ちょっぴり大人っぽいサトシくんの冒険記録(レポート) 作:波導の勇者サトシくん
皆様いつも応援ありがとうございます!
評価、お気に入り、感想、ここすきが増える度にニヤニヤしている作者です。
お陰様でモチベが下がる事なく、ここまで続けられています。
それでは、今回は皆様お待ちかねの御三家回です!
転生サトシは果たしてゲットするのか、しないのか。ゲットしたとして、どういう経緯になるのか、等々!
気合いが入りすぎて長くなってしまいましたが、どうか最後までお付き合い頂けると嬉しいです!
a月@日 隠れ里の用心棒
今日も今日とて迷子の俺たちは、明らかに人の気配というか痕跡を感じない森深くに居た。
腰に届きそうなほど背の高い草むらを掻き分けて進むが、生足を出しているカスミには酷だと思ったので、俺の長ズボンを貸してあげた。
直感が働いて別れ道を左に進んだが、本当にこっちの道で合っているのだろうか
もう迷子になってから1週間以上は彷徨っているし、地図に書かれていない場所まで来てしまい日に日に不安は大きくなっていた。
一旦休憩も兼ねて、進むべきか戻るべきか話すためにも、森の中の開けた場所で腰を落ち着けた。
タケシがお茶の準備*1をしてくれている間に貸したズボンを返してもらっていると、草陰から気配を感じた。
集中してみれば、記憶にあるものと似た波長の波導を感知した。
こうしちゃ居られないとズボンを適当に放り投げて、俺特製のピカチュウ専用ポロックを食べながら優雅に寛いでいたピカチュウを呼んだ。
最初は呑気な顔でこちらを見てきたが、即座に戦闘態勢に入って周囲を警戒し始める。
カスミとタケシの2人も急にどうしたと驚いていたが、それには答えず気配の主に向かって居るのは分かっているから出て来いと声を掛けた。
すると、覚悟を決めたように草陰から姿を現したのは、予想通りのポケモンだった。
カントーの御三家と呼ばれる生息地不明のポケモン、その3匹のうちの1匹であるフシギダネ。
旅に出る前から必ず捕まえると決めていたポケモンの登場に、お前はここで必ずゲットしてやる!と意気込んだところで、もう1つ弱々しい気配がする事に気付いた。
それが何かはすぐに分かったので、慌ててピカチュウに戦闘態勢を解いてもらって、リュックを掴んでフシギダネが反応出来ないほどの速さで草陰に飛び込んだ。
そこに居たのは、酷い怪我を負ったナゾノクサだった。
怪我の状態を見て1人で手当するのは難しいと判断を下し、ナゾノクサに負担を掛けないように抱き抱えると、タケシを呼んで治療道具をありったけ出すように言った。
タケシも俺が抱えるナゾノクサを見たら血相を変えて、すぐに治療の準備を始めた。
フシギダネは最初ナゾノクサを抱えて出てきた俺に威嚇するように2本のツルを地面に叩きつけていたが、タケシと2人掛かりで治療を施しているうちに警戒はだいぶ解いてくれたらしい。
しばらくして俺とタケシが持っていた道具で可能な範囲の治療はしたので、一先ず大事には至らなかった。
治療に掛かり切りになっていた間は、カスミとフシギダネが野生のポケモンが寄って来ないように警戒してくれたお陰で俺たちは治療に専念出来た。
とはいえ、本格的な治療をするには設備や道具、何より薬が足りなかった。
ナゾノクサをポケモンセンターに連れて行くとフシギダネに説明するが、何故か頑なに首を縦に振らない。
波導パワーで感情を読み取ろうとしても、俺たちに対する警戒心や不信感などの反発感情が強くて、深いところまで読み取れない。
強引にゲットするのも憚られるので、どうしたものかと悩んでいるところに救世主(タケシ曰く、女神)が舞い降りた。
救世主ことミドリという女性は、この森の奥深くにある隠れ里で心身が傷付いたポケモンを治療し、保護しているようだ。
フシギダネも捨てられたポケモンの1匹らしく、ナゾノクサも恐らくは…‥という事だった。
確かにこの辺りでは見掛けない炎タイプから受けた火傷と思しき怪我も含まれていた。
元はトレーナーが居たポケモンという可能性は高いだろう。
フシギダネは保護したポケモンの中でも特に強く、用心棒を自主的に買って出ているようなので、妙に警戒心や不信感が強かったのはそれが理由みたいだな。
それから隠れ里に案内してもらって、どうして保護活動をしているのか、自作の薬についてなどの色々な話をしてもらった。
俺としても薬の話は興味深かったが、特にタケシは食い付き具合がすごかった。
その理念や情熱に非常に感銘を受けている様子で、カスミに揶揄われて顔を赤くしながら照れ隠しで怒っているのも、ミドリが美人だからというだけの話ではないのかもしれない。
話を聞いた後、俺は未だに完全に警戒を解かずに保護ポケモンを見守っているフシギダネを見ながら、そういえばこんな話だったなと思い出していた。
責任感とリーダーシップが強い性格のため、オーキド研究所に預けたサトシのポケモンたちのまとめ役をやっていたのだ。
これは流石にゲット出来ないかな、と諦め掛けたところでロケット団が襲ってきた。
いつも通り何だかんだと名乗り終わって、どこで調達したのか再び巨大ホースを持ち出し、ポケモンたちを吸い込もうとしてきた。
そして、傷付き弱った体を癒すために光合成をしていた包帯塗れのナゾノクサが恐怖に顔を歪めながら吸い込まれようとしているのを見て────気が付けば、ナゾノクサを片手で抱えたまま機械を爆散させていた。
俺の顔を見てガタガタ震えるロケット団の2人と1匹に今どんな顔をしているのか聞いてみたいと思いながらも、今回の暴挙は看過出来ないため問答無用で波導パワー全開の『メガトンパンチ』を瞬間的に3発撃って、まとめて「
ロケット団の襲撃後、ミドリから突然フシギダネを連れて行ってくれないか?と提案された。
隠れ里側の事情はともかく、フシギダネの了承が取れるなら大歓迎だと頷いた。
まあ、ロケット団を鉄拳制裁して以降、何故かキラキラと輝く眼差しで見られていたので結果は予想出来たが、ミドリが「よかったね、連れて行ってくれるって」と一言伝えた瞬間に喜び勇んで飛びついてきた。
お前そんなキャラだっけ?と疑問に思いながらも、モンスターボールを差し出せば即座に中に入った。
「フシギダネ、ゲットだぜ!」
そう俺が喜んでいた裏で、タケシがぎこちなくアピールして断られていたり、さりげなくパラスをゲットしていて後にそれを知ったカスミが「あたしもゲットすればよかったー!!」と叫んだのは余談である。
a月#日 誰が為の旅
道に迷い始めてから、早くも12日が経過した。
あんまりにも迷子が過ぎるのでカスミも音を上げ始めたが、24番道路が近くにあると分かれば即座に復活した。
ちなみに、タケシは余計な事を言ってカスミのドロップキックを喰らい、瀕死になった。
元気を取り戻したカスミが歩き出そうとした瞬間、急に大雨が降り始めてしまった。
雨宿り出来る場所を探して街道を走る途中、岩場の上で葉っぱを傘にして雨を凌ぐポケモンを発見して思わず立ち止まる。
この回は原作でも印象的だったから覚えていたが、リアルで見ると怒りで言葉が出てこない。
カスミとタケシにも声を掛けて、心許ない傘の下で震える小さな影に駆け寄る。
クリーム色の腹部以外はオレンジの体色で、全体的につるりとした印象のトカゲのようなフォルムのポケモン、カントー御三家ポケモンの1匹であるヒトカゲだ。
尻尾の炎が消えた時に死ぬと言われており、今は雨の影響で炎の勢いは見る影もなかった。
有無を言わさず抱えて助け出そうとしたところで、突然嬉しそうに顔を上げたヒトカゲが葉っぱを放り出して、一目散に走り出した。
その先を見れば茶髪の男が居て、知っていたはずなのにトレーナーが迎えに来たのだと安心してしまった。
その男は前世の記憶を辿っても見覚えのないポケモンを連れており、嬉しそうに脚にしがみ付いてきたヒトカゲを躊躇なく蹴り飛ばしたのだ。
その瞬間、俺たちは同時に動き出した。
冷たい地面に倒れ伏したヒトカゲを俺が助け起こして、カスミが男に怒鳴りつけて、タケシはヒトカゲの容態を確認しながら男にヒトカゲのトレーナーかと確認する。
しかし、「何だお前らは?」と興味の欠片もない反応に怒りを込めて睨み付ければ、波導から観測出来る波長から岩タイプ思しき狼に似た姿のポケモン(ルガルガンと呼ばれていた)が俺に攻撃してきた。
まあ、技でさえない突進なんて痛くも痒くもないので、ヒトカゲを抱えるのとは別の手で受け止めて、カウンターの回し蹴りを叩き込んだ。
当たり前のようにポケモンを一蹴してみせた俺を見て、流石に驚いた様子の男が名前を聞いてきた。
ヒトカゲを抱き締めてやりながら、サトシとだけ答えて聞き返す。
すると、男はクロスと名乗った。
ヒトカゲの元トレーナーである事も認めて、弱いから捨てたのだと恥ずかしげもなく宣う。
何度捨てようとしつこく追い掛けてくるから、ここで待ってろと命じて放置したのだと何食わぬ顔でほざいたクロスに対して、俺たちは口々に否定と怒りの言葉を叩きつけた。
しかし、クロスに俺たちの言葉は響かず、唯一反応したのは「ポケモンは友達だろうが!」と怒鳴った俺に対してのみ。
それにも友達なんて甘い奴だなと一言で切り捨ると、俺は強いポケモンだけを捕まえて最強のトレーナーになる、と最後に告げて去って行った。
咄嗟に追い掛けようとしたカスミを呼び止めて、今はあんな奴よりヒトカゲだと、尻尾の火が消えてしまわないように雨を遮ってやりながら、偶然見つけた洞穴の中に駆け込んだ。
それからタケシと力を合わせて必死に介抱した甲斐あって、ヒトカゲは無事に助かった。
一段落ついたところで、ようやく原作との差異に気付いた。
ヒトカゲと初めて会った時に雨は降っていただろうか?
元トレーナーの名前はクロスで、見るからに別地方のポケモンを連れていただろうか?
こんな洞穴じゃなくて、ポケモンセンターに駆け込んだはずじゃなかったか?
一度考え始めると、疑問が次から次へと湧き出す。
当たり前の話だが、俺はアニメのサトシと同じ存在ではない。
マサラタウンのサトシである事は間違いないが、前世の記憶を思い出した影響で良くも悪くも言動が落ち着いた自覚はある。
大して変わっていないつもりでも、ママさんや周囲の反応を見る限り変化は確かにあったのだろう。
今ではシゲルも随分と落ち着いて、かなりストイックな性格になった。
カスミとの出会い方やその後の関係、タケシとの関係も原作通りではないと思う。
旅に出る前は、前世の記憶があるから原作通りにはいかないんだろうな、と表向きでは思っていたが、心の底では何だかんだ原作と同じようになると考えていなかったか?
もし仮にもっと寄り道をしていたら、ヒトカゲは死んでいたかもしれない。
フシギダネだって、ロケット団に捕まって酷い目に遭わされていたかもしれない。
たらればだが、そういう事が起こり得るのだ。
今までの日記を見返すと、事あるごとに“原作"という言葉を使っている。
まず、これをやめよう。
前世の知識自体は無理に否定するものではないが、原作に囚われて思考を止めてしまうのはダメだ。
ここまで奇跡的に原作に近い状況が続いてきたからって、今後も都合良く事が運ぶとは限らないという事を、本当の意味で理解しなければならない。
ヒトカゲは助けられたが、それはただの偶然だ。
最近は記憶が曖昧な部分だって増えてきたし、そもそもゲームはサン&ムーンの最初のところで、アニポケもDP編までしか見ないまま俺は転生してしまった。
クロスが普通に持っていたポケモンの事さえ知らないくらいなのだから、いい加減に知識を頼りにするのはやめよう。
原作がこうだったからなんて理由で道に迷うのだって、改めて考えれば馬鹿みたいな話だろう。
この旅はあくまで前世の記憶を取り戻した俺の冒険であって、アニメの中でサトシが繰り広げていた物語とは違うんだ。
俺は他の誰でもない、俺だけの旅を楽しもう。
その上で、俺なりのポケモンマスターを目指せばいい。
そう思えば、ずっと背負っていた重荷が降りたかのように心身が軽くなった気がする。
どうやら知らないうちに、自縄自縛に陥っていたらしい。
アニメに似ているようで異なる出来事が起きる世界だし、既に捕まえているポケモンだって違うだろう。
ついさっき考え方を1つ変えただけなのに、これからの冒険を想像するとワクワクが止まらない。
何はともあれ、明日にはヒトカゲが元気になってくれていればいいな。
雨に打たれて消耗した体を冷やさないように、このまま抱き締めておいてあげよう。
すると、ピカチュウを筆頭として勝手にボールから出てきた手持ちのポケモンも一緒に温め始めてくれて、体だけではなく心まで温かくなった気がしたのは、きっと気の所為ではないのだろう。
-追記-
翌朝、元気になったヒトカゲに一緒に来ないかと誘ってみた。
ポケモンマスターになるという夢があり、その過程でクロスと同じく最強のポケモントレーナーも目指している事を偽りなく伝える。
その夢は、今や俺だけのものではなく、ここに居る仲間や今後出会う仲間たちと一緒になって追い掛けていくものなのだと話して、改めて俺の友達になってくれと手を差し伸べた。
ヒトカゲは俺の手と顔を交互に見て悩んでいたが、最後には俺を見て力強く頷いてくれた。
モンスターボールを近づければ、コツンと額を当てて中に入る。
「ヒトカゲ、ゲットだぜ!」
紆余曲折はあったが、念願のヒトカゲを手に入れた。
俺を選んでくれた事、絶対に後悔なんてさせないからな!
a月&日 謎のグラサン軍団参上!
ヒトカゲを友情ゲットしてから、実は近場にあったポケモンセンターで手持ちを入れ替えた。
まずはポケモンゼミナールにあった転送装置を使って以来、オーキド研究所に送っていたニドキングとサンドパンをクチバジム戦に向けて呼び戻す事にした。
あとは捕まえたばかりのフシギダネとヒトカゲを手持ちに加えて、代わりにバタフリー、クサイハナ、ピクシー、ズバットを研究所に送った。
これで手持ちは固定のピカチュウとコイキング、ジム戦のために呼んだニドキングとサンドパン、新加入のフシギダネとヒトカゲの6匹になり、この面子はクチバジムに挑戦するまで変更するつもりはない。
ちなみに、ポケモンたちは研究所でも互いにバトルをしたり、コーチトレーナーのイチジョーに代理発注を頼んだ、ポケモン専用の特注サンドバッグや巨大バルーンを的に技のトレーニングを積んでもらっている。
フシギダネも先輩たちの扱きを受けたのか、ゲットした時よりもレベルが上がって新しい技も覚えていた。
真面目に努力してくれているのが分かったし、俺も一層トレーナーとして励まないとな!
そうして、意気揚々と歩いていた時の事だ。
突然足元が沈む感覚がして立ち止まると、釣られてカスミとタケシも足を止めた。
妙な感触があった右足に目を向ければ、何故かくるぶし程度まで沈んでいる事に気付き、嫌な予感がした時には既に手遅れだった。
俺たちは間抜けにも、3人揃って見事に落とし穴に嵌った。
常に波導による感知をしていれば落とし穴にも気付けたはずだが、この時の俺は調子に乗って怠っていた。
ヒトカゲをゲットしただけでなく、前世の記憶を取り戻してから無意識に感じていた重荷から解放された事で、うっかり油断しまくっていたというのが実際のところだ。
まあ、咄嗟に2人の下敷きになったので、誰も怪我しないで済んだのは不幸中の幸いだろう。
誰がこんなところに落とし穴を!とか、早く出しなさいよー!とか2人が俺を下敷きにしたまま叫んでいた時だった。
馬鹿にしたような笑い声、いや鳴き声と逆光越しにも分かるシルエットを見た瞬間、俺はカスミとタケシを両脇に抱え上げながら大跳躍して落とし穴から脱出した。
犯人たちは落とし穴を覗き込んでいた所為で、穴から飛び上がってきた俺たちに驚いて引っ繰り返り、甲羅の所為で起き上がれなくなっていた。
それは、頭と尻尾と短い手脚が水色で、大きな茶色の甲羅を背負ったポケモン、カントー御三家の最後の1匹であるゼニガメだ。
ゼニガメたちは揃ってサングラスを掛けていて、普段なら厳つい雰囲気なのだろうが、今は必死に起き上がろうと頑張っているだけのカメである。
先程まで怒っていた2人も気の抜ける光景を前に苦笑し、協力して助け起こしてあげた。
まさか罠に嵌めた人間から助けられるとは思っていなかったらしく、呆然とした面持ち(サングラスで目が見えないので雰囲気)でこちらを見ていたゼニガメに悪戯は程々にしろよ、と優しく言い含めた。
最初は捕まえようと思っていたが、このゼニガメからも人間に対する不信感を感じる。
恐らくは“そういうこと”なのだろうと想像して、一旦ゲットは見送った。
リーダーらしきゼニガメが何か言おうとしたタイミングで、遠くからサイレンの音が聞こえてきた。
それを聞いたゼニガメの集団は、やばいぞ逃げろー!という感じで逃げてしまった。
結局、あの時は何を言おうとしてたんだろうな。
それはさておき、白バイで駆け付けたジュンサーさんから、あのゼニガメ集団について話を聞いた。
あの集団の事を周辺の警察や市民ではゼニガメ団と呼んでいるらしく、やはりというか昔トレーナーに捨てられたポケモンだった。
当たって欲しくない予想が当たってしまい、最近そんな話ばかりで少し気分が沈んだ。
ゼニガメ団は近くの街などで度々問題を起こしているようで、悪戯ばかりをする問題児らしい。
例えば、店の商品を盗んだり、壁に落書きしたりと、特定の人物相手というわけでもなく無差別に対象を選んでやっている。
近頃は旅人さえ標的になってしまい、こうしてジュンサーさんが警邏を担当していたとのこと。
詳しく話を聞いたが、残念ながら俺たちに出来る事はなさそうなので交番を後にした。
とはいえ、3人とも胸が
そして、いざやると決まれば常に本気なのが俺とカスミだ。
折角なのでどちらが先に釣れるかを競い始めた。
互いに真剣に糸の動きを観察していると、カスミのウキの近くに泡が立ち、突然ゼニガメが現れた。
勝負の公平性のためセルフ縛りで波導パワーを禁止していた事が裏目に出てしまい、俺もゼニガメ団の接近には気付けなかったのだ。
既にゼニガメが『みずでっぽう』の体勢に入っていたので、これはやばいと思ったのも束の間。
そのゼニガメはカスミの顔を見て動きを止める。よく見れば、先程引っ繰り返った時にカスミが助けてあげた個体だという事に気付いた。
同じく気付いたカスミが、モンスターボールを握って不敵に笑った。
「勝負よ、ゼニガメ! あたしが勝てば、あんたはゲットされる! あんたが勝てば、あたしのお金で美味しい食べ物をいくらでも食べさせてあげるわ!」
そう啖呵を切って、相棒のスターミーを繰り出した。
ゼニガメも覚悟を決めたのか威勢のいい声を上げて『みずでっぽう』を放ち、スターミーは『バブルこうせん』で迎え撃った。
いくつかの泡が鉄砲水を突き抜けてゼニガメを襲う。直撃した泡が弾けるとゼニガメにダメージを与えた。
堪らず水中に避難するが、それはカスミの術中だ。
再び『バブルこうせん』を指示すれば、水面には泡の壁が形成されてしまった。
これは上手いと思ったが、ゼニガメは水中から連続で『みずでっぽう』を撃つ事で泡がない部分を作り出し、そこから『こうそくスピン』で飛び出しながら攻撃を仕掛けた。
それにスターミーも『こうそくスピン』で対抗し、レベルと種族値の差からスターミーが打ち勝った。
ゼニガメにトドメの『10まんボルト』を放ち、続けてカスミがモンスターボールを投げる。
俺を含めて全員が固唾を呑む中、何度か揺れていたボールからカチッと音がした。
最初にカスミが拳を突き上げて歓喜の叫びを上げて、俺とタケシが拍手と共に歓声を送る。
俺たちと何度もハイタッチを交わして喜びを分かち合った後、ゼニガメが入ったボールを手に取って嬉しそうに頬擦りをしていた。
俺の真似なのか、「ゼニガメ、ゲットだぜ!……なんてね?」とか言っちゃうくらいご機嫌だ。
それにしても、まさかカスミがゼニガメをゲットするとは思わなかった。これも現実だからこその面白さだな。
その時、背後から気配を感じて振り返れば、リーダーを筆頭に残された4体のゼニガメ団が複雑そうな表情(サングラスで以下略)をしていた。
素直に祝福したい気持ちと、人間を信じられない気持ちが入り混じっているのだろう。
大切な仲間をカスミに預けていいのか、そんな声鳴き声に答えてあげた。
カスミは水タイプのエキスパートを目指すトレーナーで、まだ子供だけど心優しくてポケモンを大事にする奴だと、ゼニガメ団としっかり目を合わせながら伝える。
だが、そこで邪魔が入った。
木陰に隠れていたニャースが姿を現して、「ボサッとしてないでピカチュウを捕まえるニャ!」と偉そうに命じてきたのだ。
ゼニガメ団の子分たちはどうしたらいいか分からないと、リーダーゼニガメを見る。
リーダーゼニガメは一瞬だけ迷う素振りをした後、俺とカスミを見て迷いを振り切った。
ニャースに対して首を横に張って何かを訴えると、ニャースは「ニャにぃ〜!こいつらは良い人間だから、酷い事はしたくニャいだって〜!?」と驚くと同時に怒りの声を上げた。
怒り心頭のニャースがどこからかスイッチを取り出したかと思えば、「そういうことを言うニャら、おミャーらのアジトなんて……こうしてやるニャ!」とスイッチを押した瞬間、遠方で大きな爆発が起きた。
そして、爆心地の近くにあった森の木々から火の手が上がるのが見えて、ゼニガメ団が血相を変えて走り始めた。
けれど、カメの走る速度が遅い事なんて自明の理。
カスミとタケシにニャースの処理を任せて、ゼニガメ団を拾い上げた俺は街道を爆走*2する。
その後は、火元に無事ゼニガメ団を送り届けた事で消火は間に合った。
勿論ゼニガメだけに任せたわけではなく、ピカチュウは『なみのり』で、俺は『ハイドロポンプ』で消火を手伝った。
もうすぐ消火が終わる頃に遅れて到着したジュンサーさんによって、ゼニガメ団は警察から大々的に表彰されて、地域の消防団に任命される運びとなった。
ゼニガメ団は迷惑な集団ではなく、多くの人々を救ったヒーローになったのだ。
ゼニガメ団、改めゼニガメ消防団の結成を見届けた後、街を離れて次なる目的地に向かう。
その俺たちの後ろを恐る恐る付いて来るリーダーゼニガメに一緒に来るかと聞けば、サングラスを外して円な瞳をキラキラと輝かせながら抱きついてきた。
「ゼニガメ、ゲットだぜ!」
フシギダネ、ヒトカゲと続き戦わずしてゼニガメをゲットした俺にカスミが騒いでいたが、友情ゲット肯定派なので笑って聞き流した。
はい、カントー御三家ゲットです!
全て原作とは少し違う展開になりましたが、そこはサトシなのでバッチリ心を掴んで仲間にしました。
この仲間にする経緯の違いが齎す変化について注目していくと、今後の転生サトシの物語をより楽しめるかもしれません。
あと、見ての通りカスミとタケシのポケモンを追加しました。
これも意味もなく増やしているわけではないので、色々と妄想してくれると嬉しいです。
『サトシのポケモン』
・ピカチュウ(Lv.29→Lv.30)
・オニドリル(Lv.22→Lv.25)
・ピジョン(Lv.22→Lv.25)
・ニドキング(Lv.26→Lv.27)
・バタフリー(Lv.23→Lv.25)
・クサイハナ(Lv.20→Lv.21)
・サンドパン(Lv.21→Lv.22)
・ピクシー(Lv.20→Lv.21)
・コイキング(Lv.40)
・ズバット(Lv.18→Lv.21)
・フシギダネ(Lv.12→Lv.15)←NEW
・ヒトカゲ(Lv.14)←NEW
・ゼニガメ(Lv.16)←NEW
作者のモチベ維持のためにも高評価、お気に入り登録、感想、ここすき等、いつも楽しみに待っているのでよろしくお願いします!
今後の更新は2、3日に1話の頻度になる予定ですが、投稿する時間についてアンケートを取ります。作者の都合で無効となる可能性もありますが、宜しければお答え頂けると助かります。
-
朝(5時〜8時の間)
-
昼(11時〜13時の間)
-
夕(16時〜18時の間)
-
夜(21時〜24時の間)
-
出来たら即投稿しろ(何時でもOK)
-
毎秒投稿しろ(ネタ)