世界を欺く少女の話   作:めめ師

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第14話。最近ようやく自分の小説の情報の見方を知って大分見てもらえてるんだなと自覚しました。本当にありがとうございます。
自己満足のための作品ではありますが、それでも評価していただけるように頑張って書きます。


極道

あの後、現場から撤退した楓は他の敵連合のメンバーと合流するためとある隠れ家にきていた。

 

「ただいまー、イヤー大変だったよ」

「おかえりなさい楓ちゃん、洗面台はあそこだから手を洗ってきなさい」

「はーいマグ姉」

「やっと戻ったか!心配したぜ!どうでもいいだろ!」

「あれの相手を一人でやってたの?楓ちゃん強すぎるでしょ...」

 

出迎えくれたメンバーが口々に言うが、その奥、死柄木は椅子に座ったまま動かずこちらをじっと見続けていた。

 

「で、これからどうすんのかもう決まった?なんか話し合った?」

「まだよ、楓ちゃんが返ってくるまで待とうって話だったの。」

「そう?じゃあこれからか」

 

そういって部屋の奥のソファを陣取った楓に対し、死柄木がようやく口を開いた。

 

「その前に、一つ聞かせろ。楓......なんで先生を殺した?」

 

死柄木は楓に近づきつつ、その首に手を回し中指を除く4本の指をあてる。それを見た敵連合の面々は息をのむが、対して楓は余裕綽々と答えを返す。

 

「なんでって、私は答えを示したつもりだけどね?

...これからは新しい時代。敵にもヒーローにも、前時代のロートルはお荷物にしかならない。だからオールマイトも殺す気だったけど、あれは傑作だったね。これでヒーロー達は全時代の影を追って互いに足を引っ張りあうんだろうね。

対して私たちは、心機一転。平和の象徴のいない世界で解放された奴らを引っ張っていけば自動的に事が運んでいく。弔君がその象徴になる。もうすでに下地は作ったつもり。

弔君も先生の影を追ってるだけじゃまともに動けないよ?...あれは恨みも憎しみもなく支配欲で動くだけのお邪魔虫。弔君の野望にはもう必要なかった。」

 

楓の答えに数秒沈黙した死柄木はゆっくりと手を離しつつ、自分の椅子に戻っていく。

 

「...わかってる。すでにあの人は俺の中でいずれ超えるべき壁だった。お前がいなくても自分でやってたさ」

 

「...うん、弔君がわかってるならいいや。じゃあこれからどうするのか話そうか。」

 

 

 

――オールマイトの引退から早半月。テレビでもネットでも連日連夜、平和の象徴のいない今後への不安を垂れ流していた。

現在世の中は敵連合のように徒党を組み、犯罪を犯す連中が増えていた。

そんな中裏社会の台風の目となった敵連合は連日報道される犯罪の内容に辟易していた。

 

「オールマイトがいなくなって秩序が崩れてきたのはいいけど、まともなのが出てくるわけじゃないか...むしろ治安の悪化に便乗しただけの有象無象ばっかだ」

「全時代の混沌とした世界に戻っただけ、こうなるのは予想出来てた。だからこそいまみんなそれぞれ動いていろいろやってんだろ。」

「だとしても、もうちょっとまともなのが欲しいって言うかさ?」

 

楓と死柄木が新しくこしらえたアジトで話しているとそこに一本の電話が入ってくる。

 

『死柄木か!?良さそうなやつ見つけたぜ!あいつはダメだ!お前と会いたいんだとよ!』

「うちに入りたいってやつか?意思確認はちゃんとやれよ」

 

数日後動けるメンバーを集めて件の敵と会うことになった。

 

 

 

「話してみたら意外といいやつでよ!お前と話をさせろってよ!感じ悪いよな!」

「...とんだ大物、連れてきたな。トゥワイス」

「大物とは...皮肉が聞いてるな敵連合」

「何!?大物って有名人!?」

「先生に写真を見せてもらったことがある。いわゆるスジ者さ。死穢八斎會、その若頭だ。」

「極道!?ヤダ初めて見たわ危険な香り!」

「これまた時代錯誤だね...」

「私たちと何が違う人でしょう?」

「よーし中卒のトガちゃんにおじさんが教えてあげよう。昔は裏社会を取り仕切るこわーい団体がたくさんあったんだ。でもヒーローが隆盛してからは摘発・解体が進みオールマイトの登場で時代を終えた。

しっぽ捕まれなかった生き残りは敵予備軍って扱いで監視されながらほそぼそ生きてんのさ。はっきり言って時代遅れの天然記念物」

「まァ、間違っちゃいない。」

「それでその細々ライフの極道君がなぜうちに?あなたもオールマイトが引退してハイになっちゃったタイプ?」

 

質問された死穢八斎會の若頭はちらりと楓を見ながら話す。

 

「いや、オールマイトよりもオールフォーワンの消失が大きい。

裏社会のすべてを支配していたという闇の帝王。俺の世代じゃ都市伝説扱いだった。だが老人たちは確信をもって畏れてた、死亡説がささやかれても尚な。

それが今回実態を表し...死んだ。つまり今は日向も日蔭も支配者がいない。じゃあ次はだれが支配者になるか。」

「...うちの先生が誰か知ってていってんならそりゃ...挑発でもしてんのか?次は、俺だ。

今も勢力をかき集めてる、すぐに拡大していく。それに下地もできてるんだ。

この力で必ずヒーロー社会をドタマからぶっ潰す。」

「計画はあるのか?」

「計画?お前さっきから...仲間になりに来たんだよな?」

「計画のない目標は妄想という。妄想をプレゼンされてもこっちが困る。勢力を増やしてどうする?そもそもどう操っていく?どういう組織図を目指してる?

ヒーロー殺しステインをはじめ、快楽殺人のマスキュラー、脱獄死刑囚ムーンフィッシュ。どれもコマとして一級品だがすぐに落としてるな?使い方がわからなかったか?

行かれた人間十余人もまともに操れないのに勢力拡大?コントロールできない力を集めて何になる。目標を達成するには計画がいる。そして俺には計画がある。今日は別に仲間に入れてほしくて来たんじゃない。」

「トゥワイス...ちゃんと意思確認してから連れてこい」

「計画の遂行には膨大な金が要る。時代遅れの小さなヤクザ者に投資しようなんてもの好きはなかなかいなくてな。ただ名の膨れ上がったおまえたちが要れば話は別だ。

俺の傘下に入れ。お前たちを使って見せよう。そして俺が次の支配者になる」

「...帰れ」

 

死柄木の声を皮切りにマグネが動いた。

 

「ごめんね極道くん。私たち誰かの下につくために集まってるんじゃあないの。

こないだ友達と会ってきたのよ。内気で恥ずかしがり屋だけど私の素性を知っても尚友達でいてくれた子。彼女言ってたわ。常識という鎖につながれた人がつながれてない人を笑ってる。

何にも縛られずに行きたくてここにいる。私たちの居場所は私たちが決めるわ!」

 

そういってマグネが若頭をひきつけ自身のアイテムで頭を打ち付けた瞬間、

 

――マグネの上半身が消し飛んだ。

 

「「マグ姉!?」」

「先に手を出したのはお前らだ。

...ああ汚いな!これだからいやだ」

 

コンプレスが奴を圧縮しようと飛びだすが、何故か個性を発動させることなく、左腕の消し飛ばされてしまった。

それを見た死柄木が突っ込む。が、その間に一人割り込んだ。死柄木はその割り込んできたやつを崩壊させるがその瞬間、廃工場の壁が壊れ、死穢八斎會の仲間が乗り込んできた。

 

「待てどこから!?尾行はされてなかった!」

「大方どいつかの個性だろ」

 

「穏便にすましたかったよ敵連合こうなると冷静な判断を欠く。そうだな...戦力を削りあうのも不毛だしちょうど死体は互いに一つ...キリもいい。頭を冷やして後日また話そう。腕一本はまけてくれ」

 

そういって背を向ける死穢八斎會の連中に対し敵連合の面々は臨戦態勢だ。

 

「てめえ殺してやる!」

「弔君、私刺せるよ。刺すね。」

「私がやれば完封できる。全員殺すでいいよね」

 

「...ダメだ」

「懸命だ手だらけ男、すぐにとは言わないがなるべく早めがいい。よく考えてみてくれ...自分たちの組織とかいろいろ。冷静になったら電話してくれ。」

 

そういって死穢八斎會の面々は廃工場を後にしたのだった。




正直私の感情としてはマグ姉を殺させたくなかったですが、マグ姉もマグ姉で割と便利なせいでのちの展開に困りそうだったので原作準拠。
最後の場面、楓ちゃんが暴れれば死穢八斎會壊滅させられますが、いろいろ展開考えてストップです。相手の個性が一切不明だし、楓ちゃんまで失ったら割と敵連合壊滅ルートまっしぐらなので死柄木が待ったをかけました。
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