勝利の女神:NIKKE 〜Nobody can take your place〜 作:乾エルト
───ニケになってから、よく夢を見る。
戦場とは違う、日常的な夢。
それは、暖かく。
懐かしくて。
悲しい記憶だった。
早朝───私は微かに残った記憶を頼りに、ある所へ向かう。
そこは喧騒から離れた共同墓地で、私はよくここに訪れていた。
仲間の
そもそも、この格好は私に合っているのか...。
墓地の近くにある丘から墓地を眺める。
...そこには時折誰かがいた。
20から30代位の男...彼はスーツを着ていて、指揮官に少しだけ似ている。
私は墓石と一緒にその男の人をぼんやりと眺めていた。
男が墓石を後に振り向くと、私達は偶然目が合ってしまう。
いつもの私なら彼から身を隠すが...今回はもう遅く、そのまま目を合わせてしまった。
そんな時に少し強い風が吹いてしまい、帽子が飛ばされる。
私は帽子を取り戻そうとするが...彼の方が一足先に帽子に向かって走り、遠くに飛ばされる前に掴み取った。
帽子を取ってきた彼は、私に近付いて帽子を渡した。
「あ、ありがとうございます...」
「大丈夫だよお嬢さん。
あぁっ、僕は悪い人じゃないよ」
男は警察手帳を見せる。
彼はA.C.P.U.のようで、階級は警部補...恐らく刑事なのだろうと思った。
「僕は手帳にも書いてある通り、"イレンツォ・カーマイン"。
───あれっ...君はもしかして、ニケかい?」
「あっ...あの...」
私がソルジャーF.A.だという事に気付いたのか、カーマイン刑事はニケか訊いた。
この人はニケフォビアかもしれない...そう思った私は帽子を受け取った後、彼に頭を下げてすぐにその場から離れた。
その後、宿舎に帰るとオーシャンが私を出迎えた。
「おかえりなさい」
「ただいま...」
「朝ごはんは出来てるわ」
「いつもありがとう...今食べる」
オーシャンは私の事を察しているのか、それとも興味がないのか、あまり詮索しない。
...どちらにせよ、詮索しないのはこちらにとっても安心だった。
朝食を食べた後、いつも通り任務をこなし、宿舎に戻る。
...やっぱりあの人が気がかりだ。
「ファル、どうしたの〜?」
「───あっ。
いえ、何でもありません...」
「へぇ〜そんな風には見えなかったけどな〜。
もしかして好きな人でも出来たの?」
「ち、違いますっ!!」
...オウルに揶揄われてしまい他の仲間を巻き込みかけるが、あの日以来...私はカーマイン刑事の事が気になって仕方なかった。
ただ───恋とは違う、この気持ち。
何処か繋がってるような感覚。
私にとって、あの人が何者なのか再び確かめないといけなかった。