かの狂人学舎の良心が側にいるのなら、俺はダゴン教団の深奥に居る者を先に狩っておこう。
減音され、遠くまで響かなくなった銃声が連続する。
音を辿れば俺の居場所などすぐに分かるかもしれないが、その音を辿る前に死んでいるのだから結果的に俺に辿り着いていない。
連中からすれば、音が聞こえていないのは遠くから狙われているから、そんな心理が働いていそうな動きだ。
門を、いや……外なるものどもの術を使えるようにするアプリケーション、何と便利な物なのだろうか。
しかし、正式でも非正規でも契約者ではない俺に攻撃術式は使えないし、開ける門の大きさもバレルが通る程度の小さな穴だ。
しかし、そんな小さな穴でも弾丸が飛んでくる方角を誤魔化せている。
アプリで視認可能範囲内に極小の門を開き、サプレッサーを装着した銃身を捩じ込み、その先にもう一つ弾丸が通る程度の門を自力形成。
結果、門の接続基点である俺の近くで音は鳴るが着弾地点付近では減音に減音が重なり、ローブを被っている事も相まり……とね。
門を閉じ、耳を澄ます。
吸って吐いて、吸って吐いて、吸って飛び上がるイメージ。
浮遊感、自分的に過去一番靭やかな跳躍は柵の上に身体を躍らせ、忍び返しの切っ先を軽く踏み、刺さることなく身体をさらに高く。
壁の内側の更に内側へ音を立てないように着地し、今しがた射殺した死体、こちらが撃ったもの以外の傷跡が目に留まった。
帽子が取れてスキンヘッド、違う。
開頭手術の痕跡だった。
傷は古いが、抜糸はされていないことから治癒は意味がないか、何度も開いているのかもしれない。
『hahaha ahaha syunomitibikino』
どいつもこいつも、壊れてるな。
スモークを部屋に放り込む、発煙開始。
入口から銃口を部屋に向け成人であれば下半身、子供であれば頭が位置する高さをフルオートで掃射、これを数度繰り返す。
「これか。」
目的の物を傷付けないように近接格闘に切り替える。
拳打か風圧かはたまたどちらにも属さないかもしれないが、結果として砕けていくメシア教徒を見送り、パソコンを弄る。
特段トラップなどはなく、目的の情報にたどり着く。
直近の起動日時は2025年11月21日、その前は……1998年7月……読めなくなってるな。
つまるところこの異界化の直後か前後のタイミングで、何処かの時空から巻き込まれたのだろう。
さて、この端末が何かと言えば……悪魔召喚プログラムの処理サーバーといったところだろうか。
自分が存在した1991年代、それよりも前だが(何故か俺がいた地域では発生していないが)、パソコンに召喚プログラムが送り付けられて、それを携帯端末にインストールして悪魔召喚プログラムが実行されるという事案が発生していたらしい。
このサーバーは、そのプログラムを携帯端末で制御しつつ代理演算させるために構築されているようだ。
天使系悪魔の召喚履歴がズラッと並んでいるが、この場所の惨状から考えると抵抗する間もなく喰われた感じだろう。
電子機器を顕現ベースとするコラジンに、最新の電子機器を用いて実行する悪魔召喚プログラムは相性が最悪なのは考えるまでもない。
そういえば、先日の邂逅の時の巡航ミサイル……出会った自衛官によれば中身は核だったらしい。
推定シュブ=ニグラスが座すコロニーで出会った魔術師によれば、着弾時にコラジンによって無効化されたようだが。
つまるところ、あの爆風は無効化時に発生した魔力の波が物質領域に干渉した為に発生した余波なのだろう。
最後に実行しようとしたのは……、
「クトゥルーの召喚?近似か本体をこれ使って召喚しようとしたのか?」
そんなことしても、制御出来ないだろって、この惨状はそういうことか。
なら、俺がやることは一つだな。
正直、これやっても大勢にはやらないよりはマシくらいにしかなりそうにないがね。
大爆発
内外から目標を完全破壊するために、持てる知識を総動員して作った魔術を併用してガンマ線の拡散方向を偏向したアンチマテリアルボム。
「Fooo!」
やっぱ、爆発っていいわあ。作り易さよりも瞬間火力重視。ガンマ線で機械もぶっ壊せて一石二鳥。
「あの爆発はそういうことだったか。」
合流したところ、シュルズベリー教授に激詰めされた。
壊滅しているとはいえ、市街地で反物質爆発は如何なものかと。
まぁ、過剰威力だったのは完全に趣味でしかないのだからこの説教は甘んじて受ける。
突然だが、俺には現在最優先で解決しなければいけない事柄がある。
俺は助けを求める声を辿ってこの時間軸に来た。
そして、あの女子高生3人組に縁を認識し現在に至る。
しかしだ、実のところ彼女たちの重要な局面には関与できていない。
助けを求めたのが、自分に対してではない、これはまぁそうだろう。
俺が辿る危急の声は、切羽詰まる時に発せられる無作為なものだから。
縁は繋がっている、しかしだ、繋がってはいるがよく観察してみればその繋がり方はひどく歪だった。
なにより、よくよく思い返せば色々とおかしいのだ。
ハスターと緩衝を挟んだとはいえ、契約を行って正気を保ち世界に適応しているとか、片腕がなくなったが、代わりに触腕を接続して正気を失うことなく使いこなしている、とか。
当然と言えば当然なのだが、その答えは教授側から伝えられた。
知ればだからなんだという程度だったが、同時に俺の役割は既に終わっていたという事が判ったのは僥倖だった。
まぁ、だからといって退場する気はないのだけどね。
一度関わったら結末は見届ける。
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【No.13
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「止めろ!奴らをごっ?!」
最短ルートは溶接により封鎖され、地下空間の要塞化のお手本のような迂回ルートが構築されているが、ここに至っては残党狩りの如く。
リボルビング・グレネードランチャーから40㎜擲弾が絶え間なく放たれ炸裂し、散り散りになった残敵を00バックショットと5.56㎜弾がトドメを刺していく。
「ふむ、なかなか順調じゃないか。」
「順調だったら、こんなに急いでないんだよ。」
「それもそうね。でも、なんであなたはそんなに急いでいるのかしら?」
「さっきから碌なカードが出ないからだよ。」
おそらく俺にしか見えていないのだろうが、何かをしているというのは伝わったと思う。
先ほどから、塔・月・死神が出現を繰り返している。
十中八九、結末に関しての啓示なのだが不穏が過ぎる。
「シュルズベリー!あと一歩だというのに!」
目の前で、事前ブリーフィングにおいて現ダゴン秘密教団教主であるマーシュの子孫と紹介されていた老人が叫んでいる。
40㎜擲弾と5.56㎜弾の猛射に曝されたというのに原型を留めるどころか、胸に弾痕が出来たくらいで済んでいる。
他のダゴン教団信者はバラバラだというのに、精々100年前後しか生きていない人間にしては頑丈すぎやしないだろうか。
ゼイゼイと息を荒げ、否呼吸もおぼつかなくなっている……か。
じきに死ぬな、これは。
「そこに、最良の贄がいるというnごがっ」
照準、引き金を引く、タタタンと銃声が響く。
眼球を粉砕し、後頭部から脳の断片と血を銃弾と一緒に吹き出して老人は息絶えた。
適当なまだ走行可能なジープを見つけ、道路をひた走る。
やはり気になる、いや心配するという方が正しいか。
「気になるなら行けばいいじゃない。」
退魔稼業のお嬢さんに言われ、それもそうかと思い直す。
死んだら自分が悪いだけだしな。
「すまないが、行ってくるよ。また何処かで会おう。」
返事を聞く暇すらない内に、車から飛び降りる。
靴から火花が舞い、飛び降りた車がすぐに眼下へ遷移する。
当初あったコラジンによる広域展開されていた精神汚染領域は、さっぽろテレビ塔上部に展開されていた増幅装置が沈黙したことにより急速にその範囲を縮小に転じた。
だからこそこの移動方法が可能となった訳であるが、っと。
衝撃、震度7を彷彿とさせるような激震が札幌ドームを中心として現在断続的に発生している。
おそらく女子高生3人組がコラジンと交戦している為と推測できるが急がなければ。
ひと際強力な破砕音が轟き、次いで崩落が起こったような振動が崩れかけたビル群を揺らす。
いや、何棟か限界を超えて崩れて……ちっ、最短経路がやられた。
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【No.0 愚者】【No.13 死神】 Activate
スターレア
【No.1 魔術師】 認証/正位置
【No.2 女教皇】 認証/正位置
【No.3 女帝】 認証/正位置
【No.4 皇帝】 認証/正位置
【No.5 教皇】 認証/正位置
【No.6 恋人】 認証/正位置
【No.7 戦車】 認証/正位置
【No.8 力】 認証/正位置
【No.9 隠者】 認証/正位置
【No.10 運命】 認証/正位置
【No.11 正義】 認証/正位置
【No.12 吊るし人】 認証/正位置
【No.14 節制】 認証/正位置
【No.15 悪魔】 認証/正位置
【No.16 塔】 認証/正位置
【No.17 星】 認証/正位置
【No.18 月】 認証/正位置
【No.19 太陽】 認証/正位置
【No.20 審判】 認証/正位置
【No.21 世界】 認証/正位置
テキスト
何処かで誰かが泣いているのだ。
ならば征かねばなんとする。
西討東征の業に刮目せよ。
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「
『【個の意地、闇夜を打ち砕く】我製風式駆動鎧を召喚します!』
一歩踏みしめ体を前に押し出す、駆動鎧の風力発電タービンがその気流で発電を開始。
二歩踏み出し加速を続ける、外套がはためきタービンは唸りを上げその速さを押し上げ続ける。
踏み切り、ワイヤー機動も超える高さまで跳び上がり一足飛びに瓦礫を駆け抜ける。
「もっと、生きたかったよぉ。」
絶望の嘆きが耳朶を打つ。
その主の元に繋がる俺以外の縁が見えた。
あの子の終わりは、今日ではない。
「ならば生きろ。君の友達はまだ諦めていないのだから。」
「え?」
襟首を掴み、増強された膂力を用いて後方に投げる。
「キイちゃん!ってわあ!?」
「骨折しているようだから、手当よろしく。」
「タケは?!」
「核の直撃程度、耐えて見せるさ。」
門の創造により俺よりもはるかに大きな、人ひとりが通れそうな門を開いた迫水さんが飛んで来ていたキイロ嬢を驚きで迎え、その身体を霧継嬢が受け止める。
コラジンを相手にしていたのだ、最後の力を振り絞って開いた門をそれ以上持続させる余裕はなかったのだろう。
徐々に閉じていく門に向って二指啓礼をして、別れを告げる。
「縁があれば再びまみえよう!その生に幸多からんことを!」
門が閉じる。
遠方から接近する音を聞く。
「我、標にして標に非ず。人は我を標とするも
然れども、今この時は
え~んがちょ。」
ばつん!と何処かで音がした。
『※※※※※※※※※※※※※※※※※※!!!!』
神位的格差を超えて縁を切られた事に対する怒りか、はたまた威嚇か、彼女の性格的に前者だと思いたいね。
しかし、ここから拳を交える時間はあるのだろうか。
Result
コラジン撃破
生存探索者 5名
報酬∶正気度回復2D6 技能点3D6
Result?
生存探索者 1名
報酬∶機能回復
Result Error!
【No.13 死神】∶カウンター発動!【信頼】を確認!
【誓いし拳】!【ドジ】!【バカ】!【アホ】!【マヌケ】!【幼馴染】!【隣に立つ覚悟】!【新たな芽吹き】!
【燃ゆる者/純人間】巣鴨 武広をしょしょしょError!【No.2 女教皇】拒否!
『
Tips:巣鴨 武広
不知火が依り代にしていた青年、今回の介入によりダイスを振ったらネタで混ぜたご都合主義みたいな選択肢がヒットし機能が回復した。
メインタロットは【No.8 力/反転時:物質主義】、平時でも反転時の性質が励起状態にあるが純粋な人間。
ステータス・スキル構成共に筋肉特化、タロットの側面性質によって【観の目】という謎のスキルが生えており例え視えていなくとも観えているという物質域の知覚属性だが尖り過ぎて神秘領域に至っている。
足が速いと力が強いが極まっている化け物。(なお、今現在も成長段階である。)
不知火が大概の悪魔をぶん殴っているのは、この世界においてこの人に最初に憑いていたから。
性質は共に在るというただ一点のみ。
だからこそ、帰ってきたし、今も拒否されても無理矢理にでも現れる。
女教皇が拒否した理由は、勝てないと思っているからではない。
別に武広青年は殴り合いが好きな訳でも暴力が好きな訳でもない。
単に筋トレが異様なほどに彼の性質を引き出しただけなのだ。
心技体の内、技が欠けていたので死んだ。
そんな細マッチョが、還ってきただけなのだ。
スキル(一部)
ポージング:ポーズを取り、身体全体や一部の筋肉をアピールする。
筋肉の宴 :ポージング中、ボディビルポーズ毎に敵味方に回復とデバフを発生させる。
・例:バック ダブルバイセップス(相手からはダブルバイセップスに見える)
・効果:味方全体にヒートライザ/相手にマハラクンダ・マハスクンダ・
混乱もしくは絶望付与
・デメリット:連続、一巡に関わらず同じポーズは成功率半減
健全なる肉体と精神:常時纏いあふれ出る謎の安心感によって戦闘参入時、味方全体にチャージ・コンセントレイトが付与され、メシアライザーが発動する。
ユニークスキル
観の目:自分の周囲を常に知覚し、霊的な存在をも物理的情報から存在位置を脳の演算によって割り出してしまう。霊的な知覚の補助になる訳ではない。
テキスト:見えはしない、しかし捉えられない訳ではない。
金剛全一:精神的異常(恐怖など)・肉体的異常(毒など)を無効化
テキスト:健康第一。朝起きて朝飯食って鍛錬して、昼飯食って鍛錬して、晩飯食って鍛錬する。