目覚めしものは   作:猫太鼓

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後篇

灼熱の闘気がぶつかり合う無限列車の夜。

煉獄の日輪刀が、炎の咆哮が、猗窩座の破壊と再生の拳と激突する。

猗窩座の拳が煉獄の胸を貫こうとした瞬間。

地が揺れ、闇が割れた。

煉獄も、炭治郎たちも、そして猗窩座さえ一瞬だけ動きを止める。

 

瓦礫の奥から歩み出た“それ”を見た瞬間──

猗窩座の思考が爆ぜた。

 

(な……んだ……これは……ッ!?

 こんな存在……あり得ない!

 これは“鬼”か? いや違う……!

 違う、違うッ……!)

 

恐怖。

そして、そんな恐怖を抱く己への怒り。

その二つが猗窩座の脳を引き裂くように走った。

 

「聞きたいのか?」

その男は、猗窩座を一瞥することもなく、煉獄へと視線を向けた。

 

「強き者よ……“人のために己を燃やす覚悟”。

 ……タイプは違うが、どこか似ている。

 かつて、私を打ち破った“何か”に……な。」

 

煉獄はわずかに眉を上げる。

その言葉に、炭治郎の胸の奥で何かが暴れた。

 

──人間讃歌。

彼が遠い星で敗れた理由。

 

「……ふむ。これが“敗北”の根か。」

 

男がひとりごとのようにつぶやく。

 

 

「貴様ァ! 何をわけのわからぬことを……ッ!」

焦れた猗窩座が叫ぶ。

 

その声にようやく、男はゆっくりと顔を向けた。

 

「お前は……何者だ!」

 

猗窩座は吠えるが、足は震え、動かない。

胸の奥で本能だけが警鐘を鳴らしている。

(近づいてはならない……! これは“死”そのものだ……!)

 

「……お前の目的は?」

 

男の声は静かだった。

だが、その静けさが逆に猗窩座の心臓に刺さる。

 

「……は、柱の……男を……殺すことだ……」

思わず漏れた答え。

己の意思とは関係なく唇が動いた。

それほどまでに圧が強かった。

 

「……俺を、殺す……?」

男は小さく呟いた。

だが、すぐに何かに気づいたように眉をひそめた。

 

次の瞬間。

光のような速度で猗窩座の懐に入り──その頭を鷲掴みにした。

 

(う、動けない……ッ!!?)

 

猗窩座が震える。

男は猗窩座ではなく、その奥を見ていた。

 

男は “猗窩座の瞳を、視線の先にある何者か” を射抜くように言った。

 

「……キサマ。

 見ているな?」

 

その声が響いた瞬間──

“遠く離れた場所”で何かが悲鳴を上げた。

 

見えない“何か”が砕け散るような音が夜に広がる。

 

煉獄も炭治郎も、その意味を知ることはできない。

ただ“恐ろしく静かな悪意”だけがそこに満ちていた。

 

男は手を放し、猗窩座を地に転がす。

 

「……さて。

 やっと少しは、目が覚めた気がする」

 

ゆっくりと夜空を仰ぎ、最後に名乗った。

 

「我が名は── カーズ究極生命体。」

 

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