暇潰しに書いたモンハン二次   作:水代

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誰か俺にモンハン世界の地図を見せてくれ(


四話 意思の刃

 

 振り抜いた刃がゲリョスの尾にまた一つ傷を付ける。

 お返しとばかりに吐きかけられた毒を、けれどバックステップで避けて一度間合いを広げる。

 サイドステップ、サイドステップと繰り返しとにかく正面に立たないように心がけながらその隙を伺う。

 飛び掛ってくるゲリョスの横をすれ違い、そのまま尻尾を切りつける。

 

 これで一体何度目か、十を数えたところで止めた覚えはある。

 そうこうしているうちに、ゲリョスが立ち止まる。まだこちらとの距離はあると言うのに。

 

「来た」

 

 思わず呟く。これで何度目かの攻撃パターン。さすがに理解する、次の攻撃は。

 カチン、カチンと自身の頭を振りながらトサカと嘴を何度と無くぶつけ合い…………。

 スライディング気味にゲリョスの真下に潜り込み、眼をきゅっと閉じる。十数メートルを越す巨体だ、人一人、まして女の細身がすっぽり隠れる程度の隙間をある。

 

 直後、夜の闇を切り裂き、閃光が放たれる。

 だがトサカから放たれた閃光はゲリョスの巨体に隠れた自身にはほとんど届かない。

 けれど、眼を開けば視界がチカチカとする。ここまでしてもこれか、と思うが、直視すれば気絶するほどの強烈な光なのだから仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。

 

 眩む視界に舌打ちしながら素早くゲリョスの真下から後方に抜けて脱出する。

 起き上がりざまに尻尾に一太刀浴びせると、ゲリョスが悲鳴を上げて大きく仰け反る。

 そうして、体勢を立て直したゲリョスだったが、こちらを向いたと同時にトサカが明滅しだし、その眼が赤に染まっていく。

 

「怒った…………」

 

 ここからさらに厳しい状況が続くことになる。何よりも厳しいのはその俊敏性だろう。

 ただでさえギリギリのところで避けていたのに、さらに俊敏に動きだされては反撃の(いとま)すら見いだせなくなる。

 ゲリョスがこちらを振り返る。キッとこちらを一瞥し…………。

 

 次の瞬間、猛然とした勢いで飛び掛ってくる。

 

「っ!!」

 速すぎる、先ほどまでよりもさらに勢いを増すその攻撃に、咄嗟に横に転がって避けることしか出来ない。

 彼我の距離は五メートル以上あったはずなのに、僅か一蹴でその間を詰められた。

 その速度は察せる通りのものであり、そんな速度であの巨体が猛然と向かってくるのである、それだけで人一人殺すには十分過ぎる必殺の攻撃である。

 地を転がり、すぐ様起き上がる…………だがすでにゲリョスはこちらへと向き直っていて…………。

 

「ちっ」

 

 舌打ち一つ。即座に両手を交叉させ…………直後、とてつもない衝撃が体を襲う。

 ごろん、ごろんと体が四回転、五回転、六回転と転がったところでようやく止まる。

 不味い、と内心で呟く。あと二度か三度この攻撃をもらったら、体が動かなくなるか、意識が飛ぶ、どちらにしろ、末路は死だ。

 それは嫌だ。まだ何も為していないのに、まだ何も終わっていないのに、始まってすらいないのに。

 こんなところで終わるなんて嫌だ。

 

 きゅっと歯が食いしばり、起き上がる。

 

 猛然と向かってくるゲリョス。

 

 腰を落とす、刃を収める、その柄をぎゅっと握り締め。

 

「いい加減に」

 

 【気刃放出斬り】+【抜刀改心】+【攻撃力UP小】+【見切り+1】+【剣術+1】

 

「しなさい!!!」

 

 振り抜いた一閃が、ゲリョスの頭へと直撃する。

 ギャァァァァァ、と悲鳴を上げ…………ゲリョスが崩れ落ちる。

 ドスゥゥン、と轟音を立てつつ、ゲリョスが地に倒れ伏す。

 

「倒……した……?」

 

 一瞬、安堵のため息を漏らしそうになり…………すぐ様気づく。

 

 ゲリョスってのは臆病なやつでな、やられる、と思ったら死んだ振りをしてハンターをやり過ごそうとする、もし戦うことがあっても、油断するなよ?

 

 昔、義兄がそう言って私に教えたことがある。

 と言っても、目の前で見るそれは本当に死んだようにしか見えない…………が。

 熟練ハンターですら見分けるのは困難と言われるような有様なのだ、新人の私がそう簡単に分かるようなものでもないのだろう。

 

 仮定、現状敵はまだ生きているとする。

 だとするなら、ここは一度退くべきだろう、先ほどはほとんど博打のようなもので上手く敵を退けたが、この状況でもう一戦しようものなら確実にやられる。

 中型上位のゲリョスの討伐目安期間は二日。あと一日あるのだ、今無理する必要も無い。

 

 最後に手持ちの中からペイントボールを出し、偽死行為をしているゲリョスへと投げる。

 これで行方を見失うと言うことは早々無いだろう。

 そうして少し重くなった体を引き摺りながら、私はベースキャンプへと戻っていった。

 

 背後で、ゲリョスが僅かに身じろぎした気がした。

 

 

 * * *

 

 

 握る太刀が重く感じる。

 目の前にいる子供の自身の数倍の大きさの化け物(モンスター)

 ランポスと言う名のハンターたちが狩るモンスターの中でも最弱の敵。

 けれどその爪は子供の柔肌をあっさりと引き裂き、自身を殺すだろう必殺の爪であり。

 けれどその牙は子供の脆い骨をあっさりと砕き、自身を殺すだろう必殺の牙である。

 

 どれほど弱い相手でも、死ぬ時はあっさり死ぬのがハンターと言う職業なのだとあの人は言う。

 

 だとすれば、目の前の敵を相手にあっさりと死ぬかもしれない、そんな恐怖は…………けれど無かった。

 何の恐怖も無く、憤りも無く、渇望も無く、躊躇いも無く、油断も無く、ただ淡々と間を詰め、太刀を振り上げ。

 

 そして振り下ろした。

 

 一瞬の早業。二年もずっと振り続けてきた太刀だ。もう自身の体のように馴染む。

 振り下ろした太刀は、ランポスの脆い鱗をあっさりと切り裂き、その肉をずたずたにする。

 悲鳴を上げ、仰け反る。怯んだその隙を逃さず、さらに一歩、間を詰めて…………。

 

 その首を跳ね飛ばした。

 

 間近で見ていたあの人が眼を丸くするくらいに。

 自分でやっておいて、なんだか現実味を無くすくらいに。

 

 あまりにもあっさりと。

 あまりにも簡単に。

 

 自身は初めて“生きた存在”を殺した。

 

 そしてそこには、何の感情も無く、感慨も無く、意味も無かった。

 

 

 * * *

 

 

 焚き火を起こすと冷えた体が温まっていくのを感じる。

 いくら気温も湿度も高い沼地とは言え、寒冷期に野外で眠ると寒いものは寒い。

 凍りついたかのように冷えた体が序々に解れていくような感覚。

 吐く息が白むほどでも無いが、やはり朝と言うのは冷え込む。

 特に、雨が降っているような朝は、余計に…………だ。

 

 携帯食料を齧りながら、太刀を抜く。

 ベースキャンプに戻ってきてから、血を拭い、砥石で研いでおいたので切れ味は戻っている。

 幸い刃こぼれも無いようなので、戦闘には支障は無いだろう。

 

 刃に意思を乗せろ、とは義兄の言葉だ。

 

 刃筋を立てろ、斬線を見切り、刃に意思を乗せろ。

「『そうすりゃあ、なんだって切れる』…………ね」

 そんなことありえるのだろうか、とも思うが、実際目の前で本当になんでも斬ってしまう義兄を見てきただけに、否定もし辛い。

 今の私にはまだそこまでの境地は難しいけれど。

「やるしかない…………か」

 そう一人ごちた。

 

 

 

 モンスターと言うのは傷の治りが人と比べて遥かに早い。

 人間の十倍近い速さでその傷を治していくと言われているが、けれどその体力とて最大値が底なしに大きいので結果的に割合自体は人間とそれほど変わっていないようにも見える。

 とは言っても、人と同じく、生物である以上、傷を治すにはある程度必要な行為がある。

 食事と睡眠だ。

 昨日あれだけ戦った以上、一晩や二晩で完治、とはいかないだろうから恐らくまだかなり傷は残っているだろう。疲労はともかく、傷はそう容易くは治りはしない。

 すでに朝、自然界で明るくなってからももたくさ眠いっては襲ってくださいと言っているようなものだ。

 恐らく今は食事に飛び回っているころだろう。

 

 狙い時である。

 

 生物と言うのは須らく睡眠中と食事中は気が緩んでいるものだ。

 居場所もだいたい察しはついている。食事、となれば居場所は二つに一つだ。

 エサとなるものがある場所か、水場か。

 ゲリョスと言うのは雑食性だ。最悪そこら中に生えた毒キノコだって食べるだろう。

 体内に毒の生成機関を持つだけに、そう言った耐性は高そうだし、まあ間違ってもいないだろう。

 山を張るとすれば水場、この辺りでそれがある場所と言えば…………。

 

 

 

 ベースキャンプを東寄りに北上していった先に、洞窟への入り口がある。

 自身が昨日飛び降りようとして毒沼のせいで止めた崖のある辺りだ。

 そこに川が流れており、水場を求めてケルビが集まってきている。

 いるとすればここだろう、と予想しながら近づくにつれて匂って来るその香りに予想が当たっていたことを確信した。

 

 ペイントボールは付着し、その中身を弾けさせると強烈な香りを撒き散らす。

 遠くからでも微かに匂って来るその香りは、近づくにつれどんどんその臭気を強めていく。

 だが自然界にもある植物…………ペイントの実と人の間で命名されたものを使っているせいか、ほとんどのモンスターはこの匂いを気にしないらしい。

 結果的に、見失ったモンスターを探すための分かりやすい目印として使われる。

 

 流れる川に顔をつけ、水を飲むゲリョスの姿を認める。

 

 影を置き去りするかのように、流れるような動きで疾走する。

 気配を薄める隠密スキルの影響で、ゲリョスは気づかない。

 さらに近づく、その距離はもう数歩で刃が届く。ゲリョスは気づかない。

 完全にこちらの射程に入った、その時。

 

 ギャァァァァ!!

 

 ゲリョスがこちらに気づく、だがすでにこちらは刃を抜いている。

「『刃に意思を』」

 まるで呪文のように、呟く。そうすれば何度と無く見てきた義兄の技巧に近づけるような、そんな気がしたから。

 斬、ありったけの意思を込め、カタナを振りぬく。

 

 【攻撃力UP小】+【見切り+2】+【剣術+1】+【??+1】

 

 その一撃は昨日の最後の一撃によって脆くなっていたゲリョスのトサカを両断する。

 体の一部を失ったゲリョスが大きく仰け反る、その絶好の隙を逃す自身ではない。

 返す刀でその翼を袈裟切りにする。さすがに切れはしないが、痛めつけることには成功したようで、がくん、と斬ったほうの翼が力なく崩れる。

 仰け反ったところに、さらなる一撃を食らったことにより、ゲリョスの体勢が一時的に止まる。倒れそうになる体を両の足で踏ん張っているような状態。

 

 昨日は固すぎてまともに斬れなかった。

 

 だが、今ならば。

 

 刀を真横に構え、そうして。

 

 ゲリョスの足目掛け、薙ぐ。

 

 【見切り+2】+【一閃+1】+【剣術+1】+【??+1】

 

 ひゅん、と風を切って刃が薙がれる、と同時にゲリョスの足が大きく切り裂かれ、痛みでゲリョスがバランスを失い、その巨体が地を転がる。

 二転、三転したところでその巨体が止まる。

 

「これで」

 

 だがその時にはすでに、私は刃を納め、体勢を作っている。

 

「終わり」

 

 【気刃斬り】+【攻撃力UP小】+【見切り+2】+【一閃+1】+【剣術+1】+【??+1】

 

 一閃、二閃、三閃、四閃。

 刃を薙ぐごとにゲリョスの体が切り刻まれていき。

 

 五閃。

 

 振り下ろした刃がゲリョスの首を切り裂き。

 

 その生命を完全に絶った。

 

 

 * * *

 

 

 気球船と言うのは、現人類が唯一空を飛ぶ方法だ。

 当然ながら所有している人物、組織と言うのは限られており、その数少ない組織の中に、古龍観測所と呼ばれるものがある。

 その名の通り、古龍と呼ばれる災害級のモンスターたちの情報を集め、情報が入ってくると気球を飛ばし古龍の存在を望遠鏡などを使って確認するのが役目だ。

 古龍種と呼ばれる存在は、総じて災害に例えられるほどの破滅的な被害をしばしば人類にもたらす。

 その存在をどれだけ早く察知し、正確な居場所を捉え、警告を促すことができるか、と言うのはその地に生きる人間の生命にも関わる自体である。

 需要があれば必然的に供給もできる。そうしていつしか人が集まり、物が集まり、古龍観測所は大きな組織へと成長していった。

 

「ガセ、ですかねえ?」

 

 気球船から望遠鏡を覗く男が寒そうな震えた声で呟く。空の上から見える景色は森と山ばかり。そこに特に異常は認められず、空の上故に男が一人、寒さに震えるばかりだ。

 街を出発してはや一週間。観測所に入ってきた黒いモンスターの情報を確かめるためにやってきたが、それらしき影は一向に現れない。

 そんな男の後ろ、気球船のマストに背を預け、床に座って楽そうに足を伸ばす女が笑う。男とは違い、寒さに強そうなコートを羽織っており、随分と暖かそうだと男が睥睨する。

 

「まあ良くあることじゃないですか、今回も何も無かった良かった良かった、それでいいと思いますけど?」

 

 そう、女の言うとおり、実際こういうことは良くある。

 古龍と言う災害をいち早く察知するために作られた機関ではあるが、実際問題、古龍など早々…………いや、滅多に現れるものでも無い。

 そのため、寄せられた情報の大半がガセだったり、何かの見間違いだったり、と情報の真偽を確かめるために出向いた観測隊が徒労で終わることと言うのも多い。

 つまり今回もそうだった、と言うだけのことなのだろう。

 男だってこれまでに何度も徒労を味わった経験もある、そう考え、そろそろ帰還すべきだろう。

 

 そう考えた、その時。

 

 

 唐突に、眼下の森が爆発した。

 

 

「っ!?」

「なっ!!」

 

 木々が吹き飛び、広大な森の一部にぽっかりと穴が開いたような状況。

 そして、その場所から飛び出してくる黒い影。

 

「………………………………」

「………………………………」

 

 男も、女も、声が出なかった。

 その黒い翼をはためかせ、我が物顔で空を飛行する竜に、けれど何のアクションも起こせないまま、それが過ぎ去っていくのをただ呆然と見つめる。

 

 圧倒されていた。その巨体から放たれる圧倒的な威圧感に。

 

 男は観測隊の中でも古株のメンバーだ。二十年近く観測隊に所属しているだけあって、古龍と呼ばれる存在を目視したことも何度かある。少々のことでは動じない自信もあるし、実際古龍が出てきたしても冷静に対処できるからこそ、こうして現場のリーダーを任せられている。けれど、先ほどの竜は、これまでに見てきた災害たちとすら、さらに一線を隔し、男が平静を保てないほどの圧倒的な威圧を醸し出していた。

 

 女は最上級のランクを持つハンターだ。観測隊の護衛、そして現地での調査のため雇われ、共にここまで来た。女が今の地位へと昇りつめるまでに、大小あわせて数百ものモンスターを狩って来た。何度と無く死にかけたこともあるし、これまでに見たことも無いような怪物と戦ったことだってある。だが、先ほどの竜は、それら怪物たちが可愛く見えるほどの威容と威圧を持って、女を圧倒していた。

 

 そして何よりも。

 

「なんだアレは」

 男が女へと振り返る。けれど女は無言で首を振る。

 

 なんだ、アレは。

 

 見たことが無い。

 

 

 これまでに幾度と無く観測されてきた古龍たち。

 そのどれにも当てはまらない、全く新しいモンスター。

 

 

 この日、観測隊が持ち帰った情報から、未知なるモンスター。

 

 

 通称“アンノウン”と称される黒い竜がメゼルポルタ地方各所で目撃されることとなる。

 

 




称号:ストレンジャー
名前:レーティア・ブランドー
HR:2/10

装備スキル【攻撃力UP小】【ダメージ回復速度+1】【スタミナ急速回復小】【防御+30】
習得スキル【体力+20】【ランナー】【一閃+1】【見切り+2】RANK UP【抜刀改心】【体術+1】【集中+1】【業物+1】【剣術+1】【氷耐性+10】【耐雪】【酔っ払い】【暑さ倍加小】【寒さ半減】【回避性能+1】【受け身】【調合成功率+10%】【ハンター生活】【地図常備】【採取+1】【探知】【隠密】NEW









タグにもありますけど、オリ主スレッドのモンハンをベースにしてるので、オリジナルスキル、とかあります。
もう最近のフロンティアは、新スキルに溢れかえってて、今更な感じありますけど、まあそういうものが嫌な人は読むのをやめましょう。
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