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魔法は前世ではありふれた当たり前の
魔法の発動には生命エネルギーとでも呼ぶべき力、もしくは星そのものが持っている力を抽出変換して燃料にする必要がある。
燃料に変換したエネルギーを紋様や音といった記号に沿って広げる。すると燃料が消費されて望んだ現象が発生する。魔法と言ってもただこれだけの手順で引き起こせるのだ。だからこそ当たり前の力として全人類に広まり、日常のモノとして受け入れられた。
しかし、今世に魔法は本来存在しない。俺が転生して来なければ何らかしらの変革がない限り、魔法という技術と知識はいつまでもオカルトの代物となっていただろう。《個性》という異能が当たり前のこの世界では尚更だ。
幸いにも存在しないモノを行使する事によるペナルティはなかった。もしあったら…考えたくもないね。
◇ ◇ ◇
「しっかし…デカいな。本当に高校か?」
雄英高等学校。プロヒーローには必須の資格取得を目的とした養成校であり、数々の有名ヒーローを輩出してきた名門校。ヒーロー科の倍率は300倍にも上るらしい。前世の院よりかはマシだな。
試験は筆記からスタートではなく実技から行うようで、最初に説明会場へ誘導された。講堂のような内部にはすでに結構な人数がおり、掻き分けるようにして座席へ移動するとものの数分で長髪金髪の格好がやべえ男が登壇した。
「今日は俺のライヴに───」
びっくりした。登壇した男の開口一番に阻害術式が自動発動したのだ。集中力が阻害されるレベルの効果を受けると勝手に起動するよう自分に
で、試験説明を行なったプレゼント・マイク曰く試験は市街戦を模したものらしい。仮想
◇ ◇ ◇
「…広いなぁおい」
外の会場に近づき思わず独り言が出る。それぐらい試験会場はデカかった。大都市とまではいかないが、最小の都市機能は賄えるように思えるほどデカい。ほんとにここで市街戦の模擬戦闘やるの?めっちゃ楽しくない?
辺りの受験生からも口々にデカいと感想が漏れている。そりゃあ、ちょっとした都市の一部区画ぐらいはあるレベルのサイズだもんな。なんでも都市部を模したものだかららしいが…いやほんとデケェ。
「ハイスタート!」
なんの前口上もなくヌルッと宣言された「スタート」に最初こそ動けなかったものの、1秒足らずで思い直して走り出す。未だ他の受験生は立ち止まったままだが…ここら辺は人生経験の賜物だろう。スタートって言われたらどんな状況でも何がなんでもスタートするよう仕込まれているのだ。
「っと…意図せず前立っちまったけど、やっぱ行くなら上か?」
《身体強化III》からの《存在探知IV》。相手はロボットなので魔力探知は使えず存在探知を使わざるを得ない。魔力消費量は存在探知の方が増えるが…まあ誤差よ誤差。
ドンッ!と高く飛び上がり、《重力制御V》で高度を維持しながら探知魔法で拾った情報を基に最適なポイント稼ぎを考える。
入り口に近い方からだと後から入ってきた受験者たちと取り合いになる。どう考えても効率は落ちるので奥に行った方が良い。なのだが…ステージギミック呼ばわりされていたデカいのがどう来るのかが問題だ。
受験者が密集してくるところに来るのなら気にせずポイント稼ぎに専念出来るが、全くのランダムや気分だった場合単独で倒す必要がある。いや別に倒す必要はないんだけど、見逃した結果誰かが怪我したらなんか癪に触る。
それにもし万が一他のロボットを倒してるところに乱入してきて、ポイント獲得チャンスを失うようなことになれば必然と合格が遠のく。そうなるとやはりあのステージギミックは遭遇次第叩きのめすのが吉だ。
「ひとまずポイントを獲りに行くとして…どう倒すっかなあ」
《身体強化III》を除く全ての魔法を一度切って放物線を描くように落下する。ここでポンポン火とか水とか出して《個性》を怪しまれるのは面倒なので、単純な格闘でロボットを壊しに掛かる。本当は遠距離で全部破壊とかしたいんだが…我慢だな。
落下先に居た1
「悪いな、見えてんだ!」
「標的補───ナニッ!?」
ロボットよりもワンテンポ早く反応して踏み込み、接近して下から拳を打ち上げる。ガキィン…という抵抗感すらなく金属の塊が打ち上げられる。既にロボットはだいぶボロボロだが、まだ動けるようで銃口を向けてきている。
「人間ブッ殺ス!!!」
「その気概だけは認めてやるよ!!!」
《身体強化V》
今までのよりも二段階上の術式により身体機能が更に上昇する。軽く踏み締めるだけでコンクリの地面が軽く割れる。腰を落とし、ロボットが落ち始める直前を狙って待つ。
そのロボットの浮上が止まり重力に任せて落下し始めた途端、明慈は地面を蹴った。そして
明慈の下には粉々になったロボット。そして遅れて巨大な音が響いた。光速には程遠いが音速を優に超える圧倒的な突進と右フック。それによって尋常じゃない衝突エネルギーが発生しロボットが塵芥になった訳だ。
しかし当然身体強化だけでは抑えきれない反動もある訳で…
「ぬおぉぉぉ…は、吐きそう…障壁張るの忘れてた…うぅっ…」
音速を突破して数十m跳んだ挙句、真正面から金属とぶつかったため多大なGが肉体に掛かり、内臓をキュッと締め上げられていたのだった。その場に蹲り、吐き気が引くまで待つ。まだまだ周辺にはロボットが居て他の受験生は来ていないので焦る必要はない。そう思っていたが───
ズズン…ズズン…
地鳴りのような音に気付き顔を上げる。遠くの方、おそらく他の受験生が固まっている場所にステージギミックのロボットが向かって行っているのが見えた。
「…あれ壊せるかな?」
こういう好奇心が回り回って前世の俺を殺したような気がするが…まあ、自分の実力がどこまで通じるのかは試したいよね。
蛇足コーナー
魔法の後のローマ数字はその魔法の段階です。術式を順当に強化すると後ろに数字が付きます。全く違う方向に強化されたり、性質が変わってくると別種の魔法になります。
なお、明慈にとってはローマ数字は当て字です。今世で扱いやすいからってだけですね。