暇潰しに書いたモンハン二次   作:水代

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十五話 食い合い

 

 斬、ただその一文字だけ込めた刃がクシャルダオラの首筋を薙ぐ。

 刃が過ぎ去ったその直後、ぶしゃあ、と首に赤いラインが引かれ、血が噴き出す。

 

 かなり深く入った…………とは思う。

 

 リオが上手くアシストしてくれた。タイミング的には最高だった、ほぼ理想的な一閃だった。それこそ、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 だがまだだと直観する。首を薙いだ程度で、この程度で古龍が死ぬはずも無い。

 

 かなり大きなダメージだとは思う、修復まで相当な時間も要するだろう。少なくとも、この戦闘中に治るような傷ではない。

 だが目の前の巨体はまだ動く、まだ声を張るし、爪牙を光らせるし、翼をはためかせる。

 戦闘は続行可能だ。ならばまだこれは自身たちを殺そうと動くだろう。

 

 そして自身たちもまた目の前の怪物を殺すために刃を振り上げねばならない。

 

 これは生存競争だ、人と怪物の食い合いに相違無いのだから。

 

 だから、それを終わる時は、どちらかが死ぬ時でしかない。

 

 ガァァァァァ!!

 

 クシャルダオラがその前足を真横に振りかぶり、降ろす。

 振りかぶりから振り下ろしまでの僅か2テンポ程度の短い動作に反応が一瞬遅れる。

 グシャァァと土と雪の入り混じった地面を弾き、こちらへと飛ばしてくる。

「っぐ、不味い」

 音や風ならば刃で斬り裂ける、だが実体のある物は断空では斬り裂けない。特にこんな最初から四散したものを更に斬るなんて真似、自身にはできない。

 咄嗟に後退しながら左腕で顔を覆う。目だけは絶対に守らなければならない。土が目に入れば良くて一、二秒、下手すれば五秒も六秒も視界を潰される。それだけの時間目の前で隙を晒せば…………間違いなく死ぬ。

 同時に理解する。

 

 ()()()()()()()

 

 咆哮を斬り、ブレスを斬り、二度、目の前で見せた技を、技術をこの化け物は学習している。

 こうして目を潰してから。

 

 ヴォォォォォン、と音が聞こえる。片腕で隠し、視界の効かない状況に、咄嗟の判断で真横に転がると同時、自身の横を何かが地面を薙ぎながら通り過ぎていく。

 すぐに腕にかかった土と雪を払いながら、視界を戻す。

 

 そうしてその時点ですでにこちらに体を向けるクシャルダオラの姿を見て。

 

 不味い、とそう感じるより先にクシャルダオラがその巨体で全力のタックルをしかけようと前足を一歩、踏み出した…………瞬間。

 

 ダァン、とその顔面で弾丸が弾ける。

 通常弾程度ならば気にしなかったかもしれないが、貫通弾はそこそこ痛かったらしい、クシャルダオラが足を止め、弾丸が撃たれた先…………リオの方へと顔を向け。

 

「こっちを…………見なさい!!!」

 

 その明確な意識の空白を縫うように、刃を真横に構えながらクシャルダオラに接近し…………()()()()()

 その顔がすぐさまこちらを向き、そして同時、その時にはすでに再び腕が振りかぶられており…………。

 

「罠っ?!」

 

 古龍は人と同じかそれ以上に狡猾である、そんなことを思い出した直後、腕が振り下ろされて。

「間に…………合え!!」

 クシャルダオラの腕が地面を薙ぐと同時、横薙ぎに出された刃がその腕を切り裂き、指先を斬り飛ばす。

 

 ギャォァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ

 

 クシャルダオラが絶叫を上げ、弾かれたように腕を引き戻す。

 だが代償に、咄嗟に瞑った左の目とは反対、右目に土が被さり、強烈な痛みと共に視界が閉ざされる。

「ぐ…………くっ…………」

 片方だけの視界の中で、クシャルダオラが数歩後退しながらこちらを睨む。

 すでに古龍特有の傲慢さは無い、完全なる敵認定。獲物ではない、敵と認識された以上、最早この龍はその死力を尽くしてこちらを殺そうとしてくるだろう。

 正直言って、片目の不利は否めない、だが逃げ出そうにも隙も無い。

 

 どうする?

 

 そう考えた直後。

 

 世界が光に包まれた。

 

 閃光玉だ、とすぐに気づく。そしてそれが()()()()()()()()()()退()()()()だとも。

 

 すぐさまに太刀を収め、一心不乱に走り出す。

 幸い、と言うべきか、クシャルダオラには閃光玉が通じることは事前に分かっていた。

 だから逃げ出すことは十分に可能だろうと予測はしていた。

 ただし、あの怪物の目の前で悠長に道具を取りだし投げる暇があるのならば、だが。

 

 走りながら思う、今回はリオに助けられた部分が多い、そして同時に自身の足りない部分も。

 

 逃げる途中にゆっくりと後退するリオを拾い、背に負う。自身の太刀は基本腰に差してあるのでこういう時は邪魔にならない。

「助かるよ」

「こっちの台詞だわ」

 互いに軽口を叩きあい、山頂部から十分に距離を取って、洞窟内に逃げ込む。

 これで上空から奇襲に合う心配は無いだろう。

 凍った坂道を滑り落ちないように移動しつつ、周辺にモンスターが居ないことを確認して腰を落とす。

 すぐに腰に下げた水筒を抜き、水で目を洗い流す。

 単純な水分と言う意味でも重宝するのは確かだが、それ以上に汚れや毒などを洗い落とすのに水筒はほぼ必須だ。ベースキャンプに置いてくるハンターも多いのだが、義兄に倣って自身はこうして持って歩くようにしている。

 時折こうして必要になることを知ってからは最早必需品だ。

 

「左腕、大丈夫かい?」

「…………こっちね、問題無いわ。少し痛めたけど、まあ折れては無いし、もう一戦くらいはやれるわよ」

 こうして戦闘から離れると途端に骨を痛めたせいか、ずきずきと痛みが走るが甘えたことを言えば死ぬだけだ。だったら多少の無茶も容認すべきだろう。

 左腕の防具を外し、足元に積もる雪で冷やしていく。手の内側に籠った熱がすっと引いて、痛みも少し和らいだ気がする。

「問題は、次で終わらせれるか、と言うことね」

「確かに…………まだ生まれたてとは言えさすがは古龍と言ったところか。冗談抜きで回復が速い」

 初撃で斬り飛ばした角はすでに再生していた、と言っても見かけだけであり、本質的には戻ってないのは知ってはいるがまあ角の一本斬り落とした程度では誤差だろう。

「あの風を纏う厄介な力は角を複数折ると使えなくなるんだが」

「やらせてくれるかしら…………相当に頭が回るわよ、あの怪物」

 まさかこちらに罠まで仕掛けてくるとは思わなかった、リオが咄嗟に撤退の判断を出せなければもう一撃まともにもらっていた可能性は高い。

「ここで一旦撤退…………とは行かないかい?」

「無理ね。ここで逃してもより強くなるだけよ、もう一体のほうが倒されている保証も無いし、最悪突破されてこちらに向かっているかもしれない可能性を考えれば、今仕留めるしかないわ」

 まあそれは余りにも上位パーティーを信用して無い意見なので、考えたくは無いのだが、可能性としては決して否定しきれない。

 

 戦ってみて分かる、生まれたての最弱状態でこれなのだ、これ以上知恵をつけさせ、肉体を強化されては手の施しようがなくなる。

 少なくとも、今の自身たちでは今ここで倒せなければもうチャンスが来ないと思ったほうが良い。

 

「それに…………逃がしてくれる気はないみたいよ?」

「…………何?」

 呟いた言葉に、リオが反応する。

「雪山の周囲を飛んでるみたいよ」

 本当に頭が回る、この雪山から出るための道全てを飛び回って哨戒している。そのことを探知のスキルで気配を読み取りながら察知していた。

 完全に敵として認定されている、こちらを殺し尽すと決め、絶対に逃がすつもりは無い、と言った様子だ。

「覚悟…………決めないとね」

「全く…………勘弁して欲しいね」

 苦笑しながらリオが呟き、立ち上がる。

 それに追従するように自身も立ち上がる。左手の痛みは…………もうほとんど気にならない。闘志が痛みを消し去っていく。それが必ずしも良い状態とは言わないが、少なくともこれから戦う以上は痛みなど邪魔でしかない。

「どうする? 山の麓に行く? それとも」

「いや…………堂々と行こう」

 

 山頂部だ、そう呟くリオの瞳は、決意に固められていた。

 

 

 * * *

 

 

 空に向かって投げた閃光玉が派手な合図となり、龍をおびき出す。

 光に向かって真っすぐにやってくるクシャルダオラの姿に、両手でしっかりと太刀を握り。

 

 ゴガァァァァァァァァァァ

 

 空中で停滞しながら咆哮する龍の脚元を駆け抜け、その尾に向かい一閃。

 ずぱっ、と尾先に切れ目を入れながらそのまま走る。足を止めればその瞬間、クシャルダオラのブレスが飛んで来ることを理解していたからだ。

 目の前でちょろちょろと動く自身を追い、クシャルダオラが翼をはためかせながら飛んで来る。

 だがその動きは滑空していた先ほどまでとは違い、ゆるやかだ。代わりにいつでも攻撃が出せる姿勢ではあった。

 

 だがそれはリオからすれば悪手だ。

 

 拡散弾が発射される。

 爆発を引き起こすこの弾丸は、クシャルダオラの纏う風に阻害されない数少ない弾丸である。

 クシャルダオラが纏う風の鎧は、ほとんどの弾、弓を文字通り()()してしまうガンナー殺しである。故にガンナーがクシャルダオラと相対するのならば、相応の準備と弾丸の選択が要求される。

 小規模ながら爆発を引き起こす拡散弾がクシャルダオラに命中する。

 翼を狙って放たれた弾丸がその翼を爆破し、クシャルダオラの滞空を阻害する。

 一瞬で重力に捕らわれたクシャルダオラが地面へと落ちていき、ズドォォォン、と轟音を立て、地面が揺れる。

 だが無防備に横倒しに倒れたクシャルダオラを狙い、間を詰め…………一閃。

 

 【攻撃力UP小】+【一閃+2】+【見切り+2】+【剣術+1】+【斬心+1】

 

 構えから一瞬、真横に薙がれた刃がクシャルダオラの腕を切り裂く。先ほど斬り飛ばした指先は血こそ止まれどさすがに再生はしていない。

 少なくとも、これでもう突進はできない。それどころか、後方にジャンプして距離を置こうとしてもバランスを崩す。

 

 後は。

 

「リオっ!」

 

 後方にいるリオへと声を挙げると、返答代わりに次々と弾丸が起き上がろうともがくクシャルダオラに刺さっていく。

 太刀を収め、クシャルダオラを狙い。

 

 【気刃放出斬り】+【攻撃力UP小】+【一閃+2】+【見切り+2】+【剣術+1】+【斬心+1】

 

 居合い一閃。起き上がった瞬間、クシャルダオラの翼を放出された気の刃が切り裂く。

 ボロボロになった翼に、クシャルダオラが怒り、風の鎧を纏おうとして…………失敗する。

 ガァァァと苦し気に呻くその姿に。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ペース、上げていくわよ」

 

 直後、背後から爆発的な光が弾ける。リオが閃光玉を投げたのだと即座に理解する。

 光に背を向けて尚目が潰れそうなその光に、思わず目を閉じる。

 直後目を開くと、視界が潰され、毒にもがき苦しむクシャルダオラの姿があった。

 

 間を詰め、刃を振るう。一閃、二閃と薙がれた刃がその度にクシャルダオラに傷を作り出す。

 痛みに暴れるクシャルダオラから一旦距離を取ると、反撃とクシャルダオラが腕を振り回し…………まだ無事なほうの前足を振り上げた衝撃で傷つけた片方の前足が折れ曲がり、その巨体を崩す。

 

 直後その翼にリオの徹甲榴弾が刺さり。

 

 【攻撃力UP小】+【一閃+2】+【見切り+2】+【剣術+1】+【斬心+1】

 

 二度目の…………渾身の刃が先ほど首に付けた傷をさらに深く抉った。

 

 

 ガアアアアアァァァァァァァァァァァァァ!!!!!

 

 絶叫、絶叫、絶叫。最早生命の危機に瀕した古龍の絶叫が雪山に轟く。

 

 クシャルダオラが大きく翼を羽ばたかせながら後退する。

 その着地に前足片方ががくりと崩れるが、それすら気にせず。

 

 ガアアアアアアアアアア、ガアアアアアアアアアアア、ガアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 吼えながらその翼を羽ばたかせ、吼え、羽ばたき、吼え、羽ばたき。

 

 そうして、クシャルダオラを中心としたその周囲に徐々にだが風が渦巻いていく。

 首から最早早々に癒えぬ傷からぼたぼたと血を垂れ流しながら、古龍が叫び、叫び、叫び。

 

 それが決死の一撃だと理解する。

 

 だからこそ…………構えた。

 

 両手でしっかりと柄を握り、袈裟に構える。

 

 両足を少し広げ、スタンスを広く取る。

 僅かに腰を落とし、両足を前後させて状態の安定をさせる。

 

 そうして体内で練気を練り上げていく。

 

 練気はハンターにとって必須の技能であると言える。

 これが無ければハンターがモンスターと戦うことも出来なければ、そもそも過酷な自然の中を自在に動くことすらできなくなる。

 

 だから、それは基本の動作。

 

 息を吸って、吐く。吸って、吐く。

 

 呼吸一つ取っても、練気の練り上げは完成されていく。

 刃を交わすことで練り上げるのが一番効率が良いとされている、中でも太刀は特に練気の蓄積と放出に長けた武器であると言われているが、逆に言えば、練気の扱いの得手不得手が太刀の技にも直結することも多々あると言うことだ。

 

 想像するは最も速く、最も鋭い一撃。

 

 義兄にのみ許された最強の一撃の模倣。

 

 撃ち落とす、それ以外に生き延びるための選択肢は無いし、それ以外の思考を削ぎ落していく。

 

 ただ視線の先の怪物にのみ、その一撃にのみ思考を集中させていく。

 

 怪物が咆哮を終え、こちらを見据える。

 

 ブレスの速度から考えて、見て斬るのでは遅すぎるだろう。

 

 当てるのならば、純粋なる勘で危険を察知するしかない。

 

 元より義兄の使う断空とはそう言う技なのだから。

 

 タイミングはシビアと言わざるを得まい、と言うか初見の攻撃の対応など早々できるはずも無い。

 

 だから、目を閉じる。

 

 耳を研ぎ澄ませ、音にだけ神経を尖らせ。

 

 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

 

 轟音がごとき風の唸りが発せられると同時に、自身の勘が危険を察する。

 

 “必要なのはタイミング、あとは鋭さだ…………力は入れ過ぎず、抜き過ぎず”

 

 袈裟に構えた刃が振り下ろされる。

 

“重要なことは斬ることじゃない、斬れる線をなぞるだけで良い”

 

 風と刃がぶつかり合う。ただの風ではない、古龍の決死の一撃、ただの刃ならば弾き返されてそのまま一緒に薙ぎ倒されるだけだろうが。

 

 模倣猟技【■■】+【断空】

 

 “後は勝手に斬れる、そんなもんだ”

 

 振り抜いた刃が風を断つ。

 

 生命を燃やし尽くした古龍がその動きを止め…………ゆっくりと倒れていく。

 

 ひゅっ、と刃を横に薙ぐ。

 

「クシャルダオラ…………討伐完了」

 

 小さく呟き、笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 




称号:ストレンジャー
名前:レーティア・ブランドー
HR:2/10

装備スキル【攻撃力UP小】【ダメージ回復速度+2】【防御+60】
習得スキル【体力+20】【ランナー】【一閃+1】【見切り+2】【抜刀改心】【体術+1】【集中+1】【業物+1】【剣術+1】【氷耐性+10】【耐雪】【酔っ払い】【暑さ倍加小】【寒さ半減】【回避性能+1】【受け身】【調合成功率+10%】【ハンター生活】【地図常備】【採取+1】【探知】【隠密】

EXスキル【断空】【斬心+1】
EX猟技【■■】→まだ完全には習得していない。



称号:ストライダー
名前:リオレイシア・ハーティス
HR:2/10

装備スキル【攻撃力UP大】【防御+30】【隠密】【気絶無効】【装填速度+3】【反動軽減+2】【装填数UP】【狙い撃ち】【ボマー】【通常弾・通常矢威力UP】【貫通弾・貫通矢威力UP】【散弾・拡散矢威力UP】
習得スキル【体力-30】【鈍足】【腹減り半減】【早食い】【火事場+2】【見切り+4】【毒無効】【激運】【弱点特効】【軽銃技銃傑】



EX猟技→この小説オリジナルの猟技。G級はならだいたい持ってる。

EX猟技【■■】→一刀両断、一撃必殺を極めようとしたバカの必殺猟技。本来の性能の場合、当てた部位ごとに固定のダメージを与え、与えた結果残りHP30%未満になったら即死するとか言うアホみたいな仕様。確実に部位破壊を引き起こし、部位破壊した場合さらに固定ダメージが通る。

あんまりにもアホ過ぎる仕様だけど、割とモンスターたちも洒落にならないレベルでぶっ飛んだのが多いG級なので実はこのくらい普通に見える罠。
今回のクシャのラストで使ったみたいな、ゲームで使う以外の技も独自に作って組み込んでいきます。まあ余りにもできそうにないのは使わないけど。
クシャに使わせてみたい技その②→上空に渦を生み出して、空に飛びあがって眼下のハンターに大量の竜巻落とし(マップ全体攻撃)。
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