低身長美少女配信者のダンジョンすくすく成長記   作:タナボルタ

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お待たせいたしました。

文字数のテストで短めです。
ただ短くすることに慣れていないので端折り方が雑になっているかもですね。
温かい目で見てやってください。


ところで読者層が似ている作品がことごとくTS作品なんですが、何でですかね……?

それではまたあとがきで。


第十二話『まるでギャルゲーの主人公』

 

 ミーアとのコラボ配信が終わり、るぷす──ランは家路に就いた。時間は既に夕刻過ぎ。彼女から発せられる雰囲気は何やら浮ついたものとなっており、心なしか足取りも軽いように思える。

 ランは自宅に到着するとそのまま中に……入らずに通り過ぎ、数軒先の家の前で止まる。周囲の住宅と特に変わらない、二階建ての一軒家。しかし、そこにはランが昔から頼りにする人物が住んでいるのだ。

 いつものようにインターホンを鳴らす。と、ランが来るのを予測していたのか、その家の扉が開かれ、住人が姿を現した。

 

「お帰り、ランちゃん。配信見てたよー」

「マオさんただいまー」

 

 ランとマオは軽くハイタッチをすると、連れ立って家の中へと入っていく。彼女こそ、ランの幼い頃から時々面倒を見てきた“近所に住む世話焼きのお姉さん”であり、現在両親に代わってランの面倒を見ている人物なのだ。

 ランの両親はランの高校入学を期に海外へと出張している。ランは出張の話を聞いた際に「ギャルゲーの主人公みたい」という感想を述べた。父からは「じゃあ前髪で目を隠さないとな」という返しを受け、母からは「マオに貴女のお世話を頼んでるから」と説明を受ける。

 マオは両親の古い知り合いらしく、両親の海外出張にも関係している。ランの両親とマオは、同じ会社に勤めているのだ。

 年齢は二十代前半と言ったところか、妙齢の美しい女性である。赤みを帯びた髪を緩く纏め、やや釣り目がちではあるが全体的な印象は柔らかで、日本人ではなく北欧人と思しき顔立ちだ。

 マオはマグカップを二つ用意し、それぞれにお茶を入れると先にテーブルに着いているランに一つ差し出し、自分も席に着いた。

 

「探してた素材をもらえて良かったね。ひと月近く探してたんだっけ?」

「うん。これで水泳の授業に間に合う。もうギリギリだったから本当に良かった」

 

 お茶を飲んでホッと一息吐くラン。現在は六月も後半。週が明ければ最終週に突入だ。そうなれば学校の方で水泳の授業が始まり、クラスの皆の前で格好悪い姿を晒してしまうことになっていたかもしれない。配信では泳ぎ上手などと嘯いていたが、本心では犬かきしか出来ないことが少し気になっていたようだ。

 

「というわけでマオさんに“浮力の布切れ”を加工してほしいんだけど……」

「うん? 加工するの?」

 

 ランは懐から取り出した浮力の布切れをマオにずいと差し出す。魔物の素材は専門の技術を持った者にしか扱えない。特に既存の生物とはまた違った法則が絡んでくるので、その門戸はより狭い。しかし、マオはランが知る限り最高の腕を持つ者なのだ。

 何を隠そうマオはランが持つ超高性能ドローンさんややたらとアイテムを収納できるポーチなどの開発者であり、全世界でも一、二を争うグローバル企業“ダンジョンテック”の社長令嬢にして技術開発部・研究開発部の部長を兼任している希代の大天才なのだ。ランがミーア──美亜に紹介したのもこのマオだったりする。

 ちなみにだがランはマオの肩書を話半分にしか信じていない。二つの部署の役職を兼任出来るものなのかとか、基本的に家に居て「私はリモートワークが中心だから」と宣うマオの話を信じられるかというと、流石のランにも難しい。しかしマオの持つ技術は確かな物なので、特別扱いが許された立場であるのは間違いない。何より社長令嬢であるし、両親の直属の上司でもある。

 マオは差し出された浮力の布切れを受け取りはしたが、加工することに対して首を傾げる。

 

「……? だって水着に加工しないとビュンビュン泳げるようにならないし」

「それはそうだけど、加工するなら二週間ぐらい掛かっちゃうよ?」

「え゛」

 

 マオの言葉にランはびしりと固まった。確かに素材をギリギリで手に入れることは出来た。しかしランは素材の加工に掛かる時間を全く考えていなかったのだ。ちなみにマオの専門はもっぱら機械技術であり、服飾関係は完全に専門外である。なお、専門の業者に依頼しても一週間から十日ほどは掛かるのでどのみち授業には間に合わない。

 

「……マオさんの技術力で今日明日中に終わらせることは」

「出来ないからね?」

 

 流石に無茶な要求が過ぎる。ランは両手を伸ばしてぺしゃりとテーブルに突っ伏した。落ち込むランの姿にマオは苦笑しきりである。

 

「まあ加工しなくても懐に入れておけば身体は水に浮くようになるから、それで我慢してよ」

「浮くの? クウ○ゴスの木片くらい?」

「クウイ……? ま、まぁ普通の浮き輪ぐらいには」

 

 ランの言う何らかの木片については分からなかったようだが、それでもマオはフォローを入れる。浮き輪並の浮力を確保出来ると知ったランは一転、無表情に機嫌が良くなった。何というか後頭部からぺかっと光が差しているかのようだ。

 

「ところで今日は“セバスチャン”さんはいないの?」

「“トール”は夕飯の買い出しに行ってもらってるの。この時間お肉が安くなるからねー」

 

 二人の言うセバスチャン、トールは同一人物である。マオの執事を自称する壮年の男性お手伝いさんだ。

 白髪交じりの赤い髪をオールバックに撫で付け、片眼鏡(モノクル)を掛け、口髭を蓄えた執事服の男性という、中々にベタな格好をした愉快なお人である。

 幼いランが初めてトールと会った際に「セバスチャンだ……!」と一目見てそう呼んでから、“セバスチャン”というあだ名が生まれたのだ。本人も気に入っているのか、自己紹介の際には最後に「気軽にセバスチャンとお呼び下さい」と締める。

 現在彼はマオのお願いを受けて近所のスーパーに食材を買いに出ている。マオは超がいくつも付くほどのお金持ちであるが、食事に関しては庶民的な物を好む。海外にある実家はこの家とは比べ物にならない程の邸宅……というよりはもはやお城であり、そこで出される食事はホテルのコース料理もかくやという程。

 しかしマオは日本食が切っ掛けで日本に移住してきたのだ。彼女の好む日本食はラーメン、カレーライス、ハンバーガーである。日本食? と疑問に思ったそこのあなた、マオさんは「日本人が魔改造した食べ物はみんな日本食なのよ」とお言いですよ。

 

「ランちゃんも食べてくでしょ? 今日はこの前テレビで見たわさびで食べるお肉なんだけど」

「食べる―」

 

 ランは諸手を挙げて喜ぶ。トールの作る料理、特に肉料理は絶品なのだ。食の好みもランとマオは近く、赤身の固めの肉を好む。わさびで食べるのなら油分が多い方が合うのだが、それもトールの腕に掛かれば何の問題も無いであろう。

 

「ミーアちゃん、魔法が使えるようになって良かったねー」

「うん。先輩の役に立てて良かった」

 

 トールが返ってくるまでの時間、二人はミーアの話に花を咲かせた。ミーアの魔法について、更に預かっているドローンについてなど、楽しくお喋りをしていると、玄関のドアが開く音が聞こえてきた。

 

「ただいま戻りました」

 

 玄関から聞こえてくる、男性の低い声。トールが帰って来たのだ。

 

「お帰り、トール」

「セバスチャンさん、お帰りなさい」

「マオ様、ただいま戻りました。そしてラン殿、四日ぶりですな。相変わらず小さくて可愛らしい限りです」

「えいえい」

「ははは、みぞおちとレバーは止めてぇっ!?」

 

 ドズンッ、ドズンッ、と重低音を身体から響かせ、トールは呻き声を上げて膝を着く。昔からよく見られる微笑ましい一幕だ。一通りいつものやり取りが終わると、トールはすっと立ち上がって食事の準備に入る。サラダにスープに付け合わせ、それらを手際よく用意し、ほどなく肉を焼き始めた。漂ってくる香ばしい肉の匂いに、ランとマオの二人の食欲が刺激される。

 今日の夕食も、楽しい時間になりそうだ。

 

 

 

 

 

 マオ宅での食事を終え、ランは自宅へと帰って来た。風呂に入り、パジャマに着替え、就寝の準備に入る。頭の中では翌日の日曜日をどう過ごすか、思考が巡っている。

 

「作りかけのプラモの続き……ゲームももう少し進めたいし……描いたイラストに色を付けないと……そういえば“あとで見る”に突っ込んだ動画も多くなってきたし……漫画も溜まってきた……あ、使ってない部屋の掃除もしないと……めんどくさい。ドローンさんが掃除してくんないかな」

 

 ランは休日はどこかに出かけることは少なく、基本的には家でダラダラと過ごすタイプだ。ゲームやプラモなど、欲しい物の発売日であれば朝早くから家を出ることもあるが、そうでもなければ自堕落に引き籠る。母からは「そんなんじゃ恋人も出来ない」と嘆かれるが、ランは「私は尽くすタイプの美少女。好きな人が出来たら色々と頑張る」と、大きな微粒子ビーズのソファー、通称『人をダメにするソファー』にうつ伏せでもたれかかりつつポテチを食べながら答えた。当然その様から説得力など皆無である。

 頭の中で益体もないことを考えつつ、ランは眠りに就く。迎えた翌日、ランは昨晩に考えていたことを実行し、充実した休日を過ごしたのだった。

 なお、もちろん部屋の掃除は自分で行った。流石のドローンさんも掃除機能は付いていなかったらしい。

 

「……む」

 

 時は月曜日の午前三時頃。ランは尿意に目が覚め、むくりと身体を起こした。

 

「おしっこおしっこ」

 

 ランは暗闇の中にも関わらず、陽の中を進むが如く迷いなく部屋を出る。数分後、同じように何の問題もなく部屋に戻り、スマホで時間を確認しようとすると、どうやら土曜~日曜と充電をしなかったために電源が切れていた。

 

「……そろそろ買い替え時かな。流石に四年目ともなるとバッテリーが全然持たない」

 

 ランはスマホに充電ケーブルを挿し、再び床に就く。翌朝までに完全に充電されはしないだろうが、それでも学校に充電ケーブルを持って行って充電させてもらえばいいだろう。美奈や美亜に新しいスマホ選びを手伝ってもらうのも良いか、などと考えつつ、ランは再び眠りの中へと落ちていった。

 

「……む」

 

 そして朝の六時。ランはいつもより一時間早く目が覚めた。流れるような動作でスマホを手に取り、電源を入れる。案の定充電は七割ほどまでしか回復していなかったが、そんなことよりも、ランは震え続けるスマホに戸惑いを覚えた。

 

「……何これ、通知がいっぱい……?」

 

 連続して通知が流れ、その度にスマホが震える。どうやら通知は普段ランが使用しているSNSから流れてきているようだ。

 

「……フォロワー数……三万人……?」

 

 ランは首を傾げた。おかしい。少なくとも自分で把握している限り土曜日までのフォロワー数は二千人程だった。とある切り抜き動画が広まったせいで爆発的にフォロワー数が増えた訳だが、今回のそれはその時を遥かに上回る数値である。一体何があったのか。またぞろ何らかの切り抜き動画の影響なのだろうか?

 未だ終わらぬ通知にランが思考を巡らせていると、今度はドローンさんが近付いてきて、とあるホログラム画面を見せてきた。それはダンムビのアカウント画面である。

 

「ふむ……チャンネル登録者、五万人……」

 

 ランはスマホの電源を切り、目覚まし時計とドローンさんのアラームを確認し、二度寝をすることにした。

 

「目が覚めたらおねしょとかしてませんように」

 

 どうやら今は夢の中に居るのだと思ったらしい。願わくばトイレに行ったのは現実であれとまた寝息を立てるランを、ドローンさんは普段と変わらぬ視線で見詰めている。

 しかし、普段よりどこか機敏に動くその様は、主人が日の目を見ることを喜んでいるようにも見えた。

 

 




お疲れ様でした。

うーん、数字はもっと盛った方が良いのでしょうか?
同系統の作品だと一気にフォロワーや登録者が数十万とか百万とか行ったりしますし。
でもウチのるぷすはグロいしなぁ……。いやでもグロ好きって意外と多い……のか……?
私もたまに「何かグロいの見たい」ってなることがありますし……うーん。

まあいいや。(思考放棄)

それではまた次回。
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