ゴルシちゃん道五十三次──feat. 入法界品── 作:おうちしってぅ?
前回のあらすじ! 伝説の書『システム手帳』の記述から、ついにサイアークの真の目的を見破ったゴルシちゃん。しかしデンマーク語でくしゃみをした折、喉からジャガイモ(男爵、3歳牡、母父マンノウォー)を吐いたことから、その死期が近いことを悟る。
ゴルシちゃんがスーパー美少女ゴルシちゃんへと変貌を遂げる前に、なんとしてでもヤマトの妹を救出せねばならない。そう決意したゴルシちゃんは、禁術のためドイルをリリースすることを提案。無事に妹の救出に成功した。Q: 死者蘇生じゃアカンかったんですか? A: 妹は特殊召喚の対象になりません。
「おめー……ハルウララ……!」
アタシは戦慄した。親玉がハルウララなのは知っていた。しかし……ハルウララが親玉だったなんて……こんな……。
これは、アリストテレス論理学的に表現すると親玉がハルウララであり、ハルウララが親玉であるということになるが、「p ⇄ q」と一般化することができるとされています。
「まだだ……金剛般若経の教えに従えば、ハルウララが親玉ではないことはまだ立証できるはずだぜ!」
「甘いねゴルシちゃん……ハルウララは親玉でない。ゆえにハルウララは親玉である、だよ」
ウララが尋常でないオーラを放つ。
「私心で論理をまげるなんて、よっぽどショックだったらしいね?」
否定できねー。だが今は目の前の危機をなんとかするしかない。動揺をグッと飲み込み、アタシは黄金の両膝に、ありったけの霊力を注ぎ込む。開く扉がない弱みがあるが、シノいでサバくには十分だ。趙治勲(名誉名人・二十五世本因坊)もお墨付きを与えていると母の父の父の父の腹違いの弟(Sさん、代表産駒トウカイテイオー)が言っていた。
「そこが甘いといっているのだッ!」
何っ! 10の10、天元、飛車!? 完全に上回られた。右辺の二眼と下辺の要石にフォーク、まさに神の一手。佐為が成仏していくのが分かる。アタシの膝の霊力が霧散していった。
「待てよゴルシちゃん、10の9にツケから行けば上辺の大石が死ぬぜ」
「エースブレードォ!」
ドイルは死んだ。ウルトラ長ドスによって首を刎ねられたのだ。ボーパルバニー以来の恐るべき殺人刀ではあるが、助言は大罪なので致し方ない。アタシは碁盤の血だまりにドイルの首を据えた。
「!? 何っ……何だと!?」
ウララが驚きにゴルシちゃんよりぷりちーな顔を歪める──ゴルシちゃんはあくまでオトナな可愛さ兼任なので、ロリータな可愛さ基準ではいささか分が悪いのである──突如として扉が閉じ始めたからだ。
「ッ!! そうか! ドアストッパー!!」
ゴルシちゃんとしたことが気付かなかった。危うくドイルの死を無駄にするところだったとは情けない。ドイルが墓地に置かれていることがキーになって発動していたドアストッパーは、ドイルの死をきっかけに機能を失い、再度ドアが閉じ始めたのだ。聖典にもこうある。『Q: ドイルが墓地から除外された時、ドアストッパーの効果は解除されますか? A: されます。』
一瞬、だが十分。これなら佐為無しで霊力が込められる! ドイルには今度焼肉奢ってやろ。ハラールのやつ。
「うおおおおおおっ、ファイヤーーーッ!!」
「ばかな……こんなことがっ、このURARAがァァァァァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」
アタシの全身全霊の飛び蹴りが決まった。今やウララはその邪気を祓われ、お布団でスヤスヤ寝ている。
アーサー! コナン! ドイル! 終わったよ……。
アタシはその場にくずおれ、涙を流した。何を失くしたのかも分からないくらい、たくさんのものを失くした勝利だった。
「待ちたまえ、ゴールドシップ君」
「てめーは……タキオン!?」
「喝ーーーッ!!」
以心伝心、言語道断、不立文字。その一語に全てが込められていた。アタシは大悟徹底した。そうだ。初めから何も失うものなんてなかったのだ。コナンもドイルも、アタシの声真似だし。
「ふふふ、禅寺は廃業したはずだったんだがねえ」
牧場生まれのTさんってすごい、アタシは改めてそう思った。
どっとはらい。
エピローグ! 平穏を取り戻した日常。滅尽定が解けたオグリクローンは、天下の福田として托鉢と説法に励んでいた。ウララは地元のアイドルとして大人気。アグネスタキオンは禅寺こそ廃業したものの、細々と弟子を抱え、蒟蒻屋として旅の雲水をあかんべーでやり込めている。ライスシャワーは過去の経験を活かしてソーセージ屋として成功をおさめ、吉村と村田は病院で息を引き取った。
アタシはその後三連覇のかかった宝塚記念で無事うまだっちし、有馬記念を経て無事トゥインクルシリーズを走り切った。その後は天才ラーミアジョッキーとしてG1を総ナメしている。馬券? 金返せ? 何のことだよ。
ゴルシ先生の次回作にご期待してんの? いい呼吸器内科紹介してもらえよ、悪いことは言わないから。
ほんとのほんとにどっとはらい。