ちょっぴり大人っぽいサトシくんの冒険記録(レポート)   作:波導の勇者サトシくん

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なんとか今日中に投稿出来ました。


5.冒険の始まり

 

 

 

 

 

 

 

 a月j日 君に決めた! 

 

 

 今日はこれまでの人生で最も大変な1日だった。

 取り敢えず、整理のためにも順番に日記に書き出していこうと思う。

 

 まず言うまでもないけど、旅立ちの日である。

 もちろん寝坊なんてしていない。

 ちょっと危なかったけど、時間をズラして設定した2つ目の目覚まし時計で問題なく起きる事が出来た。

 何となく嫌な予感がして備えていたのが功を奏したようだ。

 

 門出の日に相応しく、俺は絶好調だった。

 目覚ましを1つぶち壊して*1快眠したお陰で、今なら何でも出来ると断言出来るくらいに元気いっぱいだ。売れるほど余っている。

 旅立ちの準備は前日までに全て終わらせているので、あとは最終確認をする程度で事は済んだ。

 この1年間で『モンスターボール』や『キズぐすり』のような道具類を買い揃え、ちょっとお高いランニングシューズや服は半袖半ズボンと長袖長ズボンを2セットずつに防寒具や雨合羽などを見た目以上に収納力のあるリュックサックに詰め込んだ。

 お小遣いとバイト*2で貯めたお金は50万円前後あるため、旅の途中で何か必要になっても大抵は問題ないはずだ。

 

 ママさんに見送られてオーキド研究所に向かえば、早く来過ぎたのか俺が一番乗りだった。シゲルは除外だ。だって、家だもん。

 何はともあれ出立の準備まで完全に終わっているのは俺だけだったらしく、早速ポケモンを選ぼうかなと言ったところで博士からストップが掛けられた。

 この時点で何となく予想は付いていた。

 結果から先に言ってしまえば、俺はアニメの通りピカチュウを相棒として旅に出る事になった。

 これはまあいい。事前に想定出来た範疇の事ではあるし、アニメと同じように旅をすれば御三家は手に入るのだから、外れ値の特殊なピカチュウをゲットする方がお得である。

 それに色々とお世話になっているので快諾するつもりだったが、博士の方から出来る限り要望には応えるなんて言われちゃったらさー! そんなの貰える物は貰っとくに決まってるじゃないですかお言葉に甘えさせて頂きました! 

 

 そんなこんなで3人分しか新人トレーナー向けの教育をしたポケモンが居ないという大問題を起こした博士の尻拭いをする対価として、俺は『でんきだま』と『しんかのきせき』をもらう事になった。

 なんで2つもとは俺も思ったけれど、博士に聞けば1つはお詫びでもう1つは感謝の気持ちとして頂けるようだ。

 ちょっと博士太っ腹すぎやしませんか……? 

 まあ、最初に来たのにポケモンを選ばせてあげられない事や自分のミスの尻拭いをしてもらう事、あとは俺の相棒になるピカチュウが新人向けの教育をしていないので現状は言う事を聞かないという問題もあるからこその大盤振る舞いらしい。

 改めて聞くと遠慮する気持ちが吹っ飛んだので、有り難く2つとも頂く事にしました。

 俺だから普通に受け入れたけど、他の3人だったら大騒ぎしてたんじゃないかな? 博士は反省して、どうぞ。

 

 そうこうしている間に全員揃ったので、シゲルたちがポケモンを選んでいる傍らで俺はめっちゃバチバチ威嚇してくるピカチュウと仲良くなろうと悪戦苦闘していた。

 そして、どんな経緯で捕まえられたのか、俺に対する以上に博士にブチギレてる様子を見て博士をダシにして絆を深める作戦を思いついた。

 名付けて【一緒に博士をボコボコにしよう大作戦!!】とでも言おうか。

 波導パワーで大体の喜怒哀楽や言いたい事が分かるので、ピカチュウとコミュニケーションを取り、俺の指示を受けて博士にリベンジをしないかと持ちかけてみた。

 最初は難色を示していたが、真摯に気持ちを伝えたらこのバトルだけは俺の言う事を聞いて戦ってくれると約束してくれた。

 博士も俺に突然バトルを申し込まれて戸惑っていたけれど、やる気満々のピカチュウの様子を見て察したのか苦笑いしながらも受け入れてもらえた。

 他の3人も興味津々だったが、結局バトルを見ていくのはシゲルだけで他の2人は一足先に旅立ってしまい、何故かママさんが審判をする事になった。

 いや、マジでどうしてそんなことに? 

 

 早速とばかりにバトル開始。

 俺は当然ピカチュウで、博士の選んだポケモンはゴローンだった。

 おいコラ博士何考えてんだよ! まだレベルの低いピカチュウに対してゴローンって、大人気なさすぎるだろ!! 

 ……と、その時は俺も思ったのだが、更にやる気が漲って最早()る気満々になったピカチュウを見て、博士の選択の理由も大体予想がついたのでとやかくは言わなかった。

 代わりに、ピカチュウに対して「リベンジマッチだ。相手は強いが、勝てない相手じゃない」と鼓舞して、やる気に満ちた姿の裏側に隠された怯えや諦めという感情を払拭する。

 俺の事を忘れていたのか、または心のうちを見抜かれた事に驚いたのか。目を円く見開いたピカチュウに向かって頷いてやれば、フッと無駄な力みが消えてやる気を保ったまま程良い緊張感と共に少しばかり興奮しているような様相を見せた。

 

 まだポケモンバトル初心者の俺にも、今のピカチュウは戦いに最適な精神状態だと直感的に察せられた。

 経験豊富な博士とママさんは当然、無意識にかシゲルも俺のピカチュウを見ながら思わずといった様子で息を呑む姿が視界の隅で見えた。

 相手は圧倒的な格上。ポケモンのレベルも、トレーナーとしても勝ちの目は殆どないはずだった。

 けれど、この時の俺とピカチュウは不思議と負ける気がしなくて、奇跡を起こすほどに神懸っていた。

 俺はこの日のバトルを生涯忘れないだろう。記憶だけでなく、魂にまで焼き付くような、ポケモントレーナーとしての俺の原点となるバトルのことを。

 

 

 

 -追記-

 

 バトルの消耗が激しすぎて、旅立ちは翌日に繰り越すことになった。

 ピカチュウは勿論として俺も疲労困憊だったから仕方ないけど、この時点でアニメ通りに進むのはもう無理じゃないか? 

 まだ何も始まっていないのに先行きが心配である。

 

 

 

 

 

 a月k日 カスミと遭遇、誤解とバトル

 

 

 特にオニスズメの大群に襲われるようなアクシデントも起きず、道中数回ほど野生のポケモンとバトルした以外には何事もなくトキワシティに到着した。

 やはりもうアニメ通りとはいかないらしい。初っ端から計画が頓挫するとは悲しすぎて嘆くことすら出来ない。

 こうなると原作知識に頼るのは最低限にして、捕まえるポケモンとかは変わってしまっても仕方ないと割り切るしかなさそうだと諦めかけた。

 

 その時だった。

 ポケモンセンターの受付にどこか見覚えのある後ろ姿を発見したのは。

 赤味を含んだ明るいオレンジのような色味のサイドテール。ヘソ出しの黄色い超ミニノースリーブTシャツと、サスペンダーで吊るしたデニムのホットパンツ。

 更には聞き覚えのある声と来れば、最早疑いようもなく正体を察した。

 即ち、アニポケ初期ヒロインのカスミとの遭遇である。

 

 しかし、ここで問題となるのはサトシこと俺と、カスミとの間には面識はおろか接点さえないことだ。

 オニスズメ事件がなかった為にカスミの自転車は奪われることも、グシャグシャに破壊されることもなかったので、今声を掛けるとただのナンパ野郎として扱われかねない。

 それはちょっとごめん被る。そう言う第一印象は個人的に嫌だ。

 

 別にアニメと同じ流れに固執する必要はないだろう。

 自分だけの道を切り拓くのも良いし、原作知識なんて使わなくてもやっていける。そう思う気持ちもあった。

 けれど、そうじゃない。そうじゃないのだ。

 ぶっちゃければ原作知識はどうでもいい。俺にとって既にこの世界は現実だし、知識の通りに進まないことなんて分かりきっている。

 ただ、昔見たアニメポケットモンスターで、サトシとカスミとタケシの3人で時に笑い、時に喧嘩して、時に別れを経験しながら、様々な困難を乗り越えて旅をする姿がとても楽しそうに見えた。

 俺がサトシに転生したらことを自覚した時に、ふと思ったのだ。あの旅路を体験することが出来るのだ、と。

 それは誰にも言えない、密かな夢となった。

 

 というわけで、俺は即座に前言を撤回して、どんな第一印象になろうが知ったことかと衝動のままにカスミに声をかけた。

 つい名前で呼んでしまい、プライドの高さに比例するようにコンプレックスが強いカスミは俺をファンだと勘違いしていたが、まあナンパ野郎扱いはされなかったのでヨシとする。

 むしろ、このビッグウェーブに乗るしかねぇ! とヨイショしまくっていたら、何故かカスミとポケモンバトルをすることになった。

 カスミなりのファンサービスだということは、何となく伝わってきたけど突然すぎるぞ! 

 

 バトルのルールは1対1で、当然こちらはピカチュウ。カスミはヒトデマンだった。

 実を言うと、勝敗はすぐに着いた。俺の勝ちだ。

 昨日の圧倒的に不利だった博士とゴローンの組み合わせと比べてしまえば、非常に戦いやすい相手だったと言える。

 レベル差は殆どなく、タイプ相性は有利。

 調子に乗ったカスミは油断してるし、昨日の激闘を終えてピカチュウは明らかに壁を超えて進化と言っても過言ではないほどの成長を遂げていた。

 カスミの敗北を決定的なものにしたのは油断だろうが、恐らくそれがなくても勝てたと確信している。手持ちが育成中のポケモンしかいなかったのも大きな要因ではあるけど、俺もピカチュウも一気にステップアップしていたからな。

 

 あっさりとした敗北に、カスミは一時呆然としていた。

 気を取り直した彼女は意外と言うと失礼かもしれないが、癇癪を起こすでもなく素直に感心したように俺たちのことを称賛してくれた。

 旅を始めたばかりのトレーナーであることは見抜かれていたらしく、だからこそピカチュウとの連携や戦術、自分の油断を突いた見事な指示だと、今思えば絶賛である。

 それはそれとして自分が油断していたことを口にする時は悔しげな様子で、何故かトサキントでリベンジしようと再試合を申し込んできた時は慌てて止めることになった。

 ピチピチと必死に地面を跳ねるトサキントの姿は、とても哀愁を誘った。

 

 そんなこんなでバトルの後は小さいけれど雰囲気のよい喫茶店でお茶を楽しみながら話に花を咲かせて、なんやかんやで意気投合した結果カスミが旅についてくることになった。

 後から日記を見返せばどうしてそうなった? なんてツッコミを入れそうなものだが、こういうのは得てしてノリで決まるものだったりするのだ。

 何はともあれ、結果良ければ全て良しってことだな。

 カスミ、ゲットだぜ! ……なんつって。

 

 ちなみに、ロケット団は今朝カスミとシゲル(!?)によって撃退されたらしい。

 その時に少し会話したそうだが、カスミの「新人トレーナーにしてはやるじゃない」という上から目線の褒め言葉に対して、シゲルはスカした様子で「そうでもないさ」と答えたとか。

 色々思うところはあるけど、話に聞いただけでも会話の光景を鮮明に思い描けるくらいには、2人ともらしいっちゃらしい台詞だった。本人だから当然だが、解像度が高くて助かる。

 

 

 

 

 

 a月l日 戦いに備えて……

 

 

 そして、翌朝カスミと共にトキワシティを出る、その前に早起きして22番道路、23番道路を通り抜けた先にあるチャンピオンロードを一目見ようと散歩してみた。

 まあ、結局は途中で傷ついた色違いのニドラン(♂)を発見したので、ポケモンセンターに蜻蛉返りすることになった。

 連れて行く前に『キズぐすり』を使ったりと自分に出来る処置をしておいた甲斐があったのか、ニドランはすぐに退院出来た。

 最初はそのまま野生に返すつもりだったのだが、嬉しいことに懐いてくれたのでモンスターボールを見せたら自分から入ってくれた。

 これからよろしくな、ニドラン! 

 

 それからカスミが起きてきて、ポケモンセンターでトレーナーに対して無料で支給されている朝食を頂いてから、改めて出発。

 今朝散歩したこと、色違いのニドランのこと、自分やカスミのこと。

 急ぐ旅でもないので色々な話をしながら和気藹々と道を進んでいたのだが、トキワの森が近づいてくるに従ってカスミの様子に異変が起きる。

 まるで、何かに怯えるようにキョロキョロ周囲を見回したり、小さな物音に肩を跳ねさせたりと挙動不審だった。

 その何かって言うのは、カスミの苦手な虫ポケモンのことなんだけどな。ここは虫ポケモンと、それを狙う鳥ポケモンが多く生息している場所だから然もありなん。

 

 いざ森に入ると、カスミは俺のリュックの陰に隠れるようにしてしがみつきながら歩くような状態になってしまった。

 シンプルに歩きづらい。苦手なものは仕方ないにしても、ここまで怖がるというのは何か過去にあったのだろうかと聞いてみたところ、生理的に無理とのこと。

 ニビシティに行くためには森を通って行く以外に道はないので、可哀想だが諦めてもらおう。

 とはいえ、このままチンタラと歩いていれば森を抜ける前に日が暮れるのは間違いない。カスミの精神衛生的に考えても早く抜けるに越したことはないはず。

 

 本当に嫌ならすぐに抜けてしまおうと提案すると、カスミは恐る恐るといった様子でリュックの陰から出てきたが、やはり怖いものは怖いらしく今度は俺の腕に掴まってきた。

 もうこれ以上は改善しそうにないので何も言わず森を歩いて、ただひたすらに歩き通して、途中で絡んできた虫取り少年やミニスカートの少女などを瞬殺して、何故か必死に追いかけてくるキャタピーを捕まえて仲間にして。

 日が暮れ始めた頃には、トキワの森を抜けることが出来た。

 ちなみに、マサラタウンからトキワシティまでの道中でオニスズメとポッポを1匹ずつ捕まえてある。

 そのため、ここでピジョンがゲット出来なくても問題はない。

 

 ニビシティに到着する直前で、謎の浮浪者ことタケシの親父さんから声を掛けられた。

 タケシは強い、勝てないぞ的なことを言われたけど、確かにお世辞にも相性の良いポケモンは居ないし、楽なバトルにはならないだろう。

 だが、ピカチュウは強くなったし、バトルする前から負けることなんて考えない。

 ジムリーダーが鍛えたポケモンは同じくらいのレベルでも別格の強さだと思われるが、博士のゴローンが見劣りするとは思えない。

 アレくらいを想定して戦術を練れば、きっと勝ちの目もあるだろう。

 

 ニビジムに挑戦するのは翌朝の予定だ。

 俺が出すポケモンで確定してるのはピカチュウだが、もう1匹は誰にするべきか。

 オニスズメとポッポの鳥ポケモンコンビ、キャタピーはまだ力不足感が否めないからニドランが妥当だろうか。

 まあ、実際にはやる気のないポケモンを無理に戦わせるつもりはないのでピカチュウがメンバーから外れる可能性もあるし、明日の様子次第になるかな。

 

 俺自身が最適なコンディションを保つためにも、今日はもう眠ろう。

 既に効果が実証された『波導超速安眠術』も使用して、俺のせいで負けたなんて情けない結果にならないように気をつけないとな。

 

 

 

 

 

 

 

*1
粉々になってた。

*2
ママさんの経営する食堂。最初バイト代の受け取りは拒否していたが、ママさんに笑顔で拒否されて諦めた。





『旅の仲間』
・カスミ←NEW

『サトシのポケモン』
・ピカチュウ(Lv.10→Lv.16)←NEW
・オニスズメ(Lv.4→Lv.10)←NEW
・ポッポ(Lv.4→Lv.10)←NEW
・ニドラン♂(Lv.8→Lv.13)←NEW
・キャタピー(Lv.5→Lv.8)←NEW

これで書き溜めていた分は投稿し終わりました。
続きを書くかどうかは、今のところ未定です……未定でした!
皆様からの評価、お気に入り登録、感想の有無でやる気に差が出るので、それ次第になる、つもりでした!
ですが、とある方から続きを期待していると言われてしまったので、今後も暇を見て書いていこうと思います。
どちらにせよ仕事の合間に書いているので投稿頻度は早くないですが、こんな作品を応援してくださる方が居ましたら今後とも是非よろしくお願いします!

高評価、お気に入り登録、感想など待ってます!

今後の更新は2、3日に1話の頻度になる予定ですが、投稿する時間についてアンケートを取ります。作者の都合で無効となる可能性もありますが、宜しければお答え頂けると助かります。

  • 朝(5時〜8時の間)
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