限界のその先の16乗   作:鯛じゃ

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ちょっとグロいかも?


戦ってはいけない存在

「ねぇ、◯◯君。ツァーリちゃんはバトルしないの?あたしツァーリちゃんの技見てみたい!」

「今のところさせるつもりはないよ。」

 

家で一緒に遊んでいた友達が興味深そうに聞いてくるので、そう返す

なんで〜?と友達は不満をあらわにするが、こればっかりはしょうがない

 

何故なら危険だから

人前で技なんて出せばどれだけ被害が出るかもわからないからだ

 

何故こうなったかは1年前に遡る

 

………

 

俺はカンナギタウンに住む両親の間に生まれた

なので当時5歳の俺は外で遊ぶ時はカンナギタウン内で遊ばなければならず、草むらにも近づいてはいけないと親に言われている

少々不満はあったが、安全のためと言われれば仕方がないので大人しく従っていた

上を見れば雲よりも高くそびえ立つテンガン山がその姿を見せてくれる

あの上には槍の柱があるんだろう

いつか見にいきたいな、なんて思いながら俺はエンペルト(ツァーリ)と共にゆっくりと散歩していた

 

そんなときだった

 

「ヘイ!ヘイヘイ!」

「お?」

「ペル?」

 

野生のヘイガニが水辺から現れたのだ

突如現れた珍客に2人して首を傾げる

すごい釣り竿が無ければ現れないヘイガニが普通に現れるなんて何だか不思議な感じだ

 

「ヘヘイヘイ!」

「うおっと。」

 

ヘイガニは俺等を見つけると片手をこちらに向けてバブルこうせんを放ってくる

一直線にこちらに向かって飛んでくる泡をピョンと横に跳んで避ける

どうやらやる気マンマンなようだ

 

まだトレーナーとしての資格を持っていないのでポケモンを戦わせるなんてことはやっちゃいけないのだが、まぁ相手が襲いかかってきてるんだしちょっとくらい良いでしょ

と、言い訳半分、エンペルト(ツァーリ)を戦わせてみたい気持ち半分で早速目の前のヘイガニに向かって俺は指示を出した

 

「よし、ツァーリ!ヘイガニに向かって、はたくだ!」

「ペルッ!」

 

エンペルト(ツァーリ)は勢いよく跳び出すとヘイガニ向かって翼を振りかぶる

 

パァン!!

 

まるで銃弾でも発射されたかのような破裂音が響く

思わずビックリして俺は目を閉じてしまう

 

「ペ、ペル…。」

「ツァーリ?大丈…夫…」

 

エンペルト(ツァーリ)の呆然とするような声に反応し目を開く

するとそこにはヘイガニはおらず、陥没した地面だけがあった

 

「へ…?」

 

俺はその状況に立ち尽くしてしまう

横ではエンペルト(ツァーリ)が地面と自分の翼を交互に見ながら驚いているようだった

 

ヘイガニが消えたのだ

どうやって?と聞かれれば、エンペルト(ツァーリ)のはたくによってである

 

この時の俺は考えなしだった

初めてエンペルト(ツァーリ)のステータスを見たときにこうなることを予期していなかったのだから

65536という数値がどれほどのものなのか

どれだけしっかり育てられたポケモンでも1000を超えることが無い世界で、その60倍以上の力を持つというのがどれほど危険なのか

 

ただ何気なしに相手をはたくだけで、まるで空間そのものを削り取ったかのように敵を消し飛ばせてしまうのである

 

これは俺だけでなく、エンペルト(ツァーリ)も理解できていなかった

普段の生活ではこんなことにはなっていなかったからだ

恐らく技を使ったときに数値を参照した事象が起こるのだろう

今世に生まれてから一度も技を出していなかったエンペルト(ツァーリ)にとって、自分が今どれほどの力を持っているか把握していなかったのだ

 

…正直ここで調子に乗ってハイドロポンプとか吹雪なんてやらせなくて本当に良かった

そんなことをすればもしかしたら今頃カンナギタウンとその周辺は全く違う場所になっていたかもしれないのだから

 

 

………

 

とまぁそんなことがあり、俺とエンペルト(ツァーリ)は手加減が完璧にできるようになるまでは、なるべく技を使わないようにすると決めた

もし使わなければならない場合は、峰打ちか八つ当たりを使うようにするという方針になっている

エンペルト(ツァーリ)はなつき度も65536なので、八つ当たりの威力が1よりも低い

 

以前家族旅行でリゾートエリアに行ったとき、偶然ハードマウンテンの方から降りてきていたマグカルゴに対して八つ当たりを使ったところ、なんと後ろの殻が全損して瀕死になる程度に威力が抑えられていたのである

 

まぁそれでも過剰火力なのには変わりないので、暇を見つけては2人で人のいない場所で手加減の特訓を行っている

 

「エンペルトって言ったらやっぱり水技かな?ハイドロポンプとか塩水とか!」

「危ないからやらないって。」

 

今やったら街1つ消えちゃうよ

 

「それにしても技とかよく知ってるね。」

「これでも1番だからね!」

 

えっへん!と友達は自慢げに胸を張る

ふわりと動く髪が電気に照らされ金色に輝く

 

友達の言う1番というのは、トレーナーズスクールでの話だ

僕と友達はトレーナーズスクールに通っており、友達はそこで1番の成績をとっているのである

 

流石、未来のチャンピオン

幼いうちから優秀だなぁ

 

「おじさんだって褒めてくれたんだから。」

「あの人が?珍しいね。」

 

あの人が褒めるなんてねぇ…丸くなったのか姪っ子には甘いのか

 

「まぁ、いつか見せるから。多分」

「もぉ、絶対だからね?ツァーリちゃんも!」

「ペルッ!」

 

また一緒に、1から強くなろうってなんて思っていたのが、逆に少しでも手加減できるように頑張らなきゃならなくなるなんて考えてもいなかった

 

けどまぁ、一先ず頑張ってみるかな

パートナーを殺戮兵器にはしたくないし

 

____________________________________

 

・主人公

ヘイガニ消失バグという、ポケモンの死を間近で見たことで一瞬SANチェック1/1d6になりかけたが、成功し持ちこたえた

今後似たような事が起こらないようにエンペルトと共に手加減の練習をしている

 

・ツァーリ

エンペルト

多分ガオン!みたいな音を出しながら、相手を塵も残さず叩き潰す事ができるバケモノ

自分でも自分の力にビビったので、しっかり手加減を自在にできるように練習中

 

・金髪の友達

主人公と同い年の子ども

祖母の家に遊びに行った時は必ず主人公と遊ぶ

祖母の家にいるおじさんは少し怖いけれど、物知りなので時々話したりしている

 

・ヘイガニ

LINKLOST

 

・マグカルゴ

マグマッグに退化

 

 

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