ゴルシちゃん道五十三次──feat. 入法界品── 作:おうちしってぅ?
野郎、オブクラッシャーっ!! アタシは黄金の右膝に渾身の霊力を込めると、しずしずと扉を開いた。
「たのーみーまーしょーう!」
大人しい扉の音とまるで対照的なアタシの声が響き渡る。この調子なら56億7000万年後に開催される、声でワイングラス割り選手権15位は間違いないぜ。
「庭詰めかい? 禅寺は先週で廃業なんだがねえ」
くっ、やりやがる。軽妙なジョークを飛ばしながら、強いくせっ毛の栗毛が現れる。トレセン学園のドク・ブラウンこと、アグネスタキオンだ。
「おうおうおう、おめえにゃ聞きてえことがあるのよ、1.21ジゴワットを用意する手段をキリキリ吐きな!」
「大体予想はつくけども、一応聞かせてもらえるかい」
「──ライスシャワーはどこだ?」
ゴルシちゃん特有の美少女フェイスを、限度いっぱい凄みに変換する。アタシは意外と可愛い系だから、この作業には左利きが右手で箸を使って小豆を移し替えるくらいの精神統一を要求する。消費MPにして8は下らない。
「ふぅん、誤魔化しはためにならないようだね」
タキオンは意外と察しがいい。手元の研究資料を無造作にちぎり取ると、アタシのポケットの矢立を取り出して、何かを書き付けた。
「ここに行きたまえ。答えは自ずと分かるよ」
「ああ、助かるぜ……資料はいいのか?」
「心配はいらない。もう全部ここに入ってる」
栗毛のこめかみを指し示す。
「そうかい、ならアタシは米価の安定を政府に要求するだけだぜ」
踵を返す。
「待ちたまえよ」
空を切る音。後ろ手に受け取る。粗末な小箱。
「説明書は同封してある……ライスくんを、頼んだよ」
「あたぼーよ」
雪より白い芦毛を靡かせて、アタシは研究室を後にした。
ミミズがのたくるよりひでー字をやっとこさ解読し、アタシは指定の場所にやって来た。タキオンは毛筆に不慣れなようだった。こんなことなら昨日作った蝋引き板に、スタイラスを付けて持ってくるべきだったぜ。
コナンとドイルの事前調査に従って、丁寧かつ無遠慮に、アタシはラーミアから地面に降り立った。
左手は添えるだけ、侵入は裏口から。……ドアノブに手をかける。アストロンをかけられたようにビクともしない。クソッ、メフィラス星人より悪質なトラップだ。やむなくアタシは、Umazonで購入しておいたヴィンテージものの鉤縄を、壁に仕掛けて先に進んだ。
それからは苦難の連続だった。蘇る古代の恐竜、蘇る古代のファラオのミイラ、蘇る暴君ティムール。それらの全てをアタシたちは迎撃し、出逢いと別れを繰り返し、時に仲間を失いながら、とうとう屋敷の最奥までやってきた。蘇ってばっかじゃねーか。
ここまで辿り着いたのはアタシ一人だった。四天王を食い止めている仲間たちのためにも、アタシは必ずライスを連れ戻さなきゃならない。……よし。アタシは一呼吸ついて、決意を新たにした。
「いくぜっ! コナン、ドイル! アタシに続けぇえ!」
「おう!」
「合点だぜゴルシちゃん!」
アタシは単身、扉を蹴り開け、伝説の呪文『ドアストッパー(メルカリ10円、送料1500円)』で戸締りを未然に防いだ。コナンとドイル? いるわけねーじゃん。お陰で大塩平八郎の乱は彼の同僚の死で済んだ。どっとはらい。
次回予告! やめて! ラーの翼神竜の特殊能力で、ギルフォード・ザ・ライトニングを焼き払われたら、闇のゲームでモンスターと繋がってる城之内の精神まで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないで城之内!
あんたが今ここで倒れたら、舞さんや遊戯との約束はどうなっちゃうの?
ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、マリクに勝てるんだから!
次回「ゴルシちゃんは永久に不滅です」ジャン、ケン、ポン! 拳(21歳) ウフフ❤️