低身長美少女配信者のダンジョンすくすく成長記 作:タナボルタ
今回は完全な繋ぎ回です……。
あとがきに用語解説を置いておきますね……。
それではまたあとがきで。
本日最大のイベントは、いつも(?)の挨拶から始まった。
「夜も遅くにこん
「あなたも私と一緒に見てミーヤ! 魔法使いのミーアです!」
「今回は先輩のドローンさんも直ったから同時配信って形になるね」
:こんBowWow!
:きちゃ!
:おほー!
:お初ですー
:こんるぷすー
:こんるぷす
:やっば マジで可愛いじゃん
:こんるぷすー
:ミーアちゃんだー!
:おっほ! 美少女眼鏡っ子!
:こんるぷす
:おはがるるー
:こんるぷ あれ?
:すげぇ高画質だ
:こんる ちくしょうまた新しい挨拶か!
:いい加減統一してくれwww
:うおお可愛い!
:でっっっっっか!
:やっべぇ二人とも可愛い
:ミーアちゃーん!
:マンマミーア!
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高速で流れていくコメント欄。それは今までの中でも最速であった。二人ともチャンネル登録者数は既に万を超え、十万をすら超えている。その流れるコメントを見て、るぷすの承認欲求やら自己顕示欲やらが満たされていく。るぷすは無表情にニッコニコだ。無表情にニコニコとはどういうことだ。
「おお、すごいすごい。すごい速さでコメントが流れて……お? おお……! 見て見て先輩。同接一万人だって」
「いちま……っ!!?」
:へぁっ!?
:ちょちょちょちょちょ!?
:るぷすちゃんもミーアちゃんもおめ!
:一万!?
:おおおマジか!?
:ついこないだまで同接数人とかだったのに
:おめでとう!
今回は、というより今回もコラボ配信な訳だが、二人のチャンネル登録者が合わさった結果、同接人数も爆上がりを果たしたようだ。ちなみにるぷすのチャンネル登録者は先日よりさらに増え、現在約十八万人、ミーアに至っては三十五万人以上である。
ちなみに現在の所ダンムーバーに於いてのトップ配信者は“天誅†斬月”の三百万人であり、全体の平均値は十万人前後となっている。つまり、二人とも一気に人気配信者の仲間入りを果たしたという訳だ。
しかし、いくら人気配信者と言えどこの同接数は異常であると言えるだろう。いくらるぷすとミーアが美少女であると言っても、この数字は些か以上におかしなものだ。実はこの数字はダンムーバーの、ひいては日本の探索者たちのとある問題が関わっているのだが……るぷすはその理由を知る由もなく。
「みんなもいつも応援ありがとうね。ほら、美少女の感謝の笑顔だよ」
その言葉と共にるぷすのドローンさんと
:ぎゃわいいっ!!
:おお すげえ
:かっわ
:かわいい
:笑顔……?
:kawaii
:笑顔どこ……ここ?
:スクショ
:口角が一ミリたりとも以下略
:可憐だ……
:ほんとに感謝してるぅ?
るぷすの顔面アップでコメントが更に高速で流れていく。いつも通りるぷすは無表情でコメントはそれに突っ込む流れだったのだが、今夜のるぷすは一味違った。
「……んっ」
るぷすは両手の人差し指を立ててゆっくりと口元に持っていき、その両人差し指で以って口角を“くっ”と持ち上げた。指を使ってではあるが、るぷすは笑顔を画面の先のリスナーたちに届けたのだ。
:き゛ゃ゛わ゛い゛い゛っ゛っ゛っ゛ ! ! !
:かkbqq
:かwaiい
:かああああああああああああああ
:ksにkcbw
:jsxふいい
:kdcんkwjbし
「え、なにこれ」
何やら突然コメント欄がおかしくなった。るぷすは小首を傾げ、目をまん丸と見開いて「ダンムビバグった?」と呟きながら身体をゆらゆらと揺らす。その仕草にもおかしなコメントがいくつか付くが、それらはやがて沈静化した。
:いや 可愛すぎてびっくりした
:キーボードを打つ指が滑りまくった
「なるほど」
コメント欄曰く、るぷすの指での笑顔を見てときめいたリスナーたちがコメントを打つのを失敗しただけなようだ。るぷすはそれらのコメントに大きく頷く。胸の内で承認欲求が満たされていくのがとても気持ち良い。この気持ち良さを先輩にも味わってもらい、何かと自己肯定感の低い先輩の自尊心を育てなくてはいけないとるぷすは考えた。
「ほら、先輩もリスナーの人たちに感謝の気持ちを伝えて────ん?」
ふと隣のミーアを見れば、先程から何の動きも見せていないことに気付く。……それもそのはず。
「ミーア先ぱ────死んでる」
「お姉ちゃんっ!!?」
:ちょ!?
:死ん!?
:ミーアちゃん!?
:魂抜けとる!
何故なら、ミーアはるぷすから配信の同接数を聞いた時から真っ白になり、意識を飛ばしていたのだから……。ちなみに口からは何やら眼鏡を掛けた白い魂的なサムシングが抜け出しているぞ。
「お姉ちゃーんっ! 起きてーっ! 目を覚ましなさーいっ!」
:!?
:なんや!?
:お姉ちゃん!?
:誰!? 誰なのぉ!?
突然画面外からやや装飾過多な服を纏った細い腕が伸びてミーアの身体を引っ張っていき、ミーアと共に画面外へと消えた。そして「起きろ」という必死の叫びと共にパシンパシンと何かを叩くような音が響く。
十回ほど殴打音が響いた後、ややふらふらとした様子でミーアが画面内に復帰してきた。その両頬は真っ赤になってしまっている。中々に強く叩かれていたようだ。
「み、皆さん、ご視聴ありがとうございますぅ……」
:大丈夫?
:ほっぺたまっかっか
:……で さっきの腕は誰なの?
:お姉ちゃんって言ってたしもしかして妹さん?
:しかし……何か見たことある服だったな?
:妹さん(暫定)の声 どっかで聞いたことがあるような
「ありゃ」
ひとしきり流れるコメントを見たるぷすが声を上げる。声を出したので当たり前だが謎の腕の正体がバレてしまったようだ。
「うーん、本当はもっとちゃんとした形で紹介したかったけど仕方ないか」
「……そうですね。実は今回、冒頭でるぷすちゃんが言った『ゲスト』というのは私ではないんです」
「また先輩はそうやって……。同時配信なんだから私たち二人とも主役だよ?」
「そ、そんな……私なんてるぷすちゃんと比べたら弱いですし頼ってばかりですし……」
「いやいやそんな……」
「いえいえそんな……」
「ちょっとー? 早く紹介してほしいんだけど―?」
:草
:俺も妹さん早く見たい!
:美少女だ! この声はきっと美少女だぞ!
:先程……ミーアちゃんを引っ張った『手』……下品なんですが……フフ……本当に下品なので止めておきますね
:草
:変態殺人鬼がおるやんけ!
まるで営業中のサラリーマンのように互いに謙遜しながらぺこぺこと頭を下げる二人に、横からツッコミが入る。それもそうだとるぷすはごほんと咳払いし、ミーアと距離を開け、
「はいどーも。私はミーアお姉ちゃんの妹、“現役JKコスプレイヤー”のミーナ。もしかしたら知ってる人も居るかもね? まあよろしく」
:!?
:ミーナちゃん!?
:ミーナちゃんだと!?
:マジで!?
:誰だか分からんが本当に美少女だ!
:JKだ! JKが増えたぞ!
:うおおモノホンのミーナちゃんだ!
:似てるとは思ってたけどマジで姉妹だったの!?
:誰? 有名人?
:コスプレイヤーか……知らんなぁ
:見たことある衣装と思ったらこのはさんの衣装やんけ!
:コスのクオリティたっか
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「おお、すごい勢いでコメントが流れてく……さすがミーナ」
「はえぇ、すごいですねぇ」
ミーナの登場に、コメント欄が沸いた。ミーナのことを知らない者も居るようだが、どうやら割合の多くは美奈────ミーナのことを知っているらしい。それもそのはず、何せミーナは
ミーナが人気の理由はその優れた容姿だけではなく、衣装のクオリティの高さ、コスプレする作品やキャラクターへの理解、高いリスペクト精神が挙げられる。特に衣装のクオリティには目を見張る物があり、何と衣装はその全てが彼女自らの手作りである。
流石に衣装の一部が変形したり等特殊な機構が存在する場合はその筋の業者を頼ったりもするが、基本的には自分で作ってしまうという素晴らしい器用さを持つ。
ミーナが何事も形から入るタイプなのも、『委員長になったから』という理由で三つ編みおさげに眼鏡を掛け始めたのも、全てはミーナのコスプレ好きが高じたからなのだ。実はミーナはるぷすのアニメ語りにもついていくことが出来、二人が友人となった切っ掛けもアニメに関して話が合ったからだったりする。
ちなみに今回の衣装は何十年も前のアニメシリーズではあるが今でもかなりの人気を誇り、リメイクを待ち望まれている魔法少女物のアニメ、『魔法少女ラディカルこのは』シリーズの主人公『上村このは』の魔法少女衣装(アニメ第3期)バージョンだ。
ミーナはるぷすとミーアの間に座り、ドローンさんに向かって微笑みながら小さく手を振る。数々のコスプレイベントに出演している彼女にとって、今更知らない人たちに愛想を振る撒くなど造作もない。
:かわいい!
:おほー!
:現役JKが三人! 来るぞ遊○!
:だから来ねーってアス○ラル!
:見事な大・中・小だ
:本当に大か? 本当に中か? 本当に小か?
:この子……カメラ慣れしている……!
:超特大・大・無なんだよなぁ
:そりゃレイヤーなんだから慣れとるやろ
「はい、改めて今回のゲストのミーナだよ。私とは同じ学校のクラスメイトなんだ」
「るぷすちゃんにはいつも妹が世話になって……」
「私の方がお世話してあげてるんだけど?」
:同じ学校!
:俺もその学校に通いたい……
:そういやるぷすちゃんが先輩呼びしてるってことはミーアちゃんも同じ学校なの?
:姉妹で同じ学校か まあありえるわな
るぷすとミーナが同じ学校と知り、コメントでミーアについても質問が飛んだ。確かに二人の関係を聞いた後だとそれも有り得そうであるが、実際には異なる。
「いえ、私は二人とは別の学校に通ってます。だから二人がちょっと羨ましいんですよね」
ころころと笑いながらの言葉にミーナも笑みを浮かべる。るぷすは表情こそ変わらないが、雰囲気は明るく見える。
「さて、場も温まってきたことだし今回の本題なんだけど……」
:本題……?
:そういや何するんだっけ?
:ダッケルにはゲスト呼んで配信するってだけだったしな
コメントを呼んだるぷすは一つ頷く。横目でるぷすを見やる姉妹も、実は今回配信の内容を聞いていなかった。ミーナのお披露目、というのも少し違う。彼女が今回出演したのは不安と緊張でマッサージ器具の如く震えるミーアの気持ちを和らげるためだ。
では、今回の配信の主題とは……?
「今回の配信は────何をしたらいいと思う?」
────完全なるノープランであった。
:ズコーッ!!
:何も考えとらんかったんかい!?
:こっちに聞かれても困るんだが!?
:るぷすちゃんってこんなキャラだったんだ
:ちくしょうかわいく小首を傾げやがって! 何でも許しちゃう!
:ミーアちゃんたち姉妹も頭抱えてる
:さっきの私の方がお世話してる発言の説得力が上がってしまった
:可愛いからって何でも許されると思うなよ! 俺は許すけど!
流石に非難囂々(笑)であった。コメントにて怒られたるぷすはとりあえず「ごめんなさい」と頭を下げると、今回の配信についてしどろもどろに言い訳を始める。
「今回は……あれ。鉄は熱い内に打てって言うし、これだけチャンネル登録者とかSNSのフォロワーとか増えたから……とりあえず感謝の言葉と美少女の微笑みを見せておこうと思ったというか……」
「いやまあそれは良いことだと思うけど……」
「どうして事前に相談してくれなかったんです?」
「私なら何とかなると思ってた」
キメ顔サムズアップ(無表情)でそう言うるぷすの頭に、左右からチョップが振り下ろされるのであった。
:O・BA・KA! でもそんなとこも可愛いんだるぷすちゃんは
:無限に甘やかすな!
:はぁはぁ……三人とも仲良さそうで俺氏ニッチャリ……
:↑キモォイ!
:でもこのゆるゆるな雰囲気好き
:俺も
コメントにて三人の和気藹々とした様子が好評なようで、荒れることもなく済んでいることにミーナはほっと息を吐く。何とはなしにコメントを眺めていると、そこに丁度良い内容が書き込まれていて、それを二人にも聞こえるように読んでみる。
「ふむ。『今まで三人の事を知らなかった人も多いだろうからまた質問に答えたりしたらどうだろう』……か。これいいんじゃない?」
「なるほど。登録者とか爆増したけど私の普段の配信って規制されてるから、この中にも見れなかった人もいるかもだしね」
「私もミーナのことを紹介したいですし、それでいきましょうか」
「何で私……?」
三人は頷き合い、方針を固めた。
「それじゃ、今回は質問に回答とかしちゃうよ。雑談配信的なやつ。コメントに質問を書き込んでくれたらドローンさんがピックアップしてくれるから、どしどし書き込んでほしい」
:相変わらず何でも出来るなぁるぷすちゃんのドローンさんは
:いよっしゃなに聞こうかな!
:どうすればエッチな質問に答えてくれますか?
:ばwかwやwろwうwww
:警戒度が上がったらどうする!
:そもそもドローンさんがそんな質問を受け付けてくれるわけねぇだろ!
:いや……しかしるぷすちゃんのドローンさんならばあるいは……!?
「せめて下ネタばかりじゃないことを祈るわ」
好き放題流れるコメントにて、様々な質問が怒涛の勢いで書き込まれていく。一体どのような質問がピックアップされるのか、るぷすはわくわくとした無表情でその時を待つ。ミーアは不安に、ミーナはげんなりとした表情でコメントを眺める。
はたして、最初に選ばれた質問は……?
お疲れ様でした。
話が……全く進まない……!
美奈はミーナという名前で以前からコスプレイヤーとして活動してました。
衣装も小道具も全部手作り、ちょっとだけ業者に依頼したりでコスのクオリティの高さは業界随一と言っても良いほどまで洗練されてます。
どうにかランや美亜をコスプレイベントに参加させられないか画策中。
『魔法少女ラディカルこのは』
作中世界にて約五十年ほど前に放映されたアニメ。元々は恋愛ゲーム作品のファンディスクからの派生らしく、主人公のこのはの家族がそのゲームの主要人物となっている。
可愛らしいキャラデザ、ハートフルながらもシリアスで容赦のない展開は評価が高く、今でもリメイクが望まれているほどの人気作。派生作品も大量に制作された。
主人公の『上村このは』は美奈の推しキャラであり、衣装も各種制作済み。
ちなみにランの推しキャラはライバル兼もう一人の主人公である『シェイド・カウンタック』。
それではまた次回。