貴方達を縛るのはこの力と契約のみ。
悪い夢の欠片は私が食べよう。
貴方達はただ打ち砕け、それが契約。
さあ、薄明の幕は上がったよ。
歩み出せ、我が未練の灯火たちよ。
ーカッコつけたNo.0
春日雫は異界の真ん中で立ち往生していた。
ネットロアとしてこんな異界が存在する。
そんな話は聞いたことがあったし、見えない人と見える人がいて、見える人たちは日夜戦っているんだと口にしている友人もいた。
そんな友人たちは、十数分は前に金切り声を上げ、今は目の前でゾンビの様な見た目と様子を晒している。
結果だけ言えば、終わりは来なかった。
雫の視線の先の景色が、突然ぐにゃりと歪んだ。
雫が状況を把握したのは、友人たちの成れの果てが凄まじい勢いで投げ倒され、いつの間にか自宅の前に立っていた時だった。
「戻せるか?」
「2000年分でなんとかってところか。」
「また頭数が減るなぁ。」
「仕方ない。齟齬を出す訳にゃあいかん。」
記憶が曖昧なまま家の前でぼんやり立ち家族に保護された神隠し被害者がざっと30人、これから数日のうちに『帰宅』することになる。
明らかな異常事態に退魔組織や委託組織が動くも、記憶の齟齬もなく、悪魔に魂を食らわれた様子もない為、この件の報告書は随分と長い間、書庫の肥やしとなるのであった。
不知火は独善を貫く。後付けの物語を埋め込まれて貫くようになった。貫ける力を得た。以前のようなふわふわした蜃気楼でもなく、遥か昔まだ不知火ではなく一人の人間だった頃のように、地に足を付けて今を生きることを思い出した。
千年王国の終わりが近づこうと、覆いが一つ無くなりかけていたとしても、やる事は何も変わらないと嘯く。
『薄い!薄すぎるぞ!先ほどまでの力はどうした!』
痛撃を与えんとした怪異、否、天使の皮を被った悪魔に追いすがる為に減速に減速を重ねた結果初撃の10分の1程度まで存在が希釈され痛痒を与えられなくなった不知火も生まれる。
『主の威光に焼かれるがいい!』
光が降り注ぐ、白夜が如き光に夜の闇が溶け搔き消える不知火、フィンガースナップのパチンという音が響く。
不敵に笑う天使、その胸部から淡い青色が雨と例えられたレインスチール製の刃が生えた。
『なんだ、その動きは』
「お前さんらが放置してきたバグだよ。」
『バグ?主の世界に、バ、バグなど』
「不知火ってなーんだ?」
『が』
問いに答える間もなく天使の肉体を構築していたMAGが四散し、一部が不知火に吸収される。
「ふん、3ヶ月分にもならんか。」
使い込んだ情報量を補うために、この狩りは始まった。
規定量には遠く、最低ラインを達成するために『遠征』を行った結果、少なくない痕跡(不知火基準)を各地に残すことに……なる筈もなかった。
連合は動かなかったし、派出所の利用者も数度追い返した末に捜索は打ち切られた。
捜索を強行した一部は、プロトコル∶ピノキオに従い所長と同じ場所に送られ、早ければ数日でこの世界に帰ってくる手筈になっている。
精神状態は保証できないが、肉体は何とか正常にしておこうと思っています。
先に送った所長は竿が乾く暇もない程にシャチたちに襲われています。
幸せそうですなあ。
◯鈴蘭派出所集団行方不明スレ
117∶派出所員は名無し
人がいねぇ
118∶派出所員は名無し
まぁ、本部に応援要請したら捜索打ち切られたからなあ
119∶派出所員は名無し
割に合わないって理由だったんだっけ?
120∶派出所員は名無し
意味……分かんねぇよ
121∶派出所員は名無し
いやまあ、分からんでもない
得体が知れなさすぎるんだよ
122∶派出所員は名無し
得体?
本部の黒札連中みたいに顔立ちが良くて強い以外になんかある?
123∶派出所員は名無し
もっと大事なことはないのか
124∶派出所員は名無し
122はほっとけ
思うに、あの異界のバックに居るであろう神様がなんなのか分からん
125∶派出所員は名無し
それを本部が警戒したって?(ヾノ・∀・`)ナイナイ
126∶派出所員は名無し
んだんだ。何かしら抜け道探し出して出し抜いてきた人たちだぞ?
127∶派出所員は名無し
より強いハヤタロウ連れてきて封印をバグらせるってのは目から鱗だったよ。
(山親爺様作 世界が終わるまでのバイク旅 【モフモフを】ケモノ系神仏解放スレ その8【救え!】より)
128∶派出所員は名無し
勝てないってことはないだろ。
129∶派出所員は名無し
それ、行方不明になってる連中もそう思ってただろうよ。
130∶所長代行は名無し
128おめぇがいってこい
出張は切ってやるから
131∶派出所員は名無し
げえ!?代行?!
132∶派出所員は名無し
代行が来たってことは進展あった?
133∶所長代行は名無し
所長が見つかった。
豚になってたが。
134∶派出所員は名無し
ブタあ?!
135∶所長代行は名無し
肉体は異常がないが、精神はもうダメだな。
鑑定と診察をさせたが、肉体に異常がないのにエンドルフィンとドーパミンが異常分泌されている。
136∶派出所員は名無し
つまり、そこだけ確実にぶっ壊されてるのに正常って判定なのか
137:派出所員は名無し
代行は、代行じゃなくなる訳か。
踏み台から情報を参照しつつ、連合の情報を探る。
特定の領域には近づかない、否、近づいたところで旨味とリスクが釣り合わない。
はて、所長が解放されている?
じゃあ、あっちで襲われてる所長は誰なんだ。
時間が前後しているな。これ。
窓の外を見れば、No.0が鍛錬をしていた。
他のタロットナンバーと比較すると、明らかに遅く、拙く、いかにも弱点です。と言った動きだ。
0は21に至る為のリソースを無限に生み出す。
それは歩みをとめることがない故に出来ること。
21に至る過程で0が生み出したリソースは精錬され、21に至った時0への解体という形で世界に還元される。
小さな歩み、本当に僅かでしかないが、0にしか出来ない事なのだ。
しかしそれは同時に0に強い負担を掛ける。
何もしていなければ、自身が精錬のためのリソースとして分解されてしまうのである。
自己の破壊もまた同じだ。
次のナンバーに莫大なリソースが流れる事で、一時的な
大体が、ボコボコにされて食われて補填されるかだが、最近はそうもいかなくなった。
減ると警戒されるのだ。
世知辛い。
Tips:2000年分
魔術の最も費用対効果の良い対価は情報である。
この世界では僅か1800年に達するが達しないか程度の年月しか存在していない不知火には払えない対価であるのだが、並行存在として繋がった可能性の根から融通して貰うことになった。
対価は存在し続けること。
返済が出来るようになれば利子付きで返済することになっている。
不知火とは:人間である。今の人間からすれば精々1800年程度前の神話時代に生きた正体不明の人間である。
当人は存在定義そのものが曖昧になった故に、今も生きている人間だ。
人間であることは変わりがないのでこの世界の存在の理が適用される。
つまるところ、彼もこの女神転生世界の影響を存分に受けていると言える。
No.0破壊時の特殊アクション(多分出番がない)
No.21からの解体という名の始まりへの循環により、No.0が限界突破する。
同時に循環によって21までのタロットナンバーも限界突破する。
循環とNo.21による世界へのリソース還元作用による減衰がほぼ無効化される為、ナンバーによっては地獄の釜の蓋が開くなどと表現される。
放っておけば、存在する世界にリソース還元が再開し循環が正常化する為、本当の意味で時間だけが解決手段という戦闘専用トラップ。
緊急冷却として、世界がリソース還元の割合を大きくしたり、根源への直接投棄を行う場合があります。
リソースの濁流ないし、大容量の直接投棄が引き起こす災害の可能性については読者諸氏に説明は不要と考えましたので省略させていただきます。
不知火異界のリソース生産の仕組み
上記のNo.0からNo.21により、リソースの元となる可能性の生成・精錬・リソースの還元/循環が行われています。
リソースの還元は異界として世界と接している関係上、元の世界に対しても十数%程度のリソースが送られています。