ちょっぴり大人っぽいサトシくんの冒険記録(レポート) 作:波導の勇者サトシくん
皆様いつもありがとうございます。
評価、お気に入り、感想、ここ好き等、楽しく拝見させて頂いております。
明日投稿のつもりでしたが、なんか出来ちゃったので投稿します。
今日凄いたくさんここ好きしてくれた人が居たから、それ見てテンションぶち上がっちゃった結果がこれです……ψ(`∇´)ψ
今回は別視点です。
カスミから見たサトシの印象など。
作者の個人的な意見なので聞き流して頂いて結構ですが、外面は気が強く我儘な女の子が内面では意外としっとりしてるの、イイと思います!
水タイプだし、特性『しめりけ』待ってそう(願望)
side カスミ
あたしにとってサトシという同い年の少年は、よく分からない不思議な男の子だ。
あたしが本当に知っていると言える事なんて、ポケモンが好きで、好きで、大好きだって事くらいだろう。
初めてサトシと会ったのは、トキワシティのポケモンセンターだった。
突然名前を呼ばれて振り返った先に居たのが、まだ旅に出たばかりのサトシ。いつも通り、肩にピカチュウを乗せていた。
その時のあたしは、ハナダシティの人以外に自分を知っている人が居るとは思っていなかったから、つい舞い上がってファンなのかと勘違いしてしまった。
サトシとバトルしたのは、それが初めてだった。
ぱっと見でも旅に出たばかりという感じだし、ファンなら少しサービスしてあげるかと、あたしの方からバトルに誘った。
これでもジムの娘なので、経験は少なくても知識には自信があった。
しかし、結果は呆気なく敗北。
ヒトデマンとピカチュウで相性は悪かったけど、まさか何も出来ずに負けるとは思わなかった。
バトルを教えてあげようなんて油断していたのもあるが、それ以上にサトシとピカチュウのコンビネーションには目を見張るものがあった。
それから喫茶店で話すうちに(この時にファンだという誤解は解けた)意気投合して、旅を共にする事になる。
というのが、あたしとサトシの出会いの一部始終である。
暗黙の了解というか、基本的に旅の目的地を決めるのはサトシだ。
あたしは行き先に拘りはないし、サトシにはバッジを集めてポケモンリーグに挑むという目的があった。
とはいえ、ニビシティに行くためにトキワの森(虫ポケモンは無視!)を通ったり、事前にジム戦に挑む順番は聞いていたけど、よりにもよってハナダシティに行こうとする時には流石に少し揉めた。
そうして2週間近く一緒に旅をしていても、今一つサトシの人柄というか全貌は掴めない。
旅に出たばかりの新人トレーナーの割には妙にポケモンやバトルに造詣が深く、地元の男の子たちに比べて大人っぽくて落ち着いているかと思えば子供っぽい部分も多々あり、色々とちぐはぐな印象を受けた。
総じて、今まで接した事のないタイプの不思議な男の子、というのがあたしから見たサトシだった。
まだ知り合って間もないけど、仲は良いと思う。
ニビジムでの一件以来、新たに旅の仲間に加わった元ニビジムのジムリーダーであるタケシからは、"キョウダイ"みたいだなと言われた事もあるほど。
当然どっちが姉か兄かで揉めたりもしたが、それも友人との戯れ合いのようなものだ。
旅に出たばかりの頃に想像していた物よりも遥かに楽しく旅が出来ているのは、あの日にサトシと会えたからだと思っている。絶対に口には出さないけどね。
そんなサトシとの関係性に、更にライバルという要素が加わったのはコーチトレーナーのイチジョーさんに出会ってからだ。
気の合う異性の友人で、旅の仲間。それまでサトシに対する認識はそんなものだった。
けれど、イチジョーさんの方針によって何度も勝っては負けてのバトルを繰り返すうちに、メキメキと実力を伸ばしていくサトシに対抗心を覚えたのが始まりである。
元々サトシからはセンスという言葉では足りないナニカを感じていたけれど、ジムという下地のあるあたしが負け越すとまでは思っていなかった。
時折まるで未来でも視えているのではないかと疑うほどに的確で鋭い指示をするし、こちらの僅かな隙や油断を見逃さずに攻めてくるし、技と技を組み合わせた独特な戦い方には何度も調子を狂わされてしまった。
周囲に水場が少ない環境だったという事もあるけれど、勝率は3割程度だろう。
特にピカチュウ相手には一度も勝つ事が出来ていない。
純粋なトレーナーとしての能力に大きな差は感じない。
それなのに一瞬の判断や閃きによって、有利な状況からも逆転されてしまう。
あたしとサトシで何が違うのか、こっそりイチジョーさんやタケシに聞いてみても、何故か肝心の部分は濁される。
もしかして、これが才能の差というものなんだろうか。
まあ、仮に才能が違ったとして、はいそうですかと諦めるあたしではない。
サトシがポケモンマスターを目指しているのと同じで、あたしも水タイプのエキスパートを目指している。
タイプ一貫は弱点を突かれやすい反面、そういう相手の対策も取りやすい利点があった。
偶然にも、あたしとサトシはポケモンの育成方針が似ていた。
タイプ一貫である以上はタイプ相性を跳ね返すための努力は必要だが、それ以上にポケモンごとの得意を活かす方向、長所を伸ばす事を優先している。
あたしの性格的にも自分たちの得意を相手に押し付けて、ガンガン攻める方が性に合っている。
だから、散々サトシとも意見を交わした。
ああだこうだと、互いに良かったところや悪かったところを指摘し合い、この場面ではこういう意図があった、その場面ならこうした方がいいんじゃないかと話し合う。
まどろっこしい事はせず真っ向勝負を仕掛けるあたしと、慎重に搦手を用いて有利な展開を作るサトシとでは思考が噛み合わないのではないかと思えば、根元にある得意を押し付けてペースを握るという部分が共通しているので話が弾む。
あたしはサトシから戦術を学び、サトシはあたしからパッションを学ぶ。
もしサトシが天才なのだとしたら、この出会いを糧にあたしはあたしの夢を叶えてみせる。
伊達に姉たちから、お転婆娘だなんて呼ばれてないのよ。ただで転ぶつもりなんて、更々なかった。
そうして互いに成長する中で、やはり思う事があった。
サトシには、ある種の二面性がある。
あたしと競ってピッピやプリンをゲットしようとした時のような、年相応の子供らしさから来る無邪気な言動。
ポケモンバトルをしている時によく見られる、年不相応な大人っぽい落ち着きと思考の深さ。
どちらも間違いなくサトシのはずなのに、特に後者の様子を見せた時は自分よりも圧倒的に年上の大人にさえ感じてしまうほどの変化がある。
例えば、トキワの森を嫌がるあたしに対しても、仕方なさそうに笑って最短距離で抜けてくれた。
トレーナーとのバトルやポケモンの捕獲も我慢して、あたしの我儘を聞いてくれたのだ。
これは大人だなと感じた一例だった。
例えば、ハナダシティに行きたくないと我儘を言ったら、いつもなら折れてくれるのに「いいや、俺は行くね!」と言って頑として譲ろうとしなかった。
ジムなら他のところでも良いじゃないと言っても、何故か理由も話さずにここじゃないとダメだと言い張る。
これは子供だなと感じた*1一例だった。
不思議と言えば、サトシがあたしを知っていたのも、今思えば変な話だった。
ハナダシティに到着した時の反応からして、ハナダに来たのは初めての事だと思われるが、だとすれば何であたしの名前を知っていたのか。
あたしはてっきり、昔ハナダシティに来た時にハナダジムの四姉妹について話を聞いたからだと思っていたんだけど。
この前タケシも、サトシはポケモンについて
サトシはオーキド博士にはお世話になったんだ、なんて言っていたけれど、それが嘘である事は表情からすぐに分かった。
でも、あたしたちが問い詰めなかったのは、サトシが悪意を持って嘘を吐いたのではなく、何か話せないような事情があって言えない…………そう見えたからだった。
そうでなければ、どうしてあんなに悲しそうな顔をしていたのか、本当に分からなくなってしまう。
それ以降、あたしもタケシもとやかくは言わなくなった。
いつか話せるようになった時に話して欲しい、というのがあたしたちの共通認識だ。
サトシのママさんと話す機会があれば、何か分かるんだろうか?
幼馴染だというシゲルなら、何か知っているんだろうか?
もしそうだとしても、可能ならサトシ自身の口から聞きたいと思うのは、我儘ではないと思いたい。
そして、今日サトシと2回目のバトルをした。
こっそりサクラ姉さんとの会話を盗み聞いて、つい飛び出して話に割って入ったのがきっかけだ。
ふと、サトシと公式の場でバトルをする機会がどれだけあるのだろうかと考えて、居ても立っても居られなくなってしまったのだ。
サトシの夢を応援する仲間として、共に夢を追うライバルとして、本気で戦いたくなった。
「バッジを渡す準備はしておいてくれよ、カスミ」
「あら? サトシこそ、負けて泣いても慰めてくれるママはここには居ないわよ。今のうちに呼んでおいたらどう?」
サトシが軽口を叩けば、あたしもそれを倍にして返す。
喧嘩ではなく、これもいつものやり取りだ。
子供みたいな言葉の応酬だけれど、既にサトシはバトルをする時の思考に切り替えており、瞳の奥にはゾッとするほど冷たい光があった。
バトル中は常に、頭の中であたしでは理解出来ないような計算をしているらしい。
それから間も無く、サトシのハナダジムへの挑戦は終わった。
結果は、前回と同じくあたしの敗北。
裏を掻かれては裏を掻き、最後は完全にサトシにペースを持って行かれて為す術なく降参するしかなかった。
ジム戦に出すにはスターミーのレベルが高すぎたので、次にレベルが高いヒトデマンではなくトサキントにする事で最低限の体面は作った。
ベストメンバーではない。
それでも本気で戦って、あたしは負けた。
サトシだってピカチュウは出してこなかったし、むしろ使用ポケモンの平均レベルはあたしの方が上だった。
それにしても絶対にピカチュウを出してくると思っていただけに、バタフリーを出してきた時は完全に思考が停止してしまった。
それが決定的な隙となってしまったのだから、サトシの作戦に嵌った悔しさ以上に、スターミーに対して申し訳ないという気持ちが先立っている。
結局最後は詰めを誤る事もなく、あそこから逆転に繋がる要因を丁寧に潰していき、チェックメイトを掛けられた。
あの周到さは、あたしには真似出来ないところだなと思う。
総じて悔しさの残るバトルだけど、素直にサトシを称賛してあげたい気分だった。
トレーニングの一環ではなく、本気のバトルをして、改めてサトシの夢を応援する気持ちが強くなった。
きっと、サトシなら地方リーグ優勝だって夢ではない。
心底嬉しそうにブルーバッジを掲げて、ポケモンたちに囲まれるサトシを見て、そう思った。
その後、何度も出てきて恥ずかしくないのかと言いたくなるくらい短い期間で遭遇するロケット団に対して、勝利の余韻を邪魔されたサトシの怒る姿を初めて目の当たりにした。
取り敢えず、色々と謎が多い男の子だし、遠慮なく我儘や軽口を言い合ったりする気安い友人だけど。
今後も一緒に旅をする身としては、絶対に本気で怒らせる事だけはしないように努めようと決意したのは確かだった。
次回は、非公認ジムとポケゼミでお送りします!
カスミ、イイじゃん!と思った方は、作者のモチベ維持のためにも高評価、お気に入り登録、感想、ここすき等、いつも楽しみに待っているのでよろしくお願いします!
今後の更新は2、3日に1話の頻度になる予定ですが、投稿する時間についてアンケートを取ります。作者の都合で無効となる可能性もありますが、宜しければお答え頂けると助かります。
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