低身長美少女配信者のダンジョンすくすく成長記   作:タナボルタ

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何かオリジナルってやりやすいんだなぁ……という速さで第三話です。

今回は雑談配信回なんですが雑談配信ってこんなんで良いのか……?
そもそも雑談配信で質問に答えたりするのか……?
切り抜きとかで一部分しか見ないからよく分かんないなぁ……

何故か文字数が一気に増えました。


それではまたあとがきで。


第三話『雑談配信』

 

「うーん……」

 

 自宅のトレーニングルームにてダンジョン配信者(ダンムーバー)であるるぷすは悩んでいた。雑談配信をするのは良いのだが、どういった服を着て配信すれば良いのかが分からないからだ。

 今着ているウェアはいつもの服装ではなく、トレーニングの時にいつも着ている物だ。るぷす自身も何を着ていても良いだろうと思ってはいるのだがしかし、一応ダンムーバーたる者おなじみの服装の方が良いのではないか、という思いが無くもない。

 

「……ま、これでいいや。いつもの癖で着ちゃったし、今更着替えるのも面倒だし」

 

 結局、るぷすは面倒だからという理由で着替えることはしなかった。探索時の服も今着ている物もそう変わらないし、と今までなぜ悩んでいたのか分からなくなってくる思考の切り替えだ。

 今のるぷすの服装は黒のブラタンクにレギンス、そして黒く細いチョーカーというシンプルな物。機能性を重視するるぷすのお気に入りのウェアだ。

 

「それじゃあそろそろ時間かな? 今日もよろしくね」

 

 るぷすはいつも通りドローンを撫で、配信を始めてもらう。このドローンは知人からの貰い物であるのだが、配信に関する機能以外にもテレビの予約や目覚まし機能、最新ゲームの予約など、様々な便利機能を有している。ここまで優秀だともうこれ無しの生活は考えられなくなってくるレベルだ。

 今回もドローンは主の命を忠実に実行し、配信を開始する。

 

「筋肉モリモリおはマッスルー。美少女ダンムーバーのるぷすです。今日はいつもと違って雑談配信だけどよろしくねー」

 

 

:おはがる……って また変わってる!?

:おはマッスルー

:こんるぷ……ちくしょう戻ってると思ったのに!

:こんるぷすー(鋼の意思)

:おはがるるー(意地) しかし広い部屋だ

:るぷすちゃんは全然マッスルじゃないのでおはるぷす

 

 

「雑談配信は雑談配信なんだけどトレーニングしながらってことなので、いつもの服じゃなくてトレーニングウェアを着てみたよ」

 

 るぷすは無表情で「わー」と言いながら両手を広げてくるりと回ってみせる。

 

 

:ぎゃわいい!

:レギンスえちち

:何かヨガとかしてる人が来てそうなやつ!(偏見)

:むほほw 腋がえっちだw

:いつもの首輪じゃなくて黒いチョーカー……これはえっちw

:えっちか?

:えっちだ(憤怒)

 

 

「はい、今回はバランス感覚を鍛えようとこれを使っていくね」

 

 るぷすはそう言うと一度画面から外れ、ころころと大きな球体を転がして戻ってくる。みんなご存じのバランスボールだ。

 

 

:バランスボール!

:ぽいんぽいん跳ねるやつ!

:……ごくり

:通報した

:判断が早い

 

 

「これの使い方はみんな知ってると思うけど……私のやり方はちょっと特殊かもね」

 

 

:?

:特殊?

:オットセイみたいに鼻先でリフティングするとか?

 

 

 るぷすはコメントの予想を見ながら前のめりに両手をボールに着いて体重をかける。

 

「それじゃ、いくよ」

 

 

:!?

:!?

:うおお マジか!?

 

 

 るぷすはボールに手を着いたまま跳ね、片手で身体を支えて両足をピンと揃えて回転させ、その回転に合わせて身体が手に引っかからないように支える手を左右交互に入れ替える。

 体操で言うところのあん馬、閉脚旋回をバランスボール上で行っているのだ。

 弾力に富み、体重を掛ければぐにぐにと形を変えるボールの上での旋回は、当たり前であるが安定はしない。しかしるぷすはその旋回を軽々と何回も何回もこなしている。

 

 

:すげえええええ!

:想像を軽々超えてきて草

:どんなバランス感覚してんの!?

 

 

「うーん、動画とか探せば他にもやってる人が居るかもしれないけど」

 

 そう言いつつるぷすは旋回の難易度を一段上げる。脚を大きく開いたのだ。旋回時に開脚状態を保つ開脚旋回である。更にはボールの弾力を生かして不規則に移動しながらも、平然と旋回を続けたりと驚異のバランス感覚を披露する。

 

 

:うおおおおおお!?

:前回に引き続きキター!!!

:エッッッ けどこれ本気でどうやってんの!?

:凄すぎてアッチ方面の感情が湧きにくい!

 

 

 優秀なドローンさんは今回も開脚時のベストポジションを配信しているが、るぷすのトレーニング内容が高度過ぎてそちらの方に視聴者の意識が行っている。それを察知したドローンは場所を移動し、るぷすの真剣な表情を流すことを優先することにした。

 

「まあ大体いつもこんな感じでバランスボールは使ってる。他にもボールの上で上水平からのプレス倒立なんかもやったりしてるけど、それはまた後で見せるよ」

 

 

:何か知らん用語が出てきた

:どっちも体操の技だな かなりの筋力とバランス感覚が無いと出来ないやつ

:はえーすっごい詳しい

:ずいぶん勉強したな……まるで体操博士だ

 

 

「でもただの体操博士じゃあこの私は倒せない。今日の配信はトレーニング配信にして雑談配信……そんな訳で何か質問ある?」

 

 

:導入が雑ぅ!

:ネタに乗ってくれて嬉しい……でも何を質問しようかな

:ちょっと待って今服を脱ぐから

:お前この前も脱いでたやつだろwww

:そろそろBANされるぞ!?

 

 

 視聴者にコメントを求めてもすぐには出てこない。るぷすの絶技により少々動揺が勝っているようだ。何せ今は旋回に身体のひねりも加えてシュピンデルという技を行っている。皆るぷすの演技に釘付けだ。

 

 

:じゃあ質問だけどるぷすちゃんって探索者の等級はいくつなの?

 

 

 と、ここでようやく一つ質問が投下された。空気を読んでいないように見えるが、今回は視聴者の質問に答える為の雑談であるので、むしろこっちの方が正しい。

 

「やっと来た。私の探索者等級(ランク)は“C級”だよ。この間“D級”を卒業して昇級したんだ。ちなみに探索者等級は()()()()()D、C、B、Aの四つだよ」

 

 

:C級かー

:そういや今までC級ダンジョンにしか入ってなかったもんな

:るぷすちゃんぐらい強かったらすぐにB級に上がれちゃうんじゃない?

 

 

「ん? 確かに実力に関しては“ギルド”の人にB級上位はあるってお墨付きをもらったけど、B級に昇格はまだまだ無理だよ」

 

 

:実力はB級上位ってマジで!?

:その若さで!?

:でも昇級は無理って何で? 強いんでしょ?

 

 

「……あれ? もしかして探索者の年齢制度ってあんまり有名じゃない?」

 

 るぷすは視聴者の質問に違和感を覚える。そもそもの話、()()()()()()()()()()()()()()()()()のだが、どうやら視聴者の何割かはその制度を知らないようだ。

 

 

:年齢制度なんてあったんか?

:るぷすちゃんが探索者やってるんだし何歳でも大丈夫なんじゃないの?

:いや流石に小学生とかは無理やろ

:じゃあ何でるぷすちゃんは探索者やれてんのよ

 

 

「……ん?」

 

 

:おん? お前ら何を言ってるんだ?

:探索者は十五歳以上じゃないと資格取れないんだが……

:は?

:は?

:え 十五歳? 十五歳以上!? るぷすちゃんが!?

 

 

 探索者について色々と知っているらしい視聴者がコメントにて年齢制度について言及すると、先の制度を知らない視聴者たちが悲鳴のようなコメントを打つ。

 るぷすが十五歳以上であることに驚いているようだ。

 

「……そこ、驚くところなの?」

 

 るぷすは思わず旋回を止めて片手倒立から一回ひねって着地する。ちゃんと両手を上にあげて演技終了だ。

 自らの年齢に関してそこまで大きく驚かれると、流石のるぷすも眉尻を上げてムッとした表情を見せる。

 

 

:!? るぷすちゃんが怒った!

:初めて“怒”の感情を……って言ってる場合じゃないな

:ごめんなさい ちっちゃいから中学一年くらいだと思ってました

:俺も小学六年くらいかと……

:目算で身長が135くらいだし小学四年くらいかと……

:俺は↑が怖いよ

 

 

「むう……私は見ての通り十六歳の美少女なのに……」

 

 

:十六歳!?

:ということは……JK!!

:じょしこうせい!?

:うおおおおお!! 現役JK探索者!!

 

 

 るぷすの年齢が明かされ、コメントには何か今までとは違う妙な熱が発生しだす。

 

「……みんな女子高生に夢を見過ぎなんじゃ……」

 

 これにはるぷすも少々引き気味であった。

 

「話を戻すけど……探索者には年齢制度があって最速で十五歳から。ただしこれは高校生かダンジョン関連の専門学生じゃないと十五歳で資格を取得出来ないの。それ以外だと十八歳から。それから昇級にも制限があって、D級とC級は省くけどB級に上がるには学生で資格を取得していた場合は学校を卒業してから、それ以外だと二十歳になってからだよ」

 

 

:はえー そうなんか

:てことはるぷすちゃんは高校卒業してからじゃないとB級にはなれないのか

:なーんかもったいねーな

:まあそう言うなって 昔に色々あってこういう風に決まったんや

:そうなん?

 

 

 今より十数年前、B級への昇級に年齢による制限はなく、一人の男子高校生が資格有りとみなされ、日本で初めて学生の身でB級に昇級した事例があった。彼はいくつもの実績を持った優秀な探索者であり、彼の実力を疑問視する者は極一部を除いて居なかったのだが……その彼に悲劇が起きた。

 初めてのB級ダンジョン探索。そこで彼はその若き命を散らしてしまったのだ。

 将来を嘱望された少年の死に、国内外からギルド、更には政府にまで非難が殺到。その結果ギルドは幹部たちが軒並み入れ替えられ、当時の首相も退陣に追い込まれてしまった。

 そこから色々と協議が重ねられていった結果、今の制度に落ち着いていったという訳だ。

 

 

:そんな事件があったんか

:聞いたことあるかも

:まあ日本でダンジョン探索について盛り上がり始めたのはここ数年くらいだし知らない人が多いのも仕方がないことか

:ダンムーバーが流行り出してからだもんな 昨今のダンジョン人気は

:若い世代が中心だからな ダンジョン配信見てるの

 

 

「そうだね。……長くなったけど、私のランクについてはこんなものかな? それじゃあ次に行こう」

 

 るぷすはキリの良いところで話を終わらせる。そうして次の質問を募り、コメントに目を向ける。るぷすの視聴者たちはダンジョンについて詳しくないのか、ダンジョンに関連した質問が書き込まれた。

 

 

:さっきの流れでダンジョンの等級について聞きたいかな

:前回の配信のコメで巣穴とか巣窟とか出てたけど何か違うの?

 

 

「お、これは良い質問」

 

 るぷすは先と同じようにバランスボールに体重を掛けながら質問をチョイスする。そのついでにるぷすは鍛錬の続きとしてバランスボールに着いた手で身体を支え、脚をピンと伸ばして全身を床と水平にする。これが上水平だ。そしてその体勢から重心を前方へと移動させ、脚を上にあげていく。そのまま腕を床と垂直に伸ばして肩を入れ、ピンと立った綺麗な倒立へと移行……プレス倒立である。

 それから更にるぷすは逆再生するようにまた上水平へと戻り、またプレス倒立、また上水平と何度も一連の動きを繰り返しながらすらすらと質問に回答する。

 

「ダンジョンの等級も探索者等級と同じでD~Aの四つ。“巣穴”とかの名称は大体はD級ダンジョンに付けられることが多いね。C級は“巣窟”、B級は“城”とか“塔”、A級は“島”とか“都市”になる」

 

 

:どんどんと規模が大きくなる感じなんだ

:……さらっととんでもないことが行われておる

:うーん 見た目とパワーのギャップに頭がバグりそう

 

 

「そうそう。日本で有名なのはB級の“竜宮城”にA級の“鬼ヶ島”かな。海外では“お菓子の家”、“三つの小屋”、“バベルの塔”なんてのもあったり」

 

 

:童話とか神話の建造物の名前が付いてるのは何かロマンあるよね

:俺は“マヨイガ”とか行ってみたいなー

 

 

「他には何かある?」

 

 るぷすは身体を横に向け、片手で体重を支えながら視聴者に問い掛ける。今度は片手でのプレス倒立をやってのけ、ゆっくりと開脚しつつひねりを加え、また元の体勢に。それを片手ずつ交互に行う。視聴者のコメントは先程からのるぷすの見た目にあまりにもそぐわない力技の数々に意識が向いているのか、それらへの称賛がほとんどだ。

 

「何でも聞いて良いよ? 答えられないものは無理って言うし」

 

 コメントでの称賛は嬉しいがこれでは今回の配信の目的を果たせていないような気がするので、るぷすはそう言って質問の敷居を下げることにした。あまりプライベートなこと以外は普通に話すつもりであったし、答えられない質問には答えなければ良いだけなのだし、と。

 

 

:じゃあ無理を承知で身長・体重・スリーサイズを教えてほしい

:おお 勇者よ……!

 

 

「身長に関してはさっきコメントで言及されてた通り135センチで体重は36キロ。スリーサイズは……流石に秘密だよ」

 

 

:体重答えてくれんの!?

:ちっちゃい! 軽い!

:マジで130台なのか……何で正解してんの?

:成人しても背が低い人も居るには居るけどマジで小さいね

 

 

「私って産まれた時体重が千グラム未満の超未熟児だったらしいから、それが今の身長に関係してるのかなーって昔は思ってたんだけど」

 

 

:千グラム未満!?

:あー 何か聞いたことあるかも 合併症を起こしやすいとか後遺症があるとか

:え 大丈夫なの?

 

 

「一応その後は何事もなく過ごしてきたよ。学校とかギルドの健康診断でも病気も何もなく健康そのものだって太鼓判をもらったし」

 

 

:そっか 良かった

:ってことは単純にそういう体質とかそんな感じか

 

 

「多分そうなのかな? 体質と言えば筋肉も全然つかないんだよね。こっちは探索者なのが影響してるのかもだけど」

 

 るぷすは空いている腕で力こぶを作ってみせるが、細い腕の見た目通りになだらかな山……丘? が出来るのみ。とても片手で自身の全体重を軽々と支えられる腕には見えない。

 

 

:確かに探索者って筋肉というかそこら辺両極端なイメージあるわ

:ムキムキの人も居れば鶏ガラみたいな奴もいるよな

:鶏ガラw 言いたいことは分かるけどw

:でも俺らに比べたらパワーはダンチなんよなぁ そこは流石探索者って感じるわ

 

 

「私ももう少し筋肉欲しい……二の腕ぷにぷに……おなかちょっと出てる……」

 

 

:腹筋がないと内臓が下がっちゃうからそうなっちゃうんだよね いわゆるイカ腹ってやつだ

:申し訳ないけど落ち込んでるるぷすちゃん可愛い 申し訳ないけど

:難儀だなぁ

 

 

 るぷすの自爆(?)が功を奏したのか、この後は視聴者たちから質問が多く寄せられ、るぷすも次々と答えていった。今までの動画のことについてやいつも使用している装備のことについてなど。

 そうして交流が深まっていくと、とりあえず聞けることは何でも聞いてやろうと様々な問いが投げられていった。

 

Q.動画の画質めっちゃ良いけどどんなドローン使ってるの?

A.貰い物だから詳しくは分かんない。

 

Q.ほとんどの動画がグロ規制受けてるけどどう思う?

A.まあ仕方ないよね。

 

Q.いつもの装備って高級品だったりする?

A.高校生にはかなり高価だけど、全体で見れば安い方……それでも全部で二十万円以上するけど。良い装備は自分で買えるようになれっておとーさんが買ってくれた。

 

Q.料理は出来る?

A.カップ麺とか作るの超得意だよ。

 

Q.好きな食べ物と嫌いな食べ物は?

A.好きなのは牛の赤身肉。ちょっと固めの方がお肉を食べてるって感じで好き。嫌いなのは玉ねぎ。匂いが苦手。

 

Q.行ってみたい国とかある?

A.ドイツとか行ってみたい。くーげるしゅらいばー。

 

Q.お風呂タイムはどのくらいの長さ?

A.ぬるま湯で一時間くらい。

 

Q.お風呂で最初に洗う場所は?

A.髪。

 

Q.サウナは好き?

A.入ったことない。

 

Q.犬派? 猫派?

A.犬派……猫も好きだけどね?

 

Q.オタクになった切っ掛けは?

A.両親がオタクでその影響……かな。

 

 

 テンポよく答えていくるぷすだが、その中でも何かの琴線に触れた質問はやたらと熱量のこもった返しを行い、視聴者の笑いを誘う。

 

 

:休日とか暇な時って何してる?

 

 

「漫画読んだりアニメ見たりラノベ読んだりゲームしたりネットしたりプラモ作ったりお絵描きしたりフィギュア眺めたりトレーニングしたりカードを眺めたりデッキ作ったりアニソン聞いたり歌ったりボーっとしたり寝て過ごしたり────」

 

 

:多い多いwww

:オタクの休日だwww

 

 

:好きなアイドルとか有名人っている?

 

 

「んー……アイドルとかあんまり興味が無いから……声優さんなら例えば往年の名作アニメで数多くの主役を務めてきた────」

 

 

:だから多いってwww

:しかもけっこう人選が渋いwww

 

 

 中にはこんな質問もあった。

 

 

:恋人とかいる?

 

 

「いたことない。昔中学で同じクラスの男子が放課後に『あいつ(私)って幼稚園児みたいだよな』って言ってるのを見てから同い年くらいの男子に興味がなくなったというか……元々年上好きだし」

 

 

:あっ(察し)

:これはその男子くんやっちまった感じなのでは

:うーん どっちだろうな?

 

 

:年上好きってことだけど切っ掛けとかある?

 

 

「初恋が大人の人だったから……人っていうかアニメキャラだったけど」

 

 

:お だれだれ?

:有名なキャラかな?

 

 

「えーっとね……実は二人いてどっちが本当の初恋かは分からないんだけど……武士たま凛太郎の土生(はぶ)先生と美少女戦隊ブレザームーンの燕尾マスク様」

 

 

:ああー! 小学生女児の初恋キラー筆頭のお二人ー!!

:↑そうなん?

:まーた随分と古いアニメだなw

:土生先生はともかく燕尾マスクとか変態やんけwww

 

 

「いや確かに燕尾マスク様は大人になって改めて見るとその言動から変態性が強く滲み出てて『初恋ブレイカー』なんて呼ばれることもあるけど私としてはああいう天然というか変なところも面白くて好きなんだけどおかーさんは原作とアニメで描写が違うところから原作の方の燕尾マスク様が好きらしいんだけど私はただ格好良い部分だけじゃなくてもっとダメなところとかを見たいんだけどそれでアニメの方の燕尾マスク様が好きって言ったらおかーさんが『恋人は真面目な人を選ぶのよ』って言ってきてそれじゃまるで燕尾マスク様が真面目じゃないみたいなことを言ってきて確かにアニメとかドラマCDの燕尾マスク様は中学生の女の子に対してセクハラ発言をしたり恋人であるブレザームーンを差し置いてその仲間たちとの結婚生活を妄想してたりとかしたけどそういうダメでちょっとスケベで変態チックなところも私としては────」

 

 

:長い長い長い!!

:怖いわ!

:ここまで息継ぎ無し!?

:ほんまに好きなんやなぁ……

 

 

 初恋の人(の一人)である燕尾マスク様を変態呼ばわりされたるぷすは早口で燕尾マスク様の擁護を捲し立てる。その際の目は若干座っており、未だに初恋を引きずっているのか執着すら感じられるほどだ。こういった部分も古のオタクらしいムーブと言えよう。どうもるぷすの言動は古いオタクらしさが随所に垣間見える。

 ちなみに現在のるぷすは久しぶりに燕尾マスク様について語って気分が高揚してきたのか、今度はバランスボール上でブレイクダンスを始めた。ぽいんぽいん跳ねながら室内を移動し、一切バランスを崩さないその動きはまさに神業である。

 

 

:もうこれだけで金稼げるでしょ

:正直感動してる

:テレビ出れるでこんなん

 

 

 視聴者からも大好評でるぷすは密かに「むふー」と満足げに息を吐いた。

 と、るぷすがいきなり動きを止めてバランスボールに腹這いに乗っかる。

 

「そろそろ良い時間だから次の質問で最後にしようかな?」

 

 

:マジか

:なに聞こうかな

 

 

 質問を考えているのか、コメントが暫し止まる。次に書き込まれたのはこういった問いだった。

 

 

:今更だけど探索者等級についての質問の時に基本的にはD~Aの四つって言ってたけど『基本的には』ってことは例外があるの?

 

 

「おお、真面目な質問」

 

 

:それは俺も気になってた

:俺も気になってたけどどうやってエッチな質問に答えてもらおうか考えてたら今まで何も質問出来なかった

:↑何やってんだお前www

:↑↑草

 

 

「えっと。これは私も噂でしか聞いたことないし、本当にあるのかは謎なんだけど……A級の上にAA(ダブルエー)級、AAA(トリプルエー)級、それからEX級があるみたい。これを全部纏めてS級って呼んでる人もいるみたいだけど」

 

 

:へー 初めて聞いた

:何か微妙にややこしいな Aより上がAAとかEXでそこら辺を纏めてSって呼ぶとか

:確かにややこいな

 

 

「オタク的にはAの上はSって感じがする」

 

 

:確かにアニメとかゲームだとそんな感じよな

:でもEXもかっこいいじゃんアゼルバイジャン

:るぷすちゃんはSとEXならどっちが良い?

 

 

「ん? 私はセックスならどっちが────やられたぁ!

 

 るぷすはボールからずるんと滑り落ちる。膝を立ててお尻が突き出たうつぶせの状態になり、その表情は窺い知れないが、漏れ出る呻き声から羞恥に喘いでいることは理解出来る。何とも恥ずかしい見間違いをしてしまい、それを口に出してしまったものだ。

 

 

:セックス!?

:SEXですって!?

:セックスはまずいですよ!

:問題発言キター!

 

 

「……今日の配信はここまで。チャンネル登録も高評価もいいからさっきのは早めに忘れてね……」

 

 

:心が折れたwww

:流石のるぷすちゃんも恥ずかしかったかw

:こういうのは気にするんだな……

:……何かごめんねるぷすちゃん

:もしかして素で聞いたのか?

 

 

 こうして最後に意図せず爆弾発言をしてしまい、初めての雑談配信は終わっていった。なお、今回の配信は初めて切り抜きが行われ、るぷすがバランスボールの上で旋回やブレイクダンスをするシーン、探索者やダンジョンについて語るシーン、燕尾マスク様について熱く語るシーン、そして最後のセックス発言の切り抜き動画が動画サイトにアップされてしまうことになる。

 るぷすは全ての動画の概要欄に“とりあえず”で切り抜きOKと記載していたのだが、それが災いした。配信者にはまま有ることとは言え、るぷすもまさか自分がこういった切り抜き動画を作られるとは思ってもいなかった。だってほぼ全部の配信がグロいので。

 

「今回は失敗した……けど仕方ないか。早く寝て忘れよう」

 

 そんな未来を知りようもなく、るぷすは早々に床に就く。数日後、自分のチャンネルの登録者数が激増した知らせを受けて珍しくお目々を真ん丸に見開くほどに驚いてしまうこととなるのであった。

 

 




お疲れ様でした。

前回コメントの量をどうしたら良いか分からなかったので今回はあえて大量にぶち込んでみました。
今回は世界観設定をちょっと出したような感じですね。
本文で明示してませんでしたが作中の年代は大体西暦2050年前後としています。

次回は学校での様子……掲示板にも挑戦してみたいけど出来るかな……?
るぷすは有名になったら結構な数のアンチが出来そうだ。

それではまた次回。
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