Luminous Archive   作:qwer2ppNT4.0

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私は砂漠まみれのこのアビドスが嫌いだ。
...いや、正確には嫌いになろうとしていたのかもしれない。
「ここの住人とは人付き合いがうまくいかない」私のたった一人の友人はそういう理由でここを去った。
確かにそうだ、私も中学の時から先輩に嫌われていたから嫌なことをよくされた。

もういいでしょ?私もさっさと自主退学してここを去るべきなんだよ。

私はその言葉を何回も心の中で言い聞かせた。
でも私には心残りがあり、アビドス高校で1年を過ごした。

2年生になる前、私は遂にここを離れる決心をつけた。
きっかけは単純だ。生徒会と揉めた、それだけだ。

そんな私にいつも毎日話しかけてくれた唯一先輩の中で私を嫌っていなかった一つ上の先輩。
名前は梔子ユメ。
私は、梔子先輩に色々と助けられた。

中学の時から先輩に嫌われていた私は、唯一同い年のたった1人の同級生しか話せる人が居なかった。
でも、二学期に入るとその子はもう学校に居なかった。
人付き合いが上手くいかないからだって。
そして完全に孤立した私は、日に日に自分に嫌悪感を抱くようになり、毎日死んだ魚のような目をして過ごしていた。
そんな中、私に唯一手を差し伸べてくれたのが梔子ユメという人だった。
その人は、とても優しく、面白かった。
私をはじめてちゃん付けして呼んでくれたり、一緒に帰ってもらったり、いろいろお世話になった。

こんな私に居場所を与えてくれて本当にありがとう。

でも、私は恩を返せずこの学校を去る。

ごめんなさい。ごめんなさい先輩、私はもうここを去る。だからもう会えないかもしれない。
今まで本当にありがとうございました。

私はその言葉を梔子先輩に伝えれずに、アビドスを去った


1-1

...

 

 

 

ルミナスへとやってきて2年が経った今でも、時々、アビドスにいた頃を思い出す時がある。

 

友達と楽しく遊んだり、喋ったりしている時だ。

 

どうしてか分からないけど、きっと昔の自分と今を比べてるからだと思う。

 

 

 

「ユア?置いてくよー」

 

 

 

あの頃と違って、今の私は好きだ。

 

きっと変われてる。もうあの頃の自分は居ないんだ。

 

それに、今は大切な友達がいる。

 

 

 

「あ、ごめんナツメ。今行く!」

 

 

 

この子の名前は、苗字 ナツメ。

 

紛らわしい名前だから初対面の人からはよく勘違いされてる。

私も転校してきた時困惑した。

 

好きなことはキヴォトスの歴史を研究することらしく、私には難しい事をよく話してくる。

 

まあでもナツメのおかげで友達もたくさん増えたし、勉強もできるようになった私の大切な親友だ。

 

 

 

「ユアがアビドス出身で助かるよ、今日はアビドスに行くから」

 

 

 

ナツメの研究を手伝うために、またアビドスへ行くことになった。

 

今、私が3年生だからあの頃の嫌いな先輩方はもう居ない。それに、私に手を差し伸べてくれた梔子先輩も卒業してるだろう。

 

先輩達がいる時に見に行ったら裏切り者としてもっと罵られるだろうし...皆居なくなった今が見に行くにはちょうどいい。

 

 

 

「まぁね...でも、アビドスは何もないよ?歴史は長いって中学の授業で聞いたことあるけど古代の遺跡とか見かけたことなかったし」

 

 

 

「ふっふっふ、甘いねユア、アビドスは確かに歴史は長い。でも私の故郷(ルミナス)の方が遥かに長いんだよ」

 

(あ、始まった)

 

「あれ?アビドスってキヴォトスで一番古いんじゃなかったっけ?」

 

 

 

私がアビドス第二中学校に通っていた頃に、教員から教えてもらったことがある。

 

「アビドスはキヴォトスで最も歴史深い地域」だって。

でもナツメが言うにはルミナスの方が古いの?

 

よく分からない。

興味がない私にとって、この話は難しい。

 

 

 

「確かに、ユアの言う通りアビドスはキヴォトスで最も歴史が長いとされてる。でも私達の研究会の先輩方が、アビドスよりもっと前にルミナス地区があったっていうのを発見したんだ。それにルミナスってアビドス砂漠を越えてさらに奥、キヴォトスで最も端っこにある地区だから、仮説だけどここがこの世界の原点だとされてるね」

 

 

「なんか、凄いんだね。ルミナスって」

 

 

ナツメの言っていることはすごいってことはわかるんだけど私にはまだ理解できない。

でも、私は聞いてて結構好き。

私に話してくれるだけうれしいんだもん。

 

 

ナツメの話を聞いていると校舎を出て駐輪場に来ていた。

 

廊下側から楽しそうな声、グラウンド側ではボールを打っている音が聞こえる。

 

時刻は1時30分、みんなは部活動をしている頃だ。

 

 

無駄話だけど、私がアビドスからルミナスに来て一番驚いた事が、学校の時間割だった。

アビドスは普通だったけど、ルミナス地区の学校は毎週4時間×45分授業らしい。

 

 

 

 

 

「よし、アビドスに向かおうか」

 

ナツメがそう言うと、バイクを指差し、後ろに乗ってと合図をした。

 

それにこくりと頷くと、ナツメがバイクに跨りエンジンを始動する。

 

私はナツメの後ろに座り、後ろに手を置く。

 

 

 

「ユア、始発のときは肩をもたないと、この前みたいに落ちるよ」

 

 

 

「あ、そうだった。忠告ありがと」

 

 

そう言ってナツメの肩を掴む。

 

アビドスにいた頃、こんなことができるなんて想像したことがなかった。

 

やっぱり去って正解だったのかな...?

 

 

 

「それじゃあ行くね〜」

 

 

 

ナツメがアクセルを開けると共に私は後ろに吹き飛ばされそうになる。

 

この感覚が少し怖い、ジェットコースターみたいで

 

 

あと...

 

バイクだとお互いの声があんまり聞こえないし、話すことが少ないから気まずい。

 

ナツメのバイク、煙がめっちゃ出て止まってるとき息がしにくい。

排気音?っていうのかわからないけど、かん高くてまわりのバイクよりかは音が大きいし、しかも普通の形じゃなくてオフロード?ってやつ。

運転してる人は楽なんだろうけど、こっちは座ってて少ししんどいんだよね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー1時間後ー

 

 

 

ルミナスを出て、何もないアビドス砂漠をずっと走っている。

この辺は知らない場所だ、ところどころ砂に埋もれた建物らしき物が見える。

 

ナツメはというものの、さっきからずっと喋りかけてくれてはいるが、あんまり聞き取れない。

 

止まっている時は聞き取れるのだが、走っている時は風の音でほぼ聞こえない。ヘルメットをしていないからだろう。

 

 

 

少し速度がゆっくりになると、何かしゃべっているナツメの声が聞こえるようになってきた。

 

 

 

「・・・それで、キヴォトスでは古代技術で作られた古代兵器が脅威とされて、各学区の生徒会がわざわざ古代兵器を見つけ次第破壊したりしてる。でも私達ルミナスは古代技術を代々から受け継いでいて今も開発し、様々な物に汎用して使用してる。

東ルミナス区のテクノエコノミー産業総合高校って分かる?ミレニアムサイエンススクールを弟子分として創業したルミナス唯一のマンモス校。そこの生徒会が、ヘイローを破壊する兵器を作るっていうから賛成派の東区と反対派の西区で対立してるんだよ。それから・・・」

 

 

ずっとナツメは何を話してたんだろう?というか、ヘイローを破壊する兵器...?

 

ほとんどなんて言ってるか分からなかったけど、ヘイローを破壊する兵器というのは聞き取れた。

 

 

 

「ちょ、ちょっとまってよ!ヘイローを破壊する兵器って?」

 

 

 

「名前の通りヘイローを破壊する兵器。ようするに神秘を貫通してキヴォトス人を殺す兵器を、古代技術を活用して開発してるんだよ」

 

「えぇ...キヴォトスって、連邦生徒会がキヴォトス人を殺傷できるような兵器って作っちゃいけないんじゃないの?」

 

「もちろん。でも、ルミナスの自治は昔の連邦生徒会が手におえなくて完全に放棄してるんだ、だからルミナスではどんなことも通用するって感じかな

まあ、流出したら大問題だけどね...最近被弾したら傷跡が残る弾薬がブラックマーケットを通じてルミナスからキヴォトス中心部に出まわっちゃったらしいけどね」

 

ルミナスってセキュリティのかけらもないのかな・・・

 

 

「ユア、そろそろ着くよ」

 

 

 

そう言われてパッと顔を上げると、見覚えのある景色が飛び込んできた。

まるで、あの頃の自分が、砂の中から顔出すような感覚だ。

 

まあ、懐しいというか嫌な景色だけど...今の自分にとっては懐しいと感じれるのかもしれない。

 

 

「知ってる景色だ」

 

 

 

まさか、またアビドスに。

嫌だった頃の制服じゃなくて、今の私の制服で戻ってくるなんて・・・




見覚えある人はいないと断言できる。
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