勝者となった一輝に万雷の拍手が送られている最中、最上階の観客席の一部では拍手も忘れ、ただ呆然とその光景を眺めている者たちがいた。
その中の一人である南郷が、握られている拳を震わせながら口火を切る。
「あ、あの小僧ッ……! 人の身のまま、『魔』の領域に踏み込みよったッッ!」
先ほどの一輝が放った斬撃の特異性。
あれは南郷と、恐らく寧々のみに分かる異常事態だった。
「おいおい、嘘だろ……。な、なぁじじい。黒坊はまだ至っていないよな……? なのに、さっきの一撃……」
寧々もまた、あの一撃から放たれた異質さを感じ取ったのか、自分の師である南郷に尋ねる。
自分よりも長く生きている師であるなら、何か心当たりがあるのではないかと思ってのことだった。
しかしその予想に反して南郷もまた、何が何だか分からないとでも言うように頭を振って答える。
「分からん……。分からんが、あの小僧の魂は未だ儂らの領域までには至っておらん。それは確かじゃ。じゃが恐らく、あの一瞬だけ、あやつの右腕だけがこの世の理から外れていた……ように見えた……」
あまりにも一瞬過ぎて普通の観客には見えていなかったようだが、ほんの刹那、一輝の右腕だけが《
その特性とは、自らの『意』を因果として結ぶ強制力を持たせること。
つまり、一輝の『勝つ』という強い意志が、本来辿るはずだった運命を強制的に黒から白へと塗り替えたのだ。
「そんなことが可能なのかよ……。人のままでウチらと同じ領域の一撃を放てるなんて……」
その話を横で聞いていた黒乃もまた、二人が普通の
黒乃は二人とは異なり、その領域に至る前に第一線から退いたため、その特異性を感じ取ることはできなかったが、それでも自分にも分かることがある。
それは、一輝が《次元斬》を再現したということ。
すぐにそれが理解できたのは、物体ではなく空間そのものを対象として破壊する、《
だが一輝の能力は黒乃とは異なり、空間そのものに干渉することができない《身体能力倍加》という能力。
一輝はつまり、肉体の強化のみで空間という概念を超越したということだ。
あまりにも荒唐無稽な話だが、こうして目の前で起こったことを見れば、それを認めざるを得ない。
黒乃はそんな常識外の偉業を成し遂げた一輝に対し、呆れを通り越して笑いがこみ上げてくる。
(本当に常識では測れないな、お前は……。いや、あいつが師であるなら、それも当たり前のことなのか)
黒乃はチラリとバージルの方へ目を向け、様子を窺う。
当のバージルも、あまりに予想外のことだったのか、目を見開いてリング上を見つめていた。そんな彼に声を掛けようとしたとき、突然後ろの席に座っていた赤座の叫び声が耳に入ってきた。
「馬鹿なァア! こんな馬鹿な話があるかァ! 何かの間違いだこんなのは!」
目の前の現実が信じられないとでも言うように取り乱す赤座。
そしてしばらくの間喚き散らすと、今度はその視線がバージルへと向けられた。
「おっ、お前がァ! お前が邪魔をしたからこんなことになったんだ! どう責任を取るつもりだァ!」
連盟への襲撃時に一輝へ施していた治癒に関しては、既に酷使されすぎていた彼の体にはそこまで意味を成すことはなかった。
そのため本来であれば、ここまで激昂する程のことではないにも関わらず、追い詰められた赤座の頭の中では唯一の汚点として記憶に刻まれていたため、その怒りの矛先がバージルへと向けられたのだ。
赤座は観客席の通路の階段を下り、前の席に座っていたバージルへ詰め寄ろうとする。
しかし
「むぐッ!?」
スッと立ち上がったバージルに右腕で顔面を掴まれた赤座は、思わず呻き声をあげる。
そのまま体ごと持ち上げられ、全くもって離れる気配のない腕から必死で逃れようとするが、びくともしない。
するとバージルが突然、軽く100キロ以上はありそうな赤座の体をぶら下げたまま、通路側に出るや否や投げのモーションを取り始める。
「むぐぅうう!?」
まさかこのままリング上に落とすつもりか、と赤座は必死になってさらに藻掻くが、それでも万力の如く締め上げられた腕からは逃れることが出来ず、そのまま――
「フンッ」
投げられた。
しかも、赤座は自らに掛かる重力の感覚から自分がどこに投げられているのかを把握する。
それは、上空。
「なにぃいいいいいいいいい!?」
いくら超人と言われる
赤座は投げられた驚愕と恐怖で、もはや叫ぶことしかできなかった。
何しろ、いくら魔力による防御があるからとて、この高さから落ちればひとたまりもない。
今日はメディア関係者がヘリコプターからの撮影を行うため訓練場の天井は開け放たれており、赤座の体を遮るものはどこにもない。
そして赤座は、その天井すら突き抜け外に放り出されながらも、彼の体はなおも上方向に突き進み、やがて
「へぶっ!?」
上空で撮影していたヘリコプターの中へダイブし、撮影機材が衝撃で粉砕された。だがそれが皮肉にも緩衝材となり、赤座の身体はそこでようやく止まった。
急に人間がヘリの中に突っ込んできたことで驚愕した乗員があまりの出来事にパニックとなり、ヘリの操縦が乱れるが、何とか体制を立て直し墜落することは免れていた。
乗員たちは倒れ伏した赤座へ声を掛け、何があったのかを心配そうに尋ねる。
「ちょ、ちょっと貴方! 大丈夫ですかッ!? 何があったんですか!?」
しかし、それが赤座の耳に届くことはなく、そのまま彼の意識は完全に途絶えることとなった。
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「これで静かになった」
バージルは、ポケットから取り出したハンカチで手を拭きながら元いた席に戻り、ため息を吐きながら呟く。
そしてそれを一部始終見ていた寧々は、スッキリしたように腹を抱えながら笑っていた。
「うはははは! バーやん! やることエグすぎだろぉ~! てか力つっよ!」
「よ~飛んだのぉ~」
黒乃はまたもや騒ぎになりそうなことを仕出かしたバージルにため息を吐きながら、彼へ恨みがましい目を向けた。
「ハァ……バージル……。長官からはこれ以上騒ぎを起こすなと言われていただろうに……。これの責任を取らされるのは私なんだぞ、全く……」
「むしろ騒ぎを最小限にしてやったつもりだ。……それよりも」
バージルは笑みを浮かべながら、視線を再びリングの上の一輝へと向けていた。
何しろ自分の技である《次元斬》を、ただの人である一輝が再現してみせたのだから。
自分が《次元斬》を放つことが出来るのは、魔力を持つことで、通常の人間とは隔絶した力を持っているからだ。
しかし元の世界の人間とは違い、この世界では
だからこそ、一輝にも再現は可能であると思ってはいたが、まさかこんな短期間で再現されるとは思っていなかった。
バージルは自分の想像の遥か上を行った一輝に対し、思わず胸が高鳴る。
「ふっ、随分と嬉しそうだな。バージル」
「……だが、それでもまだ荒い。俺の技を完璧に再現出来たとは言えんな」
最後の交錯の時。
一輝が放った《次元斬》は自分のと比べ、僅かな空間しか切り裂くことはできなかった。
それに、自分が放った際には大気が弾けるような爆音を奏でることもない。
恐らくあれは、あまりの力に振り回されたために発生した、力のロスによるものなのだろう。
「手厳しいな。まぁ、だったらこれからも教えてやればいいさ」
「無論、そのつもりだ。俺の技を使う以上、無様なままになどしておけん」
一輝の騎士としての道はこれからも続いていくこととなった。
であれば自分の技を受け継いだ一輝を、まずは最低でも学生騎士の頂点へと導いてやるのが、これからの自分の仕事だ。
そんなことを考えていると、一輝がこちらへ向き直り、頭を下げるのが見えた。恐らく、自分への感謝を伝えているのだろう。
こちらへと向けられた想いの糸が、一輝を通じて自分にも繋がっているのだと実感させる。
人間は弱い。だから恐れる。恐れるから群れる――弱者の理屈だ。
自分は
それでも――無駄ではなかった。
自分が追い求めた『人間』の強さは、間違いではなかったのだと、一輝が証明してみせた。
彼こそが、『人間』としての理想形なのだ。
(ならば奴を手本に、俺はさらに強くなる)
答えは見せてもらった。
そしていずれはその力も手に入れ、ダンテから完全な勝利を手にしてみせる。
今も何処かとも知れぬ弟を思いながら、バージルは硬く決意したのだった。
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(ありがとうございます……先生)
一輝は下げていた頭を上げる。
彼が満足するものを見せられたという自信がある。
一刀だけではあるが、あの人の領域に踏み込むことが出来た。
彼との繋がりを証明することが出来た。
刀華へ肉薄したあの一瞬。
彼女の《雷切》と互角に並んだときの技は、《一刀修羅》によって体から放出された魔力を、逆に体全体に一瞬で押し込めるというもの。
それによって加速された肉体は最早、人の扱える領域にはなかった。
これは修羅などという人の堕ちうる領域ではなく、正しく
故に、その
だが、《一刀羅刹》によって体全体に纏った全ての魔力を一点に右手に集中させるという発想は、バージルがいなくては出来なかったもの。
ならば、その先を示してくれたこの
出来れば、この発想の元となった師であるバージルにちなんだ名を入れたい。
一輝は奥多摩で見た、彼の絶技《次元斬・絶》を思い出す。
彼ほどの強者が『絶』という名を付けるほどの、究極を冠する技。
自分も恐らく、今後これ以上の
何しろ自身の全身全霊と全魔力に加え、自らの魂を具現化した霊装である《陰鉄》の一部すら捧げたのだから。
羅刹に至り、肉体を捧げ、魂すらも捧げた。もうこれ以上捧げられるものは何もない。
であるならば決まった。
この技の名は――
『絶』の名を戴くのに、これ以上の技はないだろう。
一輝は満足気な顔で天を見つめる。
あとは愛する彼女へ、この勝利を以て伝えなければならないことがある。
(ステラ……)
一輝は観客席にいるであろうステラの元へ向かうため、自分が入ってきた青ゲートへと向かおうとする。
しかし歩を進めようとした瞬間、ゲートの入口からステラの声が聞こえた。
「イッキ……ッ!」
既に精も根も尽き果てた一輝は、杖にしていた《陰鉄》を落とし、駆け寄ってくるステラの胸に倒れこんでしまう。
あまりの安心感に意識が落ちそうになってしまうのを堪え、ステラの肩を支えに何とか立ち上がろうとするが、体が言うことを聞かない。
ステラはそんな一輝を見て、しゃくりあげるようにボロボロと涙を零していた。
一輝は自分の愛する存在を悲しませまいと、最後の力を振り絞り自らの両足で地面を踏みしめステラを見つめる。
そして息を深く吸い込み、意を決してその言葉を口にした。
「ステラ……僕の家族になってほしい」
ステラの体が小さく震えた。
そして、ステラは一輝を強く抱きしめ
「はい……アタシを、イッキのお嫁さんにしてください」
訓練場内に響き渡っていた勝者を称えていた声は、いつの間にか祝福の拍手へと姿を変えていく。
こうして、一輝とステラのスキャンダルによる事件は幕を閉じ、彼は堂々と七星剣武祭へとその歩みを進めるのだった。
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選抜戦が終わったのと、ほぼ同時刻。
荒野の道路脇にぽつんと建つモーテルの一室では、年季の入ったソファと薄汚れたカーペットに囲まれながら、少女の喧しい声が容赦なく響き渡っていた。
「ねぇダンテ! ダンテ起きてってば!」
その少女は美しい金髪を靡かせながら、ソファで寝こけている男を叩き起こそうと体を揺すっていた。
呼ばれた男――ダンテは、顔の上に置かれている開かれた雑誌を指で目元が見えるまで下へずらし、視線だけをその少女へ鬱陶しそうに向けた。
「……なんだよ。今ちょうど夢の中で美女とのお楽しみタイムだったってのに」
「もう、相変わらずデリカシーがないんだから。それに、美女ならここにもいるじゃない」
そう言って、モデルのように腰を捻るその少女の見た目は確かに美しい。
普通の男が見れば、誰もが振り返るであろう美貌を持っており、実際その快活な性格も相まって、彼女が通う学校では男子からかなりの熱い視線を向けられていた。
しかし、そんな魅惑的な少女に対し、ダンテは「ハッ」とからかうように笑いながら言う。
「もうちょい歳取ってから出直してきな。あと五年くらい経ったら、デートくらいは付き合ってやるよ」
「お断りよ。私は年下が好みなの」
少女はプイッと顔を背け、ダンテの軽口を受け流す。
そのそっけない様子にダンテは口では勝てないと悟ったのか、不機嫌そうに舌打ちをする。
そしてため息を吐きながら顔に乗っていた雑誌をどけ、横たわっていた体を起こしてソファに座り直した。
「そんで、何かあったのか?
少女――パティ・ローエルは、ようやく話を聞く姿勢を取ったダンテへ自分のスマホの画面をズイッと見せつけた。
「これ、最近になって出回ってきたんだけど、もしかして前にダンテが言ってたダンテのお兄さんじゃないのかなって。ほら、顔なんて瓜二つだし」
「……!」
ダンテは差し出されたスマホを受け取り、画面を食い入るように見る。
画面に映し出されていたのは、とあるネット記事。
そして、その記事にでかでかと貼られていた画像にダンテは思わず目を見開いた。
「バージル……」
そう、そこにはダンテの双子の兄であるバージルの姿……なのだが、その記事の内容を読んでいく内に徐々に訝し気な顔になっていく。
ダンテはスマホに向けていた顔を上げ、パティへと視線を戻す。
「なぁ、これってフェイク画像ってやつなんじゃないのか?」
「何言ってるのよ。そんなフェイク画像を作って誰が得するっていうの?」
「……だよな」
ダンテは頭の中が様々な疑問で埋め尽くされていた。
そこに映っているのは明らかにバージルであると自分でも分かっているのだが、それを信じきることが出来なかった。
何故ならそのネット記事の文面からは、まるで自分の兄の事とは到底思えないような内容が載っていたからだ。
『《
『ショッピングモールで《
『正義の代行者』
『《
そこに載っているのは、どれもバージルの事をヒーローとして祀り上げるような内容ばかり。
そして極めつけは記事の一覧の一番上にあったタイトル。
『《
ダンテは目を丸くし、記事の内容を何度も確認する。
しかし、何度見てもその内容が変わるはずもなく、その記事に映っている画像は紺色のスーツに身を包んだバージル。
犯罪組織を襲撃したという記事についてはまだ分かる。恐らく、元の世界に帰るための手掛かりを探してのことだったのだろう。
裏の組織には往々にして悪魔の力を用いて悪事を働く輩がいるのは、元の世界でもそうだった。
そういった組織は、元の世界でもいくつか潰したことがあったため、バージルのこの行動は理解できる。
だが、教師になったというのは一体どういうことなのか。
いくらウケを狙ったジョークだったとしても、あまりに突拍子もなさすぎて笑いではなく困惑しか起きない。
それほどバージルという男をよく知るダンテからすると、彼が教師になったというこの情報はあり得ないことだったのだ。
(頭でも打ったのか? アイツ……)
ダンテはしばらく記事の内容を眺めたあと、ようやく諦めたように手に持っていたスマホを持ち主であるパティへと返した。
するとパティは、未だ困惑気味のダンテの様子を気にすることもなく茶化すように言う。
「いつもお兄さんの事を悪く言うからどんな人なんだろうって思ってたけど、やっぱりダンテの言うことは当てにならないわね。ダンテもこの人の十分の一でも見習ってくれたら、私もこんな苦労をしなくて済むんだけど」
そう嫌みったらしく言われてしまうがダンテは片手で頭を抑え、実はまだ夢の中にいるのではないかと、今のこの状況を疑っていた。
「ねぇダンテ! 聞いているの!? この間も勝手にピザとストロベリーサンデー頼んでたけど、旅のお金も無限じゃないの! 少しはお兄さんを見習って自重して!」
だが、パティのいつもの甲高い説教がここを現実だと認識させる。
ダンテはため息を吐き、「オーケー、オーケー」と両手でパティを抑えるようになだめる。
そしていつもの調子を取り戻したダンテは今後の予定をパティと話し合うことにした。
「まぁ、この記事の内容に関しては本人に直接会って確かめるとするさ。そんで、確か日本だったな。その破軍学園とやらは」
「ええ、調べた感じだと、日本の有名な超能力者の育成学校みたい。向こうだと
「場所さえ分かればそんなことはどうでもいいさ。そうと分かれば、早くあいつと合流しておくに越したことはねえ」
ダンテも元の世界に帰るための方法を探してはいるが、未だその手段については手詰まりだった。
しかし、どちらにしろ帰るためにはバージルの持っている閻魔刀が必要になる以上、バージルと行動は共にするべきだ。
「そうね……。ダンテが元の世界に帰るためには、お兄さんがいないといけないんだもんね……」
パティの表情が少しだけ暗くなる。
彼女とはこの世界に来てから、かれこれ数か月以上にもなる付き合い。
だからこそ、その表情もどういった感情から来ているものか、ある程度は分かっていた。
「そう寂しがんなよ。こっちでやることもあるし、あいつと合流したって別にすぐ帰ったりはしねえさ」
「べっ、別に寂しがってなんかないわよ!」
「相変わらず素直じゃねえガキんちょだな」
「~~~ッ! またガキんちょ扱いして! もう十八になったんだから!」
「ハッ、そういうところがガキんちょなのさ」
顔を赤くしながらプリプリと怒るパティを尻目に、ソファーから立ち上がったダンテは善は急げとばかりにモーテルの外へと繋がる扉へと向かう。
「ほら、さっさと行くぞ。一応俺たちは追われてる身なんだからな」
「ハァ……もういいわよ。ちゃんとエスコートしてよね」
「あいよ。お嬢様」
二人はモーテルを出てすぐの道路へと向かうと、ダンテが地面に向けて手をかざす。
すると突然、前輪付近に付いている棘のような槍が特徴のバイクが出現した。
これは彼がこの世界に来る前に取得した、バイク型の魔具《キャバリエーレ》。
戦闘時には前輪と後輪が分離し、双剣のように扱う武器ではあるが、ここ最近はただの移動手段として活用していた。
ダンテは満足げにスロットルを捻り、エンジン音を吹かすと《キャバリエーレ》の座席へと座る。
「相変わらず派手ね。こんなんじゃ追手にすぐ見つかっちゃうじゃない」
「俺に言うなよ。勝手にこうなっちまったんだ」
文句を言いつつも、その後ろへダンテの背中に抱き着く形でパティが座る。
ダンテはわざと一度だけ回転数を上げると、パティが思わず「きゃっ」という声を出してしまい、そのことで後ろから恨みがましい視線を向けられるが、軽く鼻で笑い、素知らぬ顔で受け流した。
そして次の瞬間には、いつもの調子でアクセルを踏み込み、荒野へと繋がる道路を突き進む。
向かうは極東の島国、日本。
二人はとある事情で《同盟》から追われているにもかかわらず、ダンテはそれでも余裕の表情を崩すことはない。むしろ、スリリングなこの状況を楽しむ気概さえ持っていた。
(それにしても、またこいつの護衛を引き受ける羽目になっちまうとはな。因果なことだぜ)
ダンテは柄にもなく昔を思い出しながらも、目的地へと向かうため、スピードを上げるのだった。
一応解説
パティ・ローエル:アニメ版『Devil May Cry』のヒロイン。アニメ時点では10歳前後だったが、5の時点では18歳。5のダンテパートのムービーで電話越しで登場し、ダンテを誕生日パーティに誘おうとするが、仕事を理由に欠席される。ちなみに仲介屋のモリソンもアニメ版が初出。
正直登場させようか迷ったのですが、パティとダンテの絡みが好きだったので入れたくなってしまいました。