師匠系爺に憧れて   作:武神祭

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幼き武人①

 ベガルタ七武剣。

 『剣の国』と称される程魔剣士の実力が尊ばれるその国にはベガルタ七武剣と呼ばれるベガルタを代表する七人の魔剣士がいた。

 

 約百年前、ベガルタの七武剣も参加した大会にて流浪の魔剣士が参加。ベガルタの民は七武剣は勿論自国の民の勝利を疑わなかった。すぐに敗退するだろうと

 

 が、七武剣の頭目は1回戦にて敗退。降したのは流浪の剣士……戦鬼・ハクオウであった。

 

 そのまま残りの七武剣も降し優勝。ベガルタの一人の貴族が彼を傭兵として雇い、一応はベガルタ所属となり、その後反乱に加わった。

 

 何でも嘗て10万の兵を失ったベガルタは群雄割拠の時代となり、妙な組織が干渉し統一されたが以来その組織に深い所まで支配されていたらしい。

 

 その組織はかなり悪辣で、ハクオウを雇った貴族はそれに逆らえる力を手にする機会を狙っていた。

 

 ハクオウに鍛えさせた魔剣士達と共に内乱を起こし組織と癒着していた貴族を襲撃。ベガルタ七武剣の内、組織と無関係の者達も引き込み規模は拡大していく。

 

 その際に高い生命力を持つ害竜マラクも現れたりしたが、ハクオウが嬉々として狩りに行った。切っても死なぬ不滅の竜。否死(しなず)の呪縛に支配された竜……………の()()()

 

 実はベガルタに来る前霧の竜という伝説的な存在と殺し合い負けこそしなかったが命脈を断つこと敵わなかったハクオウにとって丁度いい練習相手。

 

 哀れマラクはマラクを生み出した施設に保管されていた全てが解放されるも戦鬼の剣に刻まれた。その後マラクの住み着いていた地はマドリーからマラクの死地(マラクモルト)と名を変えハクオウに譲られた。

 

 マラクという最終兵器も通じないのを見た組織はベガルタから撤退。僅かに残った残党も殆ど発言力を失った。

 

 因みに政権交代の混乱の最中にあったベガルタに攻め入ろうと多くの国が動き、結果的に戦乱が起きたりした。

 

 その結果、様々な国に傭兵として雇われるハクオウにより長い年月をかけて魔物の様な獣を相手するための剣技に移行し廃れてしまった対人剣技が各地で復活するという、ある組織にとっては悪夢のようなことが起きた。

 

 戦鬼が姿を消し死亡説が囁かれ始めても、戦乱が終わり再び対人の流派が廃れ始めても、ベガルタでは戦鬼の教え、そこから派生した対人剣技が根付き今でも周辺国家有数の対人特化の魔剣士が所属する。

 

 

 

 

 

「強いですよ、ベガルタの戦士は…」

 

 武神祭。各国から腕に自信のある魔剣士達が参戦する大会にアイリスも初参戦。年齢的に若過ぎるという声もあったが、最強の魔剣士の弟子という誇りがアイリスを後押してしまったのだろう。

 

 そんな彼女の最初の相手は若くしてベガルタ七武剣に名を連ねる女傑カレン・フォン・ヘルツォーク。

 

 因みにハクオウは完全に忘れているが、ヘルツォーク家はベガルタ内乱の際旧体制側に付いてハクオウにその殆どを殺されて滅びかけほぼほぼ没落状態になった家だ。カレンが力こそ全てのベガルタで再び嘗ての栄光を取り戻したが。

 

「私より、ですか?」

「さて、それは勝負が決まるまで判りますまい」

 

 ハクオウだって自分より魔力量、膂力の多い存在と戦ったことはある。幼き頃は技量も上の者共…………。だが、勝ってきたのはハクオウだ。

 

「貴方が彼女より強いかは、貴方が彼女に勝って決まることです」

「はい!」

 

 

 

 

 『天賦の剣』アイリス・ミドガル。

 七武剣『流星(ながせ)』のカレン・フォン・ヘルツォーク。

 

 オッズはやはりカレンが高い。アイリスは大穴扱いだ。さもありなん。

 

「……………一つ、聞いてもよろしいか」

「なんでしょう」

 

 カレンはチラリと来賓席で佇む老兵を見る。

 

「貴方は今、あの方に師事していると聞く。その貴方に勝てば、あの方は再びベガルタにて我等を育ててくれるだろうか」

「……………………は?」

 

 アイリスの顔から表情が消えた。

 

「嘗てベガルタの腐敗を正した先々代皇帝の友にして懐刀。近年、妙な組織がベガルタの貴族に寄生し始めている。今一度、彼の御方にお戻り頂き、その剣をベガルタの為に振るって頂きたいのだ」

「……………お師様は政争に興味はありません。何より、己の意思でお父様の誘いを受けました」

「実力を示しても、私を弟子としベガルタに来て頂けない、と?」

 

 何処か必死さを感じさせるカレン。彼女は彼女なりに国を思い、剣鬼の力を欲したのだろう。手にしたものが天下を取る、なんて言葉が嘗てあったそうだ。

 

 長き間、秘境の鎖国された国に留まっていた間に伝説は文字通り伝え聞くだけになった今、彼を最も敬っている国は神聖視している剣の国ベガルタ帝国ではあるのだろう。ひょっとしたらミドガルよりも好待遇を受けるかもしれない。だが………

 

「何を勝つ前提で話を進めている」

 

 吹き出す紅の魔力。

 魔力に優れた王家の中でも特に膨大な魔力量を誇るアイリスは、純粋な身体強化とそれに合わせた剣技だけで並の魔物の群れすら壊滅させる程強く、この国にハクオウが仕えなければ若くして王国最強になっていたことだろう。

 

 そんな戦に愛されし天賦の放つ魔力にカレンは思わず冷や汗を流す。子供とてベガルタにおいては神にも等しいハクオウに育てられた少女。油断する気はなかったが、生来の性分故に子供に怪我をさせるわけには、という迷いを持ってしまったことを恥じる。

 

 彼女は立派な武人だ。

 

「謝罪を………一人の武人として、手合わせを願います」

 

 炎のように揺らめいていた紅の魔力が勢いを減らす。しかしそれは魔力を減らしたのではなく、濃縮しているのだ。

 

 試合開始の合図とともに2人の足元の石畳が砕けた。

 ほぼ同時に響く金属音。槍の穂先と剣がぶつかり合う。凄まじい衝撃が結界内に吹き荒れた。

 

 


 

バタフライエフェクト

 

周辺国家→戦鬼の存在が結果的に戦争を増やし、原作世界より対人剣技が隆盛。その後教団が頑張ってオリアナみたいに減らそうとするもそこそこ残ってる。

 

ベガルタ帝国→戦鬼を神の如く崇めて彼が広めた桜華流は未だ主流流派。ディアボロス教団もあまり入り込めていない

 

ミドガル王国→戦鬼に鍛えられかなりの強者が。一部原作的キャラもハクオウと敵対したくないので怪しい何処の勧誘は受けない。ディアボロス教団もそのせいで馬鹿か世間知らずしか引き入れられていない。

 

ディアボロス教団→めっちゃ狩られまくってた。ハクオウが嘗て殺した番外世界の『魔王』の死体を手に入れてたりする。

 

どっかの魔界の魔王→教団も観測してなかった番外の魔界に住んでいたが、たまたま開いたゲート通って戦場で暴れたばっかりに戦鬼に出会った。ラグナロクやニーズヘッグよりは格上の魔王。

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