勝利の女神:NIKKE 〜Nobody can take your place〜   作:乾エルト

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指揮官編です。
ニケの活躍見たい人多いと思いますし中身は他の方よりももっと酷いと思われるミリタリークソ強で裏社会的なニケからもキャーキャーされるみたいな指揮官ですのでテンプレ的な「でしゃばり指揮官」だと思って見てください。
見れたらですが。


第28話:トラウマ

 ───ニケは、いつの日か差別されるようになった。

 

 彼女達の元を辿れば、同じ人間の筈なのに。

 どうしてこうも、差別は終わらないのか?

 

 ニケの人権が見直されたきっかけは様々ある。

 初の芸能人ニケ、プリティーの死。

 200(にん)ものニケが脱走を図ったゴッデスフォール事件。

 ...他にもあるが、これらの出来事に比べれば俺が関わった事件はとても小さく、そして大抵の人が知らない出来事だ。

 

 もう忘れ去られたであろう出来事...。

 だが、それでも俺は...忘れる事が出来なかった。

 

 

 

 ───ある日の事だった。

 

 俺が指揮する部隊...リプレイス第52部隊は、()()()依頼を受けて地上に向かった。

 

 士官学校にいた時から個人情報は何故か流出していて、こうして誰彼構わず指揮官に依頼をする事がある。

 人探しから物品回収───場合によっては人殺しを依頼する奴もいると聞いたが...大抵は殺し屋かアウトローに頼むからそんなのは稀だし、こちらではそんな依頼は来ない。

 ...来たとしても、拒む所だ。

 

 

 依頼の内容は、『物を探して欲しい』との事。

 物は指輪を紐で結んだネックレスのようで、何故かその探し物に()()()があった。

 

 

「...依頼主も不思議ね。

どうして地上に指輪を置いていったのかしら?」

 

 フラワーがそう訊く。

 依頼主が年配の方か孫の可能性もあれば、自分の部隊にいるニケ達のように、もしかしたら記憶を保持しているニケの可能性もあるが...そんな事を考えても自分の中にある違和感を拭う事は出来なかった。

 

 

 依頼主の物があるとされる建物に着き、その中へ入る。

 建物は10階建の高層マンションで、不自然に感じる光景。

 何故なら周りにその建物以外無いからだ。

 

 依頼主はこの建物の存在を知っているのか...もしそうだとしたら不気味に感じる。

 俺はその事を考えないようにし、建物の中へと入っていった。

 

 

 10階建...探し物を見つけるには時間が掛かるだろうし、全員で一部屋二部屋探すのは要領が悪い。

 俺は彼女達にペアで5手に分かれて探すよう指示し、()()2()3()が一緒に行動する事にした。

 

 フラワー達は俺達の組み合わせ(ツーマンセル)に軽く茶化すが...こうしたのは前々から23の様子が"何処かおかしく"感じていたからだ。

 

 

 

 ───いつからだろうか、23の口数が減ったのは。

 

 あまり口数の多いニケだとも思っていないが、それでも感情は08や12と比べたら豊かな方だ。

 

 いつからか、彼女は上の空になる事が多くなり...休みの時は外出する事も増えた。

 

 

 ...ニケ達のプライベートまで干渉する気はない。

 だが、何故か自分の中での胸騒ぎが酷かった。

 

 

 

 23と共に9階と10階を捜索する。

 コンクリートで出来た長い階段を渡った後だから疲労感に襲われるが、23は平気そうだった。

 

「23...大丈夫か?」

 

「はい?

私は大丈夫ですが...」

 

「そうか...。

あっ、俺と2人の時ぐらい気軽にしてて良いんだぞ?」

 

 23は大丈夫だと答えるが、俺は何処か緊張しているような雰囲気を感じ取る。

 リラックスさせようと気に掛けるが、彼女は苦笑いしながら遠慮した。

 

「ふふっ、大丈夫ですからね」

 

「分かった。

でも無理はするなよ」

 

「はい」

 

 彼女が返事をした後に見せた微笑みに、何処か()を感じながらも俺は物探しを始めた。

 

 

 俺達は向かい合っている部屋をそれぞれ調べる事にした。

 

 23が反対側の扉を開くと同時に俺も扉を開いて部屋に入ったが...信じられない光景だった。

 

 

 ───部屋の中は何事も無かったように整っていて、まるで地上が荒廃している事を忘れそうになる...いや、夢だったのだろうか?

 

 部屋には埃一つもなく、窓からは光が差し込む。

 だが、窓の向こうは見えない...その眩しさは不自然だった。

 

 だが、何処か懐かしさを憶える。

 懐かしい、子供の頃の記憶...そんな感情を抱いた。

 

 

 部屋の隅には、フライングチェアに座った女性がいた。

 

 その後ろ姿はプロダクト23に似ているが、俺には()()()があった。

 

 23の可能性もあるが、彼女は俺とは別の部屋にいる。

 俺は"とある名前"をその人物に言うと...彼女は優しく、当時のような声で返した。

 

「"マリア"...?」

 

「───ふふっ、なあに少年?」

 

 穏やかな声。

 そして、プロダクト23がバイザーを外した時のような、綺麗な青い瞳と姉のような温かい笑顔。

 彼女の横顔を、()は忘れられなかった。

 

「マリア...どうしてここに...?」

 

 僕は椅子に座って揺れている彼女に触れようとしたが...背後から()()()()()寒気を感じた。

 

 

 ゆっくり、後ろを振り返ると...()()()()いる。

 そこにもプロダクト23(マリア)がいた。

 

 彼女は僕を掴む。

 そして僕は、掴まれると同時に目の前が暗くなっていった。

 

 意識の途絶える前、彼女の顔を見る。

 彼女の目は、()()()()()()()()()真っ暗だった───。

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