっとしてどうしたんだ?まあ、異変が無くて平和で暇なのは私もそうだが。」
いつもは霧が出たり冬が終わらなかったり、夜が明けなかったりで忙しいから。
何もない方が貴重になってきている気がする。
「やっぱり、私は、『博麗霊夢』として生きていくしかないのかしら?」
ある日の神社。異変も何もない日常。
「ああ?お前は最初から『博麗霊夢』じゃないか。」
「本当の私は『博麗霊夢』なの?私はどうあればいいの?」
「どうしたんだ霊夢?お前は生まれた時から博麗の巫女を継ぐことが決まっていたんじゃないか。」
「そう…だったかしら。」
そうだ。私が物心ついたころには『博麗霊夢』がいた。
「ああ、そうだ。お前が『博麗霊夢』であることは私が『霧雨魔理沙』であることと同じで必然だ。それをどうして疑うんだ?」
「いいわねあんたは。」
霊夢の瞳が私を見る。
「真っすぐに『霧雨魔理沙』として生きていけて。」
霊夢はそう言った。でも私は真っすぐじゃない。『霧雨道具店の娘』という名を捨てた私は歪みきっている。歪んで歪んで…。そうして『
「お前の方が真っすぐだよ。私は進むべき道から逸れた人生を送っているんだ。」
「私はもう、真っすぐに生きることなんてできないのよ?歪みきった私の人生はもう、真っすぐに戻すことは出来ない。」
「私にだってできないさ。」
あの頃の『お嬢様』に戻ることなんて。もう二度と出来ない。
「真っすぐな人生を捨てて、歪んだ人生を選んだんだ。もう、私はそこで生きていくしかない。だろ?」
「時々思うの。真っすぐに生きていたらどうなっていたんだろうって。」
「私は戻りたくない。真っすぐになるならもっともっと歪んで生きていく方がいい。」
もうあの頃には戻れなくても、私は。
「私は今も魔法に憧れてるんだよ。」
この憧憬は誰にも止められない。
「私のこの人生が真っすぐになるように、この想いを貫いて生きていくんだ。」
そうだ。霧雨魔理沙は魔法使い。いつまでも普通の魔法使いであり続けるのだ。その道がいつかきっと真っすぐな道となる。
「分かったか、霊夢。と言うわけだから私は真っすぐに生きて飛んでいくんだよ。」
「まあ、だから『博麗霊夢』として生きるんじゃなくて思うがままに生きていけばいいんだ。」
『博麗霊夢』という概念から飛んで、自由にこの