ちょっぴり大人っぽいサトシくんの冒険記録(レポート)   作:波導の勇者サトシくん

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評価、お気に入り、感想、ここすき等、いつもありがとうございます。
なんとか今日中に間に合いましたが、多分次の投稿は日曜日になるかもしれません。
年末に向けて仕事が忙しくて、執筆時間が確保出来ません。少ない時間でも書き上げられるように、応援よろしくお願いします!

そして、前話でグンジョシティまでやると言いましたが、長くなりそうなのでP-1グランプリまでにしました。楽しみにしていた方は申し訳ありません。
というわけで、今回はシザーストリートとP-1グランプリの2本立てになります。
最後までお付き合い頂けると嬉しいです。


20.急がば回れ

 

 

 

 

 

 

 

 a月○日 ブリーダーの本懐

 

 

 次なるジムがあるヤマブキシティを目指す……前に、タケシの希望でシザーストリートを訪れていた。

 別名"ブリーダー通り"と呼ばれており、実際たくさんのポケモン美容院があった。

 ポケモンブリーダーを志すタケシとしては見逃す理由はない。

 

 しかし、目当ての店があるという事で歩き回っていたのだが、その時に見えた街の様子に少し違和感を覚えた。

 シザーストリートには、やけにゴテゴテと飾り付けられたポケモンが居たのだ。

 イメージの問題だが、どうにもブリーダーっぽくない。

 ポケモンを着飾らせて注目を集めるやり方は、どちらかと言えばポケモンブリーダーではなくポケモンコーディネーターやポケモンパフォーマーの領分だろう。

 

 一先ずタケシの目当ての店を探す事に集中していたのだが、途中でアーボとドガースをこれでもかと着飾らせた広告看板を見つけて原因を理解した。

 看板で示された店の方向を波導で感知してみれば、やはりというかムコニャの波導を感じ取れた。

 それにしてもサロン『ラブリーチャーミー』に、メイクアップアーティストがマドモアゼル・ムシャッシーとコマンタレブ・コジローネって、偽名にしても雑じゃないか? 

 

 なにはともあれ、そうしているうちにタケシが目当ての店を見つけた。

 店名はポケモンサロン『ロコン』とあり、そういえばママさんが経営する食堂に置かれている雑誌の中で見た記憶がある。

 興味があったのはブリーダーやサロンではなく、ブリーダーとしての技術だったので忘れていた。

 ちなみに、緊張してドアを開けられないタケシを待ってあげようと思っていたら、あっさりとカスミが開けてしまった。

 

 店に入ると、丁度お客さんの対応を終えたところだった。

 ツヤツヤ&テカテカになったラッキーが全身鏡に映る自分を見て満足そうにしており、ラッキーのトレーナーが親しげに美容師と思われる女性に感謝を告げて店を退出した。

 そのお客さんが居なくなると、ユキという店主の女性は先頭に居たカスミを案内しようと声を掛けてきたが、顔を赤く染めたタケシが割って入った。

 

 タケシが吃りながら必死に話し掛けている間に店内の一角にある椅子で丸まっていたロコンを発見する。

 偶々手持ちにロコンが居たので出してみると、興味深そうに顔を上げてこちらを見た。

 流石は本職ブリーダーが長年面倒を見ているだけあり、毛艶が大変よろしい。俺も手入れはしてるけど、美しさが段違いだ。

 一言断りを入れて撫でさせてもらったが、毛はきめ細やかで柔らかく指通りが素晴らしい。

 それを見てユキが人見知りなのにと驚いていたが、多分ロコン同士で話してくれたお陰だと思う。

 

 それから色々と話を聞いた。

 サロン『ラブリーチャーミー』が店を構えてから、派手な飾り付けが流行してしまったこと。

 今までのブリーダーとして築き上げた価値観と努力に自信を持てなくなっていること。

 だから、タケシの弟子入りを受ける事は出来ないと話していた。

 

 だが、タケシは申し出を断られた事よりも、ユキが自信を喪失している事が引っ掛かったらしい。

 憧れの人だと言っていたし、先程タケシがブレンドしたポケモンフーズをロコンが食べてくれた時にも感激してたからな。

 気になった部分があったので俺も口出しさせてもらった。

 

 といっても、考え方の違いを話しただけだ。

 ムサシとコジロウがやっているドレスアップは、ポケモンに寄り添って内面を磨き上げるブリーダーの仕事ではなく、コーディネーターに似ているのだと伝えた。

 どうやらコンテストについては噂に聞いていたらしく、どういうものか聞かれたので簡潔に説明した。

 

 ポケモンブリーダーとは、前述したように時間と手間を惜しまずに磨き上げる事で、ポケモンが持つ本来の魅力を引き出す仕事だ。

 アクセサリーなどはワンポイントだけならともかく、場合によっては魅力を損なう事になる。

 これに関しては相手がプロのブリーダーなので説明せずとも理解しているが、イメージの共有として改めて話した。

 タケシとユキは強く頷いており、カスミだけは首を傾げていた。

 

 そして、肝心のポケモンコーディネーターだが、彼等はコンテストというステージの上でポケモンの魅力を観客に伝える事が仕事だ。

 ポケモンの『かっこよさ』『うつくしさ』『かわいさ』『かしこさ』『たくましさ』をより引き立たせるために、衣装を着せてアクセサリーを付けてと試行錯誤する。

 最終的にはポケモン自身の魅力や技の魅せ方を問われるが、着飾らせるのはコンテストの場で競い合うがために注目を集める手段という事だ。

 

 要するに、コンセプトが違うのだから比べる事そのものが間違っているのではないか?とユキに伝えた。

 それでも自身の客を奪われているという事はブリーダーの手で磨かれたポケモンの魅力を伝えきれていなかったからだ、と落ち込むので後はタケシに任せた。

 

 その後はタケシプロデュース、ユキによるブリーダー講座が開かれて俺が助手として手伝いをしていると、いつの間にか隣のサロンに行っていたらしいカスミによってロケット団が成敗されていた。

 ムコニャは後でこっそり対処しようと思っていたのだが、捕まったカスミを助けるため勝手にボールから出てきたスターミーとカメールがボコボコにしたようだ。

 ちなみに、帰ってきたカスミは前衛的な芸術的センスによってデコレーションされていた*1

 

 無事お客さんが戻ってきて、何より親身に接してくれたタケシのお陰で自信を取り戻したが、ユキは「まだ世界には知らない事がたくさんある」とスッキリした顔をしていた。

 そのままユキは、初めて自分以外に懐いて、更に同じロコンを持つ俺と旅をするタケシの元に居た方が刺激も多く今よりも格段に成長出来るだろうと、相棒のロコンをタケシに預けて旅に出てしまった。

 タケシは認められたと嬉しそうだったが、多分再会する時に振られるのだと思ったら少し悲しくなった。

 

 

 

 

 

 a月*日 元気ですかー! 

 

 

 街道を歩いていると、正面からエビワラーが現れた。

 トレーニング中なのかランニングをしていたようで、時折シャドーボクシングをする様子も見せる。

 なかなか鍛えられており、図鑑で確認すればLv.35だと分かった。

 格闘タイプはもう1匹くらい欲しかったし、ゲットするのも悪くないかと思ったタイミングで、エビワラーの背後からどこかで見たような顔つきの男が走ってきた。

 

 アノキという男は、やはりエビワラーのトレーナーだった。

 トレーナー同士が出会えばポケモンバトルという事で、同じ格闘タイプのオコリザルを選んだ。

 ゲットしてから何度か手持ちに入れており、最初は暴れたが今では俺を認めて言う事を聞いてくれるようになっている。

 特にイーブイと仲が良く、帽子を外すと2匹で交互に被り合っては何かを言い合う光景を何度か見た。

 

 それはさておき、残念ながらこの時のバトルは、アノキの娘であるマナミに途中で止められてしまい決着がつけられなかった。

 だが、長い付き合いなのかアノキとエビワラーのコンビネーションは確かなものであり、格闘使いのトレーナーとバトルが出来たのは俺にとっていい経験になったはずだ。

 

 ……と、本来はそこで終わる話なのだが、むしろここからが長くなる。

 簡潔に言うと、どうやら俺たちはアノキとマナミの家族問題に巻き込まれた、というかタケシが積極的に首を突っ込んでしまったのだ。

 まあ、美人のお姉さんに頼み事をされると弱いのは今に始まった話ではないし、別にいいんだけどな。

 

 アノキとエビワラーはP-1グランプリという大会制覇のため、家族を顧みずトレーニングばかりしているらしい。

 マナミはポケモンバトルがあまり好きではないようで、P-1グランプリへの挑戦を諦めて一刻も早く家に帰ってきて欲しいとの事だった。

 

 そこで白羽の矢が立てられたのが、旅のポケモントレーナーである俺たちだ。

 俺たちがP-1グランプリに出場してアノキとエビワラーを倒し、夢を諦めさせて欲しいと言われた。

 旅のトレーナーに長年P-1グランプリのためだけに日々を費やしてきたアノキが負ければ、確かに止める事は出来るかもしれない。

 だが、同じく夢を追う人間として、とても残酷な事だと思った。

 

 だから、正直あんまり乗り気にはなれなかった。

 モチベーションとしては、先程中断させられたバトルの決着をつけたいというくらいだ。

 家族を顧みないという部分でタケシのやる気はMAXになっており、ゴローニャで参加する意気込みようだった。

 過去の自分に重なる何かを感じたのかもしれない。

 

 そして、肝心のP-1グランプリの開催日だが、明日が大会当日という事だった。

 出場の申し込みは当日でも可能という事なので、今日はタケシのゴローニャとオコリザルをスパーリングさせたり、俺が2匹とも順番に相手取って立ち回りを教えてあげた。

 オコリザルは丸っこい見た目に反してフットワークも悪くないためスタンダードなファイトスタイルでいいとして、ゴローニャは耐えてカウンターという戦い方をせざるを得ないだろうな。

 まあ、何はともあれ参加する以上は優勝するつもりだ。

 

 

 

 

 

 a月・日 元気があれば、なんでもできる!ダァー! 

 

 

 大会当日、参加者の中に何故かムコニャが居た。

 コジロウに肩車されたムサシが"ジャイアント"と名乗り、どこで捕まえたのかサワムラーを使用している。

 ムサシがサワムラーを持っていたイメージはなかったが、よく言うことも聞いているし、意外と長い付き合いなのかもしれないな。

 しかも、結構鍛えられていて順当に勝ち上がってくるのだから面白い。

 

 タケシとも戦っていたが、ゴングが鳴ったのにマナミに現を抜かしている間に『けたぐり』を喰らってしまい、そのままゴローニャは健闘虚しく敗れてしまった。

 どうしても好みの女性が関わるとダメになってしまうタケシであった。

 ちゃんとゴローニャには謝っていたけど、バトル中に余所見は流石に酷すぎて擁護出来ないぞ? 

 

 俺とオコリザルのコンビは特に苦戦する事もなく勝ち上がり、一足先に決勝戦への進出を決めた。

 対戦相手はアノキのエビワラーか、ムサシのサワムラーのどちらかが勝った方になる。

 これは注目の試合だぞ!と思っていたら、リングの下にニャースが潜っていく気配を感じてガッカリした。

 ピカチュウにリングの下に居るニャースを『でんじは』で痺れさせるよう指示を出して、数秒後には「ニ"ャッ!?」という声が聞こえた。

 

 一仕事終えて帰ってきたピカチュウと頭の上のイーブイ、オコリザルと共にバトルの行方を見守る。

 フットワークを武器にジャブを繰り出すエビワラーと、足を止めて高速蹴りの連打で攻めるサワムラーは殆ど互角に見えた。

 だからこれは、トレーナーの意識の差が勝敗を分けたのだろう。

 

 いつまで経ってもニャースの援護がない事に焦れたムサシの指示により、サワムラーはコーナーポストに飛び乗って渾身の『とびげり』を放った。

 だが、それはアノキペアが最も警戒していた攻撃であり、最大のチャンスにもなり得る。

 サワムラーがジャンプした瞬間を狙い、これまで最速の攻撃である『マッハパンチ』で機先を制す。

 ジャンプ中に高速の一撃を喰らった事で転倒したサワムラーのマウントを取り、トドメを刺そうとしたところでレフェリーからストップが掛かった。

 

 ムサシが癇癪を起こそうとした時、素晴らしいバトルを見せた両者に観客から惜しみない拍手と歓声が送られる。

 観客の中には「惜しかったぞー!」とか「よく頑張ったー!」という健闘を讃える言葉もあり、それを聞いたムサシが呆然と観客を見渡していた。

 何を思ったのかまでは分からないが、帽子を目深に被ったムサシは麻痺しながらもリングの下から這い出てきたニャースを回収して、無言のままリングを去って行った。

 

 そして、決勝戦は俺のペア対アノキペアの対決になった。

 フットワークの鬼と言われているだけあり、アノキのエビワラーは本来の素早さ以上に動きが早く感じられる。

 純粋な素早さならレベル差があってもオコリザルの方が少し優勢だが、小回りだとエビワラーに軍配が上がるだろう。

 エビワラーにどうやって致命の一撃を叩き込むかが勝利の鍵を握っている。

 

 まずアノキペアがこらちの様子を窺っているうちに『ビルドアップ』を2回積んでおく。

 アノキは勿論、解説や実況も『ビルドアップ』の効果を理解していないらしく、観客に対するアピールだと思っている節がある。

 そのため全く邪魔されずに攻撃と防御を2段階上げる事が出来た。

 同じくアピールに託けてエビワラーも『こうそくいどう』を積んでいたので、予想通り厳しい戦いになった。

 

 バトルの展開としては、終始エビワラー優勢のように見えただろう。

 オコリザルの前後左右を鋭いフットワークで回り込んでは拳を叩き込み、実況からも「オコリザルは防戦一方だァー!」なんて囃し立てられた。

 いくら防御が2倍になっているとはいえ、ここまで好き勝手に殴られ続ければ余裕はない。

 しっかり俺の指示でガードもしているのでダメージは軽微だが、塵も積もれば山となるという諺通り、オコリザルの表情は少しずつ苦痛の色が強くなっていく。

 

 しかし、ここで焦りを見せたのは俺たちではなく、優勢なはずのアノキペアの方だった。

 想像以上にオコリザルのガードが硬く、ダメージが通せないためだ。

 ジャブを積み重ねてガードをこじ開けようとするが、事前にパンプアップしたオコリザルの筋肉を突破出来ない。

 次第に攻め気が強くなって足を止める事が増えてきた。

 

 そして、アノキが『インファイト』を指示した瞬間、オコリザルが目をキラリと光らせた。

 いつの間にか仲良しのイーブイから教わっていた『みきり』によって、瞬時に攻撃を躱して懐に潜り込んだ。

 反撃の『ドレインパンチ』がエビワラーに突き刺さり、リングロープに叩きつけられる。

 

 そこにオコリザルが今まで好き勝手殴られた怒りによって、再び『ふんどのこぶし』に覚醒した。

 黒いオーラを身に纏い、以前見た時よりも更に濃く黒色に染まった拳を振りかぶる。

 アノキの必死な呼び掛けを聞いて、根性で立ち上がったエビワラーが『メガトンパンチ』を『ふんどのこぶし』に合わせてきた。

 

 だが、一瞬の拮抗も許さない。

 あまりに暴虐的な威力の『ふんどのこぶし』は『メガトンパンチ』を上から叩き潰し、凄まじい勢いでエビワラーを吹き飛ばした。

 今度はコーナーポストに叩きつけられたエビワラーだったが、先程とは違い戦闘不能に陥った。

 

 こうしてP-1グランプリの勝者は俺とオコリザルで決まった。

 アノキは娘のマナミに説得されて、俺も間に入って互いに納得出来る形で和解した。

 具体的には、今後もP-1チャンプを目指すけど家族の事は蔑ろにしないという、互いに妥協した形だな。

 もしアノキがまた家族を顧みない選択をした時には、エビワラーが責任を持ってアノキをぶん殴ると約束したので、これでマナミも安心だろう。

 

 それから、アノキから「オコリザルをP-1チャンプにするから預けてくれないか!」とか言われたり、実はムサシのサワムラーは本物のジャイアントの手持ちを盗んだものだったと後から発覚したが、まさに後の祭りだった。

 勿論オコリザルを預けるなんてしないし、むしろ格闘ポケモンが欲しいと言ったら、マナミがカポエラーを譲ってくれた。

 アノキからもらったポケモンらしいが、マナミはバトルが苦手で戦わせてあげられなかったので、強いトレーナーである俺に連れて行ってあげて欲しい、と。

 

 そういう事ならとカポエラーのボールをもらい、カポエラー自身からも了承を得た。

 マナミに譲られるまではアノキからトレーニングを受けていて、最近でも1匹で継続していたお陰か戦闘センスは悪くなさそうだった。

 これからよろしくな、カポエラー! 

 

 という感じで、P-1グランプリを発端としたアノキ一家の問題は解決したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

*1
満更でもなさそうだったので何も言えなかった





オコリザルとのお別れどころかカポエラーが加入しました!
カントーでゲット予定のポケモンは残り6匹です。どんなポケモンをゲットするのか、お楽しみに!

『サトシのポケモン(合計22匹)』
・ピカチュウ(Lv.37)
・オニドリル(Lv.32←Lv.33)
・ピジョン(Lv.34)
・ニドキング(Lv.34→Lv.35)
・バタフリー(Lv.32→Lv.33)
・ラフレシア(Lv.30→Lv.31)
・サンドパン(Lv.33)
・ピクシー(Lv.30→Lv.31)
・コイキング(Lv.42)
・ゴルバット(Lv.33)
・フシギダネ(Lv.30→Lv.31)
・リザード(Lv.34)
・ゼニガメ(Lv.32)
・キングラー(Lv.32)
・イーブイ(Lv.29→Lv.31)
・ニドクイン(Lv.27→Lv.28)
・ロコン(Lv.28→Lv.29)
・カイリキー(Lv.30←Lv.31)
・ストライク(Lv.30→Lv.31)
・オコリザル(Lv.30→Lv.33)
・ポリゴン2(Lv.26)
・カポエラー(Lv.15)←NEW

次回こそグンジョシティとトラウマBGMの予定です。
作者のモチベ維持のためにも高評価、お気に入り登録、感想、ここすき等、いつも楽しみに待っているのでよろしくお願いします!
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