前より表情が柔らかくなったそうだ。
寂しくもあるけれど、あの子が居たら話せなかったこともあったから、住み分けだと思うことにしている。
サブサブタイトル:突入班
のっしのっしずんずんと蔓延る怪異を打ち払い、撃ち抜き、叩きつけ進む猫耳少女。
その周囲を、侵攻の邪魔にならない程度に銃撃し露払いをする3人。
「ここまで一切の寄り道なしで来てるわ……。」
「たぶん、何処にいるかが判っているんだろうね。」
訳知り顔の二人を葵が怪訝そうな顔で見、口を開く。
「あの、茜に何が起きてるか知っているんですか?」
「あーうん、葵ちゃんに何の変化も無いな、ら葵ちゃんとは縁が薄い感じなのかもね。」
「えん……もしかして繋がり的な縁ですか?」
「そうね。ここはそういう場所だと思ってくれればいいわ。
茜さんは、その縁に向き合う資格を得た……って感じかしら、佐伯さん?」
鈴木の胡乱な視線が佐伯に向けられるが、当の佐伯は
微かに肩をすくめる様な動作を挟み、曖昧を貫く。
「さて、ね。俺らの役割はただ歩み続けるだけだ。夢は幼き者の安寧。
産み落とした咎はいずれ受けるだろう。
俺たちは、選択を見届ける義務がある。
俺たちは、子を守る義務がある。
俺たちは、守る者を定めた。定まったならば、後は野となれ山となれ……だ。」
呆れた様子の二人を後目に朗々と嘯く。
二人に聞こえた様子はない。
不自然なまでに、声は伝播することなく宙に消えた。
打ち払い、薙ぎ祓い、撃ち砕き、進み続けることしばらく。
「だあああ!長すぎるわっ!
いつまで続くねん!」
先の見えなくなった廊下で茜がキレた。
「まぁまぁ、無間系は熱くなった方が負けだからさ。」
「そうね、地脈を利用していないなら早々に力尽きるんじゃないかしら。」
「え、なんでそう思うんですか?」
「おや、葵ちゃんはキャスターさんの座学受講してないんだ。」
などなど他愛のない話で4人は盛り上がる。
年相応とは言えない異常な会話、しかし彼女達は違和感を抱かない。
佐伯が先の見えない廊下を見、右手を握り解きを数度繰り返す。
「飽きた。そっちが来い。」
何かを引き倒すような腕の動作、いち早く反応したのは茜だった。
「死に晒せや!」
吐き出すような怒声と共に鋭く放たれたハイキックは、突如飛来した物体へボレーシュートの如き軌跡を与え蹴り飛ばした。
「ゲハアアア?!」
よく跳ね、汚い悲鳴を上げた物体は、止まった先でよろよろと立ち上がり茜達を凝視する。
頭が冷めたのか、それを正確に認識した茜の素肌がにわかに粟立ち、
「は、ははは、ハハハ、アハハハハハ!」
今度こそ燃え盛るかの如き狂笑を発しながら駆け出した。
手には短刀、駆け寄る茜を見、物体改め異形は迎え入れるように両手を広げるも、凶器を目にし硬直する。
一度目の蹴撃は何かの間違いだとでも思っていたかのような素振りに、茜は短刀の柄を握り潰さんとばかりに力を込めた。
一閃、短刀から放たれたとは到底思えない範囲を切り裂かれ、異形は音としても成り立たない絶叫を発しのたうち回る。
「なんで!なんで!式神が!」
「さあて、なんでだろう?」
絶叫の合間に呈される疑問を佐伯がはぐらかす。
この異形の意識は正しく残っていた。
正しく壊れている。
正しく整合性を欠いている。
正しく当時のまま。
己が犯した過ちを、犯した行為を、この世界の人間とは別のベクトルで正当化している。
否、いずれそう染まるベクトルで正当化している。
その意識が血肉を分け与え、繋がりを強化した式神に攻撃されているという事実に揺さぶられる。
「あんたが、うちのマスターやって?
昔の記憶も今の姿も!寝言は寝ていえや、ボケえ!」
佐伯が紙を取り出し二言三言唱えれば、紙は己が真理に従って茜が襲い掛かっている異形の情報を己が身に書き記す。
名称:未練我欲の大餓鬼
脅威度:4(10段階評価)
経験点:7.14万
~(フレーバーテキスト)
サブサブタイトル:寮から少し離れた
「あら、初めてのお客さんですね。
ここは何を売っているか……ですか。
そうですねぇ、主に拳銃ですね。
え、ガイア連合製か?ですか。
いいえ、自社製造品ですね。」
店員が販売物リストを提示すると、パラパラとめくる音がしばらく続いた。
「えっと……こ、このM45A1って拳銃を1丁と、.45ACPを280発ください。
それと、弾倉も3つ。」
「お会計はマッカ決済もしくは、現金決済となっています。」
「ま、マッカ決済で。あ、あれ?少し安いような……?」
記名などはない、あくまで発生する物事は当事者のみで解決するようにというRimでは当たり前、ここでは裏の常識か。
「自社製造ですから、既存製品とは重量も質感も異なりますね。
あくまで番号は形式上の物、表のカタログ通りではありませんので。
軽い分リコイルは強力になりますが、その為のパーツも各種取り揃えてありますので、良ければご検討いただければと。」
プラスチール製M45A1を手に取り、その軽さに偽物を掴まされたかと訝しむ客に対し、店員は事もなげに注釈を入れ、リスト後半の拡張パーツリストを示す。
「えっと、物は相談なんですけどコンテンダーってありますか?」
「えーっと、トンプソン・コンテンダーですね?
少々お待ちください。」
店員が奥へと歩いていく。
代わりに、客の青年よりも小柄な少女が店頭に現れる。
「えっと……。」
「お気になさらず。代わりの店番ですから。」
「おいおい、マーチスくん?」
奥で雑貨を物色していた青年が、少女に戸惑う青年の脇腹を小突く。
「ちょ、なんだよ。オレルド。」
「いやいや、お前好みっていうのは分かるんだけどな。」
「ちょ、ちょっとそんなんじゃないってば」
カチンと音が二人の耳に入り込んだ。
「あのー、カウンター前で暴れるなら外でお待ちいただいてもいいんですよ?」
二人の眼前にレ・マット・リボルバー(口径拡張型パーカッションロック式リボルバー)が突きつけられており、少女がジトッとした視線でマーチスとオレルドを見据えていた。
「「はい、すみませんでした。」」
異口同音で謝る二人、流石に外で待つのは遠慮したいのがこの界隈の治安なのだ。
ついでに言えば、店は常に閑古鳥が鳴いている。
余程この店が気に入ったという訳でもなければ、ガイア式に客は移る。
それ程までに、ガイア式の装備は安定性と性能が両立され、武器としても見咎められにくいのだ。
サブサブタイトル:寮正門での日常
寮の正門にて押し問答が今日も起きている。
「通してくれないかなあ?俺らも調査依頼でここに来てるんだ。」
「ここは私有地なので退去していただけませんか?」
「異界だから私有地も何も無いだろ!」
「師走さーん、依頼撤回させてきましたよ。」
「おつかれー。」
「はあ?!俺らただ働きかよ!」
「納得いくわけねーだろ!」
こんな問答が日常的に起きる。
そして、強制排除されるのもまた日常なのである。
「強制排除プロトコル機動。前線構築要員は直ちに集合。」
「「「ザッケンナコラー!」」」
少しでも成果を残そうと暴徒と化した集団が前に踏み込んだその時、
「制圧射開始。」
無情な声が響き、弾雨が降り注ぐ。
12.7㎜HMGとM950(不知火仕様)の猛射により、あっと言う間に地に臥せる暴徒たち。
手足は千切れ飛び、臓物が周囲にまき散らされ血の海といった様相だが、何人かの不知火の背の空間が揺らめいたかと思えば深い蒼の三対六翼が現れ、次の瞬間には暴徒たちの肉体は修復され胸は静かに上下し口は憎々し気に歪められているが喋る事は出来ず、目は射殺さんばかりに顰められている。
そんな暴徒たちの顔に向って無慈悲に振り下ろされる靴の裏。
異時同音にそこかしこで起こる制裁。
気絶するまで行われた暴力、淡々とパッケージしてガイア連合の派出所への搬送を開始する後始末部隊。
他者の領域に入るという意味が理解されない限り、この日常は続く。
サブサブタイトル:連合掲示板(転生者専用)
愚痴スレ334
774:名無しの連合員
義弟がボイロ異界に行ったまま帰ってこないんだ。
775:名無しの連合員
そりゃまた……いや向こうで嫁でも見つけただけでは?
776:名無しの連合員
下手に騒ぎ起こさなければ誰でも受け入れるって噂は伊達ではないし。
777:名無しの連合員
代わりに騒ぎ起こしたら、派出所へ死体袋に入ったひき肉が送り付けられるけどな。
最近は頭が潰れた肉袋が送り付けられてるが。
778:777げとー
向こうからすると復活チャンス与えてるレベルのやさしさらしいけどな。
779:名無しの連合員
1ズレ定期
それはそうと、弟さんはなんか言ってたのか?
780:名無しの連合員
>>775
そんな女っ気があれば良かったんだけどね。
781:名無しの連合員
弟枯れてるのか。
782:名無しの連合員
枯れてるって言うより感性が独特
783:名無しの騾」蜷亥藤
あ繧後?√↑繧薙°螟峨↑
....
サブサブタイトル∶寮の客間にて
「先刻は私たちの手の者が失礼をしました。
しかし、終末に対し備える上でこの異界は必要不可欠なのだということもご理解頂きたい。」
誤ったかと思えば、矢継ぎ早に持論を展開したのは、ガイア連合鈴蘭市派出所の所長だ。
「貴方方が塒を構えている場所も、領域内なのですが。」
対面するのは東北イタコと結月ゆかりの二名、この所長は見た目だけなら海千山千の風格がある故か、判断を誤ると取り返しが付かないと判断され二人が当たることになった。
「確かに、先人の遺産に頼っていることは認めましょう。
しかし、貴方方の占有域は広すぎる。」
占有域と所長は言ったが、これには語弊がある。
いや、そもそもが語弊だらけだった。
ここは、不知火の領域下なのだ。
天之狭霧の霧を介した異界を作る権能を、不知火が不知火なりに力の及ぶ範囲で作った異界、それがここなのだ。
実際には蜃気楼を用いて、実際の町に被せるレイヤー方式を用いた開放型異界とでも言うべきか。
通常の異界と違い、ハコモノを自作する必要のない異界であり、被せた町の側にある異界を取り込む事も出来た。
不知火が一時期巻き込まれていた異変の発生は、このレイヤーの主導権を乗っ取られたのが原因なのだが、ここでこれ以上語る必要はない。
「ご不満がおありならば、
占有と言われましたが、これは私たちに課された試練の対価でもありますので。」
異界のヌシと話を付けろと突っぱねるイタコに対し、
「試練ですか、興味深い。例えば、どのような?」
所長は試練という響きに希望を見出したらしい。が、
「今のところ確認されている範囲では、レベル30〜45程度の覚醒者、十数人規模の襲撃ですわね。」
実際には違うのだが、起きたことは事実なので心底気怠げな雰囲気で騙るイタコに即座に粉砕された。
「受けたいなら、すぐにでも送ってあげよう。」
所長の肩に置かれる手。
「え?」
「あら」
「あちゃあ」
所長が上げられたのは疑問符だけ、ゆかりとイタコは天井を仰ぎ見る。
消える派出所所長と秘書兼補佐役、主犯は何事もなかったかのように歩き出している。
「あ、そうだ。イタコさん。」
「どうかしましたか?」
「医務室、準備しといてね。」
「承知いたしましたわ。」
淡々と交わされる言葉。
理由を問う暇はない。
「タカハシさんとつづみさんも居ましたよね。」
ゆかりが疑問を呈す。
「茜ちゃんのフェイルセーフだろうね。
想像より深い深度の情報が使われていたんだろうね。」
玄関の方から、『メキィ』と重量のある物が床板に乗った悲鳴が聞こえてくる。
続いてのっしのっしと歩く音、視界に入場して来たのは佐伯だ。
タカハシとつづみを背負い、琴葉姉妹を両脇に抱えた。
4人は外傷はそれほどと言ったところだが、ギャグ漫画の様に煤まみれで昏倒していた。
「加護で肉体ダメージは減衰させたが、精神ダメージで全員昏倒したぞ。」
一人無傷の怪物はそう宣った。
数時間後に観測されたスレッド
ボイロ異界 派出所所長捜索(仮)78
名無しの連合員
結局ボイロ異界に行ってからの足取りは追えなかった?
名無しの連合員
そう
名無しの連合員
ダウジングも霊視も位置が滅茶苦茶
名無しの連合員
所長なにやったし
名無しの連合員
そらあれよ、障られたんやろ
名無しの連合員
派出所側では本部に捜索依頼出したんだっけ?
名無しの連合員
ショタおじ直々に追っても意味がないって言われたらしいけどね
名無しの連合員
一部が意地になったり興味出した結果がこのスレよ
名無しの連合員
【速報】ボイロ寮潜入組、鉢植えで返送される
名無しの連合員
首だけ?
名無しの連合員
いや、犬神家
名無しの連合員
教はいつにも増して加減がないなぁ
名無しの連合員
警備担当が手加減知らずやったんやろ
Tips:不知火の見え方
世間一般的に不知火の言動や性格は軽薄に映る。
転生者から見ても、不知火の言動や性格は軽薄に映るだろう。
不知火同士では特に問題は起きない。
同族意識からではない。
純粋に何が起きても互いに対処可能であるからだ。
グローリーキルされても数分後には復活している。
では『寮』は、そういう設定か?否、私たちは設定していない。
Tips∶武器販売
ナイフから対戦車砲まで、需要がある・なし使用可能問わず販売されている。
ほぼ全てが宇宙船が飛び交う時代のプラスチールとチタン合金で構成されている為、現代とは比べ物にならないレベルでの耐久性能をリコイル制御と引き換えに発揮する。
店の品がその真価を見せるのは、電磁投射兵器になってからである。
M45A1 CQBP∶45口径の軍用拳銃。2014年頃に生まれた未来武器だが、材質がステンレススチールからプラスチールに変更されている為50g程度軽いが、その分使い手にはリコイル制御技術が要求される。
Tips:フェイルセーフ
肉体を混ぜて作られた式神に課せられた、主への誤攻撃抑制呪詛。
最終的に自己破壊性の錯乱へと発展する。
佐伯含む不知火が随伴するのは、これを早期に制圧することが主目的である。
Tips∶佐伯 秀樹(偽名)
正面からは堀が浅く、正面以外からは彫りが深く見える成人男性。の背格好をした不知火。
デザートイーグルをメインに扱う不知火の一派、不知火に統合される以前は遺跡盗掘や日雇いの用心棒をしていた背景がある。
コールサインを名乗る一派とは、全く別の一派である。
マティアス・フィッシャー・松尾(マーチス)
マーチスと呼ばれている17歳くらいの日系ドイツ人の帰化日本人。
何処かの作品で、伍長系転生者が居るのを見たことがあった気がしたので生えてきた。
気弱そうな青年だが、度胸は一人前。
現場のストレス値で押しに弱い青年は漢気溢れる性格に変貌する。
おそらく何人ものマーチスが何処かで生えていると思う。
使用武器は拳銃系とバトン系
アウレリウス・ヴェーバー・吉田(オレルド)
オレルドと呼ばれている17歳くらいの欧州系ドイツ人の帰化日本人。
マーチスと一緒に生えてきた。
遊び人という風体の青年だが、底には一本気があり女性を悲しませないという固い意志がある。
おそらく何人もの以下略。
使用武器はライフル系と拳銃系・バトン系
Tips:脅威度と経験点
1D10で凡その脅威度を出し、1D10で下限~上限までの10段階番号を決定。
女神転生のレベルごとの必要経験値を適用。
レベルで表記されないのは、使用している術式のフォーマットが古い為