【カオ転三次】旅する者   作:ユズ猪肉

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走り回った割に儲けはそこそこ、珍品屋の店主曰く130年ほど経っているらしいが現代にもある物品とのことで。
それでも数がある事と、酒も混ざっていたからか買値に色を付けたと言っていた。


過去と向き合い、喰い破る

「すみません。豊原の養い子ですが、お嬢さんのお見舞いに参りました。」

「おお…、霜月の坊か。」

「親爺さんか。お久しぶりです。」

口上を述べ門を潜ると、結月の長老が居た。

相も変わらずヤクザのような顔だが、見た目とは裏腹に好々翁だ。

あくまで平時においてはだが。

「これ、お見舞いのかすたどんです。」

「うん?この辺りには……いや、なんでもない。

 今日は北西の離れにおるよ。」

一礼して示された北西の離れへと向かう。

通うのは初めてではない、こうなってから会うのも初めてではない。

だけど、

「やっぱ、哀しみは色褪せないなぁ。」

怯え泣きわめくでもなく、暴れるでもなく、ただ人形のように張り付いた笑みを浮かべる、精神が死んだ人間を見ると、罪の重さに押し潰されそうになる。

この状態の原因は俺だ。

カグツチから引っ張った情報としては、この状態を永久的狂気と表現するらしく長い療養期間を経て回復の可能性が”通常”はあるらしい。

ならば何故回復しないのかと言えば、俺がこの時間軸に囚われて居るからだ。

厳密に言えば同じ時間軸に留まっている訳ではなく、微妙にズレた時間軸に遷移しているらしいが、俺という情報体に紐づけられた彼女たちの情報も同様、オーバーライドされる不具合が発生しているらしい。

プログラムとしては機能しているが、中枢制御機構が行方不明という技術的不具合だ。

かつては、この子たちの死によって巻き戻されていたが、いつの間にか4度目辺りから俺が死ぬことが基点になったと思われる。

カグツチに精神をけちょんけちょんにされながら考える

現時点で判明している情報は、本件における最重要排除対象はウルム=アト教団。

所在地は現在のところ不明。

外性神格【ヨグ=ソトース】を奉る邪教集団、という事くらいだ。

そうだな、結局連中の元の所在は教会だったか。

今は何もない、なにもないはずだ。

いや、何かおかしい。

これだけ死が繰り返されたというのに、あれほどまでに行方不明者が出ていたというのに、義家族が一切動いた痕跡が無かった。

そうだ、まるで認識できていないかのように世界は廻っていた。

あの時、警察署で俺の頭をぶち抜いた奴は誰だったか。

「まるで、超常の御業の如く、か?」

結月の長老が居た。

いや、結月の長老?違う、結月の長老は、親爺さんは……。

「誰だ、あんた。」

『『『『結月の長老、じゃよ。』』』』

幻惑、記憶改竄・・・。

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精神干渉を検知。

オートカウンター起動

無効化成功

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眩暈を感じたが、タロットが凌いでくれたようだ。

「ほう?」

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ワイルド認証

No.0・1・8・9・12 オンステージ

     〃     アクティベート

ステータス      オーバーライド

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意識が書き換わる、肉体が根底から書き換わる、精神がより強くあるために挫けぬ心を宿す。

モディファイドではなく、オーバーライド。

どちらも”現時点において”は一時的な作用でしかない。

「待て、すまなかったな。ここで争うつもりはない。」

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オーバーライド 継続

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「ウルム・アト」

身体を前に倒す。

数瞬前まで首があった場所に槍が突きこまれる。

とすれば床からも壁からもザクザクザクザクと絶え間なく突き出て、あっという間に槍衾が出来上がる。

結月の長老を名乗る何者かは、能面のような顔をこちらに向けている。

……、だろうね。

全ては都合のいい、ただの夢。

現実にはタロットもカグツチもない、俺は弱い個でしかないのだろう。

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タロット 機能停止

カグツチ 観測終了

■■■■ 全機能再生 完了

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タロットが停止し、カグツチからの観測情報が受信できなくなり、オーバーライド自体が強制解除された。

衝撃を感じ、次いで痛みが来る。

義姉弟、最後に見たのは義両親から振り下ろされる斧と槌。

先に進めないのではなく、先に続く道が無い。

全ては、あの、アザトースと”名付けられた”ナニカが見る夢なのだから。

『本当にそうか?』

聞き覚えというよりも、己自身の声だ。

内なる声ではない、確かに耳朶を打った。

でも、駄目だな。

致命傷だ。

手足に力を込めようとしても、ぴくりとも動かない。

心臓は早鐘を打つも、血は漏出するばかりで行き渡ることはない。

頭は潰され、命令を出しようもない。

『留まることはやめただろう?』

そうだな、やめた。

『なら、やることは一つのはずだ。』

「死なないわ。」

「死なないね。」

「人であるなら、死んでいるはず。」

「やっぱり、こいつは、化け物だ。」

 

義家族から放たれる言葉が耳朶を打つ。

身体が外側と内側、両方の助力をもって起き上がる。

世界がひび割れる。

自身を中心に、遠き景色が四方から、ひび割れる。

ガシャーンという、ガラス質の何かが砕ける音がする。

頭を潰されて目が見えないにも関わらず、俺は流れ星を見た。

 

流れ星から声がする。

 

ここから始めましょう。と、(いざな)う声がする。

とても懐かしい声だ。

 

流れ星から声がする。

☓☓、起きろ。と、目覚めを促す声がする。

もう、聞くことも出来なくなった声だ。

 

 

流れ星から声がする。

皆、待ってるよ?と、再会を願う声がする。

ああ、征かねば。

あの子達を悲しませるのは、友達としても駄目だ。

 

流れ星から声がする。

幾千幾万の、知っている声、これから出会うであろう声、懐かしさを感じる声、聞き慣れた同朋の声が。

悪夢の世界を喰い破る。

もう悪夢は、飽きたのだ。と、絶えない絶望のシナリオに反旗を翻す。

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ワワワワワワワイイイイイイイイルルルルルルドドドドドドド

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ワイルド認証!ワイルド認証!ワイルド認証!ワイルド認証!ワイルド認証!

予期せぬエラーが発生しました。

全システムをシャットダウン、再起動を行います。

エラー発生

統合戦闘支援プログラム:タロット 消失

統合観測支援プログラム:カグツチ 消滅

個別技能記録プログラム:■■■■ 暴走

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ワイルドカード
ジョーカー【No.0 愚者(ザ・フール)
テキスト
それは切り札である。
己の切り札であり、誰かの切り札でもある。
切り札は1枚ではない。
現に今ここには5枚のジョーカーがある。
愚者とはあらゆるモノの始まりなのだから。
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